KPMGコンサルティング株式会社 Technology Transformationユニット(以下、TT)Transformation Management Advisory(以下、TMA)は、企業のDX推進部門やIT部門に対するPMO、チェンジマネジメント、IT調達支援などを得意とするプロジェクトマネジメントのプロフェッショナルチームです。
今回は、同チームのシニアマネジャー K. A様より、TMAの概要、手掛けるプロジェクトの特徴、また、K.A様がSIerからマネジャー職でKPMGコンサルティングに転職された際の苦労や、その乗り越え方などについてもお聞きしました。
プロジェクトマネジメントスキルを活かしたDX推進&IT部門の支援に強み
小野
まずは、これまでのご経歴をお聞かせください。
K. A様
新卒で大手SIerに入り、SEとして官公庁向けに業務システムの開発や基盤構築のプロジェクトに携わりました。最初はプログラミングからスタートし、設計やテスト、要件定義、そしてプロジェクトマネジメントと次第にステップアップしながら、大規模プロジェクトの管理を行っていました。
その後、スマートシティやパーソナルデータの利活用におけるマーケティングや製品企画、製品開発を経験したのち、クライアントにより近い立ち位置でプロジェクトを推進したいと思い、2020年1月にKPMGコンサルティングにマネジャーで入社しました。現在はシニアマネジャーとして、大規模基幹系システムの再構築プロジェクトなどに携わっており、私はプロジェクトを横断する役割を担うPGMO(プログラム・マネジメント・オフィス)チームをリードしています。
小野
TMAについて伺っていきますが、まずはTMAが属するTTユニット全体の役割とミッションから教えていただけますか。
K. A様
TTは、戦略立案から策定、定着化までKPMGコンサルティングの中でもITに関わるあらゆる局面を支援している部門で、全体で約200名が所属しています。
TTは複数のチームで構成されており、それぞれ、TMAはプロジェクトマネジメント、Technology Strategy & Architecture(TSA)チームはIT技術、 Sector Technology Transformation(STT)チームは業務など、それぞれに強みがあります。基本的には協業しながらプロジェクトを推進していきます。
その中で、TMAは、IT部門やDX推進部門に求められる役割やファンクション、プロセス、ガバナンスなどにおいて最適な配置を設計し、あるべき姿に至るためのロードマップを描きながらクライアントと共に課題解決を支援するチームです。
プロジェクトマネジメントの知見を活かし、クライアントの課題解決に向けて支援していく。それが我々のミッションです。
小野
続いて、TMAの強みや特徴、得意領域についてお伺いできますでしょうか。
K. A様
大きく2つあります。1つはPMO案件ですね。特に私が担当しているような大規模プロジェクトでは、関係者が多く調整が複雑化します。TMAにはプロジェクトマネジメントの専門性を持つメンバーがいるほか、すべてのメンバーが工程管理のノウハウを持っていますので、複雑なプロジェクトにおいて強みを発揮することができます。
もう1つは、KPMGジャパンやKPMGのグローバルが持つシステム開発に関するノウハウやソリューションを社内展開していく役割もTMAが担っています。特にKPMGが海外で開発したソリューションに関しては日本でそのまま適用するのではなく、日本企業に合わせたテーラーメイドやカスタマイズすることによって、クライアント企業のIT部門の再配置に活用できるサービスを整備しています。
小野
海外のKPMGのメンバーファームとの協業もあるのでしょうか。
K. A様
そうですね。国内のクライアントが海外で事業を展開される際に、ITの統制やセキュリティ、ガバナンスなどを強化する、そういったプロジェクトでは海外のメンバーファームと協業してクライアントを支援しています。
ITシステムの実装は行わず、プロジェクトの全体構想をつくる「上流工程」に特化
小野
TMAで働く面白さは何だと思いますか。
K. A様
我々の工程管理ノウハウを活かしてプロジェクトの全体構想をつくり、関係者と協力しながら大きなロードマップを描いていけるところがTMAの面白さだと私は思います。
