消費財・食品業界や、小売・流通業界のクライアントへ中長期経営計画策定、成長戦略構築等の戦略プロジェクト、海外進出・現地オペレーションの立ち上げ支援、EC/CRM/オムニチャネル施策・導入コンサルティングなど幅広いソリューションを提供するアビームコンサルティング株式会社 コンシューマーBU(ビジネスユニット)。
今回は、同ユニットをリードするシニアマネージャー 永原将晴様、山田大輔様より、これまでのご経歴、同ユニットの強み、今後の方向性などについてお聞きしました。
アビームコンサルティング コンシューマーBU 永原様、山田様のご経歴
遠藤
まずは、お二方のご経歴を教えてください。
永原様
私はもともとSIer出身でシステムエンジニアとして約8年間、主にデータベースやアプリケーション開発を行ってきました。その後、コンサルティングファームに転職し、約8年間にわたって、地方の小売業向けに次期システムの構想策定から要件定義、業務運用の支援まで一気通貫で支援してきました。アビームに入社したのが2014年です。現在は、流通小売業、リテール業界を担当しています。
山田様
私は新卒で消費財メーカーに入社し、約5年間在籍するなか開発やマーケティングなどを経験しました。その後、2012年にアビームに転職し、主にコンシューマービジネスの消費財業界を担当しています。
遠藤
お二方ともアビームに中途入社されていますが、その決め手は何でしたか?
永原様
アビームの風土や価値観に魅力を感じたからです。もともとSEからコンサルタントを目指したきっかけは1社目の経験でした。当時、コンサルタントと一緒に仕事をすることもありましたが、実際クライアントと話をして、業務やシステムの要件を決めたりするのはSEではなくコンサルタントなんですね。そのため単純にコンサルタントとしての働き方に憧れを持っていました。
アビームを選んだ理由は、入社前から「人を大事にする」「チームで成果を上げていく」といったイメージがあり、さらにクライアントのリアルパートナーとして寄り添いながら支援をしていく姿勢に魅力を感じたからです。そういった温かみのある、ある意味ではウェットな組織文化に共感して入社を決意しました。
遠藤
山田様はいかがですか?
山田様
日本発の総合系コンサルティングファームとしてチャレンジしていく姿勢に共感したからです。私は前職が消費財メーカーでしたが、規模が大きいゆえに決められたルールや変化を好まない組織文化に窮屈さを感じていました。一方、周りを見渡すと同じような日本企業は少なくありません。そこでコンサルティングの仕事を通じて、日本企業が抱えている課題に対し、同じ課題感を持つ人たちと一緒に変えていきたいと思ったのです。
とはいえ、未経験でコンサルティング業界に飛び込んでいくことにリスクや不安があったのも事実です。当時、その気持ちをアビームの面接官に打ち明けたところ、「育成の環境が整っているから大丈夫だ」と背中を押してくださって。その対応にも好感が持てましたね。アビームが「日本発、アジア発」の組織としてチャレンジしており、そこで私もチャレンジしたいと思い入社を決意しました。
流通小売業、リテール業界では、上流からデジタルによる変革を検討する案件が多い
遠藤
次に、永原様ご担当の流通小売業、リテール業界を取り巻くマーケット感を教えていただけますか?
永原様
流通小売業、リテール業界は消費者接点が多いため、様々な外部環境の影響を受けやすい業界です。直近ではコロナや原材料高による価格高騰などにより大きく影響を受けました。また、もともとの課題である人手不足に加え、コロナ禍で消費者のECシフトが加速しているため、そこへの対応も大きな経営課題になっています。
そういった課題を抜本的に解決する手段の一つがDXです。ただ単にシステムを導入するのではなく、デジタルツールを活用してどのように業務を変革していくかが大切です。
我々はクライアント側の立場でDXを支援していく案件が多く、システムベンダーとの接点になりながら、業務変革を伴走していくスタイルで仕事をしています。
遠藤
サステナビリティに関する案件も増えていますか?
永原様
まだ案件としては少ないですが、サステナビリティやグリーントランスフォーメーション(GX)などは企業の課題感として話題に上がります。特に多店舗展開している流通小売業界では、エネルギー分野に関して非常に関心が高く、弊社の取り組みなども感度高く聞いていただけますね。
遠藤
御社はSAP領域にも強い企業でいらっしゃいますが、実際にSAP案件の比率は高いのでしょうか?
永原様
弊社の場合、流通小売業・リテール領域では、SAP案件はほとんどありません。直近では先ほど申し上げたクライアント伴走型のDX支援がほとんどです。
遠藤
クライアントが御社を選ぶ理由についてはどのようにお考えでしょうか?
永原様
クライアントと業務運用を一緒に考えながら、ワンチームで支援させていただくところだと思います。さまざまな課題が日々起こる中で、できる限りチーム全員でボールを拾いながらクライアントの近くでサポートしていく。そういった積み重ねで信頼をしていただけるからこそ、次の仕事につながっているのだと思います。
遠藤
現在、永原様が担当されているプロジェクトについても教えていただけますか?
