今回は、アビームコンサルティング株式会社ITMS(ITマネジメント&サービス) セクター長 一岡敦也様へのインタビュー。同セクターでは、マネジメント×テクノロジーを軸に、DX実現に向けた経営基盤支援や組織体制・人材育成を手掛けています。
同セクターを率いる一岡様に、ITMSが手掛けるサービスや組織の特徴、直近増えている案件、求める人物像などについてお聞きしました。
- 目次
-
- 「テクノロジー×マネジメント」をコアに、戦略策定~リアライズまで一貫したサービスを提供
- DXを支える「アーキテクチャーの構築」「組織・人材コンサルティング」の需要が増加
- アビームコンサルティングでは、クライアントサービスにおいて、インダストリーとサービスラインのバランスを重視
- 脱サイロ化で横のつながりを強化。自発的にモノを考える力、自発的に動ける環境作りを重視
- 「企業変革/価値創出を実現する最新/最適なテクノロジーを組み合わせるデザイン」ができる方への期待は非常に大きい。
- 「ビジネスアスリート」を掲げるアビームコンサルティング、仕事とプライベートの両立にも注力
- アビームコンサルティング株式会社 求人情報
「テクノロジー×マネジメント」をコアに、戦略策定~リアライズまで一貫したサービスを提供
田中
まずは、一岡様のこれまでのご経歴について教えてください。
一岡様
2000年に大学院を卒業後、大手のSIerで2年半ほどSEをしていました。しかし、もう少し上流工程から企業変革に関わりたいと考えるようになり、2003年にアビームコンサルティングに入社。現在18年目になります。
入社後は、まず大手リース会社の大規模BPRプロジェクトに参画し、約2年半の間、システムのエンジンを開発するチームにおりました。その後、製造業のグローバルのサプライチェーンを構築するプロジェクトに5年間携わり、アプリケーションチームのリーダー就任、のちにプロジェクトマネージャーとなりました。
シニアマネージャーになってからは、既存のみならず新規のクライアントに対して、上流工程から提案活動をおこなっております。またプロジェクト駐在で約2年間タイに駐在し、日本に戻ってからはダイレクターとなり、その後プリンシパルとなりました。
田中
現在は御社内でリードする立場になられていらっしゃいますが、一岡様の具体的な業務内容をお聞かせください。
一岡様
私の仕事は主に2つあり、1つは700人のメンバーが所属するITMSセクターのマネジメントです。もう1つがクライアントサービスとなります。クライアントとしては、金融業や製造業、最近では社会インフラ産業や教育産業と多岐に渡ります。戦略策定からリアライズするまで一貫してサービスを提供することをミッションとして取り組んでいます。
田中
ITMSセクターの特徴を教えていただけますか。
一岡様
ITMSセクターは、テクノロジーとマネジメントをコアとしております。
現在、我々が注力しているのは、DX時代における企業変革/価値創出です。クライアントが真の意味で変革するためには、これまで築き上げてきた経営基盤をしっかりとトランスフォーメーションしていく必要があります。そこに我々が介在し、最新/最適なテクノロジーやデータを活用した経営基盤の進化や、DXを支える組織作りや人材育成に係るソリューションを提供しています。
田中
ITMSでは戦略策定からリアライズまでサービスを提供されているのですね。
一岡様
そうですね。リアライズには保守も含まれますが、私はあえて保守ではなく「持続的カイゼン」と呼んでいます。
今は、昔のように3年や5年と時間をかけて経営基盤を支えるシステムを作り上げる時代ではありません。小さな成功体験、変革を積み上げ、実現した変革を持続的に改善していく必要があると考えています。それを踏まえて、戦略企画という上流工程からリアライズをして、保守ではなく持続的改善までワンストップでおこなっています。
田中
DX実現に向けて、経営基盤のところからしっかりタッチできるというのが御社の強みなのですね。そういった実力や知見が身に付いている背景やその理由についてお聞かせください。
一岡様
これまで業務プロセスとテクノロジーに関するケイパビリティをコアにし、「リアルパートナー」という経営理念のもと、多くのお客様と共に価値を創ってきた経験値が強みの原点と思っています。これまでもそうですが、より市場の変化も早く、またお客様自身も急速に成長される中で、そのコアをよりスピード感をもって、One ABeamとして変革させ続けるというアビームの文化も強さの大きな要素だと思っています。
