アビームコンサルティング株式会社 素材化学ビジネスユニットでは、繊維・鉄鋼、石油、プラントエンジニアリング、ヘルスケア、住宅設備など素材・化学の領域において、DX戦略からサステナビリティ・ESG経営、新規事業立案・推進といった幅広いテーマの支援を行っております。
今回は、同ビジネスユニット長の堀江啓二様より、ご経歴、BUのミッションとソリューション、また市場動向についてお聞きしました。
日系企業の海外進出を手掛け、素材化学ビジネスユニットのユニット長に就任
遠藤
まずは堀江様のご経歴をお聞かせください。
堀江様
私は新卒でアビームコンサルティングに入社し、今年で25年目になります。 会計コンサルタントとしてキャリアをスタートし、システムやプロセス改革の経験を経て、5年目でマネージャーになりました。それ以降は、会計以外にもサプライチェーンや営業、人事など幅広い業務の改革、BPRに取り組んできました。
2010年から7年ほどアメリカに駐在し(ニューヨーク5年半、シカゴ1年半)、主に日系企業の海外進出支援を担当しました。さらに、アメリカだけでなく、ブラジルやメキシコでのビジネス開発にも参画しました。
日本に戻ってからは、若い世代の人材育成を行う部門のリーダーを務めました。その後インダストリーの経験も積み、現在は素材化学ビジネスユニットのユニット長を務めるとともに、企業支援を通じて社会課題解決をしていくサステナビリティ・トランスフォーメーションイニシアチブという全社横断チームをリードしています。
遠藤
これまで経験された中で印象に残っている案件についてもお聞かせください。
堀江様
沢山あり過ぎて絞れないです。
新人時代の銀行の不良債権流動化プロジェクトに始まり、大手消費財メーカーのグローバルロールアウトのプロジェクトリードを行ったこと、社内で取り組んでいたウェルビーイングを外部向けにソリューション化・クライアントをご支援したこと、サステナビリティ領域でNGOとの共創モデルを構築したことなどが印象に残っています。
あとは、XRコンサルティングにもチャレンジしました。特に日系グローバル企業はコロナ禍でコミュニケーションがうまくいかず、本社の想いがうまく伝わらないという問題を抱えていました。クライアントが大切にしていた創業者精神をXRでバーチャル経験として全世界に配信するという案件にも取り組みました。
遠藤
堀江様ご自身の強みは何だとお考えですか。
堀江様
私は学生時代に野球部のキャプテンを務めてきた経験もあり、チームとして成果を出すことと、リーダーとして成果を出すことに幸せを感じますが、これは私自身の人に対する向き合い方に繋がっていると思います。
また、常に新しいチャレンジをすることも強く意識して取り組んでいるので、その点も強みだと思います。
遠藤
24年間アビームにいらっしゃるからこそわかる、御社の良さについてもお聞かせください。
堀江様
私が参加してきた様々なプロジェクトや会社でのポジションは、全て自分で手を挙げて機会を獲得しました。ここから言えることは、アビームはチャンスがとても多いということです。また、上司や仲間が聞く耳を持っている、しっかりと向き合って成長支援をしてくれます。
自分のやりたいことに挑戦できる自由さ、裁量の多さ、そして組織のヒエラルキーが非常にフラットであることが、大きなポイントだと思います。
素材力、要素技術ありきのビジネスから脱却し、事業ポートフォリオ転換を実現することがミッション
遠藤
素材化学ビジネスユニットについてお聞かせください。
堀江様
素材化学ビジネスユニットは、素材/化学、石油、製薬/医療機器業界、プラントエンジニアリング等の顧客に対し、コンサルティングサービスを展開しています。
チームは、①プロセス(化学・繊維・鉄鋼・非鉄金属・ガラス・紙パルプ・セメント)、②石油(石油元売・開発)、③ヘルスケア(医薬品メーカー)、④住設・エンジ(住宅設備/エンジニアリング)の4つのサブインダストリーに分かれ、多角的な支援を行っています。
遠藤
現在の市場感はいかがですか。
堀江様
現在は特に①プロセス、②石油、③ヘルスケアの分野のグローバル化に力を入れている他、脱炭素や人権問題、ESG経営などのサステナビリティも大きなテーマになってきました。
今まで素材化学業界は、素材力、要素技術だけで戦ってきたのですが、そこから脱却し、事業ポートフォリオを変えていくこと、より主体性を持った提案型ビジネスを確立することが重要だと感じています。
