2024年4月から組織体制を一新したアビームコンサルティング株式会社。これまで以上にクライアントの経営課題を解決すべく、戦略コンサルティング事業部を立ち上げました。
その中に、M&A・アライアンス・JV設立や組織横断での構造改革を支援するStrategy Unit(SU)が配置されました。今回はSUの1つ、財務戦略・構造改革 戦略ユニット(以下、CF&T SU)の執行役員 プリンシパル 高山一樹様に、SUのミッションや強み、他チームとのコラボレーションについて伺いました。
クライアントの企業価値を高めるため、財務戦略と構造改革にセットで取り組む
廣瀬
高山様のご経歴を伺えますか。
高山様
約25年、一貫してコンサルティングファームで働いてきました。外資系の総合コンサルティングファームでキャリアをスタートし、別のコンサルファーム等を経て7年前にアビームにジョインしました。その当時は、組織改編や組織再構築、人事制度設計や業務改革における改革周りの案件について、構想策定から改革の実現まで携わっていました。
現在は、財務戦略・構造改革 戦略ユニットで執行役員プリンシパルとしてユニットをリードしています。
廣瀬
4月から新しい組織体制になっていますが、CF&T SUはどういった組織ですか。ミッション、役割もあわせて教えてください。
高山様
アビーム全体として今期はビジネスコンサルティング領域に力を入れています。昨年までは150人規模の戦略事業部がその領域を担っていましたが、戦略事業部に所属する1人ひとりがより専門性を持ってクライアントの期待に応えていくため、戦略事業部を6つに分け、戦略ユニットを作りました。
CF&T SUでは、M&Aというアプロ―チでクライアントの企業価値を高めるため、単純にどの会社を買うかだけではなく、シナジーが出るところまで一気通貫で取り組むため、財務戦略と構造改革をセットで担当しています。
廣瀬
SUに分かれ、専門性に特化していく中で、なぜM&Aに力を入れていくことになったのでしょうか。
高山様
近年、M&Aのマーケットが伸びており、特に弊社が強みとするいくつかの業界でも、グループ会社のM&Aに関するご相談が増えており、クライアントの期待により応えていくためにM&Aを強化していきたいという会社の意思がありました。
廣瀬
クライアントへのサービス展開を強めていく中で、必要だったということでしょうか。
高山様
M&Aが伸びている領域は大企業だけではありません。中小企業の事業承継問題もあります。このままだと日本の中小企業は立ち行かなくなる可能性が高く、それを打開するためにもM&Aという手段が必要になると見ています。
今後、CF&T SUでは中小企業の案件もどんどん増えていくことになると見ています。
トランスフォーメーションやグローバル案件に強みを発揮
廣瀬
現在のマーケット状況はいかがでしょうか。
高山様
M&Aのデューデリジェンス案件などのお話はいただくことが増えています。また、私どものチームは企業買収後の構造改革までをカバーしており、PMIやその後のトランスフォーメーションもサービスとして提供しております。
また、国内のみならず、グローバルでは、地政学的なテーマやビジネスの拡大/縮小に合わせて、グローバル経営をどうしていくのかというテーマもいただきます。
廣瀬
挙げていただいた領域が、他ファームと比較したときの強みでしょうか。
高山様
グローバル案件に強いという印象は持っていただいております。日本でアビームに相談していただくと、海外案件でも基本的に、海外に出向している日本人とやり取りできるので安心感があるとのお声をいただくことも多々あります。
廣瀬
グローバル案件には、どのようなものがありますか。
高山様
私どもは、もともと戦略事業部が担当していたグローバルストラテジー&オペレーションという領域をそのまま受け継いでいるチームで、グローバル系の案件にはM&Aに限らず力を入れています。
グローバルの案件では、たとえば最近のもので言えば、某大手製造業様の競争戦略策定やビジネスモデル変革支援、人事制度見直し支援といったテーマのプロジェクトがありました。
廣瀬
御社は東南アジアに入り込んでいるからこそ、現地のニーズをくんだ上で戦略を立てられるのでしょうか。
高山様
そうですね。どれくらい進出できているのかは国によりますが、東南アジアの中で1番進出できている国では、地場の案件の割合が多くなってきています。
廣瀬
プロジェクト事例について詳しく教えてください。
高山様
ある金融機関が新しい事業に進出するときに特定の技術が必要で、とあるAIベンチャーがその強みを有していることがわかり、買収を検討したというプロジェクトがありました。
私どもはまず、そのサービスを獲得する手段を考えました。「会社すべてを買う」というのはシンプルですが、本当に100%買収する必要があるのか、マイナー出資では駄目なのかと考えていきました。それから、買収したらその会社の従業員が辞める可能性があります。どういうふうに買収したらいいか、買収オプションを検討しました。
廣瀬
そのプロジェクトではクライアント様から名指しで「ここを買おうと思っている」というところからスタートしたのですか。
高山様
