「最先端テクノロジー」を活用した「監査・保証サービス」の開発と推進を担うアシュアランスイノベーション本部
堀場
井上様はDXコンサルとして長くご活躍されていますが、これまでのご経歴についてお聞かせいただけますか。
井上様
新卒で日本の大手自動車関連メーカーに入社し、海外営業・企画・マーケティング等の領域に従事しておりました。10年ほど経った頃、外に出て新しいことを始めたいと考えるようになり、EYのコンサルティング部門への転職を決断しました。
前職とは全く異なるコンサルタントという業種に興味を引かれたこと、自身がマーケットに出た際の価値がどれくらいのものなのか、試してみたいという気持が強かったことが、主な転職理由です。
EY新日本入社後は、前職のリレーションシップやナレッジを活かしてコンサルティング業務を行っておりましたが、未来のリーダーを育成する社内プログラムへの選出をきっかけに、監査部門のメンバーとの交流が生まれました。そこで縁あって監査部門のデジタルを推進するプロジェクトを紹介いただき、参画するうちに、デジタル監査の面白さを強く感じるようになりました。2018年にコンサルティング部門から監査部門へと移籍し、現在は、アシュアランスイノベーション本部でチームリーダーを務め、社内のデジタル人材育成のための戦略立案や施策の企画・実行、および社外に向けた情報発信やデザイン思考を活用したワークショップの実施など、DXの推進に従事しています。
堀場
井上様は現在、アシュアランスイノベーション本部にご所属とのことですが、同本部は貴社でどのような役割を果たしているのでしょうか。
井上様
2020年7月に設置されたアシュアランスイノベーション本部は、AI(人工知能)やオートメーション、ブロックチェーンといった最先端テクノロジーを活用した監査・保証サービスの開発と推進を担う組織です。EY新日本の片倉理事長を本部長とし、以下の4部門を内包しています。
●イノベーション戦略部
イノベーション戦略の立案、デジタル人材育成、デジタルに関するクライアントコミュニケーション支援、デジタルトラスト等の施策展開やサービスの開発
●CoE推進部
オペレーション(集約と標準化)、アナリティクス(分析)、オートメーション(自動化)の専門家組織として監査プロフェッショナルと協働した、監査業務の生産性と品質向上
●アシュアランステクノロジー部
EY新日本および各国のメンバーファームが開発した監査ソリューションと監査ツールの導入・展開
●AIラボ
AIを活用した監査ツールやソリューション等の開発、継続的監査手法の開発、グローバル開発プロジェクトへの参画
同本部には、私のようなDXコンサルタントの他、公認会計士、データサイエンティスト、エンジニアといった幅広い専門人材が集結しており、現在は約700名で構成されています。
堀場
同本部の特徴と強みを教えていただけますか。
井上様
同本部には未来の監査に対する明確なビジョンがあり、従来の監査法人の業務を新たなビジネスモデルへと変革するべく取り組んでいます。
大きな特徴と言えるのは、その変革の2本柱として、データとテクノロジーを活用した監査サービス「Smart Audit」と、安心・安全なデジタル社会実現に向けて、利活用が進むテクノロジーの信頼性を第三者の立場で評価・保証するサービス「Digital Trust」を掲げて進めていることです。
また、理事長直轄の組織なので、意思決定が非常に早いことが強みの一つだと思います。財務情報はもちろんのこと、今後は非財務情報の監査・保証のニーズが高まっていきますし、規制等を含む外部環境の変化も受け、監査業界に寄せられる期待の変化に素早く対応する取り組みを着実に進めています。
熱意ある仲間たちとEYグループ内外のデジタル人材を育成
堀場
井上様はアシュアランスイノベーション本部のイノベーション戦略部でチームを率いていらっしゃいますが、業務の内容や特徴についてお伺いしてもよろしいですか。
井上様
私のリードするデジタルタレントチームは、EY新日本の監査プロフェッショナルが、クライアントに訴求できるデジタル人材へ変革するための支援をすることをミッションとしています。デジタルが当たり前となった今、監査プロフェッショナルとしての専門業務はより複雑化しています。そのため、提供するサービスの訴求力を高めていくことのできるデジタル人材へと、メンバーを変革することが重要です。その変革のための戦略・施策づくりやデリバリーを当チームが担っています。また、社外向けには監査先企業様のDX推進とデジタル監査の共創をテーマに各種ワークショップの実施や、デジタル人材の育成や組織のDXなど、デジタルのDNA化といった共通の課題をテーマにさまざまな企業様との意見交換会も実施しています。
チームの特徴ですが、会計士として監査業務を担いながら、当本部の業務を兼務するメンバーが多く在籍しています。現場でデジタルを推進する苦労や課題を、身を持って経験してきていますので、デジタル人材の育成に対して何かしらの疑問や強い熱意を持って参加しているメンバーが多いですね。現在は20代前半から40代までのメンバーが所属し、私のような中途採用者もいます。チャレンジ精神が旺盛で、それぞれの経験を活かした議論ができるなど、非常に面白くて頼もしいチームだと感じています。
堀場
現職のやりがいや貴社で働くメリットについて教えてください。
井上様
