イーソリューションズは、「事業プロデュース」という活動を通じて社会に新しい価値をもたらすことを目的に、リーディング企業の新規事業プロデュースや事業戦略立案、そして、国家的課題を解決する社会システムのデザインを行うプロフェッショナルファームです。 今回は、同社のソーシャルイノベーション事業部 稲葉 想 様(執行役員 事業部長)、石黒 聖 様(シニアアソシエイト)より、同社の魅力をアクシスコンサルティングの江口、山口がお聞きしました。この記事は2019年7月時点のものです。
ソーシャルイノベーション事業部のミッションは、地域社会における様々な課題を、民間の技術/サービスなどの組み合わせを考え、事業プロデュースをすることで解決することを目指しています。
江口
稲葉様、石黒様のお二方にそれぞれご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。
稲葉様
学生時代のインターンを経て2009年に新卒でイーソリューションズに入社し、11年在籍しています。
小売りや生活支援、自治体、また観光など、日ごろの暮らしと密接に関係したテーマを扱ってきました。
社内のキャリアとしては2013年にマネジャー、2014年から事業部長、2018年からは執行役員 事業部長となりました。また、数か月前からライフサイエンス事業部の事業部長も兼任しています。
石黒様
前職では地方自治体に勤務していました。3年半ほど勤めており、企業やNPOなどと協働で選挙の啓発やプロモーション、また地産地消に関連する事業に従事していました。イーソリューションズには2018年に入社し、「fukushima さくらプロジェクト」の運営にも携わっています。
山口
次に、SI(ソーシャルイノベーション)事業部についてお伺いいたします。最初にメンバーのバックグラウンドについてお伺いできますでしょうか。
稲葉様
石黒と私を含めて5人が在籍しています。それぞれ、信用調査会社出身、NPO出身、そしてもう1人は新卒で入社した社員です。外国語学部出身者も理工学部出身者もいますし、文理問わず多種多様な環境です。
江口
SI事業部は他の部署と比較して何が異なるのでしょうか。
稲葉様
対象としているのが「地域社会」という点と、そこにハードとソフト、そして人材育成などを組み合わせるというのが他の事業部と比べて特徴的な部分でしょうか。
地域社会を舞台に行っているプロジェクトが多くあり、例えば弊社が推進する『さくらプロジェクト』では、福島県を始めとする行政機関や参加企業の協力・協賛のもと、福島・東北への復興機運を風化させないことを目的に、福島で育てた新種の桜の苗「はるか」を全国へ届けたり、会津若松市の鶴ヶ城にて、桜の花びらに復興への想いを重ねたストーリーのプロジェクションマッピングなどを企画するといった活動を行ってきました。
江口
「ソーシャルイノベーション」とはどのような意味を持つのでしょうか、また稲葉様が考えるSI事業部のミッションについても教えていただけますでしょうか。
稲葉様
大きく見ると「ソーシャル」というのは日本各地の地域社会の総体だと定義しています。
また、色々なものを組み合わせて世の中へ新しい価値をもたらすのが「イノベーション」だと思います。ただし、その組み合わせにおけるすべての構成要素が新しい必要はないと捉えており、既存の技術や従来の政策などを組み合わせてソリューションを生み出すことを意識しています。
また、我々は企業ですので「地域社会が抱える課題に対してビジネスで解決する」ということを目指していますが、もちろん我々だけで全ての問題を解決できるとは全く思っていません。新しく価値を生み出したものが真似されたり広がったりして、課題が解決される「きっかけ」をつくることが我々の大きなミッションだと考えています。
つまり、地方自治体をひとつのフィールドとして考えた時に、大きな企業が日本全体や世界に広めていけるようなインパクトのある新しい事業をつくるお手伝いをすることです。いいものが出来れば、それをどうやって広げるかという方法や広がりうる設計とはどういうものなのかということも一緒になって考えています。
江口
SI事業部の現時点での課題や、それに対するアプローチについても教えていただけますでしょうか。
稲葉様
私個人の話にもなりますが、「先の先まで考える」ということは意識しています。
SI事業部のメンバーはそれなりに個の力がついてきていますが、まだ迷いなく一人一人が進められるというレベルには至っていません。壁にぶつかって自分の方向を知るということが多いので、私からしっかりと、中長期的な実行計画を示せるようになったらもっと良くなるのではないかと思っています。
