アビームコンサルティング株式会社 素材化学ビジネスユニットでは、繊維・鉄鋼、石油・石油化学、プラントエンジニアリング、ヘルスケア、住宅設備など素材・化学の領域において、DX戦略からサステナビリティ・ESG経営、新規事業立案・推進といった幅広いテーマの支援を行っております。
今回は、同ビジネスユニットでご活躍されるダイレクター 高添有佳子様、シニアマネージャー 木口郷様、マネージャー 櫻井奈津美様より、アビームコンサルティング、そして素材化学ビジネスユニットにおけるダイバーシティ&インクルージョンの実態やそれを支える制度と活用事例についてお聞きしました。
社員一人ひとりが安心して働き続けることのできる職場環境を整える
遠藤
まずは高添様から、ご経歴をお聞かせいただけますか。
高添様
私は2002年にSIerからアビームコンサルティングへ転職しました。転職後は、石油・電力業界といったエネルギー業界や鉄鋼業界など装置産業のOperation&Maintenanceに関わる業務改革やシステム導入を主としてキャリアを積んできました。近年は、これらのデータを活用した業務改革のプロジェクトに従事しています。
遠藤
続いて木口様、お願いいたします。
木口様
私は新卒でアビームに入社し、15年目になります。製造業向けの大規模な業務標準化/基幹刷新プロジェクトからキャリアをスタートし、金融業界向けのIT戦略・企画領域のプロジェクト等を経験後、今はまた製造業向けの支援を行う素材化学ビジネスユニットに戻ってきました。
また、アビームの将来を背負って立つ若手メンバーをより効果的に育成・成長させることを目的とした若手メンバーのみで構成された組織に所属していた経験もあります。
遠藤
そのお話も、後ほど詳しくお聞かせください。最後に櫻井様、お願い致します。
櫻井様
私は石油元売り会社の化学品部門から、2016年にアビームに転職しました。アビームに参画してから第一子、第二子を出産したので、産育休や短時間勤務を経験しています。
アビームでは主に石油や電力会社の基幹システムの導入や業務アプリ導入に伴うユーザー支援などのプロジェクトに携わり、去年マネージャーに昇格しました。
遠藤
今回は、ダイバーシティ&インクルージョンをテーマにお話を伺っていきたいと思います。アビーム全体の方針や考え方についてお聞かせ願えますか。
高添様
アビームが目指すダイバーシティ&インクルージョンの姿は、”多様な個性を持つ社員一人ひとりが、互いに尊重・刺激し合い、自分らしく挑戦することで成長を続けること”です。つまり、対象は全ての社員です。女性や外国籍の方の活躍推進、男女問わず子育て中・介護中の方へのサポートなど、あらゆるライフイベントに柔軟に対応する制度を完備しています。
会社として、こういった制度の活用を抵抗感なく受け入れられる土壌があるので、例えば男性社員でも、保育園の送り迎えのために就業時間をずらしたり、ミーティング時間をずらしたりと、皆で協力しながら仕事を進められる環境です。
遠藤
皆様、プロジェクトのマネージャーとして、またはカウンセラーとして、メンバーの方々とお話をすることもあると思います。配慮していることや具体的な支援などについてお聞かせいただけますか。
高添様
私は、男性メンバーから「3~4ヶ月の育休を取りたい」と相談されたことがあります。人員調整や引き継ぎなどに奔走して、無事4ヶ月の育休を取っていただきました。
カウンセラーとしては、女性メンバーから相談を受けることが多いです。ライフイベントを経て転職してきた方もいますし、それぞれがキャリアに悩んでいるので、そういう方々がうまくキャリアプラン通りに歩めるようにサポートしたいと思います。
遠藤
木口様はどのようにキャリアの支援をされていますか。
木口様
若手メンバーに対するカウンセリングと、素材化学ビジネスユニットのメンバーに対するカウンセリングは少し異なります。導きをセットでしなければならない若手向けと、自分のバックグラウンドを持っている方とでは支援の仕方を変えています。
遠藤
櫻井様はいかがですか。
櫻井様
私がカウンセラーを始めたのは6月からなので、まだ手探りで色々と試しているところです。
個人としては、ダイバーシティ&インクルージョンのイベントで先輩社員として参加者の質問を受けたり、サポーターとしてグループワークのファシリテーション依頼をいただくこともあるので、そうしたものには積極的に参加するよう心がけています。やはり「女性と管理職」「子育てとキャリア」といったことがキーワードになるので、私自身がロールモデルとして、なるべく多くの女性と関わっていけたらと思います。
遠藤
マネージャー以上で育休に関する研修や会社の制度を学ぶ機会があるのでしょうか。
木口様
マネージャー以上は年1回、e-learningで研修があります。
もちろん、全メンバー向けにD&I研修や労務管理研修もあるので、Topから落とすのではなく、全員で考えようというスタンスで進めています。
遠藤
マネージャー以上にD&Iに関するKPIは設定されているのでしょうか。
高添様
育休取得率や男女比率、女性管理職比率など、2025年までに全社で目標としているKPIはあります。ただ、それによって大きなプレッシャーがかかることはないです。女性管理職比率を上げるために無理にチャレンジさせるのは違うと思いますし、育休取得率を上げるために「短くてもいいから取って」と言うこともありません。あくまでも、本人に対してもプレッシャーがかからないようにと思っています。
育休取得を歓迎する風土がある
遠藤
櫻井様はご出産を経験なさっていますが、利用された制度などについて、お話をお聞かせいただけますか。
櫻井様
私は短時間務制度を活用していました。あとは「子育て支援休暇」という有給休暇制度や「子の看護休暇」という無給休暇制度があります。