そして、競合他社との大きな違いは、KPMGコンサルティングではITシステムの実装を行っていないことです。だからこそ我々は中立的な立場でクライアントに寄り添ったご提案、ご支援ができるのだと思います。クライアントが抱える課題に対し、解決に向けて手段を設計していく。そういった「上流工程のスキル」を磨く上では、TMAは最適な環境だと思います。
小野
コンサルティングファームの中にはシステム開発を一気通貫で手がけているところもありますが、TMAではITシステムの実装を行っていないのですね。
K. A様
自社で開発をしている場合、要件定義の段階から自分たちでシステム開発もやることを前提として進めてしまうケースも少なくありません。それが果たして「クライアントにとって良いのか」と考えた際に、必ずしもそうだとは言えないと私は思うのです。そういった観点から、クライアントに対して中立的な立場に立てるというのが我々の大きな強みになると思いますね。
DX推進・IT部門の機能強化や再配置から、IT子会社の設立までサポート
小野
TMAに依頼されるプロジェクトで、最近特に増えているものがあれば教えていただけますか。
K. A様
DXやデジタル化の実現に向けたご支援が多いです。多くの日本企業では社内のIT人材が不足しているため、どうやってデジタル人材を育てるのか、採用をどうするのかが大きな課題となっています。たとえば、クライアントに対しIT子会社の設立を通じて新たに人事体系や給与体系をつくり、専門性を持ったIT人材を集める、そういったご提案ができるような仕組みづくりを現在進めています。
小野
マーケットでは“DX・IT部門の強化”がトレンドになっているのでしょうか。
K. A様
そうですね、私たちは大規模な組織を持つクライアントをご支援することが多いのですが、ほとんどのケースでITベンダーに依存した形でシステム開発・運用が行われています。しかし、それでは社内のIT人材が育たず、DX推進の妨げにもなる。そういった事態に危機感を覚え「今の状況を脱却したい」と考える企業が増えている印象です。
未経験での転職から、マネジャーとして成果を発揮し、短期間で昇格
小野
キャリアについてもぜひお聞きしたいのですが、SIerからコンサルティングファームへの転職を決断した理由は何だったのでしょうか。
K. A様
クライアントへさらに寄り添って支援をしたいと思ったためです。 前職では、ベンダーとして、マーケティングや製品企画に携わっていたのですが、ベンダーの立場では、自身の枠組みの中でしかサービスを提供できないとう制約があり、クライアントに対してITを活用した新規事業の提案に限界を感じていました。クライアントにとって本当に必要なITサービスを提供するためには、ベンダーよりもコンサルタントの立場の方がより深く携われると思い転職を決意しました。
小野
SIerから未経験でコンサルティング業界に転職されたとのことですが、入社後に苦労された点はありましたか。
K. A様
入社したばかりの頃は、コンサルタントとしての動き方に戸惑うこともありました。パワーポイントの資料作成1つとっても、読み手を意識しているか、細部までロジカルであるかが前職とは違うレベルで求められ、マネジャーでありながらも新卒者向けの社内研修も参考にして基礎からキャッチアップしていきました。
小野
マネジャーという立場でKPMGコンサルティングに入社されていますが、苦労はなかったのでしょうか。
K. A様
初めてのプロジェクトは、基幹系システムの再構築の工程管理支援で、フェーズが3段階、全体で5年間に渡る大規模なものでした。
私自身も入社して初めてのプロジェクトだったこともあり、1つずつ確認しながら進めていく大変さはありましたが、周りのメンバーがフォローしてくれたおかげで、プロジェクトを進めることができました。そのプロジェクトでは、前職で培ってきたPMOのスキルやノウハウを活かすことで、クライアントやベンダーなどの関係者を含め、プロジェクトの統制を図ることができました。もともと、システム開発の最初のフェーズのみを担当する予定でしたが、成果が認められ、最後まで対応することになりました。自分が努力をしたことに対し評価してもらえたことが、自信にもつながっていったと思います。
これはKPMGコンサルティングの特徴だと思うのですが、コンサルタント未経験で転職してきたメンバーも多いため、チームで助け合うカルチャーが根付いています。初めてのプロジェクトでも、マネジャーとしての特別大きな苦労はなかったと思います。
