今回は、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC) 関西拠点 サプライチェーン&オペレーションズ(SC&O)チーム×ファイナンスチームのインタビュー。「関西地域への貢献」をミッションに掲げ、昨今の複雑化する経営・事業課題に対してコラボレーションカルチャーを生かした支援を積極的に行う同拠点。アソシエイトパートナー 横田雄一様 、マネージャー K.Y様、T.S様より、関西拠点の特色や目指す方向性、組織を横断したコラボレーションでの取り組み事例、また求める人物像などについてお聞きしました。
EYSC関西拠点の成長性やコラボレーションカルチャーに共感し、入社を決める
堀場
まずは皆さまのご経歴を教えていただけますか。
横田様
私は新卒から20年強、関西でコンサルティングを続けています。専門はSCM領域で、販売から購買、生産管理、原価管理、経営管理など、幅広く取り組んできました。
EYSCには2年前に転職しました。EYSCは他のBig 4と比べると、後発で急速に規模を拡大しています。関西でコンサルティングビジネスを拡大したいという会社の戦略と、新たなチームを作り大きくしたいという私の思いが合致し、転職を決めました。
K様
私は新卒で建設・公共系シンクタンクに入社しました。その後、民間企業の仕事に興味を持ち、コンサルティングファームに移りました。EYSCは4社目になりますが、横断プロジェクトやコラボレーションの機会が多く、仕事の領域や自身のケイパビリティを高められることに魅力を感じました。そういった柔軟性が、転職を決めた一因です。
入社後、業種や業界を問わず、業務改革やシステム改革に取り組み、現在はSC&Oチームで製造業や小売業を中心にコンサルティングを行っています。
T様
私は、2014年に新卒でEYSCに入社し、今年で10年になります。ファーストアサインから経営管理系のプロジェクトを中心に従事し、東京のオフィスから関西に移った今も、経営管理や管理会計系のテーマに強いファイナンシャルプランニング&アナリシス(FP&A)というオファリングチームでクライアントワークに注力しております。また、西日本のお客さまへの提案活動やリレーション構築、セミナー運営といったマーケティングの活動の役割も、一部担っています。
関西拠点は100名ほどの組織。距離感の近さが生み出す連携力で地域に貢献する
堀場
EYSC関西拠点のパーパス(存在意義)についてお聞かせください。
横田様
まずEY Japanは、長期的価値(Long-term value、LTV)を意識した提言でお客さまの経営を支え、社会へ貢献することをパーパスに掲げており、EYSC関西拠点も同じ目線で取り組んでいます。他社も似たようなメッセージは出していると思いますが、最初にこのパーパスを掲げたのがEYであり、メンバーへの浸透度合いを見ても、他社とは一線を画していると思います。
堀場
EYSC関西拠点の特色に関してはいかがですか。
横田様
まず、「関西での地域貢献」を重視しています。メンバーも関西居住だからこそ、関西の企業 に親しみがあり、それらの企業の成長に貢献したい思いが強いです。加えて、コンサルテーションを通じてメンバーも一緒に成長し、結果として関西での地域貢献につながればと考えています。
また、関西のお客さまは、コンサルタントを「会社名」ではなく実際にコンサルテーションを行う「メンバー」で選定される方が多いと感じています。例えば、外部のコンサルとではなく、一緒に改革を推進する内部メンバーと捉え、実際に同じ現場でワークすることを要望いただくお客さまが多い。だからこそ、私たちもお客さまに寄り添い、一緒に1つのことを成し遂げるところに重きを置いていきたいと考えています。
堀場
EYSC関西拠点の組織規模はどのくらいなのでしょうか。
横田様
まだ100人に満たない組織ですので、各スタッフとパートナーの距離感が非常に近いです。こうした「近さ」によって、双方ともさまざまな刺激を受けますし、多階層化によって生じている業界課題が起こっていないことも、EYSC関西拠点の特色であり魅力の1つであると思っています。
堀場
今後、EYSC関西拠点として強化していきたいことについてもお聞かせください。
横田様
1つ目は、東京との連携です。まず、関西のメンバーそれぞれはEY Japanの各組織に属しています。その上でEYSC関西部隊はバーチャルに横串でつながっている組織と捉えてほしいです。つまり、「関西で小規模ながら頑張っていこう」という組織ではなく、関西に拠点を置きながら東京のノウハウ・知識の取得、そして東京メンバーとも一緒に取り組む仕組みができています。今後とも東京との連携を強化することで関西メンバーも成長できますし、お客さまへの価値提供の幅が大きく広がると考えています。
