新規事業創出やDXを強みにクライアントの課題を支援するコンサルティングサービスから、自社での新規事業まで手掛けるイグニション・ポイント株式会社。
今回は、デジタルユニットを率いるパートナー 羽間裕貴様に、これまでのご経歴、同社ならびに同ユニットの特徴や強みについてお聞きしました。
パートナー羽間様のご経歴:大手コンサルティングファーム、メガベンチャーを経てイグニション・ポイントに参画
井内
まずは、羽間様のご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。
羽間様
新卒でアクセンチュアに入社し、製造業界や流通業界を中心に約5年半従事しました。
その後、楽天株式会社に入社し、約4年10ヶ月の間にロジスティクス事業部の立ち上げや、事業企画、プロダクト開発などに携わるなど、業務のデジタル化やサービス開発をリードしてきました。
イグニション・ポイントに入社したのが2018年10月です。コンサルティング事業と同時に新規事業を手掛ける会社だと知り、私自身経営の打席に立てるような人間になりたいと考え、これまでの経歴を活かして1歩踏み出してみようと思い入社を決めました。
井内
入社されてからの業務内容を教えていただけますか。
羽間様
マネージャーとして入社し、最初はプロジェクトマネジメントや顧客開拓のサポートに携わり、1年後にシニアマネージャーに昇進しました。それからは、顧客開拓と並行して既存アカウントを拡大したり、デジタルユニットの組織作りなどにも携わりました。
さらに1年後にはデジタルユニットのリーダーとなり、事業責任者として組織のロードマップを描き、新たな指針を定義してトライ&エラーをくり返しながら今に至ります。2021年12月にパートナーに昇格しました。
井内
実際にご入社をされてから、入社前に抱いていたイメージとのギャップを感じることはありましたか。
羽間様
ポジティブな面では、予想より早く次のステップにチャレンジする機会を得られたことです。入社時の目標設定では、40歳でパートナーと描いていましたが、実際は2年早く、38歳で達成できました。
一方、参画した当時は創業5年目と、まだ制度として「ないもの」ばかりで、自分たちで必要なものを形づくることから始めることが予想以上に多かったです。しかしパートナーになる前から組織作りや人材育成など経営目線で仕事をさせていただく機会が多く、早い段階から経営視点やスキルを養うことができたと思います。
井内
プロモーションが早い印象を受けますが、デジタルユニットがチャレンジできる環境なのか、それとも羽間様が特別早かったのでしょうか。
羽間様
私が特別早かったわけではありません。当社は年功序列もなければ忖度もないので、新卒で入ったメンバーが、入社1年半ほどでシニアコンサルタントに昇進し活躍している者もいます。当社には「出る杭を伸ばす」という風土があるので、今後会社の規模が大きくなってもそこは変わらず続けていきたいですね。
「イグニション・ポイントは起業家集団」コンサル×事業会社のハイブリッド型ファーム
井内
イグニション・ポイント様について、特徴をお聞きしてもよろしいでしょうか。
羽間様
大手企業に新規事業やDXを中心としたコンサルティングを提供する「コンサルティング事業」、ITを活用した自社サービスを運用する「イノベーション事業」、そしてスタートアップ投資とバリューアップを支援する「インベストメント事業」の3つの軸で事業を展開しています。それぞれの3つの組織が連携して、デジタルを活用したり、ファイナンシャルスキームを活用したりしながらあらゆるニーズに対応しています。
当社のフィロソフィーである「ゆたかな人生のきっかけを」与えるという観点から、我々は社会課題・ニーズに対して、具体的な展開を見据え伴走型で新しい事業を立ち上げ、エコシステムプラットフォームを作っている会社です。コンサルティングファームというよりは、起業家集団、事業家集団という方が近いかもしれません。そういう人材をより多く輩出できる会社を目指しています。
井内
御社では、自社事業を手がけていらっしゃるのが特徴ですね。今、コンサル機能と自社事業を手掛ける両利きの企業が増えてきましたが、改めて他社との違いを教えていただけますか。
羽間様
日々我々が行っているDXコンサルの知識や経験を組み合わせた形で新規事業を行うことで、より新しい価値創出ができる点が強みです。
例えば、宿泊施設向けスマートホテルソリューションの「Resort Cloud」は、元々は大手ホテル運営会社より顧客満足度の向上を目的としたコンサルティングの依頼を頂いたことを契機に、同ホテル運営会社と連携しスマートホテルソリューションの企画を開始し、リリースされました。
自社事業の創出を「目指す」だけではなく、実際に形としてやっているところはそう多くはないと思います。
井内
他社とコンペを行なった場合、御社がクライアントから選ばれるポイントはどこにあるのでしょうか。
羽間様
企業や事業の価値向上に最適化した様々な専門家やサービスラインナップを有している点が、当社が選ばれるポイントだと思います。