さらに、アビーム内で、ケイパビリティやナレッジをしっかりと継承する仕組みができている点も、大きな要因ではないでしょうか。
ITMS セクター長 一岡敦也様
DXを支える「アーキテクチャーの構築」「組織・人材コンサルティング」の需要が増加
田中
ITMSセクター特有の案件や特徴についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
一岡様
最近ではDXを支えるアーキテクチャーの構築や、組織構築や人材育成のコンサルティング案件も非常に増えています。クライアントがDXを進める上で、どのように進めてよいのか分からないといったお声もあり、構想段階から、テクノロジー/データ活用、アーキテクチャー策定、様々なテクノロジー/ソリューションを活用したリアライズ/持続的カイゼン、IT組織・IT人材変革といったところまで幅広く支援を行っています。
田中
クライアント自身がDXを内製化するための支援もされていらっしゃるのですね。
一岡様
そうです。クライアントが筋肉質化して強くなり、自社の力でこのDX推進できるように支援をすることも私たちのミッションの一つだと思っています。
その上で、我々としては、クライアントの向かいたい方向性の中で、まだケイパビリティが醸成できていないホワイトスペースを見つけて支援をします。何か依頼をされて支援をするのではなく、クライアントのやりたいことのその先を見据えて共に創っていく、そういった共創型のスタイルが今増えております。
田中
ソリューションとしては、どのようなツールやシステムを扱うことが増えているのでしょうか。
一岡様
アビーム全体ではこれまで、経営基盤を押さえるソリューションの1つとしてSAPを活用する場面が多くありました。全社としてはこれからも多くのSAPソリューションを活用したコンサルティングサービスは継続して展開しつつも、他のテクノロジー、ソリューションとの組み合わせが重要になってきています。
ITMSにおいても同様で、これまで醸成してきたSAPテクノロジーのケイパビリティはこれからも強みであり続けさせると共に、様々なデジタル技術、SaaS含む様々なクラウド技術/ソリューション、データ利活用を支えるテクノロジー、ローコード/ノーコード、アジャイル等の幅広いケイパビリティとその組み合わせ力が求められる案件が非常に多くなってきています。
田中
アビームコンサルティングの強みを活かしながら顧客への価値提供をされていく中で、ITMSを取り巻くマーケット自体どのように変化をされていますか。
一岡様
多くのプロジェクトでは、求められるスピード感や難易度は昔に比べて加速度的に上がっています。そのため、スピード感を持ってクライアントの期待に応えられるよう、アビーム全体が一丸となって取り組んでいくが求められています。
また、企業成長を共に創る、共創型のスタイルが求められていることが大きな変化点だと思います。求められることに対して、必要なテクノロジーやマネジメントでしっかりと絵に描いたものをリアライズできる、スピード感を持ってサイクルを回すことができる。そういったケイパビリティが我々にあるからこそ、共創型のスタイルを実現できていると考えています。
もちろん我々のお客様自身が成長する中で、共創パートナーとして選ばれ続けるためには、コアとしているケイパビリティをしっかりとスピード感をもって伸ばしていくことが大事だと思っています。
アビームコンサルティングでは、クライアントサービスにおいて、インダストリーとサービスラインのバランスを重視
田中
組織面において、他社の大手コンサルティングファームとの違いを教えていただけますか。
一岡様
大手コンサルティングファームとの違いは次の2つです。
1つ目は、戦略策定、構想策定といったいわゆる上流からリアライズまでを行う部隊がまとまっていること。それによりクライアントにスピーディーに、実現性がある絵を描き、また描いたものをリアライズすることが出来ています。また社員においても、リアライズから構想策定といった地に足がついたキャリアを歩みやすいと思っています。
