今回は、ドルビックスコンサルティング株式会社 マネージングディレクター(MD) 小山俊介様、車谷貴広様、新家谷功一様へのインタビュー。
丸紅株式会社により2020年12月に設立された同社に、大手ファーム出身の3名が入社された背景、入社後のギャップや同社の魅力。また丸紅株式会社との関係性、求める人物像、ワークライフバランスなどについてもお聞きしました。※本インタビューの内容は2021年3月時点での情報です
- 目次
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- ドルビックスコンサルティングを率いるマネージングディレクター 小山様、車谷様、新家谷様のご経歴
- インハウスかつ主体者的な目線は持ちつつも、あくまでも第三者的な働きかけが重要
- 丸紅の事業投資後の「戦略・実行」において大きな期待をかけられている
- 総合商社系のファームだからこそ、多種多様な業界、業種の案件にチャレンジできる
- 2024年には150名規模へ、ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング本部(BTD)、経営戦略コンサルティング本部(CSD)が共通して求める人材は「新しいことを学ぶ面白さを味わえる人」
- 各自が生産性を高められるワークスタイルを追求している
- ドルビックスコンサルティング株式会社 求人情報
原田
話を始める前に感じたことなのですが、皆さん凄くカジュアルな格好ですね。
車谷様
そうですね。クライアントと会う時などは必要であればスーツを着ますが、今日はたまたまみんな特にそういった予定が無いので、ラフな格好をしてますね。
どんな格好をするのかはその時々に応じて考えています。少し年配の経営者相手にアドバイザーとしての安心感を持っていただききたければ少しクラシカルなスーツにネクタイといった選択をしますが、先端技術に関するお話をするような時にそのような格好だと逆にマイナスの印象になりかねないですし。オフィスに居る時は自分にとって生産性が上がる格好をすれば良いので、各自好きな格好をしてます。私は基本的にかなりカジュアルと言うかラフな格好が多いですが、スーツの方が気が引き締まるならそうすれば良い。何か決まりがあるわけじゃなく、各自自由に考えてますね。
ドルビックスコンサルティングを率いるマネージングディレクター 小山様、車谷様、新家谷様のご経歴
原田
小山様のこれまでの経歴を教えていただけますか。
小山様
外資系の大手コンサルティングファームや外資系テクノロジー企業の戦略コンサルティング部門で約20年間、顧客の経営・事業課題に対峙し、テクノロジーを活用して解決してきました。その後、日系大手IT企業でコンサルティング部門の新設・立ち上げを担当したのが、私のバックグラウンドです。長く技術戦略というコンサルティング領域を手掛けているのですがテクノロジー活用が経営や事業の成否に関わる度合いが日々増していく中で日本企業の経営の意思決定により近い立場で継続的にご支援できる環境を求めていた中で出会ったのがドルビックスです。
原田
ドルビックスコンサルティングに入られての印象はいかがでしょうか。
小山様
丸紅・丸紅グループ各社と同じグループの一員でありながら、丸紅・丸紅グループがクライアントでもあるという環境の中で活動していての印象ですが、最初から仲間として認められていると率直に感じています。一般的なクライアントとファームという関係の中ではなかなか1回目のミーティングでは聞けないようなこと、例えば日頃の本当の悩みや使えるお金、人間関係など、“仲間だから”という前置きで最初から心を開いて話してもらえることにはこれまでなかった関係性を感じます。
とはいえ、単に緊張感のない関係というわけではありません。丸紅も日本を代表する企業の1社であり社員の方々もコンサルタントを必ずしも必要としない知識・経験がある優秀な方々ですのでその期待を上回るアウトプットを出し続けることがこの関係性を継続する必要条件だと思っています。
総合商社の案件で特徴的なのは、あらゆる産業のバリューチェーンの会社と会社の間に丸紅が既に入りこんでいる前提が、多くの案件のスタート地点となっていることでしょうか。想像に難くないと思いますが、そのような企業が大きな変革を起こすとオセロのようにバタバタとその業界構造自体が変わっていく取組みになります。大きな変化を起こせる可能性がある総合商社系ファームの可能性を感じています。
小山俊介 様
原田
次に、車谷様のご経歴と今関わられている仕事について教えてください。
車谷様
