EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、世界150以上の国と地域に約26万人を擁する総合プロフェッショナルファームであるEYの日本におけるメンバーファームです。クライアントの抱える様々な経営課題を解決するためにEYのナレッジやメソドロジー、そしてワールドワイドに拡がるネットワークを駆使して、最先端かつ高品質のアドバイザリーサービスを提供しています。今回は、同社のSC&O(サプライチェーン&オペレーションズ)を率いる平井 健志様(パートナー)、伊藤 亮様(アソシエイトパートナー)より、同チームの魅力をアクシスコンサルティングの祝がお聞きしました。この記事は2018年11月時点のものです。
自分たちで形を作る
ダイナミックなステージに惹かれ入社を決意
祝
はじめに、簡単に平井様・伊藤様のご経歴をお伺いしても宜しいでしょうか?
まずは平井様、お願いいたします。
平井様
私が大学を卒業した1996年はパーソナルコンピューターが凄まじい勢いで進化しているタイミングでした。「これからいろいろな形でコンピューターがビジネスにイノベーションを起こしていくのだろう」という想いで、1社目は国内のERPパッケージベンダーに就職をしました。そこで約10年、ERPパッケージを開発・導入する業務に携わり、製造業を中心とした様々なお客様のビジネスに触れ、ビジネスプロセスとITとのつながりを学びました。
その後、国内のITコンサルティングファームに転職し、大規模な全社BPRプロジェクトのマネジメントを複数経験し、2014年に弊社の前身であるEYアドバイザリー(現EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)に参画しました。当時のEYアドバイザリーは立ち上がってまだ数年であり、様々なサプライチェーン関連の提案機会があっても対応できるコンサルタントがいない、という状況の中でお声掛け頂きました。この後紹介する伊藤も含めて数人でサプライチェーンのチームを立ち上げ、現在の体制まで拡大させていきつつ、今は主にサプライチェーントランスフォーメーションの領域を担当しております。
パートナー/平井 健志 様
祝
ありがとうございます。続いて伊藤様、宜しいでしょうか?
伊藤様
私も就職活動からお話をさせて頂きますと、1社目はソフトウェアベンダーでキャリアをスタートしました。当時はITベンチャーという言葉がまだない中、ソフトウェア開発を専門とする仲間が集まってできた会社でした。その会社でソフトウェア開発やプロジェクト・マネジメントのスキルを身につけ、そのスキルを活かして2社目はグローバルな大手コンピューターメーカーに入社しました。最初はシステムの開発をしていましたが、コンサルティング事業の拡大に伴い社内人材公募があり、それに手を上げる形でコンサルティングの道に入っていきました。コンサルティング事業が拡大していくとともに、経験するプロジェクト規模も大きくなり、扱う技術も高度になっていきました。そんな環境下で、今度はグローバルコンサルファームで仕事がしたいと考えるようになり、2014年にEYアドバイザリーに転職しました。現在はEYアドバイザリー・アンド・コンサルティングになった弊社で、平井と一緒にSC&Oの部門におります。主に、サプライチェーンプランニングの領域を担当しております。
アソシエイトパートナー/伊藤 亮 様
祝
ありがとうございます。平井様と伊藤様は同時期頃にEYアドバイザリーに参画されたのでしょうか。
平井様
そうですね。
伊藤様
確か1カ月違いでしょうか。
祝
ありがとうございます。お二人が参画されたころのEYアドバイザリーは、グローバルでビッグ4の傘下というブランドはありつつも立ち上がって3年。成長から安定に徐々に入りつつあるとはいえまだまだ勃興期のファーム、と言えたかと思います。そのタイミングで参画されたポイントというのはどういったところだったのでしょうか。
平井様
私の場合はちょうどその頃の時代背景が影響しています。
先ほど少しご説明したサプライチェーンの領域含め、当時はいろいろな形でデジタルという言葉を使ったビジネスが生まれていた時代だったと感じています。私も、サプライチェーンのビジネス領域に最適なテクノロジーを用いてイノベーションを推進する仕事ができる企業を探していた時に、ちょうどEYアドバイザリーのパートナーをしていた方から声をかけてもらいました。そのようなビジネスを一緒にしないかと。
声をかけてもらった時に最初に考えたことは、EYのアドバイザリー領域は日本ではまだまだプレゼンスが低いが、グローバルで圧倒的なブランド力とプラクティスがあり、ビジネスを大きく変革するデジタルトランスフォーメーションの仕事ができるということです。グローバルと連携しながら、日本におけるプレゼンスを上げていく、先を行っている他ファームに追いつき、追い越す、そのダイナミックなステージに惹かれました。
祝
ありがとうございます。伊藤様はいかがでしたでしょう?