このプロジェクトに関してはそうでしたが、もっと手前から依頼があるケースももちろんあります。インフラ系の事業をしている海外の会社から「日本の特定領域の企業を買いたい」という相談も来ています。ただこれもM&Aはあくまで手段でしかないので、M&Aの上流にある事業戦略の策定から携わっています。
戦略から実行まで幅広い経験を積める
廣瀬
入社後のキャリアパスについて教えてください。
高山様
CF&T SUは、ある程度専門性を持つために分けられたチームですが、比較的幅広い領域をカバーし、戦略だけでなく実行のトランスフォーメーションまでコミットしています。入社後は幅広い経験を積んでいただける土台があるので、デューデリジェンスの先がわからないとか、なぜPMIをするのか疑問を持つといったことはなく、一気通貫で取り組んでいただけます。
廣瀬
案件の範囲が広く、アサインに関してもコンサルタントの希望やニーズを聞いていただけるのでしょうか。
高山様
はい。ただ、単純にニーズを聞くというよりは、各人のキャリアとチームの状況をバランスさせ、アサインを決めるというイメージかと思います。たとえば、面接に来てくださる方の中には「今までデューデリジェンスだけをしていたので、その先をやりたい」という方もいらっしゃったりしますが、そのように幅を広げたいというご要望にお応えしやすい状況かと思います。
廣瀬
財務戦略と構造改革に一体で取り組んでいるからこその大変さや面白みについて教えていただけますか。
高山様
私どもが財務戦略・構造改革戦略ユニットと掲げている通り、一連の流れが分断されていないことが重要であると考えています。現状のM&Aは、たとえば「M&Aストラテジーを立てる」「どこを買うか決める」「会社を立ち上げる」「PMIを実行する」というように一連の動きが必ずしも連続性があるとは言えないケースも多々あり、違和感を覚えています。この一連の流れすべてにコミットすることが必要であると思っています。
廣瀬
組織の構成をお伺いします。人数規模に加え、中のオファリングチームや、コラボや分かれているところがあれば教えてください。
高山様
日本のメンバーは20名半ば、海外出向中のメンバーは10名弱です。たとえば私はPMIや構造改革のオファリングを担当している一方、チームには投資銀行出身でM&A戦略に強い者もいます。先ほどの一連の流れに対応すべく、チームのメンバーがそれぞれできることを増やそうと育成も強化しております。
組織やチームに貢献し、一から立ち上げる喜びを持った人に来てほしい
廣瀬
求める人物について、スキル面やパーソナル面から伺えますか。
高山様
コンサルタントは、自身のキャリアや成長を大事にする方が多いように思います。それは大切なことですが、私どもは組織やチームに貢献するというマインドも大事にしています。キャリアの通り道としてアビームを使ってほしいというよりも、日本に根付いた会社としてのアビームで魅力的なキャリアを作っていける環境や機会があるので、長く弊社にコミットしてほしいです。
特にCF&T SUでは、CF&T SUだけが成長すればいいとは思っておらず、アビームへの貢献を重視しています。個人よりはSU、SUよりは組織全体、会社全体ということを考えられる人に来ていただきたいです。
また、「自分で成長する」という意識が強い方が向いています。特に私どもは現在、M&Aを売りにしようとしていますが、成長しながら自身で作っていくことに喜びを感じる方に来ていただきたいと思っています。
廣瀬
成長していく組織に入れるということは、候補者様にとっては魅力だと思います。
高山様
他社のM&A経験者で弊社にキャリア入社していただいた方はよく、「一から立ち上げ、それなりに成長の見込みがあるという機会は、日本にそう多くはない」と言ってくださっています。
廣瀬
未経験の方やM&A領域での経験が少ない方に向けて伝えたいことはありますか。
高山様
全員の顔が見える組織で、コミュニケーションが非常に密なので、自身が歯車だとは感じないと思います。登板機会が多く、何回でも挑戦させてもらえるようなところがあり、成長の機会が確保されていると思います。
一人ひとりの責任と権限が大きいので、そのことを楽しめる方にはぜひ来ていただきたいです。
廣瀬
スキル面で若手の方と、マネジャー以上の方それぞれに求めることを教えてください。
高山様
若手は経験者であればフィットしやすいですが、コンサル経験がなくても、事業会社で企画系の経験をされたとか、企画経験を活かして幅を広げていきたいといった方にも来ていただきたいです。コンサル経験者でも、私どもとは異なる領域を経験されてきて、幅を広げていきたいという方も歓迎します。
マネジャー以上の方は、基本的に経験者に来ていただきたいですが、組織の立ち上げや、マーケットでのプレゼンスを高めていくための外部発信に興味がある方にとっては、そうした場が多くあることをお伝えしたいです。
廣瀬
チームに興味をお持ちの方に向けたメッセージがあればお願いします。
高山様
自己成長したい方と一緒に働きたいと思っています。立ち上げ期ということもあり、一緒にチームを作っていくことや、マーケットに対してのプレゼンスを発揮していくことに楽しみを見いだしていける方を求めています。