私は新卒で金融機関に入り営業と企画を経験しました。その後、総合系コンサルティングファームの戦略部門に転職し、次に戦略系のコンサルティングファームに移籍。直近では金融機関系のコンサルティングファームで戦略チームの立ち上げから推進まで行ってきました。2021年に当社に入社し、経営戦略やマーケティング、M&Aといったテーマの案件を中心に担当しています。当社は「経営戦略コンサルティング部門(CSD)」と「ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング部門(BTD)」という緩やかな組織と言うかチーム区分が有るのですが、小山と新家谷がBTD側、私はCSD側を主に担っています。
原田
ドルビックスコンサルティングに入られたきっかけと、実際に入られてからはどのように感じていますか。
車谷様
前々職から前職に移る時から「従来型の戦略系コンサル単体ビジネスモデル」が限界に近づいていると感じていました。従来の戦略コンサルという領域で考えると案件の専門化や先鋭化が進み、グローバルで領域特化した人材を抱える規模の大きなファームの優位性が高まっていると感じています。加えて、上流の戦略/構想を立てるという部分で完結するのではなく、それらを具現化する、少なくともプロトタイプレベルまでは自社で実装できるような機能を有することが我々コンサルタントに求められていると感じています。業界内で「戦略系」と「総合系」という区分が有り、私も便宜上これらの用語を使うことは多いのですが、実態としてはこの2つの区分が無くなると同時に、新しい形にシフトしているのだと感じています。
そうすると、ファームの体制・制度等を新しい形に即したものに組み替えて行くことが必要になる。その時には既存の/大きなファームよりも新しい/小さなファームの方がやり易いと言うか面白い。そんな想いから「新しいファームを作りたい」と考えるようになっていました。一方で、独立して個人でファームを立てても意味は無いという思いの中で、丸紅が新しいコンサルファームを立ち上げるのでどうか、という話をいただきました。最初は従来型のITコンサルをするのかと思っていたのですが、直接話を聞く中で自分自身が考えていたことと合うと感じたことと、大手総合商社の丸紅が母体であれば多様な事業領域の中でコンサルティングができると思い、ドルビックスに参画することを決めました。
ドルビックスに入って感じていることについては、ドルビックスという存在が有ってそこに参画しているのではなく自分達でドルビックスを作っている最中なので、何かを感じるということは特に無いです。今ドルビックスに属している人達にとっては「これからドルビックスに入って来る人にどう感じてもらうのか」ということが重要なのですが、その点については正直まだ試行錯誤しています。新しいコンサルファームの形を目指すという共通認識が有る一方で、「新しい形とは具体的にどういったものか」についてはまだ答えを見出せていない。「商社×コンサル」は様々な可能性が有るが故に、色々とやりながら答えを見付けることが必要かと考えています。 既にグループ内の各社から多くの課題解決への協力依頼をいただいています。また、どのような形になるとしてもコンサルタントとしての「個の強さ」は求められるはずです。まずは人材強化を図りつつグループ内の課題解決に取り組み、その中で色々と模索しているという段階です。
車谷貴広 様
原田
新家谷様はいかがですか。
新家谷様
私も外資系大手コンサルティングファームを数社経験し、ドルビックスに参画しました。若手の時は数百人規模のシステムインテグレーション案件に携わり、一度目も二度目も、いつの間にか業務とシステム双方に詳しくなった結果として長期アサインとなり、その環境を楽しんで働いていた記憶があります。年次が上がるにつれてシステム系のプロジェクトから経営・戦略寄りに移行していきましたが、この若手の時に培ったケイパビリティは今のデジタル案件を進める中で大きな強みになっていると感じています。前職のBig4のひとつである外資系コンサルティングファームでは、ある製造業クライアントにおいて、アカウント責任者とグローバルレベルでのデジタル変革プロジェクトの責任者を兼務していました。日本の製造業におけるグローバルへの製造・販売拠点の展開とものづくりの品質をいかに両立させるかをテーマに取り組んでいましたが、クライアント企業が自社のみで有効なデータをいかに収集するか、またそのデータをもとにデジタル変革の効果をいかにして最大限引き出すかについては、難しさを感じながら取り組んでいました。