EY新日本は日本の上場企業の約4分の1を監査クライアントとしていますので、会計監査を通じてあらゆる業種のビジネスナレッジの蓄積や、プロフェッショナルとしての経験を多く積むことが可能であり、それが大きなやりがいに繋がっています。
現在は、テクノロジーの活用によって歴史ある監査業界が変革していく過渡期にあり、監査のデジタル化への期待やデジタル保証に対するニーズは今後ますます増加していきます。新しい領域の開拓に挑戦する、その一員に加わることの重みや面白さを実感できます。
監査業界の変革―非財務情報の保証や非監査サービスの拡充とともに重要性を増すDX
堀場
監査業界が変革しつつあるとのことですが、どのような市場環境へと変化しているのか、お考えをお聞かせください。
井上様
DX推進により、財務情報の粒度がより細かくなっていますし、クライアント企業様の基幹系情報システムの統一化によるデータの集約化によって、データを入手できる範囲の拡大や受領するタイミングも早くなるなど、大きな変容を遂げています。並行して監査法人のDXも進んでいて、私たちが提供する監査もデータドリブンとなり、分析手法が高度化され、さらなる監査品質向上につながっています。しかし、世界中のビジネスの変容に伴い、これまで想定していなかった新たなリスクや複雑な課題も発生しています。そこで近年では監査法人が提供する非財務情報に対する保証サービスや非監査サービスにも一層注目が集まっています。
非監査サービスには、財務会計系のアドバイザリーやコーポレート部門のDX支援サービス、不正調査や対策、コンプライアンス専門のフォレンジクスサービスに加え、前述した「Digital Trust」サービスがあり、今後はこういった領域の業務も、市場のニーズに合わせて積極的に伸ばしていきたいと考えています。また、EY新日本にはサステナビリティやSDGsといった社会的課題に取り組む企業様へ向けた支援サービスもありますし、監査法人の役割はより一層広がっています。
堀場
非財務情報の監査・保証や非監査サービスの拡充という市場環境の変化の中で、井上様のチームはどのような役割を果たしていきたいとお考えでしょうか。
井上様
市場環境の変化に対応して、クライアント企業様に新たな価値を提供し続けることができるように監査法人のビジネスモデルも変革していく必要があり、その変革を担っているのが当本部、当チームです。
EY新日本のパーパスである「Building a better working world~グローバルな経済社会の円滑な発展に貢献する監査法人~」の実現に向けて、私たち本部はEYの各国メンバーファームのさまざまな専門家たちと連携しながら、ビジネスを深く理解し、プロフェッショナルサービスの提供を通じて世界のクライアント企業様の健全で持続的な成長を支えていけるビジネスパートナーを目指して日々活動しています。
特に、アシュアランスイノベーション本部が設置されて以降は、ただサービスを売るのではなく、課題を持ち寄って、クライアント企業様と一緒になって考え、新たな価値を共に創造する「共創」ということが、より実現できるようになりました。それを土台に、今後は一層、企業様の長期的価値の創出を支援していきたいと考えています。
堀場
将来的に、「デジタル人材育成のための戦略・施策づくり」の外販なども考えていらっしゃるのでしょうか。
井上様
もともとその領域はEYのコンサルティング部門の専門家が担当して多くの企業様の支援を行っていますが、EY Japan全体で現在社内向けに実施しているプログラムが外販のポテンシャルがあるのではと感じております。
社内向けのプログラムは、EY Japanの全メンバーのデジタル人材としての現在のレベルを測定し、個人の習熟度に応じた研修・育成を実施することで、プロフェッショナルとしての能力やスキルの再開発を支援するものです(測定+レベル別デジタル研修)。
こちらの内容を一部の企業様との意見交換の中でご紹介した際に興味を持っていただいており、社外向けにも展開できるのでは、と話が進んでいます。
DXに情熱を傾けられる方と監査法人の未来を創りたい
堀場
チームの雰囲気や求める人材についてお教えください。
井上様
チームは、イノベーションを推進し、トライアル&エラーを繰り返しながらアジャイルな働き方をする、スタートアップ企業のような雰囲気です。年次も職階も関係なく、フラットに意見を交わし合える環境が整っています。
求める人材についてですが、DXの素養や、テクノロジー関連のスキル、イノベーションマインドを持っていて、しっかりと行動に移すことのできる方でしたらすぐに活躍していただけると思います。あとは、とにかく熱意のある方ですね。これまでの常識に捕らわれず、探求心や好奇心があり、すぐに結果が出なくとも粘り強くチャレンジし続ける力がある方こそ、この変革の時代に広く重宝される人材だと考えています。
堀場
最後に、候補者へのメッセージをいただけますか。
井上様
これからの社会は人材価値が一層フォーカスされます。より良い社会の構築のために、自分自身がどのような価値を提供できるのかを今一度考え、それをどのように磨き続けていくのかというビジョンをもって次のキャリアを模索することが大切だと考えています。EYでぜひ自分自身の価値を感じて、さらにその価値を高めていっていただきたいと思っています。そうした方々と一緒に働きたいです。お待ちしています!