DigtalBCGの組織の1つであるPlatinionは、クライアントのデジタル戦略を実現するためのグランドデザイン、デジタル・ケイパビリティ構築までEnd to Endのサポートを行うチームです。デザイナー、アーキテクト、エンジニア、プロダクトマネジャー等、デジタルサービス企画・開発のエキスパートにより構成されています。
今回は、DigtalBCG Platinionのエキスパートをリードする柴谷雅美様(Associate Director)、近藤あやの様(Product Lead)、鳥谷部昭寛様(Lead IT Architect)、湯舟勇様(Lead Experience Designer)による座談会。同チームに加わるまでのご経歴や、入社後感じるDigtalBCG Platinionの魅力、クライアントからの期待値などについてお話いただきました。
Platinionはデザイナー、ITアーキテクト、プロダクトマネジャーまで揃う「デジタル戦略~サービス企画・開発のエキスパート集団」
柴谷様
今回ファシリテータを務めるPlatinionアソシエイトディレクターの柴谷です。まずはDigtalBCG Platinionについてご紹介します。BCG(Boston Consulting Group)は、日本やアジアで50年以上の歴史を持つ経営コンサルティングファームです。その中でも、Platinionはクライアントのデジタル案件に合わせてデザイン、マーケティング、プロダクト開発、アーキテクトなど多様なメンバーが連携し、一体となってお客様のビジネスをサポートする集団です。
デジタル化における構想、企画、設計、開発等すべての局面が、お客様にとって非常に判断の難しい未踏な領域のテーマだと考えております。そこで我々はビジネスとIT間の共通理解の橋渡し役となったり、時には直接ハンズオンで模範演技をしたりと、様々な形でクライアントプロジェクトを支援しています。
まず私の経歴ですが、もともとSIerのアーキテクトとして主に金融分野の企画、設計、開発に従事していました。その後、ビックデータ事業やデジタル専門子会社の立ち上げに携わり、次にコンサルティングファームでネオバンク事業のデザインリードや、スマートシティサービスのアーキテクト設計などを担当してきました。これまで培ったデジタル知見を活かし、社会や業界レベルの変革を手がける仕事がしたいと思いDigtalBCGに参画しました。
Platinionには多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まり、社内外の変革をサポートしています。今からそのメンバーを紹介します。
柴谷雅美様
湯舟様
湯舟と申します。デザインチームに所属しています。もともとグラフィックデザイナーとしてジャケット制作等を手がけていましたが、デジタルやWEBの世界に入りフロントエンドの実装やWebデザイン、UIデザインを手がけ、そこから派生してUXデザインやサービスデザインを手がけるようになりました。前職は総合系ファームのデロイトデジタルで立ち上げを経験しています。そこからご縁があってBCGに参画しました。
現在の仕事内容ですが、実装や細かいデザインに加えて、より上流の問題解決に係るサービスのあり方をデザインすることが多いです。それにはデザインチームだけでは解決できないことがあるので、BCGの戦略コンサルタントチームとやり取りしながらPlatinionのプロダクトチームやアーキテクトチームを巻き込み、高速でアウトプットするといった流れで日々サービスをつくっています。
湯舟勇様
近藤様
近藤と申します。プロダクトマネジメント(以下PdM)チームのリードをしています。キャリアのスタートはネット専門の広告代理店です。その後事業会社へ行き、TSUTAYAでは、アプリやWebサイトの立ち上げ、改善などを手がけ、前職のファーストリテイリングではUNIQLOオンラインショップの改善など、リアルとネットを融合させるサービスを中心に経験しました。またUNIQLOではUXデザインとフロントエンド周辺のPdMとして従事してきましたが、コンサルティングはBCGが初めてです。