2つ目は、領域横断での連携です。まだ小さい所帯だからこそ、コラボレーションが生まれやすい環境になっています。BC(Business Consulting)内のSC&O・Finance連携をはじめBC・TC(Technology Consulting)・PC(People Consulting)連携、さらに監査やTAXなど他サービスラインとの連携を促進し、お客さまとのニーズにお応えしたいと思っています。TAXとの連携例では、SCMの「物を運ぶ」仕事の中でも、グローバルで物を動かす際の関税や、それを管理する組織・プロセスなど、タッグを組むことでより高い付加価値が提供できます。領域横断で協働が活発というのが関西の特色でもあるので、今後も大切にしていきたいです。
堀場
関西拠点では常駐型のプロジェクトも多いと伺っております。
横田様
関西のお客さまが常駐を求めるのは、コンサルタントがしっかりお客さまにコミットして、プロジェクトを一緒に進めていくことを期待しているからです。ベテランの部長職の方とコンサルタントという関係性の中で対処していく状況になるので、当然プレッシャーもあるとは思います。
ただ、部長職の方たちとディスカッションしながら、合意形成していくといった経験ができるのは、現在の関西拠点ならではですし、成長していきたい人間にとっては非常に魅力的な組織だと思います。
一方、関西メンバーでも東京のお客さまの仕事をしている人はいます。その際はリモートワーク活用など、多様性のある働き方を考慮しながら組織としてフォローしています。
横の連携が総合力を生み、一気通貫な支援を可能にするSC&Oチーム
堀場
SC&Oチームのミッションについてお聞かせください。
K様
関西には、大手も含めて製造業の本社が多く所在しています。生産、物流、販売などの拠点もあり、複雑なサプライチェーンをどう強靱(きょうじん)化していくか、従来のSCMの枠組みを超えて、ESGやカーボンニュートラル、安全保障、企業統合・再編、ネットワークの最適化などのテーマも組み込みながら、リスクを減らし強くしなやかに変革していけるかが、大きな課題となっています。
そこに問題意識を持ったお客さまが非常に多いので、われわれもお客さまならではの課題感をしっかり捉えてご支援することをミッションにして取り組んでいます。
堀場
SC&Oチームの特色について教えていただけますか。
K様
サプライチェーンの中でも領域ごとにチームを切って、縦割りでお客さまの中に入っていくファームが多い中で、われわれは分断されることなく1つの適切なチームを組成し、面的にスクラムを組んで「柔軟に、一気通貫に支援する」というビジョンを持っています。
加えて、お客さまの目線では、取り組む中で、当初のSC&Oのテーマ以外にも視野が広がり、例えばシステム体系や人事・評価制度等の課題感なども見えてきます。われわれは所帯が小さいという話をしましたが、すぐ横に人事チームもテクノロジーチームもいるので、一緒にタッグを組み、総合力で勝負できることが価値になっていると思います。お客さまの課題に対して、大きいグローブで受け止めるべく活動しています。
堀場
実際の案件例についても教えていただけますか。
K様
精密機器メーカーさまの基幹システム全体刷新案件を例に挙げると、スコープが広くそれぞれが相互に関係し合う非常に入り組んだプロジェクトのため、弊社の中でも複数の専門組織からなるチームに分かれて参画しています。自身のプロジェクトスコープ外のところで頻繁に連携する必要があるので、有機的に協働して、横のプロジェクトの状況を知り、自チームの決定事項が相互にどういう影響し合うのか、念入りに連携を取りながら進めていかなければなりません。
こうしたチームを横断しての連携協働が盛んなことで、社内/お客さまさまざまなレイヤーに対する能動的な関与を生み出すことができるので、コンサルテーションのケイパビリティを磨くためにも、非常に有意義な環境だと感じています。
堀場
プロジェクトメンバーは通常何人くらいいらっしゃるのでしょうか。
K様
個々のプロジェクトは多くても10人程です。3~4人のプロジェクトは、シニアなメンバーが担うような、クライアントのマネジメント層への提言に若いメンバーもどんどん挑戦できるチャンスがありますし、プロジェクトを自身でドライブしていく実感を多く得られると思います。
東京メンバーとも連携し、支援の幅を広げるファイナンスチーム
堀場
ファイナンスチームも、コラボレーションが盛んなチームだと伺っています。
T様
関西のお客さまは、特に事例や実績など具体的なお話を求めていらっしゃる方が多い印象です。そのようなお客さまに対して、関西だけではなく、東京も含めたチーム全体でアプローチするという体制が、EYは非常に整っていると思っています。
そういった取り組みが結実した例に、 非製造業系クライアントの経営管理系の部署に私が常駐で従事していたプロジェクトがあります。
通常のレポーティング業務と並行しながら、包括的な業務プロセスや組織機能などの課題に対して、東京のメンバーに「お客さまがこういうことで悩んでいるので、壁打ちとして、事例の共有やディスカッションの相手になってほしい」と伝えたら、早速予定を合わせて来てくれ、クライアントとディスカッションする場 をすぐに設けることができました。 そういった活動を通して、最初は私1人だけだった支援範囲も徐々に広がり、最終的には20人程のEYのプロフェッショナルが関わるような案件に成長したのです。われわれとお客さまが共に成長できるような関係性を構築した、1つの成功例だと思います。
