「きちんとした情報があれば、人はもっと良い選択ができる」という考えのもと、「確かな価値を多くの人へ」という企業理念を掲げ、デジタルプラットフォームビジネスを展開する株式会社クーリエ。超高齢社会の日本における様々な問題を解決するため、『みんなの介護』『みんなの介護求人』等のサービスを提供しております。
今回は、CDO 清水純平様、CMO 田代真様、河西洋亮様より、入社の経緯や、事業の魅力・可能性、またコンサルティングファーム出身者の活躍事例などについてお聞きしました。
CDO 清水様、CMO 田代様のご経歴
庄村
まずは、清水様のこれまでのご経歴をお聞かせください。
清水様
もともと野村総合研究所(NRI)で、外資系金融機関向けプラットフォームの企画や開発、導入に約10年間携わりました。その後、企業が社会にインパクトを与える上でデジタルやテクノロジーが重要な要素になると考えて、DX戦略をリードする組織を強化するタイミングでBCGに転職。そこでは大企業のDX戦略におけるロードマップの策定、アーキテクチャの定義、実行支援などを経験しました。
続いてファーストリテイリングへ転職し、全社グローバルでのDX推進を統括し業務変革プロジェクトを実施。さらに経営陣の一人としてスタートアップに参画して、ゼロイチで事業を立ち上げ、シリーズA、Bの資金調達をするなど、事業拡大に努めました。その後、メンバーが20名となり組織規模が大きくなったため、私自身の役割を一定程度果たすことができたと確信し、次に新たなチャレンジの場として選んだのがクーリエです。2022年にCDO(Chief Digital Officer)として参画しました。
庄村
続いて、田代様のご経歴を教えていただけますか。
田代様
新卒で出版社に入り、厚生労働省関連の営業と編集を担当しました。もともと本が好きで出版社に入ったものの、出版業界の厳しさを肌で感じたため1年で退職。志向を180度変えて楽天に入社し、楽天市場の広告営業を5年間担当しました。当時の楽天は、社員数が200名程度でしたが、そこから瞬く間に組織が拡大。その過程を当事者として味わうことができ大変勉強になりつつも、もっと幅広く広告に携わりたいと考えて、当時日本でシェアを広げていたGoogleに転職しました。
とはいえ、私が入社した2007年頃は、日本の検索エンジンのシェアでいうとYahoo!が7割でGoogleが3割ほど。Googleでは検索連動型広告の営業をしつつ、日本でローンチしたYouTubeの立ち上げにも携わりました。そして、前職の楽天と同様にGoogleもどんどんシェアを拡大していき、国内の検索エンジンシェアが7割まで伸びていったのです。そしてある程度、会社の成長曲線がなだらかになったということもあり、新たなチャレンジがしたいと考えてクーリエに入社しました。
介護業界に訪れたデジタル化の波、伸びしろのある事業に魅力を感じ入社
庄村
なぜ、クーリエに参画されたのでしょうか。
清水様
私は、明確な理由が3つあります。1つ目は、業界におけるデファクト・スタンダードとなるプラットフォーム事業に携わりたかったからですね。NRI時代に10年間、プラットフォームを開発し市場に展開して社会に対してインパクトを与えるという事業を行っており、もともとプラットフォーム事業に高いポテンシャルを感じていました。そのため自社でプラットフォームを展開しているクーリエの事業に魅力を感じたからです。
2つ目は、成長の伸びしろが大きい企業で、事業のグロースにチャレンジしてみたかったからです。既にビジネスモデルが確立されている企業ではなく、自身のチャレンジで企業の成長に寄与できる事業に取り組んでみたいと思いました。
そして3つ目は、これは個人的な内容ですが、経営陣との最初の面接の際に、私の経歴ではなく“人となり”を高く評価をしてくださったのです。それが非常に嬉しくて「この方たちと一緒に働きたい」と強く想い入社を決意しました。
また、BCG時代に担当していたクライアントが展開する不動産サイトと、クーリエの『みんなの介護』のビジネスモデルが似ていたのですね。そのため今後のビジネス展開や課題感も想像できたため、入社にあたっては迷うことはなかったです。
庄村
田代様がクーリエを選んだ理由を教えてください。
田代様
私は次の2つの基準で企業選びをしています。1つ目は、グロースしている業界かどうか。伸びていく業界であれば様々なチャレンジができ、可能性も広がります。事実、楽天はEC事業で、Googleは広告事業で成長していきました。そのため業界を選ぶ上ではグロース産業であるかが大きな指標になっています。