迷うということは様々なパラメーターを考慮して考えられていないということだと思います。その部分が変われば、実行計画の精度にも変化があるだろうと考えています。
稲葉 想 様(執行役員 事業部長)
「御用聞きになって相手に頷いているだけではそこにいる意味がない」
江口
石黒様は現在どのようなプロジェクトを担当されているのでしょうか。具体的に教えていただけますか。
石黒様
現在は地方創生のプロジェクトを担当しています。
日本の地方自治体はそれぞれに持っている問題に対して課題解決を行っていますが、税収減や人口減など根本的な問題が多くあります。
そこで課題解決自体をもっと効率化させることができれば自治体にとっても価値がありますし、日本にとってもメリットがあるという意識からプロジェクトを行っています。
まずは特定の自治体で、例えば防災や農業というどこの自治体も悩んでいる「共通課題」に対して成功事例をつくることを目指し取り組んでいるという段階です。
山口
石黒様が入社を決めた理由は何だったのでしょうか。
石黒様
自分自身で何かをやり遂げたと言える仕事ができるというところでしょうか。「そこで何をしたのか」ということがすごく大事だと思っていたのと同時に、考え過ぎるよりは失敗しても何かを進めることが将来的には自分の糧となり自信に繋がっていくと感じていました。イーソリューションズはそのような希望に合う会社で、且つ若い方が活躍しているところという条件にぴったり合ったので入社を決めました。
入社して半年でまだまだ挑戦中ですが、そういう土台や環境があるということは日々実感しています。
江口
公務員からコンサルタントへの転職で、ギャップや苦労されている点などはありますか。
石黒様
コンサルティング会社というとすごくドライなイメージがありましたが、佐々木社長はもちろん、社風が大変人情派という部分は良い意味でギャップを感じました。
入社前は、地方自治体にいた頃の現場感覚を持って接することが自分の役割になっていくのではと考えていましたが、実際に入社してからは提案する側にそうした役割があるため、「企画のストッパー」になってしまってもいけないという点にジレンマを感じることもありました。
「視野が開けた」と思いはじめたのは、自治体のトップと顔を合わせて議論できるようになったことでしょうか。とても優秀な方が多い組織に向けて様々な企画をお伝えし、共感や「面白い」と思っていただき、さらには地方自治体では会えなかった方々と一つのプロジェクトで一緒に仕事することが出来るというのはとても貴重な経験です。
そうした日々を経て、現在は「イーソリューションズとしての意義とは何なのか」という視点に立てているような気がします。今の自分は、そこから価値のあるものを生み出せているか・いないかという部分の狭間にあるような感覚です。まだまだ過渡期ですね。
山口
組織の上層部と仕事する機会が増えたことに対してはどのように向き合っていらっしゃいますか。
石黒様
最近その機会がぐっと増えましたが、言い方や伝え方のニュアンスが難しいなと実感しています。佐々木社長にもフィードバックをもらうことがありますが、御用聞きになって相手が目指していることについて頷いているだけでは、弊社としてそこにいる意味がありません。社会視点やあるべき事業構想の視点でどうあるべきかについてスタンスをはっきりさせて、ディベートするという部分にチャレンジしています。稲葉がよく言うのですが、「クライアントと我々は全く違うことを、共有し合いながら進める」ということを頭に叩きこんでいます。地方自治体出身ゆえの現場感覚になりすぎてはいけないので、悪戦苦闘中ですね。
石黒 聖 様(シニアアソシエイト)
課題“解決”ではなく、課題“設定”力が求められる環境。「自分がフレームワークを持っていないとそもそも歩き始められない」
江口
逆に、前職のスキルを活かせている点はどのようなところでしょう。
石黒様
似ているなと思ったところは、休みの日も仕事の感覚を持って情報に触れることが日々に活きるということでしょうか。
目の前にあるものに全く新しいアプローチを考えるなど、創発意識を大切にしています。例えば前職で選挙部署に在籍していた時は、別業界のプロモーション事例を選挙にもってきたらどうなるのかという視点で企画を立てたりしていました。 今も地方創生で交通が課題となれば、移動という視点で世の中を見ると新しい気づきがあります。それを周りに共有することなどは前職から続いていることでしょうか。
江口
全く違うと思われる部分はありますか。
石黒様
地方自治体にいた時は課題自体がそこにあり、それに対するアプローチの枠もありましたが、今は課題を見つけ、「自分がフレームワークを持っていないとそもそも歩き始められない」というところでしょうか。