そのようなクライアントの内側から成長にフォーカスしたプロジェクトを推進する中で、世の中のデジタル技術が急速に発展し、コンサルティングもアイデア次第で実現できる幅が広がってきたことも受け、今後は企業の内側からのみでなく、外側の業界構造やバリューチェーン自体の変革、また新たな技術の社会実装を牽引することで、中小も含めた日本の企業群を一段上に引き上げるような社会への影響力を出していきたいと考えるようになり、ドルビックスへの転職を希望しました。
実際にドルビックスに入社以降、丸紅の得意とする植林からパルプ、製紙工場までの製紙関連のバリューチェーン全体へのコンサルテーションや、モビリティ/MaaS、およびVPP(仮想発電所)/V2G(電気自動車から電力系統への電気エネルギー供給)などのエネルギーマネジメント系なども含めた社会課題に起因する案件に触れる機会が多く、自分の実力次第で様々なテーマにチャレンジできる恵まれた環境であることを実感しています。
新家谷功一 様
インハウスかつ主体者的な目線は持ちつつも、あくまでも第三者的な働きかけが重要
原田
今関わられている具体的なプロジェクトについてお聞かせください。
車谷様
CSD側の一番大きなテーマは、丸紅のある事業部全体の事業戦略の根本からの立て直しです。最終的には組織再編やM&Aも視野に入れた抜本的な変革を見据えており、まずはそのためのプランニングを進めています。当社が丸紅グループ内のインハウスだからこそ長期的な案件として携われるのが特徴です。
そしてもう1つが、グループ内のある事業会社の新規事業開発です。その会社が取り組んでいる業界が世界的に大きく変貌することが見込まれており、その中でどのように闘うべきなのか。表層的には新規事業開発というテーマですが、実際には顧客に対する会社の向き合い方やビジネスモデルなどをどのように変化させるのか、といったことまで踏み込んだものとなっています。
原田
御社と丸紅はどのような関係性で動かれているのでしょうか。
車谷様
丸紅に対するドルビックスの立ち位置は、「コンサルだけど事業会社寄り」「事業会社だけどコンサル寄り」といったようなイメージで捉えています。
原田
主体者のような立ち位置になるのでしょうか。
車谷様
あくまでもコンサルタントであって主体者とは違うと思います。しかし、従来のコンサルタントが顧客企業に対するようなアプローチでも駄目で、内部者になりきってしまっても存在意義が無くなる。コンサルタントとしての価値を提供しつつ、目線や頭の働かせ方は主体者に近いと思います。
ただし、この立ち位置自体も今後変わる可能性が高いと考えています。コンサルファームの「新しい形」を模索する中で、立ち位置をどうするのか、ということは大きなポイントになると思います。ひょっとしたらもっと主体者に近い、もしくは完全に協業/共創者のようなものになるかも知れないし、もっと距離を置くのかも知れない。そこが難しさであり面白さでもあります。
新家谷様
ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング本部(BTD)は、経営戦略コンサルティング本部(CSD)とは案件の性質が少し異なります。
私の場合は、現在、丸紅ではない外部の顧客案件も複数持っていますが、対丸紅の内部案件でいうと、例えば「これは丸紅が1年後に投資案件に持っていくべきかどうか」について、その意思決定に向けて丸紅の営業担当者と共同で案件を推進するコンサルティング支援を提供しています。丸紅側の営業担当とともに「この企業、新サービスは成長事業となり得るか」といった話から入り、サービスへのデジタルの活用方法はもとより、マーケティングやプロモーションの手法、また人材育成や新たな事業を始めるにあたっての組織の在り方・変革の方向性、協業に向けたパートナーシップの検討など、様々な観点におけるアイデア出しや、実現に向けたハンズオン支援などを行っています。ビジネス自体の見極めを行う機会が多く、とても頭を使いますがすごく面白いです。
小山様
あるプロジェクトでは、丸紅と不動産ディベロッパー、大手メディア企業による新会社設立において、第三者の立場で客観的にバランスを取りながらファシリテーションをしました。しかしクライアントは丸紅なので、丸紅の目的を果たすために利害関係を調整したり事業成立のために作戦を考えたり、そういった支援も同時並行で考えるなど、会議の場によってケースバイケースでふるまい方・考え方を使い分けています。
原田
仲間でありクライアントでありという立場を切り替えながらやっていくということですね。
小山様