堀場
20人のプロフェッショナルというのは、さまざまな分野の方たちがいるのでしょうか。
T様
一部システムが関連するものや、BPOの業務改善、レポーティングの効率化や高度化など、多様なテーマをさまざまなメンバーでご支援できる、そんな関係性が出来上がっています。EYは幅広い領域をカバーできるケイパビリティがあり、あらゆる専門知識を活用できるので、関西とはいえ活動の幅は広いです。
堀場
東京のメンバーが関西に来ることは、頻繁にあるのでしょうか。
T様
東京にいるファイナンスチームのリーダーとは、隔週でコミュニケーションを取っており、月に1回は関西に来ていただいて、対面でのタッチポイントを設けています。
もちろん、そこに横田 も参画し、横と縦の両方のコラボレーションができるような物理的な機会を設けながら、チーム全体の連携を緊密に行っています。このような活動が、関西のファイナンスチームにおけるコラボレーションの強さにつながっていると思います。
堀場
T.S様は東京からいらっしゃいましたが、関西のお客さまの特色はどう感じていらっしゃいますか。
T様
やはり、近い距離感でのコミュニケーションを求められていると感じます。例えば、私はお客さまと一緒にインドの子会社に行ったことがあります。約1週間、首都から数時間程離れた距離にあるオフィスに赴き、経営管理系のレポーティングの整流化を図りました。近い距離を求めるお客さまとの関係性によって生まれた経験だったと思います。
次世代のコンサルでは、「SCM×ファイナンス」など、組み合わせによる価値の創造が求められている
堀場
SC&Oチームとファイナンスチームでのコラボレーション事例もお聞かせいただけますか。
横田様
領域をまたいだ案件では、半導体不足で電機メーカーの生産がストップし、顧客のビジネスにも影響を与えた事例がありました。モノの供給の問題である一方、事業PLにどんなインパクトがあり、投資実行の意思決定などを判断しなければならないという問題に合わせて向き合いました。
会社が大きいからこそ各部門がサイロ化し、情報が伝わりにくくなるという課題を持ったお客さまだったため、SC&Oチームとファイナンスチーム協働でマネジメント、モノの視点を持ったアセスメントから課題解決方針の検討というプロジェクトを実行したことにより、お客さまからも高い評価を頂いた案件になりました。
堀場
こういった領域をまたいだコンサルティングが求められる時代に突入しているのでしょうか。
横田様
私は、時代によって、コンサルティングの在り方そのものが変わってきていると感じています。私がコンサルティング業界に飛び込んだ20年前は、「全員がエースで4番」であることを求められました。テーマにかかわらず圧倒的に地頭と情報収集能力も含めて、何でもできる人がそろっていれば何でもできるという時代でした。
それから10年後、コンサル業界も肥大化して人も増えて、サービスの細分化が起こりました。SCMの中でもサービスは細かく分かれています。今もその状態にあると思います。
これによって何が起こったのか。サービスの細分化によって専門性が生まれ、お客さまへ提供できる価値も高まった一方、そのサービスによって会社全体がどう変わるのかを語れない人材も増えているのが事実です。
では、次代のコンサルタントには何が求められているのか。私は、社内外含めたコラボレーションを行う力だと思います。
例えば、「SCM×ファイナンス」など複数のサービスを組み合わせて新たな価値を創造すること。それによってお客さまが何を変えるのかのガイドができること。
コンサルタント一人一人に専門性があることは前提として、複数の専門性を持った人・会社をまとめて推進する力、コラボレーションにて価値を創造するリード力が求められている時代が、コンサルティング業界には来ていると感じます。 EY関西拠点は、ライトでバーチャルな枠組みの中で、そこを模索している。それに足る人材を育てていけば、非常に楽しいコミュニティができると考えています。
堀場
クライアントの会社を良くしていくために連動し、経営視点を持ったコンサルタントとして、さらに昇華させていらっしゃるのですね。
横田様
そうありたいですね。サイロ化されたことをやっていくのであれば、より特定された領域に専門性の高いブティックファームの方が良いかもしれません。一方、企業の経営をどうやって変えていくのか、という観点では、EYのような総合系コンサルティングファームに価値があると考えますし、まさにそのような「経営コンサルタント」の集団を目指していきたいと思っています。
会社名でコンサルを選ばない関西だからこそ、熱いベンチャーマインドを持つ方を求めている
堀場
ここからは、求める人物像についてお話しいただければと思います。
