データを用いたコンサルティング・プラットフォーム開発で、個々の企業の生産性を高めるだけでなく、業界全体を最適化することを目指す株式会社JDSC。
今回は、大手ファームを経験したのちに、同社に転職されたDXソリューション事業部 物流ユニットの筒井一彰様、黒田洋輔様、松川泰治様より、転職された経緯や各々が考えるJDSCの魅力、物流ユニット内のチーム概要や、事業の方向性などについてお聞きしました。
大手ファームから、「実業」「裁量権」「業界全体の課題解決」を求めて参画
祝
筒井様、ご経歴をお聞かせください。
筒井様
私がJDSCに入社したのは、2021年の4月です。2013年に大手外資系コンサルティングファームへ新卒入社し、前半の4年間は通信・メディア・ハイテクグループで新規事業開発やITコンサルを中心とした支援、後半の4年間は戦略グループで人材・組織変革を中心とした支援を行ってきました。
JDSCに入社してからは、主にサプライチェーン、ロジスティクス、海事産業を対象とした事業開発を行っています。
祝
御社に転職された理由について教えていただけますか。
筒井様
外資系ファームの戦略グループで私が関わった人材・組織変革の仕事の多くは、当時から現在に至るまでのトレンドであるDX組織の構築や、DX人材の育成でした。しかし、これらの成果は主に「設計」「型づくり」に留まるため、その組織や人材が実として企業、ひいては社会に貢献していく姿を見届けずにプロジェクトを離れてしまうことが多かったことに、少しずつもどかしさを感じていました。そこで、より実業としてDXや変革を実行していく仕事がしたいと周囲に相談したところ、JDSCの紹介を受け、入社を決めた次第です。
祝
黒田様、ご経歴をお聞かせください。
黒田様
筒井と同様に、新卒で大手外資系コンサルティングファームに入社し、10年ほど様々な業界でデータ活用の推進プロジェクトに従事してきました。具体的にはテクノロジーやデジタル領域のコンサルタントとして、機械学習、アナリティクスなどの分析業務や、データ分析基盤の構築を担当していました。
JDSCには2023年にジョインし、ロジスティクス領域に対して、DXやテクノロジーによる変革をクライアント企業に導入していくご支援をさせていただいています。
祝
なぜ御社を選ばれたのか、詳しくお聞かせいただけますか。
黒田様
私の場合、「機動力高く仕事に取り組みたい」というのが、弊社を選ぶ大きな動機となりました。これらはスタートアップならではでもありますが、JDSCはプロジェクトに取り組む際の組成が早く、案件のスピードも速い。加えて、自分の裁量権もあり、大きなコンサルティングファームよりも自分が主導権や主体性を持つことができ、何より案件の幅も広い。こうしたことが、とても魅力的に感じられました。
また、JDSCのビジョンにも強く惹かれました。JDSCは「UPGRADE JAPAN」をビジョンに掲げ、日本社会を今の時代にあわせてアップグレードすることを目指しています。自分と会社の方向性を根幹部分で合致させることが重要だと考えており、それが日々のパフォーマンスに直結してくると考えています。例えば、日々の業務内容は多岐にわたりますが、採用活動の際に「自分の言葉」で魅力付けができるのか、プロジェクト目的に共感した上で「自分の言葉」でメンバーにディレクションができるのか、そういった要素が重要だと考えています。
多くのコンサルティングファームでは、1社を最適化していく動きが多いのですが、業界全体に影響を与え、自分の頑張りや成果を実感しながら仕事を進めることができるのは、非常に幸せなことだと思っています。
祝
松川様、ご経歴をお聞かせください。
松川様
私は現在、demand insight®という、計画系の自動化/最適化のソリューションの責任者をやらせて頂いております。
新卒で豊田通商に入社し、財務部で貿易金融の企画や債券の売却などを担当した後、住環境部でリテールビジネスの立ち上げやデリバリーを経験しました。そこでは、年間10億円超のPLを任せていただき、いわゆる個人商店的に事業運営をしていました。
その後は、自動車産業での事業構造改革に従事、大手カーメーカーに出向しての購買改革やグローバル車種の生産準備段階におけるサプライチェーン改革など数多くのプロジェクトを経験させていただきながら、グループ内でも多くのことを学ばせていただきました。
コンサルタントへ転身してからは、Big4、戦略系ブティックファーム、リサーチ企業などに籍を置いての製造業や商社の業務改革・BPRのご支援やデータコンサルティング、社内コンサルとして物流改革や製造拠点の移転の実行リードするなど、いわゆるS&OP(Sales and Operations Planning)の領域での改善・改革を一貫しておこなってきました。