現在のPdMチームではクライアントがプロダクトを世に出していくためのご支援と、プロジェクト全体のマネージメントを行っています。湯舟さん達デザインチームや戦略コンサルティングチームが活動しやすいように業務・システムを整えていくことや、信頼を得るためにお客様と深くコミュニケーションを取ることもPdMチームの役割になります。
プロダクトを持つ事業会社のPdMと違って、我々が去った後もいかにお客様が同じように製品を良くしていくことができるか、そのサイクルを運営に乗せることも意識しています。お客様が自走できるまでご支援していくこともPdMチームの役割になると思いますね。
近藤あやの様
柴谷様
湯舟さんは専門のデザインとコンサルの経験をされてからBCGに入られて、近藤さんは事業会社で専門領域を長く経験された後に、コンサルは未経験でBCGに入られたとのことですね。鳥谷部さんはいかがですか。
鳥谷部様
鳥谷部と申します。アーキテクトチームのリードをしています。キャリアは大きく2つ、最初はSIerとして証券会社向けの基幹システムのアーキテクト設計や実装を手がけていました。その後、ITコンサルでアーキテクト経験を活かしたコンサルテーションサービスのデリバリーを経験しました。より経営課題に近いテーマに携わりたいと思うようになり、よりクライアント企業の変革に携われるBCGに参画しました。
我々はワンチームを組成してプロジェクトに入ります。例えば今手がけているプロジェクトの場合、Platinionのアーキテクトからと、アナリティクスのGAMMA、経営コンサルタントからもメンバーが集まり、ワンチームとして携わっております。クライアントの課題解決に向けてはどの組織とも壁がなくワンチームとなってデリバリーを行っています。
鳥谷部昭寛様
「途中まで進めたモノをゼロベースに戻すことも平気でできてしまう、それがBCGの凄さ」
柴谷様
お客様のテーマは色々ありますので、テーマによっては近藤さんのPdMチームがリードして全体を取りまとめていくこともありますし、鳥谷部さんのアーキテクトの人たちが全体のパイプ役や橋渡し役となることもあります。我々だからできる他社との違いについて、鳥谷部さんいかがですか。
鳥谷部様
3つあると思います。1つ目は、くり返しになりますが本当の意味でワンチームを築けること。お客様は我々をアーキテクトとして見ているのではなく、BCGのコンサルタントとして見ているので、その視点で彼らの課題をどう解決できるか、付加価値を出さなければなりません。アーキテクトのケイパビリティに線を引かずに求められていることをデリバリーできる、他のケイパビリティを持った多様性のあるメンバーと一緒に考えていける、そういったワンチームを組成できるのが強みです。
2つ目は、お客様のキャップを被り、彼らの立場で推進していけることです。我々は、BCGとして提案するときには「ここまでしかやりません」ではなくて、その時々で本当にやるべきことを提議し、真にお客様の立場で伴走しています。
3つ目は、グローバルファームであること。グローバルと連携しながら海外の事例やナレッジを教えてもらうことができます。そういった点では前職の日本企業とは付加価値が大きく違うと感じます。
柴谷様
2つ目のお客様の立場で推進しているというところでは、以前私も実際にプロジェクトを終えた際に、提案書に書いたことと、半年後では全然違うところに立っているということはありました。まさにビジネスをドライブしているわけで、ゴールは仮決めしますが、そこに至る道も様々ですし、ゴールもが変わることもありますよね。
鳥谷部様
論点仮説思考の進め方ですよね。
柴谷様
そうですね。それは経営コンサルティングとIT、デジタルの組み合わせだからできると思います。近藤さんはいかがですか。
近藤様
これまで経営コンサルタントと一緒に仕事をした経験がなかったので、私のイメージだと経営コンサルタントから正解をポンと渡されるスタイルだと思っていました。しかし実際はすごくアジャイルな動き方をしており、クライアントの成功がどこにあるかを全員で真剣に考えているからこそ、途中まで進めたモノをゼロベースに戻すことも平気でできてしまう、それがBCGの凄さだと思います。そういったBCGのカルチャーを持つPdMなので、プロダクトをよくするために忖度はありません。