10年後20年後の社会を考えた時に、こういった課題に取り組むためにはデジタル技術の活用が欠かせません。DXの活用はアビームの得意分野ですので、様々なアイデアを生み出し、ステークホルダーのニーズに応えられること、またそういった人材育成も含めて取り組んでいるところです。
遠藤
アビームがそういった市場をリードしていきたいとお考えなのですね。
堀江様
はい。産学やベンチャー、NPO、NGOなど、様々な知見を持った人たちと企業との共創を、我々がうまくリードできたら、という思いで支援をしています。
遠藤
山田社長がご就任されてから、インダストリーごとに変革テーマを設定し、「クライアントと一緒につくっていく」というメッセージが強く打ち出されたと感じています。素材化学ビジネスユニットや堀江様ご自身が目指すミッションはどういったものなのでしょうか。
堀江様
我々は「社会変革アクセラレーター」を目指しています。社会課題解決や新しい価値やビジネスモデルをつくるという強い想いで、私自身も仕事に取り組んでいます。
また、今も日本の素材力は世界をリードしていて、間違いなく日本のキー産業です。素材化学ビジネスユニットとしては、日本発の素材力に誇りと自覚を持ち、課題解決と社会変革に貢献するという高い視座を持つことを大切にしています。
遠藤
なるほど。
堀江様
日本企業だけでなく、アジアの企業力、素材力の源泉はやはり現場力です。我々は、現場、プロセス、システム、データを全て知っているからこそ、デジタル技術をうまく活用して素材力や企業力といった強みをより高めることができるので、そこの企業支援や社会変革を実現することがミッションです。
繰り返しになりますが、事業ポートフォリオを変えるというのがポイントだと考えています。その取り組みを日本国内だけでなく、海外でもどんどんやっていきたいです。
中期経営計画策定やDX・サステナビリティ戦略立案など、上流からもクライアントを支援
遠藤
候補者様の中には、入社後はSAPにまつわる案件に偏ってしまうのではないか、という心配をしている方もいるのですが、その辺りはどうでしょうか。
堀江様
案件の数で言うと、SAPは多くはありません。我々は案件を創出していくチームですので、様々な案件があります。CxO向けに中期経営計画や戦略をつくることももちろんあります。
例を挙げるときりがないですが、CHROをカウンターパートにした人的資本経営・ウェルビーイング案件も多いですし、未来産業DX構想やクライアントの各事業部を繋いで新しいビジネスを創出する案件もあります。
他にも、今はAI活用の案件が非常に増えていますし、DX戦略と人材育成、サステナビリティ経営戦略、ESG経営、GX、ビジネスと人権なども支援しています。
遠藤
案件はかなり多岐にわたるのですね。
堀江様
はい。業界横断での取り組みの支援に対するニーズも高まっており、たとえば、日本の化学業界としてサーキュラーエコノミーのDPP実証実験をし、日本版DPPをつくるというものもあります。最近だと、総合化学メーカーのクライアントが新原材料をどう活用していくかロードマップ作成案件など、多岐に渡ります。
遠藤
かなり上流の案件という印象ですが、競合他社との差異やクライアントから選ばれるポイントはどこにあるとお考えですか。
堀江様
我々は事業会社出身者などを積極的に採用することで、クライアントのビジネス理解の強化に努めてきました。こうしたことが実を結んでいると思います。
また、元々の強みである業務プロセス、システム、データの豊富な知識と支援実績を生かして、戦略だけでなく実現まで一緒にできるパートナーということが、認められてきています。
これからさらに強化したいのは、グローバルのルールや法令のキャッチアップ、CxOアジェンダへの感度の高さと実行を含めたデザイン力です。これらは既に評価もいただいているのですが、ますます強化したい部分です。
遠藤
共創やグローバルといったところを、さらに重要視されているのですね。
堀江様
アビームはもともと共創力が高い会社です。部門間もフラットで、グローバルにおいても同様です。社内で連携がしっかりできているので、社外ともお互いに尊重し合った協働が可能です。ここは引き続き強みにしていきたいです。
共創力とグローバル、2つの強みを生かしたチーム展開
遠藤
今後、チームとしてどんな展開を意識していらっしゃるのかお聞かせください。
堀江様