永原様
現在私は、大手流通小売企業の店舗業務ではなく本部業務の改革構想からシステム化構想、要件定義、システム導入、業務運用の定着化まで一気通貫で対応しています。5か年計画でいくつかのステップにわけてシステム導入の支援をさせて頂いておりますが、まだまだ中盤戦といった状態ですね。活用推進・機能拡張・データ活用等、日々お客様やチームメンバー、システムベンダと議論しながら進めています。
遠藤
現在のプロジェクトが進んでいくことで、クライアント企業にどのようなインパクトが与えられると思いますか?
永原様
生産性の向上と事業・業容の拡大です。次の一手を打つためにデータを蓄積し、分析し、活用していく。我々はただシステムを作って終わりにするのではなく、システムをうまく業務に組み込んで生産性を向上させ、事業拡大のためにデータを活用して様々ご提案をしていきます。
遠藤
あらためて、コンシューマービジネスの面白さを教えてください。
永原様
自分がやってきたことが目の前に形となって現れるところですね。コンシューマービジネスでも、特にリテール領域では、自分自身がいち消費者になります。自分たちがやってきた施策が実際に店舗で反映され、いち消費者としてそれを見ることができるのはとても楽しくやりがいを感じますね。
消費財業界(CPG業界)では、新しいデータを活用した新規ビジネス立案などが多い
遠藤
続いて、山田様ご担当の消費財業界を取り巻くマーケット感を教えていただけますか?
山田様
現在は、化粧品、日用品、玩具、オフィス家具、スポーツアパレルなど幅広い業界を担当しています。これらの業界は、外部環境の影響を受けて顧客の価値観や購買行動が急激に変化しやすいのが特徴です。直近ではコロナ禍により、非接触型のチャネルとしてEC案件が増えています。そして新たに蓄積されたデータを活用して、ソーシャルチャネルとしてどのように新しい価値を提供していくか、といった課題感はどの業界のクライアントも共通して持っていますね。
またサステナブルや廃プラスチックに対しては、特に化粧品メーカー、日用品メーカーが積極的に投資をして推進しています。今後はコンサルティングファームとして、クライアントと共にサステナブルの取り組みを行い、世の中に価値提供をしていく。そういったことを視野に入れて考えていきたいと思っています。
遠藤
ちなみに、消費財業界においてSAPの案件はどれくらいありますか?
山田様
消費財業界は、グローバルに展開している企業もあるためリテールよりもSAP案件はありますが数としてはそれほど多くはないです。今はSAP案件よりも、購買行動の変化やサステナブルに対して付加価値を追求していくような案件にシフトしていますし、今後も部門全体としてはそういった案件に注力していきたいと考えています。
遠藤
なぜ御社がクライアントに対しバリューを発揮できるのでしょうか?
山田様
業務とデータを両方理解しているからだと思います。特にこれまでSAPビジネスに注力してきた我々は、1社に対し長い年月をかけてシステム導入をしてきたので、クライアントの業務やデータ、内情も含めて深く理解しています。それによりクライアントからも「自分たちをよく知っているパートナー」として見ていただける。そこが唯一無二の価値であり、我々の強みだと思います。
遠藤
現在、山田様が入られているプロジェクトについて教えていただけますか?
山田様
経営戦略や成長戦略に関わるプロジェクトです。まず大きな背景として、日本は少子高齢化の影響で、消費財業界の国内市場はシュリンクするため、必然的に海外の市場に出ていかなければなりません。これまでは日本の本社で海外の拠点をリードしてきましたが、今後はグローバルで戦うために本社機能を海外に移転し、海外のオフィスを本社にしようとする動きが進んでいくと考えます。そのために業務やシステム、仕組みを変えていく必要があり、現在もそうしたプロジェクトを進めている状況です。
遠藤
そのプロジェクトが進んだ先には、どういったことが実現できるのでしょうか?
山田様
大きく2つありますね。1つはクライアント企業の可能性が広がること。グローバルにおける日本企業のプレゼンスが高まり、トップリーダーとして業界自体の底上げに貢献できます。そしてもう1つは、グローバルで新たな雇用を生み、その国に対して経済的価値をもたらすことができることだと思います。
遠藤
山田様にとってコンシューマービジネスの面白さ、やりがいは何でしょうか?
山田様
生活者に密着した業界なので、コンサルティングの施策がダイレクトに商品に反映されたり、チャネルに反映されたりするところが見えるところですね。世間に対する影響力やインパクトが大きいので、やりがいを実感しやすい業界だと思います。
変化の激しい業界だからこそ、「新しい価値を創造できる機会」にあふれている
遠藤
小売業、リテール業界において、今後どのようなバリューを発揮していきたいとお考えでしょうか?