日本企業では、PdMがきちんと機能せずプロジェクトマネジメントの域を越えていないことが多いのですが、これは日本企業特有の文化や忖度が原因ではないかと考えます。ただ、BCGの場合は、弊社シニアとクライアント企業のボードメンバーの方たちの信頼関係が強いからこそ、私たちPdMも含めて、色々な人のアドバイスを受け入れて最良を考えていく環境があるため、日本企業のカルチャーを変えていける可能性があると思っています。
柴谷様
経営コンサルタントが正解を持ち込まないというのは、BCGの典型的な特徴だと思います。フレームワークを持ってきて「この型にはめましょう」というのは我々のやり方ではないなと。お客様に合わせた仮説を地道に積み上げていくのはBCGならではだと思います。さらに、お客様が方向性を間違えていると感じることを、率直に指摘することもクライアントから期待されていることだと感じます。
湯舟さんに聞きたいのですが、デザイナーと経営コンサルタントとでは、やり方や考え方が大きく違うと思いますが、それをどう乗り越えていますか。
湯舟様
私自身はお互いをリスペクトしているのであまり感じませんが、仰るように、デザイナーがコンサルに入る際、そこは1つの壁になりうると思います。というのも、デザインワークやデザインシンキングでは「こういう風にすべき」というのが多いですね。しかしそうなると論点がずれてしまうことがよくあります。フレームにはめることだけがデザインシンキングではないので、状況に合わせて柔軟にやればコンサルタントとうまくやれるのではないでしょうか。
柴谷様
お互いにしっかりとコミュニケーションが取ることが大事ですね。
湯舟様
そうですね、ゴールが一緒であればお互いに柔軟に対応することはできると思っています。
決まったものを提案して終わらせることはない、常に「限界を設けずに一緒に悩み抜いて山を登ってほしい」と期待されている
柴谷様
皆さんは、クライアントから求められるレベルの高さに苦労することはありますか。またそれに対してどのように乗り越えていますか。湯舟さんいかがでしょう。
湯舟様
成果やリターンは常に求められますので、できることは全部やります。デザインチームだけでは難しいこともありますが、案をたくさん出します。その中でどの方法であれば一番確度が高いのか、経験もナレッジも組み合わせて細部まで議論を積み重ねた結果、「ベストなUXです」と言うしか方法はありません。
柴谷様
ただモノを売る、デザインをする、プロジェクト内に終わらせるという話ではありませんよね。極論を言うと、お客様の成功が求められるので、成功するまで何度も返ってくる。それを決まったスパンの中でどうやって成功まで導くかが最も難しいところですね。鳥谷部さんはいかがですか。
鳥谷部様
お客様からの期待値は非常に高い状態で入りますね。お客様が「決まったものをつくって欲しい」ということであればITベンダーやSIerに頼めばいいでしょう。しかし、お客様がBCGに期待しているのは、お客様が解けない課題を一緒に悩んでほしい、お客様のキャップを被って入ってほしいということ。決まったことを提案して「やります」、だけではもちろんダメです。日々ゴールは変わりますし、その山の登り方が変わります。限界を設けずにお客様とちゃんと悩み抜いて山を登ってほしいと期待されていますし、それが使命だと思います。
クライアントにバリューを届けるためなら、立場や組織を越えて教え合う環境がある
柴谷様
皆さんは、どのように情報収集をしたり、自己研鑽したりしていますか。鳥谷部さんはいかがですか。
鳥谷部様
BCGはジャパンだけでも約950人、デジタル人材の人数は約300人、これだけのエキスパートが集まっている会社で、かつ組織の壁がなくリーチアウトできるカルチャーがあります。またBCG社内には、ノウハウやこれまでの事例、フレームなどもすぐに出てくる環境があります。これはワンストップで情報提供をしてくれるナレッジチームや、その上にはグローバルチームもいるので地に足のついた情報が得られやすい環境であると思います。
柴谷様
海外の事例を持ってくるときも、エキスパートにコンタクトを取り情報をもらうことができます。湯舟さんはいかがですか。
湯舟様
