フロンティア・マネジメント株式会社 経営執行支援部門では、クライアントにトップマネジメントから現場レベルまでを多層的にサポートするチーム体制で参画し、あらゆる経営課題の解決に向けた支援を行っています。また、経営人材不足の社会課題を解決するべく経営人材の育成、輩出をパーパスとして持っています。こうした経営執行支援の中で、必要な場合にはインテリムCXO等の役割を担い、経営体制そのものの構築・補佐も行い経営人材育成に資する機会が多いことも大きな特徴です。
今回は、同部門の西田明徳様(常務執行役員、経営執行支援部門長)、上山聡子様(マネージング・ディレクター)、大西恭平様(ディレクター)より、ご経歴、部門の特徴、求める人物像などについてお聞きしました。
フロンティア・マネジメント 経営執行支援部門 西田様、上山様、大西様のご経歴
井内
まずは、皆様のご経歴を教えてください。
西田様
外部専門家として会計事務所税理士として多くの経営者と接するうちに、「若いうちにより深く意思決定に関与し経営環境に入ってみたい」と思うようになり、その後、2003年にご縁があってPEファンドが出資する企業にてCFOを経験することができました。その後、2007年に当時設立したばかりのフロンティア・マネジメントへ入社しました。
井内
西田様は、フロンティア・マネジメントが設立された当初から参画されているんですね。
西田様
そうですね。もともとフロンティア・マネジメントは、産業再生機構出身のメンバーが「民間でも産業再生機構のようなハンズオン型経営支援ができる組織を作りたい」と立ち上げた会社です。
設立の目的は大きく2つあります。1つは今まで前例を見ないワンストップで経営課題を解決できるコンサルティング会社を作ることです。事業再生には、ビジネスや金融、会計、法律などの専門家たちをコーディネートする必要があります。しかし、日本にはプロデュース能力のあるプロフェッショナルな経営人材が不足しており、その課題を解決したいと考えました。
2つ目は、産業再生機構のような今まで日本にないコミットメントが強いハンズオン型の経営支援を行っていく組織を作ることです。確実に結果に結びつくハンズオン型で経営支援のできる組織を作りたいと考えたのです。 そういった大きな2つの軸によってフロンティア・マネジメントが設立されました。
井内
ありがとうございます。次に、上山様のご経歴を教えていただけますか。
上山様
私は新卒で日本銀行に入行し、マクロ経済分析や産業・企業の動向調査、G20やIMF関連などの国際会議対応などに従事しました。景気調査活動の一環として経営者の方々からお話を伺う機会があり、この中で経営者の方々の考え方に大変刺激を受けたこともきっかけとして、少しずつ企業経営というものに興味を持ち始めました。
経営者と共に仕事をしてみたい、経営を通じて経済に貢献していきたいとの想いから、マッキンゼー・アンド・カンパニーへ転職し、小売や消費財、金融、素材、医療機器、金融などさまざまな企業の経営課題解決のご支援を行ってきました。
マッキンゼーでのコンサルティング業務はとても充実していましたが、一方で「自分で意思決定をして、最後までやり切りたい」との想いも高まり、その後、たまたまご縁のあったデリカテッセンの新ブランド立ち上げと経営に携わりました。
その後、デリカテッセンの事業展開がひと段落して新たな機会を探す中で、ご縁のあった1つがフロンティア・マネジメントの経営執行支援部門でした。クライアント企業へ社員や経営陣として入っていくような支援スタイルも取り得る点や、新しいチャレンジを応援する風土のあるチームであると感じた点が、入社の決め手となりました。
井内
大西様のご経歴を教えてください。
大西様
私は新卒で伊藤忠商事に入社し、繊維カンパニーのブランドマーケティング部門で、主にファッション関連のブランドビジネスに携わってきました。ビジネスを構築してグロースさせたり、ベンチャー投資を行ったり、また100%子会社に出向してマネジメントを経験したりと、十数年在籍する中で多様なビジネス経験を積ませていただきました。
もちろん総合商社なので、年齢や役職があがれば経営側に参画する機会も増えていくと思います。しかし、フロンティア・マネジメントでは、コンサルタントのスキルを身に付けながら、経営執行支援の経験や、またクライアントのニーズによってはクライアント先の経営職やCxOクラス、現場職など様々なレイヤーの経験を得られることに魅力を感じて2020年に転職をしました。
ハンズオンで経営改革実行を手がける“経営執行ラボ”
井内
続いて、経営執行支援部門のビジネス概要について教えていただけますか。
西田様