2つ目は、インダストリーとサービスラインのバランスが取れていること。アビームでは、クライアントに価値を提供する観点でインダストリー、サービスラインがうまく融合してデリバリーするのが特徴だと思っています。そのため、サービスライン側が主体となってドライブするケースや、必要に応じてインダストリー側とコラボレーションするケースもあります。プロモーションの機会や評価も含めすごくフラットな環境が特徴です。
田中
なるほど、他ファームでもサービスライン側で案件を取ってその中で完結することはあるようですが、一般的には、クライアントはインダストリー側で持つことが多い印象です。
しばしば、「インダストリー側でキャリアを築いた方が、パートナーになったばかりでも顧客をしっかり持っているので、スタートから簡単に売上が作れる」というお話も聞く機会がありますが、御社の場合はソリューション側からでもパートナーとしてのキャリアが築きやすい点は特徴的ですね。
一岡様
そこはアビームの特徴がでる点だと思います。
よく転職されてきた方と会話する中で「自分たちがオーナーシップを取れるプロジェクトを持つことってすごく難しかった」という話は耳にしました。
先ほども申しましたが、クライアントに価値を提供する観点でインダストリーとサービスラインはうまく融合してやっています。サービスライン側が主体的にドライブするケースが多いので、テクノロジー×マネジメントというコアなバリューを持ってしっかりと企業の変革をドライブしていきたい方にマッチした組織です。
田中
評価の基準についても工夫されているのでしょうか。
一岡様
各ランクに求められるスキル要件に基づいた能力評価と、また各プロジェクトにアサインされた段階で各人のゴールを定め、その達成度を評価しています。マネージャー以上は売上等の数値目標がありますが、数字だけでは判断せず、ソリューション開発、人材育成等の組織貢献も評価の対象とし、一人ひとりのチャレンジを総合的に評価することが大事だと思っています。
脱サイロ化で横のつながりを強化。自発的にモノを考える力、自発的に動ける環境作りを重視
田中
現状のセクターの課題感はお持ちでしょうか。
一岡様
昨年セクター長となりこの1年かけて組織内の脱サイロ化に取り組んできました。その結果、横のつながりが生まれた一方で、それぞれのケイパビリティやレベル、成熟度にムラがあり組織の底上げの必要性を感じています。しかし一気に底上げすることは不可能です。まずは段階的に、かつ一人ひとりが自律的にしっかりとケイパビリティを伸ばしていけるようにしていきたいと思います。
田中
課題解決のため具体的に取り組まれていることはありますか。
一岡様
昨年の下期より、ITMSのセクター内に大学を立ち上げました。ITMSはクロスインダストリーで、且つ提供するサービスの幅も広いため、700人それぞれがどういう人たちで、何をやっているのか知るインプット/アウトプットの場を作り、それぞれが気づきを得て、成長するためのきっかけ作りを狙いにしています。
またオープンに情報交換、共有ができるコミュニケーションの仕組み作りも行っています。
各人のキャリア形成については、本人の意思を尊重し、キャリア形成をサポートするカウセリング制度やプロジェクトのアサイメントを行っています。
田中
組織作り、組織運営をされている中で大切にしていることを教えてください。
一岡様
オープンでかつフラットなカルチャーを大切にしています。みんなが同じ土俵に立っているということを意識しながら、自発的にモノを考える、自発的に動ける環境作りをとても重視しています。
「企業変革/価値創出を実現する最新/最適なテクノロジーを組み合わせるデザイン」ができる方への期待は非常に大きい。
田中
ITMSのメンバーにはどのような理由で入られてきた方が多いのでしょうか。
一岡様
テクノロジーやマネジメント力をコアとし、企業変革や価値創出にチャレンジしたい方が多く入社されます。経験者採用では、コンサルタントとしての経験値が無くても、これまでのテクノロジーやマネジメント経験、およびポテンシャルを加味して採用をしています。アビームは育成に力を入れている会社ですので、ポテンシャル採用の方でも育成プロセスを経てコンサルタントとして活躍されている方は多くいます。
田中
ポテンシャルというのはどのような観点で判断されるのでしょうか。
一岡様