祝
松川様が御社を選ばれた理由は、いかがでしょうか。
松川様
まず1つ目は、弊社が掲げる「UPGRADE JAPAN」と、かねてから自分自身の軸にしていた「日本を良くしたい」という想いが巧くシンクロしたことです。私は、所属していたコンサルティングファームでは常に顕在化した課題を、部分最適なアプローチで、突貫工事的に取り組むことが多いと感じていました。かといって、事業会社で社内コンサル的な立ち位置で課題に取り組むだけでは、その会社の課題を一気通貫で実行までリードできはしますが、業界全体にはリーチできません。そういったもどかしさの中で、弊社には、広く社会課題、業界自体にアプローチする姿勢が確固としてあるがゆえに、個社最適だけではない社会性(公共性)を見出せる点に説得力を感じました。
2つ目は、視座が高い仲間が多く集まっていることです。常にお互いをリスペクトして、人を大事にする、高め合うカルチャーが根付いていると感じました。実際にオファーをいただいた後、代表の加藤とも面談したのですが、不思議と建設的なディスカッションがテンポよく進んでいくんですよ。そういう視野や視座が拡張していく感覚というのが原体験としてあって。「誰と働くか」は非常に大事ですし、そこに魅力を感じました。
海事、ロジスティクス、demand insight®の3領域で構成される物流ユニット
祝
続いて、皆さんの所属する物流ユニットについて教えていただけますか。
筒井様
私の所属は、DXソリューション事業部という部門です。その名の通り、DXソリューションを事業開発して社会実装をしていくことを使命としています。DXソリューション事業部の中には5つのインダストリー軸で分かれた所属があり、その1つに物流ユニットがある構造です。
物流ユニットの中でも、大きく3つに分かれています。
1つ目は私が所属する海事領域。のちほど詳細を説明しますが、seawise(シーワイズ)というJVを管轄しつつ、海事産業に対するDXを支援するためのチームです。
2つ目は黒田が所属するロジスティクス領域。物流企業や3PL、倉庫業などを対象にしています。
3つ目は松川が所属するdemand insight®領域です。JDSCが創業以来、力を入れている小売業向け需要予測ソリューションを管轄するチームで、現在は物流ユニットの1つの軸を構成しています。
祝
物流ユニット内の3チームでは、何か違いがあるのでしょうか。
筒井様
demand insight®は実績あるSaaS型プロダクトがあり、安定的にお客様に価値を出し続け、CS(カスタマーサクセス)としてサービス提供をしていくフェーズに入ってきています。その一方で、さらに新しい事業開発も行っており、事業開発の中でも先行したフェーズを歩んでいます。
海事領域とロジスティクス領域は少し性質が異なっており、demand insight®のようなソリューションの種が、それぞれに複数ある状態です。
祝
筒井様のいらっしゃる海事領域では、どのような事業展開がなされているのでしょうか。
筒井様
海事領域では、seawiseというJV会社を作っており、その運用支援が大きな柱としてありつつ、それ以外の新しい事業開発やプロジェクトの種を探索しています。 今後の方向性としても、seawiseを事業計画通りにしっかり育てていくと同時に、seawiseと全く関係ない個別案件の支援もしていきたいと考えています。JDSCが達成したいのは「海事業界のUPGARADE」であり、その中心にseawiseのデータプラットフォーム事業があります。データプラットフォーマーには無限の可能性があり、その可能性を最大化するには造船、海運、舶用機器、フォワーディング、港湾など、海事に関する幅広い業務領域についての深いインサイトが必要です。JDSCの強みは、データサイエンスやデータエンジニアリングです。その強みを活かした、海事業界に対するジェネラルな支援も志向していきたい、そしてseawiseに還元していきたいとも考えています。
祝
黒田様が所属されるロジスティクス領域では、どのようなことを手掛けていらっしゃるのでしょうか。
黒田様
私が担当するロジスティクス領域では、ロジスティクス領域全体が最適化できるようなソリューション導入を実施しています。大きく荷役・保管・輸送系の領域があるのですが、荷役領域だけ、輸送領域だけといったようには区切らず、荷役やトラックの動き、倉庫内で働いている人のデータなどを統合し、包括的に分析しながら、物流全体の最適化を図っているところが、我々の大きな特徴です。