経営執行支援部門とは、繰り返しになりますが、日本における社会課題の1つである経営人材不足をその育成・排出により解決することを目的とするチームです。例えば、複雑化・高度化する経営課題を抱える企業に対して、現在まで弊社が培ったターンアラウンドのノウハウ、或いは確実に早期に結果を求められることを宿命として持たれるプライベートエクイティの方々との案件での幅広いバリューアップのノウハウ、さらには大手事業法人にて特定のテーマをハンズオンで完遂してきた経験値などを駆使しながら、クライアント企業の経営改革に直截的・多層的に参画することで、課題解決を図る「経営執行支援を行うプロフェッショナル集団」です。
一般的なコンサルティングサービスとは一線を画し、クライアント企業の経営陣や従業員の一員として多層的に経営の現場に常駐し、自ら意思決定にも加わり結果にコミットする経営者代行や、経営体制の構築・補佐などを通して、経営計画の実行を行っていきます。
井内
経営執行支援部門を設立された想いや、狙いについて教えていただけますか。
西田様
2つあります。1つ目が、プロ経営者のマーケットを確立するためです。欧米ではすでにプロ経営者のマーケットが確立しており、多額の契約金で企業を渡り歩く経営者も少なくありません。一方、日本では、プロ経営者のマーケットが確立していないがゆえ、次の仕事が決まらずに1、2年間もロスしてしまうプロ経営者も少なくないです。そういった経営者の機会損失を防ぐために、日本でもプロ経営者のマーケットを確立したいと思い、立ち上げました。
2つ目が、同時に複数社の経営を経験できる機会を創出するためです。特に吸収力のある若手の頃から多層的に経営支援ができれば、その経験に比例して、経営リテラシーを高めることができると考えていたからです。
現在、経営執行支援部門には約40名のメンバーが在籍しています。世の中の状況やトレンドは常に変化しますが、そのフェーズに合った経営テーマを試行錯誤しながら研究をする、そして外部エキスパートとつながり思考を深めていくこと、まさに我々は“経営執行ラボ”といった組織です。
成功報酬型でクライアントの経営にコミット
井内
他のコンサルティングファームと比較した際の強みや特徴を教えてください。
西田様
我々の特徴は、成功報酬型を取り入れているところです。もちろんビジネスを成立させるためには、利潤の追求もしなければなりません。しかし最大限リスクを取ってでも、成功報酬型でクライアントにコミットし、結果(業績)を出す自信があるからこそできるのです。今はチームとして成長している段階ですが、成功報酬を常態化させることで将来的に経営執行支援部門がこういったスキームを持つチームとしてブランド化ができれば他社との差別化になると考えています。
また現在はPEファンドや金融機関から投融資された会社の経営執行支援を担い、ステークホルダーとOneチームとなって執行支援を行うことが業務の中心です。しかし、将来的には現在の事業を続けながらも、一方で事業会社へ直接取引をして執行支援をしていくスタイルも確立していければと考えています。
井内
PEファンドとの違いについて伺ってもよろしいですか。
西田様
まず、違いというよりPEファンドの皆さんは重要なパートナーとしての位置づけです。
それは我々が経営人材の育成・排出を念頭に置いた場合、クリアーに実現できる機会を共有できるからです。
その上でファンドとの違いを挙げると、我々は“ファブレス型”、つまり自社工場を持たないエクイティビジネスで、かつ多層的な支援をしたいと考えています。例えばPEファンドでは、特定の案件に介入して一定期間その案件にフォーカスをしていくスタイルが一般的です。もちろんそれが悪いわけではありません。しかし、私共では多層的な経営支援をする場面が多いため、経営経験に比例して経営リテラシーが高められるというのが大きな違いだと思いますね。
井内
上山様はマッキンゼーご出身ですが、前職と比較した際の強みをお聞かせください。
上山様
クライアント先に深く入り込んで経営執行を支援していくこと、時には一定期間社員やCXOなどの立場を担う場合もある点が私共経営執行支援部門の最大の特色だと思います。加えて、クライアントの企業規模が、売上1兆円超の大企業から数十~数百億円の中堅・中小まで非常に多岐にわたるため、様々な組織・経営スタイルに関する知見を蓄積していることも私たちのチームの強みのひとつです。
またチームの働き方においては、DX、財務会計、ESG/SDGsなど、様々な専門性を持った多様な人材でチームアップすることが多いこともあって、チーム全体で勿論密に連携はしますが、より個人の裁量が高い形でクライアントを支援する傾向があるように感じます。
井内
大西様は、フロンティア・マネジメントの強みをどのようにお考えですか。
大西様
我々は、クライアントの要望に応じてハンズオン型で支援に入り、クライアント企業のバリューアップに貢献していきます。最近はハンズオン型でコンサルを行うファームも多いのですが、我々は多層的にクライアントを支援している点が特徴だと思います。例えば大企業の事業開発のメンバーの一員としてクライアント企業の名刺・ポジションも頂いて新たなビジネスモデルの創造に協働している若手がいるなど、ハンズオンより更に入り込んだ「ボディオン」のご支援も得意としています。