そして2つ目は、デジタルでの伸びしろが大きいところです。介護業界はデジタル化が他の産業と比べて遅れており、まだまだ非効率なオペレーションが多いと考えています。逆に言えばデジタルが遅れているところは、デジタルによって伸びしろが大きいということ。高齢化社会の日本においては、介護業界は今後良くも悪くも大きくなっていかざるを得ない状況です。その中でクーリエは様々なソリューションが提供でき、日本の社会課題を解決できる会社だと思い参画を決めました。
事業を伸ばすことで、市場が正常化される
庄村
クーリエに入社後、入社前のイメージとのギャップはありましたか。組織規模においての違いなどは。
清水様
いえ、むしろ期待どおりです。前職はスタートアップに3年間おりましたが、組織の構築に課題を感じていたのです。しかし、クーリエは既にメンバーが100名を超えており、私が前職で構築できなかった組織規模を誇ります。実際にカスタマーサクセスが20名、クライアントセールスが20名、他にもメディアプラットフォーム、プロダクト、デジタルマーケティング、BizDevと、すべてに対応できる組織体制になっていますね。
また、いい意味でのギャップは、未経験者であってもスキルを獲得していける環境だということです。実際、ITやデジタルが未経験であっても1ヶ月でデータベースを操作するSQL文を打ち、データ構造を理解した上でエンジニアとやり取りをしています。優秀な人たちが多く、かつチャレンジできる環境が整っているからこそだと思います。
庄村
介護業界におけるクーリエの可能性という点で、入社後のギャップはありましたか。
清水様
私自身は、当初「社会貢献をしよう」と強い想いで入社を決めたわけではないのですが、クーリエの事業が伸び、売り上げが伸びている状況を鑑みると、市場の中ですごく必要とされている事業だと感じております。例えばこれまで、老人ホームを探す際に、比較検討できず、ケアマネージャーからの紹介だけで決めてしまうケースが多かったと思います。そうすると後から「高額だった」「サービスが良くなかった」など不満が出ることも少なくありません。一方、『みんなの介護』は情報をフラットにして提供しているため、プラットフォーム内で自浄作用が働き、市場そのものが正常化されていくと思っています。
田代様
私も同じ想いですね。私も清水もクーリエの事業に魅力を感じて入っています。とはいえ、それが悪いことではないと思うのです。きちんと介護事業を成り立たせていくことが、ひいては社会貢献に繋がると思っています。
また、クーリエは、清水が言うように部署の体制はきちんと整っていますが、一方で未整備のところも多くいろいろなところにオポチュニティが残っています。そこをチャンスと捉えられる人は活躍できる環境だと思いますよ。
第二創業期を迎えたクーリエ
庄村
改めて、クーリエの現在の事業フェーズについて教えていただけますか。
清水様
今は第二創業期のフェーズです。当社では、入居希望者と施設のマッチングビジネス『みんなの介護』を2011年にリリースし、現在マーケットシェア率50%以上を誇るプロダクトにまで成長しています。そして、そこで得た知見やノウハウを活用して3年前に求人プラットフォーム『みんなの介護求人』を立ち上げました。今までは代表の安田や少人数の役員が、事業責任者、プロダクトマネージャー、マーケティングマネージャー、セールスマネージャーとすべて兼務する形で役割を担ってきましたが、今後2つの事業を指数関数的に飛躍させようとする場合、更には同時に介護業界のプラットフォームを構築し新事業を立ち上げていく場合は、当然ながら現在の経営陣だけでは対応していくことはできません。そこで様々な専門性を持った人たちに権限を委譲しながら一気に成長をしていくという、まさにそのフェーズとなっています。
庄村
第二創業期を迎えられているとのことですが、今の組織の課題感を教えていただけますか。
清水様
組織体制をいかに大きくするか、そこが課題ですね。明確に「これをすれば絶対に事業が伸びる」と分かっていながらも、成長スピードに対してまだまだ人が足りていない状況です。今は採用を強化する一方で、組織としての体制も強化し、「クーリエで経験を積めば、圧倒的に成長できる」といったカルチャーをつくっていきたいと思っています。
庄村
より一層、採用と組織を強化していくということですね。今後の展望を教えていただけますか。
清水様
まず、我々の主力事業である『みんなの介護』のトップライン(売上高)を3倍にさせること。現在業界ナンバーワンのシェアを誇っていますが、向こう1〜2年で白地を全部取りにいきたいと考えています。加えて、次の柱である『みんなの介護求人』の主力事業化。こちらも『みんなの介護』同様にきちんとリソースを投下して磨き上げていけば伸びていく事業だと確信しています。また現在、新しい事業を進めており、あらゆる事業の多角化が進んでいるタイミングです。
田代様