BCG内にはインダストリーに特化した知見が多いと思います。デザインを考える上で業界特有の習慣や道筋が必要になるので、そういったものはアクセスすればすぐに出てきます。
一方、私がどのようにデザインの知識を得ているのかと言うと、今はコロナ禍で行けないですが、以前は海外のカンファレンスなどの第一線の人に直接話を聞きに行っていました。今はそういった方に直接コンタクトを取って自ら情報を取りにいくことはしています。
柴谷様
湯舟さんはどういうときに、自分が成長したなと感じますか。
湯舟様
デザインをしていくとモノに対して深く思考していくので、業務を深掘っていくと「こういう人たちはこういうことを考えているんだ」と分かるようになります。それを応用して、例えば「クライアントの競合他社は仮説として同じことを考えているのかな」と分かれば我々の提案精度が上がっていく。そういったところは日々成長していると感じます。
柴谷様
デザイナーの立場で、業界に対してどういうアプローチができるか、社会に対してどういうアプローチができるか、と考えるようになっていくのですね。近藤さんはいかがですか。
近藤様
私は事業会社から来たのでコンサルワークは本を読んで知っているぐらいでしたが、BCGメンバーやデジタルのメンバーは分からないことをどんどん教えてくれます。また資料を作る際に、これは議論するためのものか、説明するためのものか、説得するためのものか、同じテーマでも違う作り方をしなければいけない、ということを最初にシニアから教えてもらいました。BCGでは立場のある人でも教え合う文化があると感じましたね。
柴谷様
BCGは、クライアントにバリューを届けるためにしっかり教育もしますし、分からないことや困難に直面したら一緒に取り組もうとする文化がありますね。ところで鳥谷部さんは、業務の中で英語を使う機会はありますか。
鳥谷部様
これまで参加したプロジェクトのクライアントは日本企業のため、基本的にプロジェクトは日本語で行っています。しかし、BCGは外国籍の方も多く、英語を使用する機会も多々あります。またグローバルのエキスパートに自らリーチアウトして情報を得るには英語は必須です。英語ができた方が仕事は進めやすいと思いますね。
柴谷様
BCG内には他のコンサルティングファームと比べて圧倒的に英語を話せる人が多いですね。
鳥谷部様
多いですね。BCGでは積極的にトレーニングを提供しているので、英語のスキルが高められる環境だと思います。
今後も多様な人材を受入れ、メンバー各々が自己実現できる環境で成長途上のデジタル業界に一石を投じていく
柴谷様
最後に、皆さんは今後Platinionでどのようなことにチャレンジをして、どのような部分を強化したいと考えているか教えていただけますか。
湯舟様
Platinionの中でデザインチームを大きくしていきたいです。イメージでは課題解決装置みたいなもの(笑)。困っていることに対して、コンサルタントや他チームの方をはじめ多様な人たちが集まれば、筋道をつくる組織ができるのではないかなと思っています。私は、モノをつくる、形にすることでしか見えない課題解決方法もあると思っています。
近藤様
日本でもっとPdMを目指す人たちが増えてほしいなと思っています。くり返しになりますが、日本ではまだPdMが認知されておらず、たとえ認知している企業でも正しく機能していません。「PdMがいればプロダクトはこんなによくなるんだ」と知るきっかけになれるよう普段から発信をしたり、ロールモデルを確立していきたいと思います。
鳥谷部様
2つの視点があります。
まず1つは、デジタルやテクノロジーの力で新しいモノを生み出すこと。これまでは今ある課題をシステムでどう効率化していくか、という文脈でテクノロジーが使われてきました。これからは経営ビジネスに直結する新たなサービスで企業変革を起こせるかがカギです。冒頭でもお話しましたが、我々はワンチームでお客様の上流、経営層に向かっていくことができます。ワンチームで付加価値が出せる環境やチームの組み方をしっかりと考えていきたいです。
もう1つは個人的な目標ですが、アーキテクトという職種に閉じず、ゴールに向かってワンチームをうまくまとめてリードする存在になりたいと思っています。
柴谷様
皆さん、ありがとうございました。