ベンチャー企業や中堅中小企業向けに、CFO機能の実装を特徴としたコンサルティングサービスを提供する株式会社エスネットワークス。今回は、同社の経営支援第1事業本部 副本部長の園田裕輔様、橋本卓也様に同社のサービスの特徴、マーケット状況、入社後のキャリアパス、求める人材像についてアクシスコンサルティング青木がお聞きしました。なおこの記事は2019年11月時点の情報に拠っています。
CFO支援を行うハンズオン型のコンサルティングファーム
青木
まず初めに、お二人のご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。
園田様
将来的に家業を継ぐ前提で、経営に必要な一つのパーツとして会計を深く理解するため、学生時代に会計士の資格を取得しました。
その後、「会計」というツールをどう経営に活かしていけば良いのか、実地的に学べる企業はどの企業かという視点で就職活動をし、弊社に入社しました。
最初は経理・財務・事業戦略など、経営に必要なパーツを鍛えるプロジェクトを経験させて頂き、総合的な経験値やスキルを上げ、現在はプロジェクト全体の指揮を任されています。
青木
一人前になるまでに特に苦労されたことはありますか。
園田様
一機能としての経理・財務・経営企画ではなく、経営者の視点で戦略を立てるのに苦労しました。上司からは「スタッフとしての視点ではなく、経営者としての視点を持とう」とフィードバックを常に受けたことで、マインドから鍛えられ、成長することができました。
副本部長 園田裕輔様
青木
橋本様のご経歴を教えていただけますでしょうか。
橋本様
大学時代に会計士試験に合格し、大手監査法人に入社しました。ただ、「指摘することでお金をもらう」監査業務のビジネスモデルに働くモチベーションの拠り所を見い出せず、4年程勤めた後、新しい環境を探しました。
丁度、知り合いの服飾系ベンチャー企業から、管理部門の体制構築を頼まれたことから立ち上げ役として参画し、試行錯誤で会計システムの導入や申告書の作成など、会計制度や仕組みづくりをしていました。
ベンチャー企業で会計の仕組みづくりをする中で、その大変さと共に会社の今後を見通す会計や財務の重要性を再認識し、一段落したところで弊社に入社しました。
入社3日目には、某大手メディア企業様に常駐し、連結会計の業務を担当しました。
3年ほど経理・財務絡みの業務を経験した後、本部の運営側に回り、その後、2016年から2018年前半までは、ファンド投資先の財務経理部門にて、PMIから事業売却のサポート及び本体の会社のイグジットまでサポートしました。
その後部門の運営に戻り、クライアント企業において常駐しながらCFO機能の提供サービスと部門運営を交互に経験しながら今に至ります。
副本部長 橋本卓也様
青木
エスネットワークス社、そしてお二人が所属している経営支援第1事業本部の概要をご説明いただけますでしょうか。
橋本様
エスネットワークスは、「財務戦略」、「事業戦略」、「ロジスティクス」、PDCAサイクル化などの「形式知化」、新規事業などの「将来投資」、この5つのパートから主にベンチャー企業や中堅中小企業向けにCFO支援を行うハンズオン型のコンサルティングファームです。
経営支援第1事業本部では、PMI、BPR、BPO、組織再編支援、IPO支援を中心として、クライアントのオフィスに我々社員が常駐する形態でCFO機能を提供しています。こうしたサービスは弊社が創業以来、一貫して手掛けているサービス形態であり、弊社の中核部門です。
業務は多岐に渡りますが、例えば、クライアントの管理本部長が退職してしまったことから、そのカバーのために管理本部に入り、管理本部全体を回していくスポット的なプロジェクトもあります。加えてクライアント企業の社内において、営業部門・IT部門等各部署と連携した予算作成、銀行との交渉、株主折衝を行うなど、財務会計全般に携わる業務スキルが求められる難易度の高いオーダーが多いです。
IPO支援からPMI案件へ
青木
直近のマーケットや案件状況などはいかがでしょうか。
園田様
IPOブーム全盛の時代においては、IT企業が上場するタイミングでの常駐支援案件が多かったです。
IPO前後のベンチャー企業の案件は引き続き多いですが、昨今、PEファンドによる投資後のPMI案件、事業会社による買収に伴うPMI案件が増えてきています。
