ソフトバンク、博報堂、トレジャーデータ三社のアセットを活用しながら、データとテクノロジーを武器にお客さまのデジタルトランスフォーメーションを支援するインキュデータ株式会社。
今回は、同社ソリューション本部をリードする飯塚貴之様、田村覚様より、同社に入社された経緯、会社の強み、求める人物像などについてお聞きしました。
入社の決め手はインキュデータが持つコンサルティング・SaaS・新規事業の可能性
猪尾
まずは、飯塚様のこれまでのご経歴を教えてください。
飯塚様
私は、外資系のソフトウェアベンダでキャリアをスタートさせ、その後コンサルティングファームを経てインキュデータに入社しました。もともとベンダでは、決められたソリューションでお客さまの課題を解決することが多かった一方で、前職のコンサルティングファームでは、上流の構想や企画だけで終わってしまうケースが多く、ビジネスの変革まで携われないことにコンサルタントとして疑問を感じていました。
しかし、インキュデータでは、データを活用しながら戦略から実行までワンストップでお客さまの支援ができることに加え、会社自体は2019年に設立されたばかりのため、自分たちが中心となって会社全体の方向性やサービス提供を一から考えられる環境に惹かれて入社を決意しました。現在は、ソリューション本部の本部長を務めています。
猪尾
続いて、田村様のご経歴を教えてください。
田村様
私は、外資系のマーケティングリサーチ会社で、データアナリストとしてクライアント企業のマーケティング活動を支援してきました。
その後、出版メディア企業に転職して、データを活用しながら自社のマーケティング活動を進めてきましたが、より幅広い領域でデータ事業を推進していきたいと考えるようになりました。折しも、当時インキュデータは立ち上げ期だったため、組織やビジネスの構築を自ら推進できると思い、入社しました。
現在はソリューション本部のデータソリューション部で部長を務めています。
実際に、我々は設立3年目という若い会社であり、高い機動性で常に新しいことにチャレンジし続けています。
例えば、ソーシャルログインサービスの『Loghy™（ロギー）』や、同意管理プラットフォームの『Qonsent™（コンセント）』は、インキュデータが設立してから作られたサービスです。また、プライバシー領域のコンサルティングは、データ活用を進める上でお客さまのニーズを汲んで始めたサービスです。このように新しい会社だからこそ、お客さまのニーズにすばやく対応しビジネスを展開していけるのは大きな特長ですね。
データを活用した戦略立案からデータ基盤の構築まで、ワンストップのコンサルティングを提供
猪尾
続いて、ソリューション本部のミッションや役割について教えてください。
飯塚様
ソリューション本部では、データを活用した戦略立案から施策実行支援までワンストップでコンサルティングサービスを提供しています。単に上流で戦略を描くだけではなく、必要に応じてデータ基盤を構築したり、データを活用しながらビジネスの価値を創出したりするのが我々の強みになります。
そのため組織内には、ビジネスコンサルタントやエンジニア、マーケターなどさまざまなスキルを持つメンバーが在籍しており、連携しながらサービスを提供しています。
猪尾
今、飯塚様よりソリューション本部の全体像をお話いただきました。その中で、田村様が担当されているデータソリューション部についてはいかがでしょう。
田村様
データソリューション部は、データの利活用に専門性を持ったメンバーが集まり、エンジニアリング、データサイエンス、データプライバシー、マーケティングといった領域で幅広くサービスを提供しています。
お客さまが抱えている課題に対して、データを活用してどのようにビジネスを最良化していくか、いかに目的を達成していくかを考えながらチーム一丸となって事業を進めています。エンタープライズ企業を中心に、業界問わずさまざまなお客さまのデータに関われるのがデータソリューション部の魅力の一つですね。
ソフトバンクの事業創造と博報堂のマーケティング力、トレジャーデータのCDP、三社のアセットを活用できる
猪尾
ほかのコンサルティングファームと比べた際の、インキュデータの強みや特長についてお聞かせください。
飯塚様
大きく二つあります。1つ目は、上流の戦略から実行まで提供できる点です。DXを推進する上では、ビジョンや目的を策定するだけでなく、実際に現場で使えるようにデータ基盤を設計し、導入していくことが重要です。さらに蓄積したデータを活用してビジネスで効果を出すところまで支援できるのが我々の特長ですね。