伊藤様
私の場合も、EYアドバイザリーが立ち上げフェーズであったところに惹かれました。当時勤めていた会社もグローバルカンパニーではありましたが、ドメスティックなプロジェクトが中心でした。海外と関わる場合でも、プロジェクトの打ち合わせで出張に行く程度で、「せっかくグローバルカンパニーに入社したのに、ここにずっといて良いのだろうか?」という想いも膨らんできました。お客様の方がむしろ自分よりもグローバルの経験が深い、という場面にも何度か直面して、「このままではドメスティックなコンサルしかできなくなってしまう」という危機感を感じたことが転職活動のきっかけです。グローバルプロジェクトではBig4の成長スピードが速かったのでそこに加われないかと考えて各社検討した中で、以前一緒にやっていた仲間がいたこと、日本ではまだそれほどの知名度はないが、自分たちで形を作っていけるところが面白いな、と感じてEYアドバイザリーに参画しました。すでにでき上がっている組織に後から入っていくと、「郷に入れば郷に従え」という入り方になりますが、発展途上の組織であればこそ自分たちで作っていける。ある程度リスクも感じましたが、最終的にEYを希望しました。
旧来のサプライチェーンのみならず
バリューチェーン全体のオペレーションまでもサポートする
EYのSC&O
祝
ありがとうございます。
お二人とも2014年にEYアドバイザリーに参画をされ、その後貴社としても組織変革など様々な動きがあったかと思います。一方で外的な環境に目を向けた時に、マーケットの潮流・マーケットから求められるものも変化しているかと思うのですが、お二人からご覧になって今マーケットから貴社やSC&Oのチームに求められているものはどういったものでしょうか。
平井様
今ですと、グローバル化とそれに伴うビジネスの流れの変化に対するコンサルティングニーズが多いですね。内資、外資問わず様々な企業が、グローバルネットワークを構築しており、一定以上の規模の企業においては、グローバルでのビジネス展開は当たり前となっています。よって以前に相談が多かった「グローバルにビジネスを展開するために」という話ではなく、グローバルにビジネスネットワークは作りましたが、実際にその中でビジネスをハンドリングする、コントロールする、多種多様な事象に適切に対応していくためにはどうすればよいか、という話が今一番多いと考えています。税制改革、様々な輸出入規制、情報セキュリティ、文化的な背景の違い、気候変動、事業継続等への対応など様々です。そうなった時に、サプライチェーンネットワークの見直しはもちろん、ビジネス全体のネットワークをよりシームレスに、より迅速に、より利便性高く、というニーズで出てきます。ただ規制は守らなければならない、いろいろな文化やローカルのパワーも尊重し活用しなければならない、今後の変化に対して柔軟性を持たなければいけない。それらを考えた時の私たちの状態は?最適解はあるのか?という話が、案件として増えてきているなと感じますね。
祝
ありがとうございます。伊藤様のご感触はいかがでしょう。
伊藤様
私もまったく同じ意見です。
平井が指摘した通り、サイロ型経営に陥っているグローバルカンパニーは、ビジビリティの低下、レスポンシビリティの不明確化等の課題が生じています。お客様のグローバルな体制において課題がいろいろ生じているのに、経営者からは、いったい何が起きているのか?誰がどのように対処していくのか?といったことがどんどん見えなくなっているのです。結果としてそれが財務的な数字の悪化として表面化し、弊社にご相談を頂くことが多いように感じています。実際に今私が担当させて頂いているクライアントが正に同様の課題に直面しています。そのプロジェクトでは、クライアントからの依頼によりEYの日本チーム、USチームが2カ国共同でプロジェクトを進めておりS&OP(Sales & Operation Planning)という経営管理プロセスを日米同時進行で導入しています。以前は、日米どちらかに優先順位を付けて、段階的に進めるやり方が一般的でしたが、最近では経営者がよりスピードを重視することが多くなってきており、今回のような日米同時進行という形となりました。この様に、クライアントにおける課題が変化して来ているとともに、私たちとしてもその変化に対応できる体制やソリューションを持つ必要があると強く感じています。
祝
今お話を伺っていて感じたことをお伺いしてもよろしいでしょうか。SC&Oというチーム名にそもそもサプライチェーン、というキーワードが入っていらっしゃるので、もともとはSCM周りが強みだったのかな、と拝察はしているのですが、今携わっていらっしゃる案件はそこに留まらない、もっと広範な、あるいは経営に近いようなそういったことを手掛けていらっしゃる印象があります。
その認識はあっていますでしょうか。
平井様
そうですね。サプライチェーン&オペレーションズというのはEYの造語です。旧来のサプライチェーンは、それぞれのプロセスがリニアにつながっていくものです。一方で現在は市場や顧客からの情報、サプライヤーからの情報など、社会全体の状況に応じてダイレクトにサプライチェーンの各機能を連携させていく必要があります。要はチェーンという言葉よりもネットワークという言葉の方がしっくりきます。私たちはそれを、デマンド・レスポンス・ネットワークという方向性でサービスを展開しています。それは、ストラテジー、プロセス、オペレーション、組織、テクノロジー等を最適に組み合わせたビジネスプラットフォームの構築となります。要は、旧来のサプライチェーンのみならずバリューチェーン全体のオペレーション変革をサポートしていくということです。当然、プラットフォーム構築のEnd to Endを支援するためには多くの能力が必要となります。そこで私たちはグローバル統一でサプライチェーン&オペレーションズに必要なケイパビリティを定義し、メンバーがその能力を獲得できるように、様々な教育コンテンツを用意し、対応しています。
Integrated Digital Planningを用いた
新しいサプライチェーンプランニングの動向
祝
ありがとうございます。
もう少し具体的なお伺いになるのですが、例えば先ほど伊藤様がご担当の領域をサプライチェーンプランニング、と仰っていたかと思います。こちらは具体的にどういうことをしていくことになるのでしょうか?