例えばクライアントの各層に合わせて、我々も案件責任者がトップ層に入り、プロジェクトマネージャーがミドル層に入り、ジュニアメンバーが現場層に入ります。例えば私の場合はプロジェクトマネージャーとしてミドル層に入るのですが、トップ層の話も一緒に聞きに行きます。同じように案件責任者もミドル層と現場層とも出来るだけコミュニケーションを取るようにします。
このような方法でのクライアントとのコミュニケーションを通じて、経営指標等から直接読み取れない組織・人の動きをチームで可能な限り具にチェックし、課題を突き止めます。課題が見つかれば、リソースを集中させて解決に向けて動き出すとともに、経営者やステークホルダーに対しても課題の所在と打ち手の方向性をきちんと伝えます。必ずしも効率的とは言えませんが、泥臭くも細かく丁寧にコミュニケーションを取ることで、クライアントの主要メンバーとも目線を合わせながら、本質的な課題にアプローチできるところが、我々の強みであり、クライアントに対するバリューにも繋がっていると思います。
地政学的なリスクや経済情勢で進む企業経営の二極化
井内
続いて、マーケットのトレンドやクライアントからのニーズの変化などについて教えていただけますか。
西田様
最近の潮流としては、5年後、10年後と先を見据える経営者が増えている一方で、地政学的なリスクや世界の経済情勢の変化に伴うインフレの波に影響を受け、今日、明日の経営さえ危うい企業も増えています。今後ターンアラウンドとサステナビリティと企業の方向性は二極化していくことが予想されますが、我々はそういった両面に対応する経営執行支援をやっていきたいと考えています。
上山様
私自身はこの1~2年で、SDGsに資する新規ビジネス開発や、ESG戦略策定・実行などのご支援をする機会を多数いただいているのですが、このようなご相談の傾向を見ても、経営者の方々が事業の中長期的なサステナビリティへの意識を強められていることを感じますね。
実は日本銀行にいた頃から、今でいうESGやSDGs、当時で言えば企業のCSR活動、もしくはSocial Entrepreneurshipのコンセプトには個人的に興味を持っていたのですが、2000年代当時はまだまだ企業経営においては「傍流」の扱いでした。しかし、この1~2年は、投資家と直面している経営トップの方であればあるほど、ESGやSDGsの観点の重要性を強く意識されたご相談をいただくことが多く、時代が急激に変わった印象です。
大西様
他にも団塊世代が引退されて、オーナーチェンジをするつなぎとして、一時的にでも経営をサポートするニーズは今後増えていくと思います。
「自責思考」のある人が活躍できる
井内
現在、経営執行支援部門ではどういったバックグラウンドの方がいるのでしょうか。
上山様
コンサルティングファーム出身者は私を含め一定数いますが、コンサルティング経験と実際に事業運営に携わった経験の両方を持つメンバーが多いというのが一つの特徴ですね。
他にも会計士など経理財務に強いメンバーや、DXに強いメンバー、ファンド出身のメンバーなど、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっています。先ほど申し上げた事業運営経験に関連して、総合商社出身のメンバーも多いです。商社の方は、もともと「経営者になりたい」という思いをお持ちだったり、多様なステークホルダーと上手く調整しながら物事を前に進めていく力をお持ちだったり、私共のチームでご活躍いただける資質を備えた方が相対的に多いように感じます。
井内
実際に、大西様は商社のご出身ですが、前職の経験を活かせているという実感値はいかがでしょうか。
大西様
私は入社後、大手企業の戦略策定や事業計画の策定を経験したのち、外資系企業の日本法人の買収に伴うPMIや、その後事業をグロースさせる支援を行ってきました。特にハンズオン型の支援では、私が想定していたよりも商社時代のネットワークや経験が活かせていると思っています。
例えば、実行フェーズにおいて、マーケティングや物流等のモジュールを進めていく上で、外部の会社との連携が必要になります。その際に、これまでの知見やネットワークを組み合わせることでクライアントへのバリュー提供に繋がることがあり、これは商社出身者ならではの動き方であると感じています。
井内
経営執行支援部門では、現在どういった人材を求めていますか。
大西様
経営執行支援部門は現在40名程度であり、ベンチャー精神で成長を続けているチームです。チーム自体、まだ出来上がっていないため、「どんな経験をさせてもらえるの?」というスタンスの方よりも、「どうしたらもっと組織はよくなるか」「どうやって事業を作っていくか」という事業家マインドのある方にぜひ来ていただきたいなと思いますね。
上山様
レイヤーによって異なりますが、若手の方に関しては、スキルは入社してからでも我々がサポートできます。マインドセットとして向上心があり、他責ではなく自責で「どうしたらクライアントをよくできるか」もしくは「自分たちのチーム(経営執行支援部門)をよりよくするためにどうしたらいいか」とプロアクティブに考えられる方が合っていると思いますね。