今特に意識しているのはメンバーの多様性です。立ち上げ時は30名程だったメンバーも2年半で90名程に増え、仲間集めは順調に進んでいると思います。ただ、同質性の高い組織では新しいものを創り続けるのは難しいため、多様性の部分は大切にしています。
性別や世代はもちろん、様々なバックグラウンドを持つ多様性のあるチームで、1+1が10や100になるような世界観をつくっていくことが重要です。新しいアイデアが出てきた時に様々な人を巻き込むことが必要になるので、そのために、フラットにオープンに考えることをメンバーにも伝えていますし、ユニット長としては心理的安全性も大事にしています。
遠藤
やはり根底にあるアビームの共創力を生かしていきたいと。
堀江様
はい。あとは主体性も重要だと感じています。私は管理職には「(マネジメントではなく)リードしよう」、自分たちで想いを持って「ああしよう、こうしよう」と言える高い主体性を持ったチームになるようにと話しています。
新しいものをつくる時は共創力が大切だと繰り返しお話していますが、その出発点はやはり主体性にあると考えます。シャイにならずに声をかけて、たとえ完成度が5割だったとしても思い切ってチャレンジして、トライ&エラーを当たり前にやっていけるチームを目指しています。
遠藤
それがチームの特色にもなっているのですね。
堀江様
そうです。特色といえば、現場の課題感だけでなく、経営としての課題感、その先の社会の課題感から紐解いていくところも特色だと思います。また、CxOとのリレーション強化もリーダー層には強く話しています。
遠藤
御社は海外駐在のチャンスも多いと思うのですが、素材/化学領域はどの地域の案件が多いのでしょうか。
堀江様
アジア地域が一番多いですが、アメリカやヨーロッパもあります。実際、チームからアメリカに駐在しているメンバー、そして今年駐在に送り出そうと考えているメンバーもいます。
グローバルでクライアントを支援する体制をつくりたいため、リージョンごとに素材化学ビジネスユニットの拠点をつくりたいと思っています。
実際に動いているグローバル案件は、ERP案件やESG経営、人権、SCM改革、未来工場構築があります。
チャレンジを楽しめる人材にぜひ来てほしい
遠藤
今後は、どんな人材が必要だとお考えなのでしょうか。
堀江様
我々の強みである、業界、ビジネス、現場のことをよく知っている人材が大事だと思っているので、事業会社出身者やコンサルティングファーム出身者にはぜひ入っていただきたいです。
あとはチャレンジ精神を持っている方です。このチームは特に新しいチャレンジが多いので、「やってやろう」というワクワクする気持ちが必要だと思います。
他にも、日本産業をより良くしたいという気持ちがある方や壁を作らずフラットに共創できる方、そもそも我々のミッションや方向性に共感してくれる方などもマッチすると思います。
遠藤
具体的に、候補者様に求めている知見などはあるのでしょうか。
堀江様
サステナビリティや社会課題に取り組んだ経験のある方や、新規事業創出にチャレンジした経験のある方など、グローバルも含めて、何らかの変革テーマにチャレンジしてきた経験や想いがあることは重要視させていただきたいです。
また、総合化学事業の各プロセスを知っている方というのは、新しい事業をつくる時に重要な知見となるため、欲しい知見です。
遠藤
御社はデジタルが強いので、そういった経験がないと難しいと思っている方もいらっしゃるのですがその辺りはいかがですか。
堀江様
全く触れたことがない場合は難しいかもしれません。ただ、それよりも大事なのは、CxOアジェンダなどに対して自分のアイデアをしっかり持ち、ぶつけていけることです。
遠藤
アビームの雰囲気に合う人材などについてもお聞かせいただけますか。
堀江様
人と向き合おうという気持ちの強い方はアビームと合うと思います。あとは、素材化学ビジネスユニット自体がまだ新しいチームなので、繰り返しになりますが、主体性を持ち、様々なチャレンジを楽しめる方です。
我々のチームは経験者と新卒入社者が半々で、経験者だとコンサルティングファーム出身が3割、事業会社出身が7割の内訳となっています。
遠藤
最後に、チームに興味をお持ちの候補者の皆様へメッセージをお願いします。
堀江様
アビームの素材化学ビジネスユニットには、新しいチャレンジが多くあります。これから新しいものを創っていくことにワクワクできる方にぜひ入っていただきたいですし、私も皆さんと一緒に新しいものをつくることを今から楽しみにしています。