私たちが丸紅の人だと見られてしまうと、先ほど例を挙げた3社のバランスが崩れてしまいます。第三者として中立的な振る舞い方をするのがそのプロジェクトでの私たちのポジションであり、仕事の仕方だと思います。
丸紅の事業投資後の「戦略・実行」において大きな期待をかけられている
原田
親会社である丸紅からの期待やプレッシャーのようなものはありますか。
小山様
私自身は親会社からのプレッシャーはあまり感じていません。むしろ私たちだからこそできることは色々あると思っていますし、期待されていると感じます。これまで重厚長大な産業を多く扱ってきた丸紅では意思決定を慎重にするが故に推進プロセスに時間がかかっていました。これはDXという新しい取組みを市場の変化に柔軟に対応して推進する上では根本的な課題になっていると思います。私たちがDXに適したスピード感のあるアプローチやこれまでにない意思決定プロセスをグループ内のコンサルタントとして推進していくことが強く期待されているのだろうと捉えています。
新家谷様
丸紅が新しいビジネスを作る際に、伴走者として認められる存在であるべきという点については、暗黙のプレッシャーはあるかもしれません。もともと丸紅がいろいろなところに事業投資をしていますが、攻めどころはみなさんセンスがあるんです。しかし形づくろうとした時に、戦略から実行までをロジカルに積み上げられないケースが出てくる。そのため、ここぞという時に「ドルビックスを入れたらなんとかなるんじゃないか」と思っていただいている事業部の方が、現時点でも結構いらっしゃいます。私たちがちゃんと丸紅のDXエンジンになりきれるかどうかは、この先半年から1年の取り組み成果が重要なポイントになってくると考えています。
原田
今まで御社のような役割は別のファームがやっていたのですか。
小山様
これまで自社ではできない機能、もしくは時間や工数を効率的に使うためにコンサルタントやリサーチャーを使うケースはあったかと思うのですが、ファシリテーションや実行の伴走ではそれほど多くコンサルタントを使っていかなかったのではないかと思います。だからこそ、丸紅グループ内で新たな形の会社が必要となったのではないでしょうか。
原田
実際に丸紅側での浸透度はだいぶ進んでいるのでしょうか。
新家谷様
個人的なリレーションで動いている方も結構多いので、我々としても人と人との付き合いから周りに広げていく感じですね。
車谷様
まだ私たちの体制が小さいので、丸紅が全力で依頼してきたら私たちが追いつかないでしょう(笑)。セミナーなどを通じてドルビックスの認知度を高めたり、案件のシーズ獲得の取り組みを進めたりなどの活動を行っています。
総合商社系のファームだからこそ、多種多様な業界、業種の案件にチャレンジできる
原田
若手の方がBig4のような大手ファームではなく、御社に入ることで得られるキャリアについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
新家谷様
私自身、外資系大手コンサルティングファームにいた時に、3年ほど同じ案件から抜け出せなくなる経験をしています。そこでマネージャーに昇進後、あるアカウントを担当するチームに異動したのですが、ゼロから最初の100万円の案件を取るのにすごく苦労した思い出があります。
コンサルタントは、メンバークラスの時から与えられた箱の中だけで考えを巡らせるのではなく、周辺視野を持ち、本質的に解かなければいけないことは何かを追究して提案に持っていくという基本姿勢を身に付ける必要があると思っています。
ドルビックスでは、デジタルを軸に、丸紅の多種多様な業界、業種の案件に関わりながら、若手のうちからクラス関係なくそのような提案に関わるチャンスが多くあり、実力を磨く良い環境を提供できると考えています。
小山様
私たちのコンサルティングは、丸紅グループであるが故に各個人が責任感を持ちいろいろな産業のこと深く考え早くキャッチアップし、デジタルやテクノロジーを理解し掛け合わせていかなければなりません。大手ファームでは1段ずつ階段を上がっていくところを、私たちは一気に駆け上がっていけるほど成長ステージが早いのではないかと思います。
2024年には150名規模へ、ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング本部(BTD)、経営戦略コンサルティング本部(CSD)が共通して求める人材は「新しいことを学ぶ面白さを味わえる人」
原田
今30名の組織とのことですが、今後どのような成長曲線で人材を増やしていきたいとお考えですか。
車谷様