変化が大きい中でも、自身で描いた先々のビジョンや方向性を持ちながら、変化に呼応して、アジャストしていける方です。先々のビジョンや方向性については、これまでの自身の経験を客観的に捉え、また自分なりにちゃんと市場や世の中の変化を捉えて考えている方、またアビームの成長の方向性とアラインしている方は歓迎ですね。
ポテンシャル判断は様々ですが、私の場合は一例として、面接においては今描いているビジョンを実現するための「初めの一歩」が具体的になっているかどうか、また先々の変化に対する柔軟性を見ることが多いです。 世の中の様々な情報源から言葉を組み合わせてふわふわしたビジョンを語るのは簡単です。ですが、今描いている自身のビジョンに向かって、最初のチャレンジ(初めの一歩)を具体的にイメージできているか、先々の変化に対してどのように呼応していくか、またその覚悟ができているかどうかが重要だと考えています。入社後に、想定と違う、思い描いたキャリアを歩めない等のリスクを回避することが候補者の方、アビームにとっても大切だと思っています。
田中
入社してほしい方のスキル面についてはいかがですか。
一岡様
スキル面では、ITMSの大きなコアであるテクノロジーとマネジメント力を重視しています。特にテクノロジーではクラウドやデジタルなどいろいろな技術がありますが、それをフルスタックに持つ人はほぼいません。テクノロジーのどこかの領域で尖ったものを持つ方、テクノロジーの進化に合わせ常に自分が扱うものを変化させてきた方を重視したいです。
我々の最大ミッションは、企業変革、価値創出を実現することです。企業変革や価値創出を目的として、最新/最適なテクノロジー活用をデザインし、リアライズすることをこれまでも、これからもフォーカスしていきたい方を求めています。
田中
パーソナル面ではいかがですか。
一岡様
パーソナル面では、チャレンジが好きな人、リスペクトを持ったコミュニケーションを大事にする人です。
クライアントの企業変革や価値創出に向けては、テクノロジーやマネジメントのみで成し遂げられるものではなく、様々なケイパビリティを面にする必要があります。そのために重要な要素の一部として、チャレンジすることを好み、リスペクトあるコミュニケーションの重要性を分かっていることが大事だと思います。
田中
ちなみに、ITMSをご卒業された方のキャリアやご活躍についてもお聞きしてよろしいでしょうか。
一岡様
事業会社のCIOクラスにシフトされるケースや、プロジェクトが一区切りした際にクライアントからヘッドハンティングされてより高いタイトルで転職をされるケースなどさまざまです。
田中
そうなのですね。「テクノロジーを分かった上でコンサルされている方が多いファーム」だと認知されている影響か、他ファームからは「御社に在籍されている方」といった指名でのヘッドハントをしているという話をよく耳にしますね。
一岡様
先ほども申し上げた通り、アビームは育成を重視している会社なので、そのあたりの取組みがそのような他社からの問いかけなのかと思います。
「ビジネスアスリート」を掲げるアビームコンサルティング、仕事とプライベートの両立にも注力
田中
ワークライフバランスについて教えていただけますか。
一岡様
アビームでは「ビジネスアスリート」というコンセプトを立てて、ビジネス界のアスリートとしてパフォーマンスを最大限に発揮できるよう、様々な施策を展開しています。そのため働き方改革も重視しており、社員一人ひとりが仕事とプライベートを充実できるようになっています。
さらに定期的なモニタリングにより、稼働率が高いメンバーにはカウンセリングケアや仕事を平準化するなど組織全体でしっかりとサポートをしております。
田中
あらためて、今後セクターとして目指されている姿をお聞かせください。
一岡様
テクノロジーとマネジメントを軸にDX時代の企業変革を行うお客様の共創パートナーとなることが我々の命題です。市場の変化も早く、我々のお客様も進化する中で、我々への期待値も刻々と高く変化していきます。その環境の中でも求められるコンサルタントとしてあり続けるために、社員1人1人がチャレンジし、そして成長できる環境に進化させ続けたいと思っています。
田中
最後に候補者の方へメッセージをお願いします。
一岡様
アビームコンサルティングというワンチームの中で、チャレンジをして一緒に成長していきたいという方々にぜひ来ていただきたいと思います。