2つ目は、我々がソフトバンク、博報堂、トレジャーデータの三社による合弁会社であることです。ソフトバンクのデータテクノロジーや広告媒体、博報堂のマーケティング力やクリエイティブ力、トレジャーデータが提供する「Treasure Data CDP（顧客情報基盤）」といった三社それぞれの強みや知見、技術力を生かして施策を実現できる点は、他社と比較して大きく差別化できるポイントだと思います。
猪尾
出資会社である三社のアセットを活用できるというのは、とても大きな強みになりますね。具体的な案件事例を教えていただけますか。
田村様
大手外食チェーン企業の事例をご紹介します。この企業には、特別な日だけに利用されるのではなく、もっと日常的に愛されるブランドになっていきたいという課題がありました。
そのためには、顧客理解が一番重要であると考え、その上でお客さまに適したタイミングでコミュニケーションを取っていきたいと考えていました。当時、この企業はSNS公式アカウントやアプリ、メール配信など、お客さまとのチャネルを複数保有していたのですが、各チャネルで取得したデータ同士の関連付けができていませんでした。そこで、バラバラになっていたデータを集約し、マーケティング施策に活用できるようデータ活用の構想段階からご支援し、目的を整理しながらデータ基盤の統合を図っていきました。
一般的にデジタルマーケティングではクリック率やコンバージョン率など、目先の数値がKPIになってしまいがちですが、我々は顧客体験やLTVの向上を見据えた長期的なマーケティングを重要視しており、この企業においても実際に効果が現れています。
猪尾
外食チェーン企業の事例では、博報堂と一緒にプロジェクトを推進されたと伺っております。博報堂と連携するにあたってはどのようなメリットを感じられていますか。
田村様
博報堂から弊社に出向しているメンバーもいますので、彼らから直接スキルや経験を学ぶことができる環境があるというのは大きなメリットですね。博報堂自体はこれまで広告事業を強みとしつつ、生活者を意識したデータマーケティングを展開していますが、実際にお客さまを支援した実績を多く持つため、我々としても大いに学べるところです。実際に外食チェーン企業での事例にもある通り、顧客データ統合システムを構築した後のマーケティング活動に関しては、顧客体験設計や施策実行などを通じてシナジーを生み出せたと思いますね。
猪尾
ほかにも何か新しい取り組みがありますでしょうか。
飯塚様
まさに現在、ソフトバンクグループ内のプラットフォーマーのプライバシーセキュアなデータをTreasure Data CDPで扱えるデータクリーンルームのソリューション開発が進んでおり、我々もその企画や推進を担っています。Treasure Data CDPではお客さまが持つ1stパーティデータを統合して活用することが主目的となっていましたが、今後はプラットフォーマーが持つプライバシーセキュアなデータを活用することによって、新たな価値を創出することができると考えています。お客さまのニーズにあわせて、データを活用するためのコンサルティングサービスの重要性はますます高まっていると感じています。
三社のコネクションを生かし、CxOレイヤーに入り込める
猪尾
カウンターパートとなるのは、企業の上層部の方が多いのでしょうか。
田村様
そうですね。会社全体でDXを推進する上では、既存のビジネスと新しいビジネスをどのようにつなげていくかといった部署横断での取り組みが重要になります。ですから、我々としてもお客さまである企業の経営層と現場をつなぐパートナーとしての立ち位置となることを意識しています。
飯塚様
我々は未だ創業三年目ですが、大企業の経営層にアプローチできるのは大きな特長ですね。親会社である三社のリレーションシップを活用して、お客さまである企業のCxOと一緒にDXを推進できるというのは、ほかのコンサルティングファームと比べても差別化できる点だと思います。
猪尾
お客さまからの案件相談の状況はいかがでしょうか。
飯塚様
これまでは、親会社を介して相談が寄せられることが多かったです。例えば、ソフトバンクのお客さまでデータ統合やデータ活用に関連した課題をお持ちであれば我々を紹介していただき、我々の方で商談を進めさせていただいています。ただ、最近は、直接お客さまから声をかけていただくケースも増えています。
案件自体は「どうやってデータ活用を進めたらよいか」など、ざっくりとした内容も多いので、うまく筋道を立てていく難しさはありますが、多くの引き合いをいただいているのはありがたいところです。