特に、国内企業と海外企業の統合プロジェクトや、オーナー企業に投資したものの優秀な人員が対象企業に不足している為に、我々に依頼が来るといったケースが多いです。
経営者の高齢化、事業継承といった理由から、地方や中小企業のM&A案件が増えており、弊社へのニーズは今まで以上に高まっている状況です。
青木
後継者不足、事業承継といった社会アジェンダにリーチした案件が直近は多いのですね。
園田様
そうですね。後継者不足に対する橋渡し役としてファンドの存在がありますが、戦略はあったとしてもそれを実行する部隊がいないとPMIやIPOは成功しないので、戦略に基づいて我々が組織全体を動かしていきます。社会的にも大変意義のある案件が多いですね。
ハンズオンコンサルティングを徹底する理由
青木
ハンズオンコンサルティングを徹底している理由について教えていただけますか。
橋本様
我々は、経営が一番良い判断を下すためには、現場で得られる情報と、役員陣が認識している情報、株主が認識している情報をすべて把握し、三者間のズレをなくすことが大切だと考えています。それはクライアント企業の一員として日々社内外のステークホルダーと接するハンズオンスタイルだからこそ成し得るものだと考えています。
青木
クライアント先で働く頻度について教えていただけますか。
橋本様
案件によっても変化しますが、メンバークラスの場合は、通常週5日でクライアント先に常駐します。マネージャー以上の場合は週に2~3回など進捗管理のために訪れるケースが多いです。
青木
御社には「リボルビング・ドア」というコンセプトがありますが、狙いや目的を教えていただけますか。
園田様
「リボルビング・ドア」とは、弊社の「経営者の支援と輩出」という経営理念に則って弊社のメンバーの一員であるというマインドを持ちながらクライアント企業にCFOなどの経営人材として参画し、一定の成果を上げてまたエスネットワークスに戻ってくることを指します。
我々は案件を受注する側ですが、CFO機能の提供の観点でパフォーマンスを最大限に発揮するためには、CEOの部下という意識を捨て、圧倒的な当事者意識を持って現場の経営陣やファンド等の投資家、ステークホルダーと対等に渡り歩くことが必要です。そのため、最大限リスクテイクし経営者として腕を奮うことができるよう、何があってもエスネットワークスに戻ってこられる一つの拠り所として機能しています。
青木
希望者は多いのでしょうか。
園田様
CFOを支援することは他のコンサルティングファームでも可能ですが、経営者の輩出というビジネスモデルに惹かれ、CFOとして活躍したいという思いを持つ社員が多いため、その希望者は多くいます。
青木
入社後何年でCFOとして活躍できるのでしょうか。
園田様
まずは、複数の案件を通してプロCFOの方と一緒に仕事して経験を積み、スキルを高めていきます。周りの評価も踏まえ、中途入社の方で早くて3年ほどでCFOと同じレベルで業務を遂行できたメンバーもいますが、平均的には5年から10年ほどでしょうか。ただし、経営者として輩出するに際しては、個人のレベルもそうですが、組織の成長にも一定程度寄与できたメンバーであることを前提としています。経営者として組織的な活躍を求められるわけですから、それが弊社内で実践されていることが重要と考えています。
「CFOとしての立ち回りが経験できる」、「上場のスペシャリストになれる」
青木
チームにはどのようなバックグラウンドの方が多いのでしょうか。
園田様
橋本のように監査法人出身で監査業務に関わっていたメンバーが比較的多いです、また事業会社の経営企画や経理財務で活躍されていた方もいます。
青木
今現在ご入社されている方の入社理由を教えていただけますでしょうか。
園田様
共通して言えるのは、若い内に様々な会社の経営にハンズオンで関わり、経営において必要な経験・スキルの幅を広げたいという思いから弊社への転職に至るケースが多いです。
また、特に事業会社の場合は、入社したものの業績が悪くIPOができず、結局IPOを経験するという入社目的が果たせなかったという理由もよくありますね。
青木
実際にそのような理由で入社された方からは、プロジェクトを経験してみてどのような声を聞きますか。
園田様