事業計画としては2021年度末に50名、22年度末で100名、23年度末で150名規模という数字を持っています。しかし、トータルとしてのこの数字自体が大きな意味を持っているということではないと考えています。重要なのは、個として非常に強く、多様な専門性を持った人材がこれだけ集まるということ。
多様な専門性を持つ強い個が150名くらい集まると、掛け算して出来ることがかなり広がると思います。なので、それぞれが強く、だけどそれぞれが異なる人材によって150名規模の組織を作りたい。こういったことだと考えています。 そのためにも、「ドルビックスとはこういう場」というスタイルをしっかりと作り上げ、優秀な人材が魅力的に感じる組織を作って行かなければいけないと考えています。
原田
BTDでは、どういう人材に加わって欲しいとお考えですか。
小山様
需要として最初にくるのはビジネスを戦略から考え実現プランまでを立てられる人で、次に新しいテクノロジーに高いアンテナを立て知識を持っている人です。そういう人材に対してビジネスとテクノロジーを掛け合わせてコンサルティングできる環境を私たちは提供しています。また丸紅は関わる産業のサプライチェーンの中では川上・川中に強みがありますので、デジタルを活用して川下領域を補うのもドルビックスが担うべき役割だと思っています。そういったより顧客接点領域のテクノロジーの知見・経験を持っている方を、より積極的に採用していく予定です。
新家谷様
私の観点からは2つあり、1つはAIやデジタルの知見がある人。例えばデジタルツインを取ってみても、最近は労働環境や社会課題に対するシミュレーションをデジタル上で実現し、現実の人が行うオペレーションの最適解を導くようなケースも出てきていて、コンサルティングの手法が格段に広がっていると感じています。そこに強みを作ることが出来れば、労働集約型の業界に対しても、生産性や健康面・安全面も含めた変革が期待でき、これまでにないコンサルティングの価値を発揮できるようになると思っています。
もう1つはこれからの社会基盤となっていくモビリティやエネルギーなどのビジネスに対して、興味を持って知識を蓄えて一緒に働ける若手ですね。さらに自身で営業して案件を取って回したい、成長したいという志向の人にとってもドルビックスは面白い環境だと思います。
原田
ドルビックスには大手ファームにあるような教育システムに沿った段階を踏んだ成長ではなく、直接案件を通して教育システムでは描けない経験曲線で成長できるのですね。
新家谷様
その通りです。もちろん教育システムもすごく大切で、今後実案件をひな形にして整備していきたいと考えています。一旦現状は、我々マネージングディレクターも現場メンバーとともに提案やデリバリーに参画しながら若手メンバーを直接レビューして示唆を出すなど、現場コミュニケーションによる教育の機会を大切にしています。
原田
チームはどのように組成しているのですか。
小山様
BTDは案件ごとに希望を募ってチームを編成することを基本にしています。全メンバーに対して案件の概要を伝えて、興味があれば手を挙げてもらいアサインに繋げていきます。みなさん積極的に手を挙げてくれています。メンバーが増えてくるともう少し効率的なアサイン方法を導入するかもしれませんが、本人の希望をベースにするという考え方は維持していきたいですね。
原田
CSDではどういった人材を求めていますか。
車谷様
CSDはゼネラルに経営課題に関わる必要があるため、最終的には戦略から始まってマーケティング、ファイナンス、人事、組織、法律、経営管理、テクノロジーなどなど、経営者が直面する課題には各領域の専門家の力も借りつつも、全て対応できることが求められます。しかし、最初からそのような能力を持っているということは期待していません。
求める人材は、ファイナンスやシステム、組織、マーケティング、生産管理など、何かしら自分の得意な領域を持っている人。かつ専門家志向ではなくゼネラリスト志向で、コミュニケーションスキルがあり丸紅や顧客のビジネスを広げて行くことに楽しみを感じられる人ですね。 またCSDでは若手や第二新卒などの未経験者の採用も積極的に行っています。これらの人については、ビジネスに強い興味があることは必要ですが、経験は問いません。経営企画やマーケティングといったコンサルティングと比較的親和性のある領域の経験者も歓迎しますが、例えばメーカーの製造に携わっていた人や、研究者だったといったような人も大歓迎です。
