今回は、KPMGコンサルティング株式会社 Energyセクターへのインタビュー。
電力・ガス公益事業者や石油・ガス開発・元売り事業者などへ支援を行う同チーム。
ディマンド・リスポンス、大型蓄電池などエネルギー領域での変化を先取りした案件も多く、新規事業の立ち上げ、DX推進、戦略策定等のソリューションを提供。
今回は、Energyセクター所属の執行役員パートナー 伊藤健太郎様、シニアマネジャー J.Y様、シニアコンサルタントS.K様より、ご経歴やチームの特徴、目指す方向性などについてお聞きしました。
伊藤様、J.Y様、S.K様のご経歴
小野
まずは、皆様のご経歴を教えていただけますか。
伊藤様
新卒で大手IT企業に入社し、SEとしてキャリアをスタートさせました。主に電力会社の大規模なシステム開発にITアーキテクトのプロジェクトマネジャーとして参画したり、ITコンサルタントとしてシステム導入やスマートメーターの導入などを手がけてきました。2016年にKPMGコンサルティングに入社してからは、エネルギー領域に特化し、電力やガスなどのエネルギー企業の経営課題や事業課題の解決に向けた支援を行っています。現在、Energyセクターの責任者を務めています。
J.Y様
私は、経理・財務領域からキャリアをスタートさせました。新卒で入社した大手IT会社で財務会計から管理会計まで一連の実務を担い、米国現地法人や子会社出向なども経験しました。その後、2017年にKPMGコンサルティングに入社してからは当初サービスラインのFinance Strategy & Transformation(FST:経営管理領域)チームに所属しながら、担当するプロジェクトがエネルギー領域にシフトしたことにあわせてEnergyセクターに籍を移しました。
S.K様
私は新卒でKPMGコンサルティングに入社しました。新卒で入社すると最初の1年間はどのユニットにも属さず、「Start-ups」というプール制組織に所属します。その後、コンサルタントとなるタイミングで本格的に配属が決まり、現在はFSTチームに所属しています。普段はエネルギー領域でのプロジェクトに携わっており、J.Yさんとご一緒する機会が多くあります。
ディマンド・リスポンスや大型蓄電池など未開拓の領域に先んじて取り組む
小野
続いて、Energyセクターの強みや特徴について教えていただけますか。
伊藤様
Energyセクターは、GIE(ガバメント・インフラストラクチャー・エネルギー)ビジネスユニットを構成するセクターの1つで、主に電力・ガス公益事業者、石油・ガス開発・元売り事業者への支援を行っています。Energyセクターは10名ほどの組織のため、他のセクターやサービスラインとコラボレーションしながらサービスを提供しています。
私たちの特徴としては、クライアントに対しありふれたコンサルティングサービスを提供するのではなく、エッジの効いたビジネスを行うこと。そのため、KPMGコンサルティングならではのソリューションを作り、提供していくことを強みとしています。近年、電力の需要と供給のバランスをとるための手法として電力の需要側を変化させる「ディマンド・リスポンス」と言われる領域のニーズが高まっています。今でこそ広く知られるようになってきましたが、こうした新規事業にも3年ほど前から着手しており、他社に先駆けて取り組んできました。
小野
直近ではどのような案件があるのでしょうか。
伊藤様
最近は北海道などの広大な敷地に大型蓄電池を導入する企業が増えています。大型蓄電池というのは、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーでつくられた電気を貯めて、必要な時に使うものです。こうした蓄電池はただ導入するのではなく、どうやって収益化していくのかといった観点まで考えていく必要があります。例えば、バーチャルパワープラント(VPP)という、再生可能エネルギーや大型蓄電池をIoTやシステムで仮想的に束ねて電力市場で取引するといった取組みも出てきており、それらの支援も行っています。自由化が進み新たなビジネスモデルが期待されているなかで、クライアントと共にその在り方を検討しさらに実装まで取り組んでいく、KPMGコンサルティングならではの特徴ですね。
小野
新たな電力取引市場の導入にも関わっていらっしゃるとお聞きしました。具体的にどういったものが挙げられますか。
伊藤様
2024年度から導入される容量市場の検討支援を長らく行ってきましたが、直近では長期脱炭素電源オークション導入に向けた取組みにも携わっています。これは資源エネルギー庁が中心となり国策で進めているものですが、その実装に向けた検討は電力広域的運営推進機関で実施され、ここで我々が協働しているという関係性になります。2023年度中の初回オークション開催をゴールとして、制度・実務横断での重要論点を検討しつつ、業務設計からIT環境の構築、事業者に向けた説明会開催、さらに契約文書となる要綱・約款準備など全般的に支援しています。昨今の電力取引市場は変化がめまぐるしく、制度面での動向から実務的な取り扱いまで理解していることが不可欠であり、先程申し上げたVPPや大型蓄電池といった先進的な領域の支援にも繋がっています。
マーケットの環境変化をいち早く捉え、ビジネスチャンスを発掘する
小野
続いて、電力業界のトレンドやマーケットの市況感を教えていただけますか。
伊藤様
まず大きなトレンドとしては、ご存じの通り、日本も「2050年までにカーボンニュートラルの実現」を目標に掲げており、現在、脱炭素社会に向けて、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーが注目されています。洋上風力発電の導入促進や、国を挙げて「脱炭素先行地域」の形成などの取り組みなどは大きなトレンドの一つといえます。ただし、これらは従来の電力システムの在り方を大きく変える形となるため、現在急ピッチに規制やルールが生まれてきています。こうした状況において、クライアントがいかに対応していくかも重要なテーマといえます。
