今回は、ドルビックスコンサルティング株式会社 ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング本部 マネージャー木村明義様、シニアコンサルタント福田久仁佳様へのインタビュー。
丸紅株式会社により2020年12月に設立された同社に、大手ファーム出身のお二人が入社された背景、総合商社発のコンサルティングファームゆえに感じるプロジェクトのやりやすさやメリット、さらに実際の働き方などについてもお聞きしました。
ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング本部 マネージャー木村様、シニアコンサルタント福田様のご経歴
田中
まずは、木村様のこれまでのご経歴を教えてください。
木村様
私は新卒で物流系のSIerに入社し、開発から保守、運用までシステムライフサイクルの全てを経験しました。その中で、課題を解決する手段の構築だけでなく、対応すべき課題を見極めることが重要と考え、より上流から関われる日系の大手コンサルティングファームに転職。そこでメガバンクや製造業などの業務高度化や基幹システム刷新プロジェクトなどを手がけました。
しかし、大規模なプロジェクトになると、「ここから、ここまで」といったように一部分しか携われず、クライアントにもっと寄り添って仕事をしたいと思っていました。そんな時に丸紅が新設したドルビックスを知りました。
ドルビックスでは、総合商社ならではの多種多様な業務に携わる機会があること、かつクライアントの近くで変革に向けて伴走しながら支援できることに魅力を感じ参画を決めました。
田中
福田様のこれまでのご経歴を教えてください。
福田様
私は新卒で外資の大手ベンダーに入社し、その会社の製品を使ってデータ分析やアルゴリズムの解析を行っていました。学生時代から興味のあるデータ分析に携われることにやりがいを感じつつも、自社製品しか使えないことに徐々にフラストレーションが溜まるようになって、総合系の大手コンサルティングファームに転職しました。そこではデータ分析だけではなくBRPやERP導入、PoCなど幅広く経験を積むことができました。
しかし、もともとデータ分析が好きだったので、仮説に基づいたコンサルティングではなく、データ探索型のコンサルティングがしたいという思いがありました。そんな時にドルビックスと出会いました。「仮説を用いずに、データの相関から課題を見つけてコンサルティングをしていきたい」と面接時に伝えたところ快く受け入れてもらいました。また、創業したばかりというタイミングで事業に携われるのは今しかないと思い、参画を決意しました。
小規模組織だからこそ、経営層と対峙したコンサルティングができる
田中
木村様は現在、マネージャーを務めていますが、他のコンサルティングファームと比べてタイトルの責務や任される業務範囲などに違いを感じることはありますか。
木村様
他のコンサルティングファームと比べて、マネージャー職の責務はそこまで大きく変わりません。とはいえ、ドルビックスはメンバーが少ないため(2022年7月1日現在52名)、プロジェクトによっては経営層との会話が求められるケースがあります。一般的にコンサルティングファームは長い時間をかけて信頼関係を構築しながら経営層へとアプローチをしていきますが、私たちは丸紅がすでにクライアントと関係性を築いていることから、いきなり経営層にアプローチする機会に恵まれていると実感しています。
また、現在はコーポレート部門の案件を担当していますが、定期的に経営層へプロジェクトの状況の報告を通じて論点のディスカッションを行っています。また、別のプロジェクトでは、DXに向けた企画を取り纏め、取締役へ最終報告を行っています。そのような上層部と相対できる機会が、前職と比べて各段に増えたと思います。
田中
福田様は、前職と比べて相対する方に変化を感じましたか。
福田様
ドルビックスは、支援内容も支援先も大手のコンサルティングファームと比べて遜色はないと思います。木村さんが言うように、プロジェクトメンバーが少ないからこそ、マネジメント層だけのミーティングにも出席を求められることはあります。
田中
あらためて、ドルビックスだからこそできたことや入ってよかったと思うことはありますか。
福田様
今の規模感でドルビックスに参画できたことがよかったと思いますね。というのも、社内で誰が何をしているのか、つまりノウフー(Know Who)がわかるからです。同じ会社にいながらも「この人って誰だろう、何をしているのだろう」と疑問に思いながら働く状況はすごく寂しいですから。また、自分に足りないスキルがあれば、知識のある方と連携できるので業務をこなす上でも大きなメリットがあると思います。加えて、ドルビックスはトップやMDの方との距離が近いため、経営層の方たちと冗談を言い合ったり、フランクに話したりできる風通しの良さがあり、ベンチャーらしさを感じますね。
クライアントも丸紅グループだから“仲間意識”がある
田中
ドルビックスが丸紅の子会社だからこそできることや、メリットを感じることはありますか。
木村様
あります。丸紅や丸紅グループが展開するネットワークにスピーディーにアクセスできるところです。本来なら年単位かけてアプローチをする内容でも、うまくいけば1日でアクセスができる。さらに丸紅は総合商社としてさまざまな企業と取引があるので、そういった企業からの引き合いや相談も増えています。
福田様
クライアントも同じ丸紅グループなので、お互いに“仲間意識”のようなものを感じています。一般的に外部からコンサルタントが入る場合、コンサルタントに対して敵対視する方も少なくありません。今はまだ、私自身が入社して日が浅く、1社しか担当していないため断言はできませんが、同じグループ会社だからこその働きやすさはあると思いますね。
木村様
また、業界によって人柄が出ると実感しています。特に商社の人たちは、ビジネス経験が豊富で、普段から様々な国や職種の人たちと相対しているので、コミュニケーション力が高く魅力的な人が多いです。商社の方たちと一緒に働くのは楽しいですね。
田中
グループから指定されたソリューションを導入しなければならないといったケースもあるのでしょうか。
木村様