経験者でも若手や第二新卒でも共通して言えることは、まず地頭やコミュニケーション能力は重要で、これらは必要条件になります。しかし、非常に地頭が高くコミュニケーションにも長けている人が必ずしもコンサルタントに向いているとは言い切れない。それらと同時に新しいことを学んでいこうといった好奇心の強さが重要で、これらをかなり重視しています。
大手ファームでは、特定領域への特化や定型的な案件の進め方をする傾向が強いと思いますが、当社の特にCSDは、非常に幅広い案件に携わることが求められますし、オーダーメイド型で進めます。そのため、常に学ぶこと、考えることが求められます。一見すると苦しい過程ではありますが、新しいことを学ぶことを楽しめる人、「分かった、すっきりした。さあ次」と行ける人がいいですね。
原田
難しい問題と出会ってそれにワクワクできる人ですね。
車谷様
そうですね。知識やスキルについては入社後に勉強すれば良いのですが、そのような気持ちを持てるのかは性格に依る部分が大きいと思っています。
ちなみに、未経験者に対しては知識・スキルについては育成プログラムを用意しています。前提として、プロフェッショナルである限り知識やスキルの習得を含めて成長に必要な取り組みは全て自分でやることが基本だと考えています。例えば戦略論やファイナンスなどの知識を研修で教えるといったことはないです。しかし、戦略コンサル特有の物事の考え方やスキルというものが少なからずあります。これらは市販の書籍でも一部は得られるのですが、「本を読んでできる」というものではないですし、OJTに委ねると偏りが生まれ易いと感じています。そのため、研修とアサインを組み合わせて体系化し、基礎の部分については早い段階で習得できるような形にしています。
原田
未経験者で入ってきた方が戦略を学び、キャリアを形成していけるのですね。一般的には戦略とITは敷居が高いかと思うのですが、現状は好奇心の強さや事業への興味があるかどうかを見られるのですね。
車谷様
そうですね。ちなみに注意が必要なのは、自分の興味があることにしか好奇心が湧かない人がいますが、コンサルは常に興味のあるテーマをやるだけではありません。自分自身がすぐに興味を持てないテーマに対していかに興味を見出せるか。この辺も重要だと思っています。
新家谷様
そうでないと心から社会課題にアプローチができません。いろいろあるテーマの中には、現時点で興味のないこと、知らないこともあると思います。それでも、自分の興味がない分野でも興味を見出して取り組める好奇心の強さは大切です。
各自が生産性を高められるワークスタイルを追求している
原田
ワークライフバランスについてお聞きしたいのですが、みなさんは日々どのように働かれていますか。
車谷様
働き方は、各自の生産性を高められるワークスタイルに任せています。というのも成果を出すことが目的であって、働くということは手段だからです。周りに影響がなければ、いわゆる定時で働かなければダメだということもありません。実際に私は早朝と深夜に働くことが多いです。私は家族との時間を大事にしていて、特に朝晩の食事は極力子どもと一緒に食べると決めているからです。子どもを保育園へ迎えに行った後、一緒に夕食を取って風呂に入り、ベッドで絵本を読んで寝かしつける。その後に仕事をすることは結構ありますね。
小山様
私の場合、一番生産性が上がるのが自宅なので会議がなければリモートワークにしようと決めています。ただ今は組織の立上げ段階なので対面であることが効果的な会議も多く1日全てリモートということはほとんどないのですが、そこはフレキシブルに成果を最大にしていきたいと考えています。
新家谷様
私はオンとオフを分けるようにしているため、20時以降や土日は一切仕事をしないようにしています。朝は7時30分に出社し、みんなが出勤するまでの間、頭を絞って考えるべきことに集中する時間を意図的に作り、アウトプットをするようにしています。
車谷様
働き方は、それぞれライフステージがありますし好みもありますので自由です。その上で、会社としての課題は、魅力的なオフィス環境を作ることだと思います。決して強制されるからではなく、楽しいから人が集まる。人が集まることでちょっとしたコミュニケーションが生まれ、色々なアイデアやアクションにつながる。そういう場や雰囲気を作っていきたいですね。
またコンサル業界では、ワークライフバランスが謳われる中で変わって来てはいますが、それでも育児との両立が難しいというケースも少なくないと思います。当社では現在、子育てをしながら働く社員がおりますが、そのような人をロールモデルとして、ライフステージに応じた働き方を選び、仕事面でも私生活面でも満足できるような仕組み作りに力を入れていきたいです。
※本インタビューは2021年10月時点での情報です