小野
現在、新たな規制やルールが生まれているとのことですが、規制やルールを遵守することが目的となってしまうと、そこから新たなビジネスは生まれにくいのではないでしょうか。
伊藤様
おっしゃる通り、新しい規制やルールに「どうやって従うか」といった点は強く意識する必要があります。一方で、規制やルール、さらに市場の変化は新たなビジネスチャンスであり、いかに収益を生み出せるか、新たな事業を生み出せるのかを考える機会にもなると捉えています。規制やルールに加えて、マーケット内の環境変化をいち早く捉えることで、クライアントのビジネスチャンスを発掘していきます。
ロールに関係なく、できる人が進めていく風通しのいいカルチャー
小野
続いて、KPMGコンサルティング全体の雰囲気についてお聞きしてもよろしいでしょうか。
S.K様
当社は、物腰の柔らかい人が多いなという印象です。よく外部の人たちから「KPMGコンサルティングは社員同士の仲が良く、風通しが良さそう」と言われるのですが、実際に入社してみると、本当に間違いなかったなと思いますね。プロジェクト内では、年齢や職位に関係なく意見が求められ、かつ、それぞれがやるべきことにしっかり取り組んでいます。私としてはすごく働きやすく、良い環境です。
小野
Energyセクターの雰囲気はいかがですか。
J.Y様
S.Kさんが言う通り、「シニアコンサルタントだからここまでしかやってはいけない」あるいは「シニアマネジャーなんだからこれをやりなさい」とロールによって仕事の裁量が決められることはなく、できる人がどんどんやっていこうというカルチャーがあります。それによって成長し、仕事の領域が広がっていくことが個人にとっても組織にとってもプラスであると思っています。
プロジェクトチーム内でもこれは同じで、例えばレビューの場によく表れていると思います。レビューの場はどうしても指摘を受ける場になりがちですが、それは大前提としたうえで極力議論を重ねて検討内容を高めていく場と位置付けています。チームメンバーのバックグラウンドはそれぞれ異なるため、職位を問わず優れたアイデアや意見を採用して検討が進んでいくなど、風通しのよい環境があります。
若手メンバーでも案件組成や提案活動に入るチャンスがある
小野
では次に、どんなスキルセットやマインドをお持ちの方と一緒に働いていきたいとお考えですか。
伊藤様
マインド面では、チャレンジ精神のある人ですね。「とにかくやってみよう」と新たなチャレンジに抵抗感がない人は活躍していける環境だと思います。一方で、スキル面に関しては、エネルギー業界に関して経験や知見など、一定のバックグラウンドのある方を求めています。
小野
ちなみに、Energyセクターで働くメリットややりがいについてはどのようにお感じになられていますか。
伊藤様
やりたいことがやれるという環境で働けることです。例えば、私たちよりも規模の大きなコンサルティングファームの場合、業務が細分化されており、自分の役割はすでに決められていることが少なくありません。しかし、当社は設立からの歴史が浅いということもあり、私たちEnergyセクターはまだまだ人数が少なく、成長段階にあるため、「これがやりたい」という強い気持ちがあればすぐに手を伸ばして実現できるチャンスはいくらでもあります。狭い領域だけに閉じず、幅広くチャレンジしたいという方にとってはEnergyセクターの環境はとてもフィットすると思いますね。
S.K様
伊藤さんのお話に付け加えるとすれば、Energyセクターは少ない人数だからこそ、コンサルタントやシニアコンサルタントであっても提案活動から入り、そのままデリバリーまで携わることができるところですね。単にプロジェクトに入るだけでなく、自分から案件を組成し、自分で管理して、最後まで実行する。こうした働き方がしたいと思っている人にはいくらでも経験できる機会はあるはずです。成長意欲があり、自分の天井を自分で押し上げていける人にとってはやりがいのある環境だと思います。
伊藤様
例えば、水力発電に関わる提案の際には、前職で水力発電に携わっていた若手メンバーにも提案に入ってもらいました。どこが論点になるのか、クライアント側で実務経験のあるメンバーからの意見は貴重です。提案活動の中で、何を訴求すればクライアントが価値を感じてくれるのか、といった視点で自ら考えることはとてもいい経験になるはずです。
J.Y様
私がEnergyセクターで働くやりがいは、エネルギーという非常に面白いテーマに携われることです。「エネルギーもよくある業界軸の一つではないか」と思う方もいるでしょう。しかしひとたびエネルギー供給が止まると、工場が止まり、交通機関も止まり…私たちの生活は多大な影響を受けますし、元をたどっていくとその背景には国際情勢も大きく関係しています。カーボンニュートラルひとつとっても、ビジネス上の利害関係を含めて誰が何をしようとしているのか、紐解いていくと色々な世界が見えてきます。エネルギーを起点に、世の中の動向まで視野に入れた考察を行っていけることはやりがいのある仕事だと思いますね。
小野
では最後に、Energyセクターが組織として目指す姿を教えていただけますか。
伊藤様
Energyセクターはまだまだ人数が少なく、成長段階です。体制を強化して、さらに幅広い領域にチャレンジしていきたいと考えています。エネルギー領域のバックグラウンドを活かして働いてみたいという方、ぜひご応募をお待ちしております。