現在は、パートナー、プリンシパル、アソシエイトパートナーという上位職の方々と一緒にプロジェクトを進めていますが、職位に関係なく、喧々諤々と議論しながらもお互い尾を引くことはないので、分からないことがあれば相談に乗ってくれますし、こちらの意見にもきちんと対応してくれる。そういった円滑な関係性を築けています。
小野
仕事をする上で、KPMGコンサルティングだからこその特徴は何だと思いますか。
K. A様
個人のキャリア志向に合った経験が積みやすい点だと思います。KPMGコンサルティングでは部門ごとの縦割りがほとんどないため、部門の垣根を越えてプロジェクトチームが立ち上がることが多いです。プロジェクトメンバーをアサインする事務局があり、各部門の担当者と事務局でメンバーの調整を行い、本人の志向などを面談でヒアリングしながらアサインされる仕組みが整っています。たとえば、「自分はこういう経験を積みたい」と言った際に、「あなたの所属部門の範囲はここまで」と枠を決めるのではなく、「では、このプロジェクトに挑戦してみないか」といった会話ができる。そういったカルチャーはKPMGコンサルティングならではだと思いますね。
小野
入社されてから2年という早さでシニアマネジャーに昇格されていますが、何がポイントになったと思いますか。
K. A様
プロジェクトを成功に導くために、きちんと仮説を立て検証して進めていった点や、関係者とコミュニケーションを取りながら自律的に動いていった点を評価していただけたのではと思いますね。
また、KPMGコンサルティングでは、基本的にマネジャー以下の職位には売上が求められません。マネジャーは、アサインされたプロジェクトに応じ、ルールに従って公正に売上実績が配分されますが、過度にその大小は求められません。プロジェクトによって不利益が生じないような評価設計がなされており、マネジャーはそれぞれの専門性を活かして、高品質なサービスを提供し、現場責任者としてクライアントと相対することに集中することが可能です。各クラスの役割が明確で、自分の役割にコミットできる環境があるからこそ成長にもつながったと感じています。
クライアント、ベンダーの両者に寄り添えるバランス感覚が重要
小野
TMAでは、どのようなバックグラウンドを持つ方が多いのでしょうか。
K. A様
私のようにPMやPMOの経験があるメンバーのほか、大規模プロジェクトを担当した経験のあるメンバーが多いです。
現在TMAは、少数精鋭のチームでマネジャー以上のメンバーで構成されていますが、コンサルタントやシニアコンサルタントも積極的に募集しています。プロジェクトマネジメントスキルを伸ばしたいという方、もしくは上流工程の企画からプロジェクトに入るところに興味のある方にはぜひトライしていただきたいです。さまざまな領域に携わることで、ご自身のスキルを研磨し、可能性を広げていくこともできると思います。経験豊かなメンバーによるフォロー体制も整っています。
小野
どのような経験のある方を求めていますか。
K. A様
経験としては、アジャイル開発を経験したことがある方や事業会社のIT部門に在籍していた方など。もちろん、それ以外のバックグラウンドをお持ちの方でもTMAに興味を持っていただける方がいれば、ぜひチャレンジしていただきたいです。私もそうでしたが、前職で経験のある領域から始めることで、スムーズに立ち上がることができました。前職での経験を考慮してのアサインを相談できる環境ですので、ご安心いただければと思います。
小野
マインドやパーソナル面ではいかがですか。
K. A様
TMAは工程管理支援のプロジェクトが多いので、クライアントはもちろん、ベンダーに対してもきちんと寄り添える方がいいですね。やはりクライアントばかりを気にかけて、一方でベンダー側に無理を強要する姿勢ではプロジェクトはうまくいきません。両者のバランスをうまくコントロールできる方を求めています。
小野
最後に、TMAに興味を持たれた方にメッセージをお願いします。
K. A様
クライアントの抱える課題に対して、前向きにソリューションを考えるという文化が醸成されていますので、職位に関係なく活発なディスカッションが行える環境がTMAにはあります。お互いの個をリスペクトし合いながら働いているので、「なんでこうなったのか」「これは違うのではないか」などざっくばらんに話し合える。そういった雰囲気がありますので、興味をお持ちいただいた方は積極的にご応募いただければと思います。