伊藤様
サプライチェーンプランニングとは、長中期的に需要を予測し、それに連動した調達・製造・在庫の計画を立てることによって、過剰在庫や欠品をなくそうとする計画系業務です。計画立案業務なのでデータに基づいて判断基準を決めてあげれば標準化、システム化が容易なのですが、一方で国ごとに商習慣や売れ筋商品が異なるためグローバルで画一的に展開できない難しさがあります。そのようなサプライチェーンプランニングですが、近年、私たちが最も注力しているのはIntegrated Digital Planning(以下、「IDP」)というソリューションです。これまで人がデータや経験に基づき判断基準を定め計画を立案していましたが、AIやアナリティクスを組み込んで自律的に判断基準を定めたり、変化させたりすることにより、業務プロセスやシステムへのタッチポイントを少なくします。また、自律的に順応していくため、国の違いにより考慮する点や人材の育成といった個別の対応が最小化されます。EYとしてもグローバルで1つのソリューションを共有しながら展開していけるというメリットを感じています。
祝
今お伺いしたのは、EYグローバルとして共通の形を作っていこうという動きなんですね。
伊藤様
そうですね。
先日、上海でIDPのThought Leadership Meetingという会議が行われました。各国のプランニングのリーダーが集まって、IDPはどのようなものなのか?、どうやってグローバルで展開していくのか?、トレーニングプログラムをどうするか?など、具体的な内容を一週間かけて話し合いました。また、IDPのソリューションデリバリーに関しても、国の垣根をなくし共通のデリバリー体制にしていくことも確認しました。
祝
ありがとうございます。そもそものサプライチェーンやバリューチェーンの流れが一方通行ではなくて多方向、相互連携的になってきているというお話や、IDPという新しい考え方・プランニングの仕方と言うものがでてきているというお話、非常に勉強になりました。
そうなると、SC&Oの採用で求めていらっしゃる方も、同業のSCMチームで求めている方よりも更に多様になる、旧来とは別の領域からも求めているというお話になりますでしょうか。
AXISコンサルティング 祝
平井様
そうですね。旧来のサプライチェーンの枠組みにとらわれない発想を顧客からは求められてきますし、私たちも常に新しいチャレンジをしていかないといけないというのが現状です。先ほどご説明したデマンドレスポンスネットワークという考え方のソリューションを理解・提案し、デリバリーできる体制作りが必要になってきますので、デマンドコントロールやマーケティング領域を経験されてきた方にも活躍の場があります。もちろん、工場や物流センターの各機能のマネジメントをしていた方、サプライチェーン構築や変革を推進していた方も従来通り募集しております。
また、サプライチェーン デジタルトランスフォーメーションは外せないキーワードとなっていますので、新しいテクノロジーを使ってビジネス変革の推進や、ビジネス構築をしてきた方、またはしたい方も積極的にご応募していただきたいと思います。
それ以外にも、プランニングでは会計的な要素、数字を見る力が圧倒的に必要となってきます。それらの方については、伊藤が熱く詳細に説明してくれると思いますよ。(笑)
私たちはチームで最高のサービスを顧客に提供することを大事にしています。よってチームの持つ能力として、コンサルティング経験者はもとより、事業会社で地に足の着いた企画を遂行されてきた方の経験・能力も非常に重要と考えており、幅広くいろいろな経歴の方を必要としています。
伊藤様
平井が申しました通り、財務会計や管理会計の知識・経験も重要だと思います。なぜなら、CEOやCFOが私たちのクライアントだからです。CEOやCFOはファイナンスの観点で会社を見ていて、その数字の変化に非常に敏感です。製造業で事業企画や事業部経理をご経験された方や、経理・財務部で予算管理や財務分析に従事されていた方々であれば、よく御存じなのではないでしょうか。そのような方にも是非ご参画いただきたいと考えています。
祝
旧来のサプライチェーンマネジメントからより数字的・会計的な要素が必要になるので、そういった方も募集をされている、ということですね。ちなみにそういった方々を含め、このタイミングでSC&Oにジョインをされた際、やりがいとして感じて頂けそうな魅力点とはどういったところでしょうか。