K様
われわれの業界は、専門性と客観性が必要不可欠ですが、しかし他人事であってはいけないと考えています。
私は過去にお客さまから、「うちの会社の将来をちゃんと考えてくれているのか。正しいことではなく、われわれが将来やりたいことを大事にした上で提案しているのか」と指摘を頂き、大いに反省しました。正論を突きつけるのではなく、どうするべきかを今、目の前におられるお客さまの目線・立場で”考えることを、今も教訓として大切にしています。一番求めているのは、お客さまとの近い距離間で、問題を自分事として捉え、お客さまと共に前に進めていく気概のある方ですね。
絶対的な正解がない世界ですし、問題を深掘りして、お客さまと同じ目線に立ちつつ、時代の潮流や最新の技術を含めたプラスアルファの示唆をいかに出していけるか、その実行を支援できるかが、われわれの価値です。そのような考え方や、行動ができる人がおられたら、ぜひご一緒させていただきたいなと思います。
T様
私もKさんとほぼ一緒ですね。主体性やオーナーシップを持って物事を前に進めていける人と一緒に仕事をしたいです。自信を持ってお客さまと向き合わないと、特に関西では信頼していただけません。「どうするべきか」をきちんと考え、自身の言葉で伝えて、心自体もそう思えるようなマインドセットを持った方が求められています。
ビジネスを拡大させ、支援範囲を広げながらお客さまと一緒に成長していこうという気持ちを持てると、強いコンサルタントになれると思うので、そういう方に来ていただきたいですね。
横田様
2人の話を聞いていると、非常にハードルの高い会社に感じるかもしれませんが、そのチャレンジの先に楽しみがあると感じてほしいです。関西の有名企業はどこもBig 4が出入りしており、あるお客さまから「うちは会社名でコンサルを選びません 」と率直に言われたことがありました。後発のEYとしてはうれしい話である一方、実際に登場するコンサルタントのケイパビリティや人柄を含めて判断されるということになります。
お客さまもコンサルタントを使うことに慣れてきているからこそ、お客さまが求められているのは、会社のブランドではなく各コンサルタントの力、だと思います。2人が言っているような人材ということですね。
ただ、転職してきて直ちにそんなコンサルティングができるかと言うと、それは難しいですよね。だから、まずはチャレンジして失敗してほしいです。もちろんアドバイスはしますが、失敗を恐れずに踏み込んでほしいです。
最近の若いメンバーを見ていると、「これはもうできません」「わからないのでできません」とブレーキを踏んで諦める場面によく出会います。
若いメンバーに最初から全てができるとは思っていません。ただ、100点ではなく80点を目指すと、取れる点数は60点になります。100点にチャレンジして80点を取ることを目指してほしいです。失敗を恐れず取り組み、反省を経て成長するマインドを期待したいです。私たちも一緒に進むことで共に成長でき、組織をより良くすることにつながるのだと思います。
堀場
熱いベンチャーマインドを持った方ですね。
T様
EYは、熱い思いを持っているメンバーが多いです。
横田様
世代によって価値観は異なるため、この熱い思いが通じる人もいれば、理解できない人もいると思っています。それは仕方ないと感じていますが、決して多様性を否定しているわけではなく、そういうことも含めて思いを言い合える関係性が大事なのだと思っています。
オフィスで通りすがりに、皆で立ち止まっていろいろ声を掛け合う時間が大事だと思っています。その中でお互いの価値観を知って、チームの相互作用につながり、チームそして会社が成長していくのだと捉えています。
堀場
最後に、EYSC関西拠点へ興味をお持ちの方にメッセージをお願いいたします。
T様
昔からEYは、ダイバーシティや多様な価値観を受け入れる組織風土がありました。いろいろな考え方、価値観に対して許容する心を持っている組織だからこそ、私は長く働けて、大阪に移ることもできました。ぜひ、さまざまなバックグラウンドを持った方々に入社していただきたいですし、その価値観を共有し合っていきたいなと思っています。
K様
大企業のお客さまと相対して切磋琢磨(せっさたくま)していく中で、自身が高められていくことを実感できる環境があります。関西を元気にしたい、関西が好きだという方の選択肢に、ぜひ入れていただきたいと思います。
横田様
私のポリシーは、「No Laugh, No Work」です。仕事の話だけして仕事だけやって、根を詰めていては絶対に良い結果は生まれません。つらい時こそ、笑いながら仕事をすることが非常に大事だと思っています。鬱憤(うっぷん)をためずに愚痴も言ったりしながら笑える環境を作るのが私の仕事です。
時に仕事がハードになる時もありますが、チームで笑いながら汗をかいて一緒にやり切る こと、結果、僚友として過去を笑いながら振り返れるような姿を目指していきたいと思います。そういうところに共感してくれるメンバーが来てくれたらうれしいなと思いますね。