また、1つ1つのプロジェクトとしても、個社の最適化ではなく、物流業界全体の改善に関わるようなプロジェクトになっているという特徴があります。例えば、輸送領域のソリューションでは、単独企業にAIソリューションを導入するということではなく、メーカー ‐ 卸 ‐ 小売りという全体でデータを共有可能なプラットフォームを構築し、様々なステークホルダーを巻き込みながら在庫量や発注量の最適化を目指しています。
祝
今後の取り組みについては、どのようなことをお考えでしょうか。
黒田様
大きく2つあります。
1つは、これまで検討・構築しているプロダクトについては、物流業界全体に積極的に展開していき、1つの業界スタンダードを我々で作っていきたい、という考えです。
2つめは、まだ改善余地のある領域については、積極的に新規プロダクト・適用アルゴリズムの検討を行い改革幅を広げていくというもので、その両輪での取り組みを考えています。
「2024年問題」を抱える物流業界は、ドライバーの高齢化、人手不足、そして残業時間の規制によって、業界全体の意識が変わっている最中です。2030年には35%もの荷物が運べなくなると言われる中で、DXの機運はますます高まっていますし、今後より一層力を入れていきたい業界だと感じています。
祝
松川様の所属されているdemand insight®は、どのような特徴があるのでしょうか。
松川様
demand insight®は商品を発注する荷主様をメインに支援をしています。黒田のロジスティクスとSCM領域という点では共通していますが、ロジスティクスは主に輸送会社など物流を担っている現場の方たちをメインに支援をしている、という違いがあります。ただし、物流ユニットとして案件に取り組む際は区別に拘らず、荷主も含めて広く捉え、サプライチェーン全体を視野に入れて課題を解決しています。
実際に計画系のところでは、demand insight®の要素技術を物流の領域でも使ったりと、シナジーを高めながら取り組んでいます。
祝
demand insight®の、今後の取り組みについてはいかがでしょうか。
筒井様
今までのdemand insight®は、比較的大企業や大きい発注を抱えている小売業を中心に事業展開してきました。そのため非常に複雑な要件を理解し、カスタマイズ性の高いプロダクトを作ってきました。一方、システムとしては重厚長大なものになってしまい、一部のお客様には導入ハードルが高くなってしまう課題がありました。
そこで、もう少し民主化した、投資余資がない方でも数理的根拠に基づいて需要予測や発注最適化を体験できるプロダクトにもチャレンジしていきたいと考えています。今までの知見や需要予測・発注最適のモデルなどをSMB向けにカスタマイズして標準化していく、導入のハードルを下げ間口を広くする方向に舵を切っていく動きを、現在のdemand insight®はしています。
松川様
併せて目下推進中なのは、demand insight®の現存の要素技術を組み合わせること、運用ノウハウと併せてライトに提供することであらゆる産業のお客様の業務プロセスにおける課題を解決する取り組みです。これは、小売りだけでなく、卸/商社、製造行など、他の業種も含めて全体に広げ、アップグレードしていこうという狙いです。(最近では、そうした広い業種、更に輸入だけでなく、輸出の企業様からもお問合せがあります)
こうした取り組みを通じて、各企業(ないし各部署)のバリューチェーン上の立ち位置を超えた全体最適を実現し、将来的には、オペレーションと意思決定の滞留を解消していきたいと考えています。多くの会社を見ていく中で、縦横の連携不足という組織的な負の構造を強く感じてきました。そこを我々のデータやソリューションで繋いで、随所に発生しているムダ、ムラ、ムリを排除し、うまく流れていく。人不足が深刻化する中で、機械に任せられることは任せて、人はクリエイティブなところにフォーカスする。そんな世界を実現した上で、サプライチェーンやDXといった言葉すら飛び交わないような世界、もう誰も課題だと思わないような世界を実現できたらと思っています。
コンサルとは違ったシビアさの中で、Tech人材と協業して社会実装を実現する
祝
皆様からご覧になって、御社の魅力点はどういったところでしょう。
黒田様
コンサルタント、エンジニア、データサイエンティストが同じ社内におり、「三位一体」となってプロジェクトに取り組む点は魅力的だと感じます。
例えば、ビジネス部門だったとしても、プロジェクトを進める中で技術的な知識やデータサイエンスの知識などをクライアントにわかりやすく説明しなければいけない場面が出てきます。そんな時、一緒に仕事をしているデータサイエンティストやエンジニアの方に、細かく、そして気軽に話を聞けるというのは、魅力的なポイントだと思います。
今は他の企業と三位一体でやる、というコンサルも増えていますが、JDSCはより距離が近く、すぐ横にいて聞けるといった環境は自分のスキルアップにも繋がっていると感じます。