介護業界は、今、様々なプレイヤーが参入し切磋琢磨していますが、まだ確固たる業界リーダーが決まっているわけではないと思うのです。そういった中、介護業界におけるリーディングカンパニーとして、業界のスタンダードをつくっていけるポジションになり、「介護と言えばクーリエ」と第一想起に上がる企業になっていきたいですね。
コンサルティングファームの経験・スキルが活かせる環境
庄村
河西様にお話を伺っていきたいと思います。前職はコンサルティングファームだったということですが、なぜクーリエに転職されたのですか。
河西様
今後さらなるグロース段階にある企業において、経営に近いポジションで事業推進として参画できると感じたためです。
私はリスクに特化したコンサルティング会社に新卒で入社しましたが、様々な規模・業種の企業を支援していく中、実際に自分自身が事業を作り、動かしたいという思いが強まりました。
比較的経営に近い上流寄りのコンサル領域であったため、相対するお客様は企業の役員層や経営企画部等の方々でした。案件によっては、お客様の意思決定に近いところまで入り込みご支援されていただくこともありましたが、外部アドバイザリーとしての一線を感じることも少なくありませんでした。むしろ自分自身がお客様側に立ち、より自分事として事業に携わりたいと感じ、転職を考え始めました。
そのため、転職先としてはコンサルは考えず、事業会社を中心として探しました。その中で、より経営に近い立場で働きやすく、かつ自身が事業成長にコミットしやすいであろうグロース段階の企業で探した中、裁量のあるポジションを提案いただいたクーリエへの入社を決意しました。
庄村
若手で活躍されているコンサルティングファーム出身の河西様ですが、お二方から見た印象をお聞かせいただけますか。
清水様
河西君のキャッチアップの早さには驚きましたね。まず彼にお願いしたことは、「『みんなの介護求人』を主力事業にするために、アプリをグロースしてもらいたい」と。彼自身、プロダクト開発やマーケティング経験はなかったと思うのですが、およそ2週間でアプリの構造を理解して、かつ自分の言葉で喋れるようになっていました。やはり、Day1からエキスパートとしての立ち居振る舞いが求められるコンサルティングファーム業界にいたからこそ養われてきたスキルだと思います。
また、課題から仮説を立てて、かつそれを構造化し整理した上で話をしたり、事業を進めたりができる。すぐに打ち手から入ってしまう人が多い中で、自分が納得するまで諦めずに考え抜いているからこそ早いスピードで成長されていくのでしょう。
庄村
田代様はどのような印象をお持ちですか。
田代様
河西君は今、プロジェクトをリードしていくポジションなのですが、カルチャーに馴染むのも早かったですし、むしろずっといるかのような落ち着きもあって。組織の課題をすばやく見定めて、どのように回していくか理解しているのだなと感じましたね。
庄村
一方で、河西様に対して期待しているところはどこでしょうか。
清水様
常に「本質的な問題は何か」「イシューは何か」という点を考え抜いてもらうことです。河西君はまだ入社して日が浅いですが、若手というよりも、我々経営陣と同じレベルでプロジェクトをリードする、事業の意思決定ができる人間として接しています。当然、その中で足りていないところがあれば指摘しますが、経営陣と同じクオリティを期待しています。
庄村
コンサルタント経験者が御社で活躍できる理由はありますか。
田代様
例えばプロジェクトリーダーの仕事は、プロジェクトを円滑に回していく必要がありますが、ゆくゆくは新たなプロジェクトの立ち上げまで担っていただきたいと思っています。そのためには「今、組織として何が課題なのか」「どういうリソースが必要なのか」を突き詰めて考えられる人材が必要です。単にプロジェクトを遂行するだけでなく、経営課題にまでスキップして考えなければならない。日頃からクライアントの経営課題に深く入り込み、様々な視点から問題を捉えることができるのは、やはりコンサルティングファーム出身者に多いと私は思っています。
庄村
河西様のご経験から、どのようなコンサルタントが活躍できると思いますか。
河西様
コンサルタントに必要なスキルセットを持っていることが前提ですが、私は周囲に助けを求められる素直さも重要だと思います。私自身、入社直後から求人サービスに関する複数のプロジェクトを推進する立場でしたが、これまでシステム開発の経験は皆無であり、またサービスの開発経緯や現状の課題など分からないことばかりでした。そこで自分で抱え込むのではなく、上司、エンジニア、デザイナー等の関係者を巻き込み、疑問点に対しては主体的に教えてもらいにいく素直な姿勢を持てたからこそ、早期のキャッチアップやカルチャーフィットができたと感じています。
「本質的な問題は何か」を徹底的に考え抜き、そこで培われる全体最適の思考