平井様
まず、リージョン間や法人間、部門間、チーム間の垣根なくつながる(Connected)ということが、EYのカルチャーであり、戦略であり、そして大きな武器でもあります。またこれらを推進することが評価される組織でもあるので、垣根をなくしてお客様のために最高のサービスを提供したいという発想を持てる方には働きやすい、やりがいのある環境かと思います。昨今の複雑に絡みあう社会や企業ネットワークで発生する課題に関しては、私たちのチームだけで解決しきれない案件にぶつかることが多々あります。サプライチェーンの課題から発生した案件ではあるが、実際には他領域(exセールス等)が課題の本質というようなケースもありますし、加えてテクノロジー、組織、リスク等も並行で考える必要があります。そうなった時にテクノロジー、ピープルアドバイザリー、リスクアドバイザリーのメンバーとすぐにつながれることが重要なのです。自分の能力で解決したい、自分の数字を達成したい、という気持ちも大事なのですが、EYは横とつながってチームとしてお客様の課題に対応することに喜びを持てる人が多い会社だと思います。加えて、私たちのビジネスはグローバルや様々な環境とのつながりも外せない要素になっています。お客様及び社内ともに多様性のある環境で仕事がしたいという方もEYにフィットすると思います。また、先ほども申しましたが、EYはチームを大切にします。サプライチェーン&オペレーションズでは、チームの大小にかかわらず、最適なチームを組成し、そのマネージャーには、チーム運営に関して必要となる権限を付与し、プロジェクトを遂行してもらっています。
そうすることで本質的なマネージャーが成長し、お客様に提供する最適なチームを組成する力が身につくと考えています。新しい環境でクライアント業務やチーム運営によりコミットしたい方は、是非とも私たちのチームに興味を持ってもらえればと思います。
祝
伊藤様からご覧になっていかがですか?
伊藤様
平井にすべて話されてしまいましたが…(苦笑)
補足になりますけれども、グローバルではEYのサプライチェーン・コンサルティングの評価は非常に高いです。海外のEYと付き合いがあるので、日本でもEYにプロジェクトをお願いしたい、という様な仕事がこの数年非常に増えてきています。英語でのコミュニケーションや様々な国の人たちと仕事ができることに、面白さを感じていただける方であれば仕事を楽しんでいただけるのではないかと考えています。
候補者へのメッセージ
祝
ありがとうございます。
それでは最後に改めて、候補者となられる方、このインタビューをご覧になっている方にメッセージを頂いて宜しいですか?
平井様
すでに様々な媒体を通じて発表されていますが、2019年7月、私たちでいうところの次会計年度からEYのJapanエリアとAsia-Pacificエリアが統合し、新生Asia-Pacificエリアとして、日本からアジア太平洋地域へ、さらにアジア太平洋地域から全世界へグローバルに展開を加速する日本企業に、よりスピーディーかつ充実したグローバルサービスを提供することが決まっています。これは私たちにとっても非常に大きなチャンスであります。新生Asia-Pacificの最大リージョンとしてマーケットに高い発信力を持つとともに、55,000人を越えるエリアメンバー全体で地域を横断したグローバルチームの迅速な編成が可能となります。お客様がAsia-Pacific地域を重視している中で、その課題に対してダイレクトに解決策を提供できる。こうした事は私たちのビジネスにとって大きな価値があります。
私たちサプライチェーン&オペレーションズは、先ほど伊藤からお伝えした通り、グローバルなプレゼンスは非常に高い一方で、日本での認知度、プレゼンスはまだ低いと自覚しています。そのため、サプライチェーン&オペレーションの改革において、日本で一番高い能力を兼ね揃えたコンサルタント集団になる、というビジョンをチームで掲げており、グローバルと連携しながら日本でのプレゼンスを格段に向上させる、積極的にマーケットにソリューションを打ち出していく等、目標を達成するために必要なチャレンジは数多くあります。このようなダイナミックなステージに参画をして、お客様の企業価値向上と自分自身の能力向上をしたいという方は大歓迎です。ぜひ一緒に仕事をしましょう。
祝
本日はありがとうございました。