松川様
大きくは2つあります。1点目は、プロジェクトの成果を広く社会実装していくという考え方が土台にあるので、高い到達点にお客様はもちろん業界自体を導くことができる可能性がある点です。各業界のTopTierとJointR&Dで培った要素技術がアセットとしてあります。これは相当大きな優位性です。例えば、外側から見た課題抽出からのゼロスタート、そこに対して労働集約的にアプローチする他のコンサルティングファームや、プロダクトアウトでやっているベンダーなどとは、先ずスタートラインから格段に違ってくると思います。
2点目は、実装やカスタマーサクセス(CS)を含めて、実行の部分までお客様に長きに渡り伴走できる点です。お客様と同じ想いを持って深く入り込むので、お客様の潜在課題にリーチできる手触り感が先ず違います。日々、経営課題が変わっていく中で、当然我々に求められることも変わっていきます。特に、最近のそのスピード、変化の幅は外側からは容易には掴み切れないです。手に取ってわかり、必要なご支援ができる立ち位置に居続けられる、お客様の成長や業界のUpGradeが現場で実感できる、そんな大きなやりがいは他ではなかなか得られないのではないかと思います。
筒井様
お二人とは少し違った観点ですが、コンサルのみの経験であれば得られなかった・気づけなかったものが得られる環境だと思います。
例えば、ジェネラルなビジネススキルはコンサルで培うことができ、現職でAIを使った事業仮説を立ててみようと思ったときには非常に活かされたと感じています。一方で、仮にコンサルファームでのキャリアを続けていたとしても、トップマネジメントの経験や、自らのビジネスアイデアを市場で試す経験は積めなかったと思います。JDSCを選択したことでまったく違ったキャリアになりました。
また、自分の市場価値を生々しく感じる体験も、コンサルでは得難いものだったと感じます。
コンサルタントでは入社直後から、役職・立場に応じた値付けでお客様に提案され、まとまった収入を受け取ることができます。しかし、本当にそれがお客様のバリューになっているのか、実際の市場に対して本当にその値付け分の便益を出しているのか、客観的に説明できない瞬間を迎えることがあります。
JDSCでもコンサルテーションに近い仕事は存在しますが、そのバリューに対する評価の感覚はよりシビアで、自分に値札をつけ売っていくようなイメージです。コンサル以外の環境に一度身を置くことで分かることがあるのではないか、という気づきがありました。
セルフマネジメントをして、積極的に仮説設定・検証を行える人材が必要
祝
現在の物流ユニットにおける課題について、特に人材分野で困っている、強化したいと思うことがあればお聞かせください。
筒井様
業界に対する理解や前提を持った上でJDSCのケイパビリティも理解する。そしてソリューションやプロダクトの種となるような事業仮説を立てて、自らそのフィールドに立って検証していくための道筋を立てていく。こうした行動がとれる方を積極的に採用したい、と考えています。
特に私のユニットの場合、安定して多くの仕事がある訳ではありません。そのため、数多く仕込み、数多くデリバリーしていくことが大切です。
自分たちのAIやデータサイエンスのケイパビリティを示す際に、「今打ち込むべきこと」や「お客様の役に立つこと」の仮説を数多く考えて打ち込みに行く。世の中のトレンドが刻々変わっていく中で、こうした行動は物流に限らず積極的にやっていくべきだと思っています。
個人的には、細かいPoCであれば失敗を恐れる必要はないと思っています。例えば「コンサルタントを1人入れた、あるいはデータサイエンティストを含めて何人か入れたけれど、十分に仮説が検証できませんでした」というようなことは、十分に起こり得ます。
しかし、失敗を恐れて何もしないよりは、数多く失敗を積み重ねた方が、将来的には良い筋の仮説を生み出せると考えます。その失敗を許容するぐらい仕事の基盤はあると考えています。一定のリスクを認識しながらも、積極的な動きをしてくれることを期待しています。
祝
筒井様、最後に御社に興味をお持ちの方へメッセージをお願いいたします。
筒井様
ここまでの話を聞いたときに、自分の中で試したい事業仮説を思いついたとしたら、「やってみてほしい」と思います。やってみる環境として今の会社じゃなければ、JDSCであればそうした機会を提供できます。直感的にそういうものを感じたのであれば、ぜひ。
私も、「JDSCでこそ、何かやりたい事業活動はないのか」と面接で聞きます。必ずしも決まったものがある必要はないのですが、ここまでの話を聞いた中で「これできるかも」と思いつくものがあれば、ぜひ応募していただきたいなと思います。