庄村
前職との違いはどのようなところですか。
河西様
特に事業スピードが前職のコンサルティングファームと比べても断然早いと感じました。
入社当日に清水さんから私の管轄である求人サービスに関して”DAU・MAU“や“月間の応募者数”等のKPIを目標として提示されましたが、その数値はかなりチャレンジングなものでした。私は率直に1年間での目標だと認識しましたが、実際はなんと3ヵ月後の3月末までの目標とのこと。最初は驚きましたが、会社がこのスピード感での成長を本気で目指していること、また私自身にもその達成が期待されており、チャレンジできる環境とポジションが用意されていることを実感し、気持ちが強く昂ったことを覚えています。
庄村
前職と比べて仕事の難しさはいかがですか。
河西様
前職よりも、自身の業務の影響範囲が広く、難しい判断が求められるように感じます。前職のコンサルティング会社では、お客様ごとに1人~10人単位でプロジェクトを推進し、個別のプロジェクトの影響は他のプロジェクトまで波及せずに完結することが多かったです。一方で、事業会社である当社では100名以上の社員一丸となって、同じサービスに関する複数のプロジェクトを進めています。各プロジェクトは相互に関わり合っているため、業務の進め方、優先順位を誤ると、そのプロジェクトの進捗が滞るだけではなく、その他のプロジェクトについても無駄にコストが生じたり、ビジネスインパクトが損なわれたりと影響を及ぼします。そのため、常に各プロジェクトの進め方や進捗状況を把握しながら、臨機応変に自身が担当するプロジェクトを調整しながら進めるようにしています。入社当初は部分最適的な考え方をしてしまうこともありましたが、今は以前より全体最適の考え方を持ち視野を広げて考えられるようになったと思います。
評価の軸は、バリューに対して「どこまで貢献できたか」
庄村
先ほどKPIの話が出ましたが、クーリエの評価の軸について教えていただけますか。
清水様
もちろん定量的な評価もありますが、我々が重視しているのは『The 10 Values』という行動指針に対して「どこまで動けたか」という軸で評価をしています。そもそもイシューを定め戦略を立てるのは経営側であり、時には見立てを誤ることもあります。たとえ数字が上がらなかったとしても、我々のミッション実現に向けて良いスタンスで仕事に臨んでいるか、そういった面を重視する社風だと私は思います。ですから、定性的な5段階評価の中で、高い評価を得ている方は給料やボーナスにもその分反映される仕組みとなっています。
田代様
そうですね。メンバーレベルの方に数値目標を求めることは基本的にはないですね。例えばWebサイトのPV数は、Googleの動向で左右されてしまう部分が大きいため自分たちの努力の結果でPVが上昇したのかが分かりません。数値目標だけではフェアに判断ができないため、バリューに叶った行動をできているかを重視しますね。
清水様
その点、河西君は生来の気質もあるのかもしれませんが、周りにも良い影響を与えてくれますし、カルチャーの醸成に対してもきちんと貢献してくれていますのできちんと評価をしています。
オープンな環境、経営陣の近くで圧倒的に成長できる
庄村
組織のカルチャーについて伺っていきたいと思います。社内はどのような雰囲気ですか。
清水様
すごくオープンな環境ですね。実は昨日も代表の安田とガンガン議論をしていたのですが。もちろん安田は、誰よりも強い想いで事業をつくり上げてきたという自負がある一方で、私自身も経営の一角としてクーリエに参画しています。そうしたとき、もちろん意見はぶつけ合いますが、お互いの考えを理解し合おうという関係性が築けているように感じます。そういった議論できる土壌がこの会社にはありますよね。
田代様
私たち経営陣が遠慮することなく議論するのはもちろん、河西君をはじめメンバーの皆さんも安田や役員と活発な議論を交わしています。
相手が社長や役員だから主張をしてはいけない、という空気は一切ないように感じています。
庄村
河西様は、どのようにお感じになっていますか。
河西様
そうですね。代表の判断が必要な際は、お時間があるときを見計らって「今、ちょっといいですか」と気軽に声がかけられる環境です。実際、私が入社3週間目で『みんなの介護求人』アプリのパーソナライズ機能を企画立案した際に、代表から次のようなフィードバックをもらいました。「ユーザー目線になっているか」「実装したときにどういった展開が考えられるか」「蓄積したデータを今後どんな事業展開に活かせるか」と。そういったところまで目線が及んでいなかったので、代表からのフィードバックで気づかされました。もともと経営者に近いところで仕事がしたいという想いを持っており、クーリエではそれが実現できていると思います。