具体的には、ストラテジー、デジタル、ワークデザイン、エクスペリエンスデザイン、バリューインキュベーションという5つのユニットが連携して価値を提供します。
例えば基幹システムの刷新プロジェクトの場合、他の総合コンサルティングファームでは、どのようなアプローチでシステム開発をしていくかが焦点になります。一方、我々は基幹システム刷新後に業務効率化が目的であれば余剰人員の配置、つまり組織戦略まで一貫してサポートができます。またその中で、業界横断型のプロダクトサービスとして外販なども将来見据えてやっていきたいというアイディアが生まれたら、それを新規事業でやっていくことも可能です。
このように入口は基幹システムの刷新プロジェクトでも、当社の5つのユニットが連携することでクライアントの潜在ニーズまで掘り起こして可能性を広げられる、そういった支援ができることがクライアントからご評価いただいているポイントだと思います。
井内
社内で連携してプロジェクトを進めていくというイメージですね。
羽間様
そうですね。提案の段階から他のユニットの担当者と名前が並ぶこともあります。柔軟でスピーディーに対応できる組織体制を構築しているところが当社の強みだと考えています。
また以前、大手のコンサルティングファームとコンペになった際に、クライアントから選ばれた理由が「イグニション・ポイントさんなら私たちを理解して寄り添ってくれそうだ」ということでした。何かあったときに近い距離ですぐに相談できる、コミットメント型で伴走してくれるというのも我々に求められているところだと思います。
井内
実際に変わるところまで自分たちの会社を理解して伴走してくれるというところが評価につながっているのですね。
羽間様
そうですね。我々は、デジタルというよりはチェンジマネジメントに近いかもしれません。DXと言うと技術基盤の変革だと言われますが、それよりも仕組みや組織の変革に対し共通理解を醸成し同じ景色を見ていくことが重要だと思っていますので、それを一緒に変革していくのが我々の強みです。
また成長戦略やデジタル戦略では、ストラテジーユニットやデジタルユニットが紐づいているということをしっかりと伝えることも、納得感を持っていただくためには大事だと思います。
デジタルユニットはデジタルを梃としたビジネス変革・創出を支援する“ビジネスプロデュース”集団
井内
次に、デジタルユニットのミッションや役割を教えてください。
羽間様
デジタルユニットでは、DXの先にあるイノベーションの創出までをゴールに見据えた高い視座でクライアントの事業課題に向き合い、デジタルを梃としたビジネス変革・創出を支援する“ビジネスプロデュース”を行なっています。
あらゆる企業や事業、組織体には、イノベーションを起こす着火点があり、我々はその着火点となるDXを推進し、その先にあるイノベーション創出までを見据えて視座高くサービスを提供していく。ただ、一口にDXといっても企業によってデジタル化の成熟度は様々です。皆が一足飛びにイノベーション創出を目指せるものではありません。そこで、企業のデジタル化の成熟度に応じた幅広いデジタル化支援を一つひとつ進めていきます。仮に入口は脱Excel化といったプロジェクトであっても、脱Excel化をした先にどうするか、将来像を作りビジネスの変革・創出を目指していきます。
井内
具体的にどのようなプロジェクトを手掛けているのでしょうか。
羽間様
直近の案件では、デジタル化ロードマップの策定を行いました。昨今のトレンドや他社の取り組みを照らしながらロードマップ案を作り、段階に分けてハンズオンでプロジェクトを進めていくというものです。
また最近は、新規事業を始めたいというクライアントに対し、PMに近い形で、企画から構想策定、サービス開発、保守運用まで伴走したり、足りないリソースにおいてはいろいろなビジネスパートナーと協力しながらプロジェクトを推進していくことが多いです。
井内
案件によって幅広いデジタル化支援を行なうとのことですが、実際に新規事業案件は多いのでしょうか。
羽間様
そうですね。我々は新規事業の創出と既存事業の高度化という両輪で事業展開をしていますので、まず既存事業の課題やニーズを発掘し、次に施策を考えてソリューションを選定し要件定義や設計開発を進めていきます。そしてデジタル化が進んだ先に新規事業やDXが見えてくるので、それに向けたアイディア創出や事業検証、ビジネスモデルの構築まで支援を行っています。
また現在はDXだけでなく、業界を越えて「ヒト・モノ・カネ・テクノロジー」を駆使しながら、社会価値向上の実現につながるものに対しては、目先のマネタイズは考えずに携わっているプロジェクトがいくつかあります。
井内
クライアントの規模感についても教えていただけますか。
羽間様
大企業はもちろん、最近では中小企業や地方自治体へのサービス提供も増えております。今後は、個別最適化だけでなく、業界や地域を面で捉えて中堅中小企業を巻き込んだ全体最適化に踏み出すことも重要だと考えています。
求めるのは「これなら負けない」という強みを持った人材
井内
デジタルユニットにはどういったバックグラウンドの方がジョインされていますか?