西田様
他責ではなく自責であるというのは大事なことです。なぜならあらゆる経営者が自責であり、他責の経営者はいないからです。自分事としてお金も人もすべて考えられる素養がなければやっていけません。私が今まで見てきたなかで、自ら率先して火中の栗を拾いに行ける人は、グッと成長していますし、すばらしいプレイヤーになっています。
社内のディスカッションでは、まず「YES」から
井内
チームの雰囲気についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
大西様
カルチャーとしては、風通しがよくコミュニケーションも闊達です。実際に、若手メンバーが、経営やクライアントへのバリュー創出のために「提言したい」ことがあれば、シニアメンバーが集まって意見を聞く制度もあります。
また、メンバーのバックグラウンドが多様なので、お互いの個性を認め合おうとするカルチャーはありますね。例えばディスカッションでは、まず「YES」から入ろうと。それをあえて決めてはいないのですが、チーム内では自然とみんなが意識しています。また、メンバー一人ひとりの強みを、チームの強みに変えていこうというマインドはみんなが持っていると思いますね。
井内
チームの働き方について教えていただけますか。
大西様
メンバー一人ひとりの働き方を尊重しています。実際にプロジェクトに入る前に、最初に「どんな働き方がいいか」とディスカッションを行います。その上で、「子どもがいるから土日は働きたくない」や「月曜はプレッシャーを感じやすいから仕事を少なめにしたい」などの意見をできるだけ考慮しています。
上山様
やはり良いパフォーマンスを出すためには、プライベートを含めメンバー一人ひとりが充実した人生を送ることが大事だと思っています。何か決まったルールがあるというよりは、案件別にチームアップする際に「こういう働き方がしたい」とお互いにしっかりと話し合い、多様性を認め合いながらチームマネジメントを行うようにしています。
まだ道半ばの部分もありますが、ライフイベントとも両立しながら長く働ける組織であるための仕組み作りにも取り組んでいきたいと思っています。最近では一年間の育児休暇を取得する男性のメンバーもおり、このような個々人の状況に応じた働き方の選択やその中でのキャリアアップを、チーム全体でも是非歓迎・応援していきたいと思います。
上場会社のCEOや、ベンチャーCFOなど、プロ経営者としてのネクストキャリア
井内
将来、プロ経営者を目指したいという方に向けて、御社ではどういった経験が積めるのでしょうか。
大西様
クライアントのニーズに合わせて対象企業に社員で入ったり、管理職で入ったり、CxOクラスで入ったりといった機会があります。
それに加えて、クライアントと戦略や経営策定を一緒に行い、実行フェーズにおいてはハンズオン型で、まさに「同じ釜の飯を食べながら」自分事としてバリューアップをしていく経験ができます。
我々は「アドバイザーというよりは、当事者として支援をしよう」という意識のもと、実際のプロジェクトでは、常にクライアントの立場に立って進めています。例えポジションとしての経営者そのものの経験でなくとも、こういった経験が経営者としてのキャリアに繋がっていくものと考えます。
井内
実際に、御社を卒業された方は、どのようなキャリアパスを歩んでいらっしゃいますか。
西田様
上場企業のCEOや、上場、未上場問わず事業会社の経営現場で手腕を振るっている方、またPEファンドのマネージャーをされている方など。また、ベンチャー企業のCFOや事業部長として活躍しているメンバーもいます。
井内
ありがとうございます。では最後に、メッセージをお願いします。
西田様
経営執行支援の業界を一緒に作っていきませんか。我々は、単にクライアントにベストプラクティスをお伝えしたり、枠にはまったやり方を示したいわけではありません。実際に経営課題を解決するためにクライアント企業に入り込んで価値を提供していく、そういった経営執行支援の業界を作っていきたいのです。みんなでフラットに意見を出し合ったり、役職が下の方でも上を動かせるそんなチームを目指しています。
上山様
我々自身も発展途上にあるチームなので、一緒にチャレンジしたいと思ってくださる方に来ていただきたいですね。そういった気持ちをお持ちの方は、気持ちよく、のびのびと活躍できるチームであると思います。
大西様
我々のミッションに強く共感していただける方や、一緒に我々の事業や組織を作っていきたいという方にぜひ来ていただきたいです。特に事業会社出身の方は「コンサル経験がない」「スキルがないから不安」と思う方もいると思います。しかし教育環境は整っていますし、努力次第でスキルは身に付きます。事業会社で経験を積まれた方にも臆せずチャレンジしていただければと思います。