永原様
クライアントのDX支援を行うにあたり、ベーステクノロジーを理解して提案を行うことです。我々インダストリーコンサルタントにとってテクノロジーは、課題解決をする手段の1つに過ぎません。しかし課題に対して、どういった解決策があるかを考える上ではテクノロジーの知見は重要な要素です。AIやメタバース、ブロックチェーンなど最新の技術の要素も押さえつつ、インダストリーコンサルタントとしてきちんとクライアントにとって価値ある提案をしていくことが我々の役目だと思います。
遠藤
今後、業界的にはどういったことが求められると思いますか?
永原様
Amazon、楽天などEC市場がますます活性化する一方で、リアル店舗の在り方やチャネル戦略の課題は今後ますます大きくなっていくと思います。現時点で最適な答えを持ち合わせてはいませんが、クライアントと共に市場の動向を見ながら考えていきたいと思っています。
遠藤
消費財業界において、今後どのようなバリューを発揮していきたいとお考えでしょうか?
山田様
社会情勢や消費者の価値観が日々刻々と変化していくなか、今は1社だけで価値を提供できるような時代ではなくなっています。そうした際に、競合や異業種も含め、お互いに強みを活かせるエコシステムを構築していく必要があるのではないでしょうか。我々コンサルティングファームとしては、それぞれのプレイヤーを繋ぐハブとして新しい価値を提供していきたいと思います。
一方、我々コンサルティングファームとしても、これからは画一的な価値観だけで対峙していくことはできません。コンシューマービジネスとしては、“多様性”をキーワードに、コンサル業界未経験の方でもこれまでの経験、資産を活かして価値を発揮しながら活躍してほしいと思います。
遠藤
今後、消費財業界はどのようになっていくと思いますか?
山田様
海外市場をいかに伸ばしていくかですね。海外に目を向けると同じ業界のプレイヤーたちは積極的に新たなことに投資し挑戦していますし、その結果勢力を伸ばし規模を拡大しています。こうした状況に対し日本企業は日本の良い文化や価値観をグローバルに広げていくことが重要であり、各企業がグローバルにチャレンジする際には伴走していける存在でありたいと思います。
コンシューマーBUが求める人物像は「明るさ、誠実さ」
遠藤
コンシューマービジネスユニットではどういった方を求めていますか?
永原様
明るく元気であり、かつ誠実で真面目な方です。これは中途採用に関わらず、新卒採用やプロジェクト面談でも重要視していますね。当然コンサルタントの素養としてドキュメンテーション能力やロジカルシンキングも重要です。しかし、そういった能力は覚悟さえあればあとからでも何とかなると思っているんです。しかし明るさや前向きさといった部分は後から身に付きにくいものなので、私はそういった部分を大事にしています。
遠藤
山田様はいかがですか?
山田様
自分の芯を持ちながらも、自分の考えに固執せず、環境に応じて柔軟に対応できる方です。「自分はこれをやりたい」「実現したい」という強い芯のある方はすばらしいのですが、一方でそれに固執し過ぎてしまうと自己満足に過ぎません。クライアントのニーズや外部環境が変化していくなか、不確かな未来に対して、自分の考えだけに留まらない価値観を持っている方がいいですね。
遠藤
実際に面接のなかで、「一緒に働きたい」と思う方はどんな人が多いのでしょうか?
永原様
くり返しになりますが、やはり話をしていて明るさや前向きさを感じる方ですね。そういう方ですと「一緒に楽しくプロジェクトができそうだな」という印象を受けます。
山田様
同じですね。コンサルティングサービスにおいて、優れた人間性やコミュニケーションがうまく取れる人というのは重要です。もちろんスキルも大事ですが、はきはきしている、笑顔がいい、そういったところは重視しますね。
遠藤
お二方とも、お客様にしっかりご紹介できるメンバーかどうかというところが重要なんですね。
山田様
そうですね。逆に言えば、コンサルタントは自分を俯瞰して見られるかどうかが大事です。「面接ではこういう見せ方をしよう」とセルフプロデュースできるセンスがある方は、コンサルタントとしての素養がある方だと思いますね。
遠藤
では最後に、御社にご興味をお持ちの方へメッセージをお願いします。
永原様
私がアビームを選んだ理由は、成果だけではなく途中過程のプロセスも大事にする文化や、人を大切にするウェットな部分に魅力を感じたからです。入社して8年が経ち、今は私自身がアビームの組織、風土を体現していく立場となりました。アビームの価値観に共感し、ここで成長していきたい方は、ぜひ一緒に仕事しましょう。
山田様
アビームが総合系コンサルティングファームとしてクライアントニーズに対応していくためには、今以上にサービスの質を高めていく必要があると思っています。そのためには、さまざまな経験やスキルを持った多様な人材の力が不可欠です。「アビームを変えていくぞ」という気概がある方と共に高め合いながら組織としても成長を続けていきたいと思います。