コンサルティングファーム出身の方々は、「提案したプランをクライアントと一緒に実行できるので、事業戦略のPDCAが回せる」と言っていただいています。事業会社の方からは「IPOの経験を積みたいが、事業会社では1度きりで、スペシャリストにはなりにくかった」、「今まではレポートラインが部長だったのが、いきなりCFOや株主などのステークホルダーになり、視点が高まった」と満足してもらっています。また共通して「何度でもレベルの高いアジェンダにチャレンジできる」といった声を聞きます。
我々の場合は、IPOを目指しているクライアントの案件をメインで手掛けていますし、時にはCFOとして企業に深く関わるチャンスもあります。
「会計・財務の知識や経験」と「自走できるマインドセット」
青木
スキル面ではどのような方を求めているのでしょうか。
園田様
ツールでしかないといえばその通りですが、業務上簿記などの会計知識が重要なため、会計バックグラウンドを有するコンサルティングファームや監査法人出身の方、事業会社の経営企画にいらした経験を持つ方を求めています。
事業会社の方であれば、投資先や子会社に経営陣や経営企画、財務経理として出向し、組織内での折衝、社内調整を経験された方はスキル・経験として非常にマッチしているかと思います。
橋本様
一方で監査法人出身の方は、スキル面ではすぐにキャッチアップできるのですが、監査業務で働く際に求められる「反復的な作業」に安堵してしまう方は向かないかもしれません。
我々がよく現場で相対するファンドの方々や現場社員、経営陣含め、コミュニケーションをとる方々の特性や性格は一様ではありません。
そういった環境の変化を楽しめるマインドがないと我々のビジネスモデル下で働くことは難しいと思います。
また、我々はファンドと一緒に仕事をするケースが多いですが、パフォーマンスが評価されることで、継続的な案件受注を実現し、結果として組織規模を拡大してきました。
それもアドバイスという対外的な目線ではなく、クライアントのニーズに柔軟に対応して、社内の課題を見極め、本質的に課題を解決しようとしてきたからだと思います。
青木
ファイナンスや財務を理解されていらっしゃるビジネスコンサルティングやストラテジーファームの方々はいかがでしょうか。
園田様
弊社にもストラテジーファームからの転職者はいますが、黙々と自身の業務を遂行するだけではなく、コミュニケーションしながらリーダーシップを発揮して組織やメンバーを引っ張った経験、チームで一つの目標に向かってモチベートすることに興味のある方は成長している印象です。
逆にブランド志向を求めて大手コンサルティンファームや、ストラテジーファームでキャリアを積まれた方だと、実行力を求められる事業改革の現場に付いていけないケースもあります。
青木
マインド面ではどのような方を求めていますか。
橋本様
我々は企業理念として「経営者の支援と経営者の輩出を通じて日本国経済に貢献する」を掲げていますが、その為にも誰もがやりたくない些細な仕事や、見過ごされている課題を拾うなど、待ちの姿勢ではなく目の前の課題にぶつかり、自走してくださる方々を求めています。
この理念に深く共感していただける方であれば、金融営業や事業会社経理の方など直結する経験が比較的少ない方でも採用する傾向にあります。
青木
「将来的に起業したい」「CxOになりたい」と言われる方も、御社が求めている人物と言えますか。
園田様
もちろん、そのような高いマインドを持った方も積極的に採用しています。一方で、我々は「社長と同じレベルでその企業を想う、パートナーになれ。」というモットーを心掛けています。起業の背景や目的は様々ですが、「IPOしてお金を稼ぎたい」等、個人の成長だけを求める方は我々の理念や感覚と合わないので見送らせていただく場合が多いですね。
「日本を経営者やCFOとして支える」
青木
最後に、候補者の方にメッセージをいただけますか。
園田様
エスネットワークスは、CFO機能の提供を通じてクライアントへ中長期的な経営支援を行っています。クライアントの業種・業態も異なるため、一口にCFO機能の提供と言っても様々な視点で業務の深堀りが可能です。
また、会社としてCFOを派遣するからこそ、失敗を恐れずにチャレンジすることが可能となります。経験を着実に積んで、ゆくゆくは日本を支える経営者やCFOとして活躍したい方はぜひお待ちしております。