羽間様
メンバーのバックグラウンドは多様です。例えば私のように事業会社を経験したコンサルタントの方や、事業会社の経営企画の方、またコンサルティングファーム一筋の方などさまざまです。
井内
事業会社一筋の方もいらっしゃるのですね。
羽間様
そうです。先日内定を出させていただいた方は、新卒からずっと事業会社にいて、自分の将来像があり、それに対してロジックがしっかりとしていたので、この人だったら一緒にやっていけるなというイメージが湧きました。要は考える力がどこまであるかに尽きるかと思います。
どの立場で、何を考えながら、どのように壁を乗り越えて業務にあたってきたのかが重要です。「自分はこれなら負けない」「これを実現したいんだ」という強い意志でドライブしていける人は、バックグラウンドに関係なく来ていただきたいなと思います。
井内
スキル面ではどういった方を求めていますか。
羽間様
デジタルユニットは、メンバー各々が業界や領域の知見や専門性を持ち、既存事業の高度化と新規事業の創出を支援して、DXやイノベーションを断続的に創出できるユニットにしたいと思っています。ですから「この領域だったら貢献できる」という強みのある方ですね。
私で言えば物流ですが、例えば製薬やライフサイエンスに強みがある方や、領域ではM&Aやマーケティング、人事組織など、専門性ではAIやセキュリティ、クラウドなど。人事育成やチェンジマネジメントの経験がある方もいいですね。そういった強みを軸にして経験を積まれてきた方を求めています。
井内
業務を進める上でのコミュニケーションや、意思決定のスピードはいかがですか。
羽間様
意思決定のスピードは早いです。我々は取り組んでみて、うまくいかなかったらすぐに辞めることも大事にしているため、チャレンジしやすい組織運用を行っています。
「両利きの人材」になれる組織と制度
井内
デジタルユニットで働くメリットや、やりがいについてお聞かせください。
羽間様
「既存事業の高度化」と「新規事業の創出」を両方とも経験し、ビジネスとITのいずれにも精通した両利きのコンサルティングを行える組織はそう多くはありません。両利きの人材になりたい人は、やりがいのある環境をご用意できると思います。
井内
デジタルユニットにジョインした後で想定されるキャリアパスについてはいかがですか。
羽間様
コンサルティング事業のパートナーやユニットリーダー、スタートアップのCxO、経営プロフェッショナルとなり投資先の経営を担っていくというキャリアパスが描けます。
またインベスメント&グロースやデジタルイノベーション、エクスペリエンスデザイナー、ファイナンシャルアドバイザーなど専門性を持つユニットへの移動を目指すこともできます。
我々は「将来こういう風になりたい」という想いのある方に対して、NOとは言いたくありません。個人が築きたいキャリアに応じた配属や必要なケイパビリティが身に付くようサポートしていきたいと思っています。 私自身、仮にメンバーが卒業しても、「イグニション・ポイントに入ってよかった」と思える組織にしていきたいです。
井内
御社では「CXOチャレンジ」という制度があると伺いました。そういったチャレンジは誰もが手を挙げればできるのでしょうか。
羽間様
そうですね。新規事業チャレンジという形で、事業計画を作り経営陣にプレゼンテーションを行い、実際に事業として立ち上げたケースもあります。新規事業は決して簡単ではありませんが、たとえ失敗をしてもブラッシュアップをしながらどんどん前に進んでいくことが大事です。そういったチャレンジ制度があることはとてもいいことだと思います。
井内
最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
羽間様
新しいことを作るためには、自分自身がどういう姿になりたいのかを考え、それに向かってアプローチをすることが大事です。ですから、しっかりと自身のキャリアロードマップを描ける方を求めています。
我々は、クライアントに伴走しながら一緒に乗り越えていくのと同じように、組織としても一人ひとりのキャリアに伴走していきたいと思っています。自分の中に将来のビジョンをしっかりと持っている方に1人でも多く出会いたいですね。