直近のトレンドは、プライバシー領域やAI活用
猪尾
直近の案件について、現在のトレンドを教えていただけますか。
田村様
私がカバーしている範囲では、次の二つがトレンドになっています。1つ目が、プライバシー領域です。これまで企業側は、ある程度自由に個人データを活用することができました。しかし、昨今は、 各国で個人情報に関する法規制が進んだり、Googleなどの各プラットフォーマーがデータプライバシーに関する規制を強化したりと、個人情報の取り扱いに関する社会的な関心が高まっています。そのためデータ活用は、企業側が一方的に利益を生み出すためのものではなく、顧客体験をよりよくするために用いられる動きが重要となっています。
2つ目が、AI技術です。というのも、Treasure Data CDPでただデータを集めるだけでなく、集めたデータをどうやって活用していくかが重要であり、そのためにはAIの力、データサイエンスの力が不可欠だからです。特にAIが得意とする予測や推論においては、これまで以上にデータを活用してビジネスを発展させていこうとする動きがトレンドとしてありますね。
インキュデータが求める人材は、自律的に行動できる人
猪尾
現在チームではどのような人物像の方を求めていますか。
飯塚様
一つは、自分で考えて自律的に行動できる人です。ただ与えられた仕事をこなしたり、言われたからやるのではなく、「これはお客さまのためにやるべきだ」と自ら考えて行動できることが非常に重要だと感じています。
もう一つは、プロフェッショナルとしての意識がある人です。我々はお客さまから対価をいただいてサービスを提供していますので、技術やスキルを生かしてプロフェッショナルとしての成果を出せる方を求めています。
猪尾
田村様はいかがでしょうか。
田村様
スキル面では、高い専門性を活かして課題を解決できる人、さらには課題発見能力がある人を求めています。データに関する専門性は当然ながら、お客さまのビジネス全体の課題や改善点を自ら考えられるプロフェッショナルを求めています。
一方、パーソナル面では、チャレンジを楽しめる人ですね。もちろん高い専門性があるに越したことはありませんが、変化の激しいこの業界においては、専門性は陳腐化しやすくもあります。より重要なのは、常に新しいことを楽しみながら学び続けられる姿勢だと思います。
猪尾
御社では、自分で案件を開拓したり、自分でケイパビリティを身に付けられる人が活躍されたりしているということですね。
飯塚様
そうですね。弊社は設立してまだ三年であり、組織として全て整っているわけではありません。ですから、自分で「こうしていきたい」と考えて、実行に移せる人が活躍しています。
猪尾
御社だからこそ経験できることはありますか。
飯塚様
会社の組織が小さいからこそ、年次や年齢に限らず能力次第で次のステップに進んだり、裁量を持ってプロジェクトに携わったりすることができます。実際に能力があるメンバーは、20代後半で一つのプロジェクトのリードを任されたり、お客さまである企業の経営層とやり取りしたりと、チャレンジできる環境がありますね。
また、新しいソリューションの開発も進めていますので、コンサルタントとしてだけではなく新規事業開発に携わることも可能です。
猪尾
田村様はいかがですか。
田村様
幅広い領域のハイレベルな人材がそろっているなかで、自分の得意分野を伸ばしていったり、仲間と切磋琢磨したりするような環境になっています。また、この業界は移り変わりが激しいため、特定の領域だけでは太刀打ちできないケースがあります。そういった際に、自分とは異なる能力やスキルを持ったメンバーとコラボレーションして、自分自身を成長させることができます。
実際に私自身は、前職でデータサイエンティストとして業務に取り組んでいましたが、現職では戦略に長けたコンサルタントと一緒になってプロジェクトを進めたり、広告運用に強みを持つコンサルタントとともに仕事をしたりする中で、一部の領域に捉われないコンサルティング能力を伸ばすことができていると感じています。
インキュデータを志望される方へのメッセージ
猪尾
最後に、インキュデータを志望される方へメッセージをお願いします。
飯塚様
弊社は創業三年足らずですが、既存の確立したビジネスに加え、親会社のアセットを活用して新たな事業を創出する可能性や、スタートアップとしての裁量の大きさ、事業の成長を自らリードする機会もあります。そんな環境の中で、力を発揮したい、と感じていただける方にはぜひ、チャレンジしていただきたいですね。