それはないですね。ドルビックスでは自由度の高いコンサルティングができています。むしろ、ソリューションや型が決まっていないので、頭を使って一生懸命考えないとならない。コンサルタントとしての素手力が求められていると思います。ですから、「これしかやったことがありません。他はできません」という人には厳しい環境かもしれませんね。
「サステナビリティ×DX」といった新たなテーマにもチャレンジ
田中
現在、携わっているプロジェクトについてお聞かせください。
木村様
私は、主にコーポレート部門のサステナビリティ業務を担当しています。その中で気候変動や人権(労務)、紛争問題、自然災害、新型コロナウイルスなどで影響を受ける“サプライチェーン”に対して、リスク管理方法などの情報提供をしながら、いかにDX化を実現していくかという検討をクライアントと共に進めています。
田中
“サステナブル領域におけるDX”という新たなテーマでは、まだ成功事例が少ないかと思います。そういった中で、プロジェクトを進める難しさはありますか。
木村様
サステナビリティというテーマはひとつの企業内で閉じて取り組むものではなく生産者や消費者、自然環境といった全世界を見てどうなのかという視点になるため、解決策の立案は非常に難しいです。その中でもコンサルタントに求められるのは、少ないファクトをもとに仮説を立て企業や人が進むべき方向性を示唆することだと考えています。私自身、知見のない状態でスタートしましたが、専門家の方々から話を聞いたり、世界の動向を収集して勉強してきました。今では難しさというよりも、新たなテーマにチャレンジできることに面白さを感じています。
田中
続いて、福田様は現在どのようなプロジェクトに携わられていますか。
福田様
私は、国内の大手機械商社に対してアフターサービス領域のDXを推進しています。このプロジェクトのDXの狙いは二点あり、業務改善と収益増加です。そしてその二点はプラットフォームサービスを展開することで実現しようとしています。そのプラットフォームは社内向けの業務改善機能や、社外向けのサービスを提供する予定です。プロジェクトの内容は、社内向けの業務改善はBPRのようなこと、社外向けのサービス検討は経営戦略策定のようなことをしています。さらに、プラットフォームのツールとして適切なソリューションを選定するため、ITコンサルティングの側面もあります。
DXコンサルティングは、クライアントの業務課題に対して戦略立案に加えてテクノロジーとツールをミックスして検討していかなければなりません。時には自分の知らないことを2日間で勉強して、3日目には専門家として話さなければならない。そういった大変さもありますが、クライアントの課題を解決できた時は自信にも繋がります。
心理的安全性が高い職場だから安心してコンサルワークにコミットできる
田中
御社に入ることに対して不安を感じることはありませんでしたか。
福田様
ドルビックスがまだ規模感が小さいがゆえに、例えばプロジェクトでミスをしたり、仕事ができないと思われたりした場合に、一気に社内に評判が広まってしまうのではないか。プロジェクトにアサインしてもらえないのではないかといった不安がありました。しかし、実際に入社してみるとそういった懸念を感じることはなかったですね。
田中
規模感に紐づく不安ということですね。木村様は、メンバー内の距離感についてどのように感じていらっしゃいますか。
木村様
そうですね。物理的な距離の近さにおいてもメリットを感じています。ドルビックスでは、スタッフ部門もコンサル部門も同じ一室なので、例えば契約管理でわからないところがあればコーポレートメンバーにスムーズに確認できます。
またドルビックスは、外資系のファームとは違い、良い意味で日本人らしさのあるコンサルティングファームだと感じています。特に、経営層の人たちが“人”を大切にしているので、社内で安心して意見を言える土壌が醸成されています。
田中
心理的安全性の高い職場だからこそ、クライアントに対ししっかりと向き合えるということですね。逆に、入社前に不安を感じることはありませんでしたか。
木村様
コンサルティングファームとしてスタートしたばかりなので、最初から案件が多くあるとは思っていませんでした。そのため自身のキャリアへの影響も心配していましたが、それはまったくの杞憂に終わりました。昨年は、ゼロベースから提案を行い、複数の案件を獲得しました。前職ではすでに大勢が決まった上で提案書を作ることが多かったので、そこも大きな違いを感じています。
働き方に決まりはない、成果重視のカルチャー
田中
木村様は、日々どのような働き方をされていますか。
木村様
ライフワークバランスが取れた働き方ができていると思います。勤務時間が長いイメージのコンサルティングファームですが、私は9時〜18時で働いています。また、働く場所は、上司から「自身の生産性が発揮できる環境で良い」と推奨されているので自由度はかなり高いです。その日の業務内容によって、客先に行ったり、本社に行ったり、自宅で働いたりと効率よく作業はできていますね。休みの日もプライベートの時間はしっかりと取れています。
田中
わりとご自身で自由に使える時間はあるのですね。
福田様
そうですね。これは完全にプライベートの話になりますが、実は業務知見を活かした副業を始めようと計画をしていてテナントを探しています。ドルビックスでは、仕事と個人のライフスタイルをしっかりと分けることができるので、その分、仕事に対しては不満を抱くことなくしっかりフォーカスすることができています。
田中
プライベートが充実できるからこそ、ストレスなく働けるということですね。ちなみに、福田様は日々どのような働き方をしていますか。
福田様
通常は9時〜18時で働いていますが、私自身はかなり朝型人間なので、例えばですが、自宅にいる時は21時頃に就寝して、明け方の2時、3時頃に起きて仕事をすることもあります。コアタイムに働くというよりも、「良い成果物があればいい」というプロジェクトなので、働く時間を意識することはありません。働く場所においては基本的に自由ですが、プロジェクトマネージャーの方針でミーティングだけは対面でおこなっています。ミーティングがない日は、自宅で働いたり、オフィスに行ったり、その時の業務の状況で決めています。