また、制度ではありませんが、COVIDでステイホームになった際に保育園も1ヶ月半ぐらい止まってしまった時期がありました。当時100%のプロジェクト関与率で新しいプロジェクトに参画するタイミングだったのですが、1歳半の子どもと一緒だと日中は仕事を進めることが難しいことが明らかでした。その状況を参画前にプロジェクトの上司に相談したところ「チームの分担を見直して関与率を下げるので、仕事もできる時間に進める形でいいよ」と柔軟に調整してくれたことがあり、非常に助かりました。
遠藤
実際、お子様が2人いらっしゃる中で、どういった働き方をされているのでしょうか。
櫻井様
現在はテレワーク中心の働き方をしているので、保育園のお迎えも含め、夜間帯の育児は私がメインで子どもたちの面倒を見ています。クライアントとの会議は対面でやっているので、その時だけクライアント先に出向くことが多いです。
遠藤
御社は、男性の育休取得率もかなり高いと伺っています。木口様も育休を取られたそうですね。
木口様
はい。4年前に第一子が生まれた時は取らなかったのですが、今年4月に生まれた第二子の時は取得しました。
毎年会社の育休取得への理解が高まっていることを肌で感じ、私自身もメンバーには「絶対に取った方がいいよ」と伝えています。私は数週間だけでしたが、メンバーにはもっと取ってもらいたいと思います。
遠藤
実際、そうした申請を上長やメンバーの方にフラットに話せる環境なのでしょうか。
木口様
話せます。まずは祝福して送り出してもらえるような関係性をしっかり作っておくことが重要です。
事前に伝えておけば、プロジェクト側も準備ができますし、クライアントにも理解をしていただけます。
遠藤
実際に取得されてみていかがでしたか。
木口様
やっぱり数週間だと短かったです。もし次があればもっと長く取りたいです。でも、妻は数週間でもとても助かったと言ってくれましたし、私も子どもとの時間が取れたことで、その後の仕事の励みになりました。
遠藤
高添様や木口様はメンバーからご相談を受ける側でいらっしゃいますね。普段から意識されていることはありますか。
高添様
お子さんがいる方には特に、プロジェクトアサイン時に本人の希望をしっかりと聞くようにしています。
また最近では、メンバーから「新婚旅行に行きたいので、1週間程休みたいです」と相談されました。そこは皆で協力したり、クライアントに融通していただいたりして、調整しながらやっています。
若手が率先して意見を出し、活動を推進していける風土
遠藤
続いて、木口様がどんなきっかけで若手組織のイニシアチブを取られたのかをお聞かせいただけますか。
木口様
多くの会社は「会社の中でこういう取り組みをやりたい」という発信は、Topから或いは年次が上の方からされると思いますがアビームでは、若手メンバーが「自分たちでやりたい」と声を挙げます。
例えば、あるメンバーが組織全体のメンバー男女比と、その中で各取り組みをリードしているリーダー男女比を調べました。すると、リーダー男女比では圧倒的に女性が少ないことが分かりました。そこに課題感を持ち、女性がリーダーになり得ない障壁があるのなら取っ払おうと始まったのが「女性活躍推進」という活動です。
この活動で深掘りした結果、男女比は意図的なものではなく、若手全体がリーダー職は負荷が重いだろうとの認識から避ける傾向にある、ということが判明しました。そこから働き方やキャリアの話に展開し、この活動は今も広がりを見せています。
最初は「女性活躍推進」という名称で始まったこの活動は、その後「ジェンターインクルージョン」に、今年からは「キャリアワークスタイル」に活動名称変えました。これも、若手メンバーが主体となって意見を出した結果です。
遠藤
御社が手を挙げた人を応援していくという話は、本当に各組織の皆様からお伺いしています。若手の発案で始まった活動の成果などはいかがですか。
木口様
若手発信で始めた女性活躍推進やジェンダーインクルージョンの取り組みは、全社のダイバーシティ&インクルージョンの取り組みとリンクして、全社施策においても重要なインプットになっています。
グループ全体のアンケートで1位に輝いたフラットな組織
遠藤
素材化学ビジネスユニットの雰囲気についてもお聞かせください。
木口様
アビームはグループ全体で年に1回、Great Firm to Workというエンゲージメントに関するアンケートを取り、改善を繰り返していくことを実践しています。このアンケートで、素材化学ビジネスユニットが一番高いポイントを獲得しました。
その急成長を大きくドライブしているのは、経験者採用として入社いただいた方々です。その方々が入社し、会社や組織の戦略を理解し、自分事として捉え、意義や帰属意識を高める取り組みに率先して関わっているからこそ、こういう結果が出ているのだと思います。
遠藤
組織の戦略や考え方をしっかり浸透させるために、どのような取り組みをなさっているのでしょうか。
木口様
素材化学ビジネスユニットは定期的に全員が集まるコミュニケーションの場を設けています。そこでビジネスユニット長や役員陣からオープンに情報発信をしています。
遠藤
高添様はいかがですか。
高添様
2年前に約30名で組織を立ち上げて、今は80名程にスケールアップしました。経験者採用の方や他部署から異動してきた方など多様な組織になっている中で、Great Firm to Workのアンケートの点数が高いのは、フラットな組織、オープンなコミュニケーションを心がけてきたからだと思います。
遠藤
櫻井様はいかがですか。
櫻井様
お二方が話した通り、すごくフラットな組織だと思います。
所属している一人一人が、自分がより過ごしやすいビジネスユニットにするにはどうしたらいいかを考え、行動しています。そうした取り組みを通じて全員が、素材化学ビジネスユニットのキャラクターや雰囲気を作り上げているのだと感じます。