弊社のノウハウであるフレームワークもありますし、世の中にすでに転がっているフレームワークもありますが、その前段階として、「まず自分なりにこう考えているから、これが課題だ」と考えるという経験は今までにはなかったことで、これからそこに対処するスキルを身につけなければと考えています。
「思考体力」と「スピード感」が備わっている方が活躍しやすい
江口
石黒様が入社されて半年ほど経たれました。稲葉様が今後、石黒様に求められることについてお伺いできますでしょうか。
稲葉様
色々と期待する部分はあります。彼はどちらかと言えば性格が温厚でのんびりしているほうですが、そのペースが社内で活きたのかなという気もしています。
今後はもっと手を挙げて、自ら音頭をとってほしいと思っています。私に伝えてくれる「自分がこうしていきたい」ということを、年齢が上のメンバーにも声かけ出来ていけるととても良いですね。
あとはプレゼンでしょうか。私が早口というのもありますが、もう少しテンポよく話していけると多忙なクライアントの上層部の期待に応えられるようになると感じています。せっかく色々と考えているので、そこにトークスキルがついていくとアイデアが活きてきて素晴らしくなると思います。
山口
ご自身の感覚としてはいかがですか。
石黒様
話し方については、周りに指摘されて気がつきました。地方自治体では高齢の方に話す機会も多く、誤解のないように気をつけて喋るよう意識していました。
エグゼクティブの方々は相手が何を話そうとしているのかを単語ですぐに理解されるのでスピードも重要で、そこに合わせて自分の癖を修正していくことが大切だなと感じています。
江口
上記の話も踏まえ、SI事業部で現在求める人材像について教えていただけますか。
稲葉様
思考体力がある方ですね。考え続けるのはとても疲れる作業ですが、弊社のプロジェクトは業界横断型なので、全体最適で考えていたつもりでも、必ず業界ならではの課題にあたります。考えが変わっていくことを受け入れること、「もともと考えていたことに引っ張られるな」ということは社内で口を酸っぱく言われます。ベクトルを見失わなければ事業の形は変えてもいいのです。
目的に向けて考え続けられる思考体力がある人は、中長期的にものすごく伸びるということが経験則としてあります。
あとはスピード感がある人でしょうか。多くの人を巻き込むので、チームとしてレスポンスを早くしていかないと時間がかかってしまします。1人が疲弊して綻びが生まれると、全体構想が潰れてしまう可能性があります。一人一人が共通の目的の下に自走していかなければならない環境で、そういうスピード感覚がある方が伸びていきますし、活躍している実感があります。
石黒様
性格的には楽観的なタイプの方に合っていると思います。
社員同士の関係は良いですが、もちろん厳しい指摘を受けることもあります。それがただ辛いと思ってしまえばいい仕事はできませんし、負のスパイラルに陥りやすいのである種の明るさは必要かなと思います。色々な意見をフィードバックとして捉え、それを自己の成長機会として前向きに考えられる人で何かをやりたいという思いがある人には挑戦しがいのある場だと思います。
「目的意識」があれば、大きな会社で何十年もかけて経営企画になって初めてできる経験に、3~5年で全て触れることが出来る環境
江口
最後に御社を志望される方へメッセージをお願いいたします。
石黒様
若い世代にとっては、一種の「塾や部活」のように日々学びのある場所だと思っています。塾というのは、稲葉が言ったように目的意識を持って仕事に挑まなければ途中でドロップアウトしてしまいますし、逆に目的意識があればどんなことでも身に付く環境かと思います。
また、佐々木社長から直接のフィードバックをいただく機会も多く、そういった点は部活の顧問との関係に似ていると感じる部分があります。(笑)
「自分がやりたいからやっている」ということを見失わない人であれば、タフであっても充実した楽しさを同時に味わえるのではないでしょうか。
稲葉様
候補者の方に必ずお伝えするようにしているのは、若手のうちに弊社で得られる経験の大きさです。大企業の社長・経営幹部クラスの方々と一緒にお仕事する経験は、若い内に体験しておくほど後々大きな力となります。もちろんその分やるべきことは多いですが、大きな会社で何十年もかけて経営企画になって初めてできる経験に、3年から5年で全て触れることが出来ます。
さらに、誰もが耳にしたことのある大企業に対して社会課題解決型の新規事業を外部から提案できるネットワーク型の事業プロデュースは、他にはないと自負しています。タフに仕事をする覚悟さえあれば、プロジェクトは充実していてとても魅力的なものばかりです。
アクシスコンサルティング 山口、江口