KPMGコンサルティング株式会社は、グローバル規模での事業モデルの変革や、経営管理全般の改善をサポートするコンサルティングファーム。 具体的には、事業戦略策定、業務効率の改善、収益管理能力の向上、ガバナンス強化やリスク管理、IT戦略策定やIT導入支援、組織人事マネジメント変革などを提供しています。今回は、同社のGlobal Technology Transformation(GTT)を率いる荒木 良之様(シニアマネジャー)、ノゾム カニー様(シニアマネジャー)より、同チームの魅力をアクシスコンサルティングの坂本、高橋がお聞きしました。この記事は2018年11月時点のものです。
グローバルとのパイプラインや、
確固たる立ち位置を持つKPMGの魅力
坂本
はじめに、荒木様・カニー様のご経歴をお伺いしても宜しいでしょうか?まずは荒木様、お願いいたします。
荒木様
私は新卒で国内の総合系ファームに入社後、約10年間在籍しており、金融機関をはじめ様々な業界のクライアントに対し業務アプリケーションの開発・導入支援、グローバルシステムロールアウトにおけるビジネスアナリストやPMO、海外拠点を含む全社的な業務改善を目的としたBPR・システム構想化などに従事しておりました。幼少期に海外で過ごしたこともあり、当時から英語力を生かせる案件にアサインされるケースが多かったです。
その後、KPMGコンサルティングの前身になるKPMGマネジメントコンサルティングに転職し、そこから約6年経ちます。KPMGでは、外資系金融機関向けに大規模なシステムのリプレースにPMOとして携わり、またいくつかのM&A案件においてITデューデリジェンスやシステム統合に向けた統合ロードマップの作成支援やシステムグランドデザイン作成など様々な案件に携わってきました。
現在は、外資の医療系メーカーにおいて合併後のシステム統合ならびにTSA Exitに向けたシステム移行プロジェクトの日本側での管理を行っています。やはりGTTという部隊は、バイリンガル以上で、海外経験のある人や外国人のメンバーが多いチーム構成になっていますので、グローバル、海外のステークホルダーが入る案件に入り、実際のプロジェクト管理を遂行するケースが多いです。
坂本
キャリアのスタートとしてなぜコンサルタントを選ばれたのでしょうか。
荒木様
私の場合は帰国子女ということもありもともと海外志向が強く、商社やグローバルに展開しているメーカー、金融機関、運輸業など業界をあまり絞らず受けていた中でコンサルティング業界を知りました。コンサルティング会社を受けるにあたり、OBなど色々なつてを使い企業研究をしている中で、私自身が学生時代にアメフトやっていたこともあり、戦略的な道筋を立てて実行してゆく仕事内容に面白さを感じ、それで入社を決めたという経緯です。
シニアマネジャー/荒木 良之様
坂本
コンサルタントを続けていて感じる「コンサルティング業界で働くことの面白味」についてはいかがですか。
荒木様
入社後は様々な難しい経営課題に対して色々な人が知恵を絞り進めていく仕事のスタイルや、国内外関わらず様々な業界・会社に携われるところに面白味を感じ、16年間ほどこの業界で仕事を続けております。
当然、クライアントの方が自分たちの会社のことや日々の細かい業務については詳しいのですが、他社事例や第三者の視点から見た上でのインサイトを与えた上でクライアント単体では解決できない課題をクライアントと供にチームになって解決することが求められていると感じております。学生時代からチームプレーで目標を達成することが好きなので、クライアント・コンサルタントの垣根なく、クライアントの社員になったような気持ちで一つのチームとして仕事に取り組むことを心掛けています。そう思える点が、やはりコンサルタントの面白いところです。
坂本
なぜKPMGへの転職を決めたのか教えていただけますでしょうか。
荒木様
一つのファームで働き続け10年という節目を迎えたときに、自分の実力が外のファームでどこまで通用するのか知りたい、特にグローバルでどこまで通用するの試してみたいという気持ちが強くなり、グローバルファームへの転職を決意しました。
では、なぜKPMGなのかという話ですが、当時のKPMGマネジメントコンサルティングは立ち上げてまだ1年目でベンチャーのような発展途上の状態でしたが、KPMGという海外でも名が知られているブランドネームがある状態で一からファームを立ち上げていく経験は他にできないと思ったことと、そのような環境であっても私が転職先に求めていたグローバルに近い環境があることに興味を抱いてKPMGへの転職を決めました。
「海外で通用するから日本に必ずしも
通用するということではない」
坂本
次にカニー様の経歴を教えていただけますでしょうか。
カニー様
私はフランスの出身で、最初はフランスの証券取引市場の子会社であるシステム系の会社に勤めました。母親が日本人ということもあり、その後来日して外資系金融機関、外資系総合コンサルティングファーム、3年間ほど東南アジアでもコンサルタントとして働いた後に、KPMGコンサルティングに参画しました。
坂本
今までに複数の業界を経験されていますが、最終的にコンサルタントを選ばれた理由について教えてください。
カニー様
クライアント側の経験もありましたが、結論としてはコンサルティング側の環境の方が自分のやりたいことにマッチしていると感じたからです。荒木も申していましたが、クライアントほど業界について詳しくなくても、クライアントの組織や業務の変革は外から入った方が実現可能なことを今までの経験を通して実感しました。また、クライアント側に所属すると、決まった組織の中で戦わなくてはいけないものを、コンサルティング側にいると柔軟な働きかけができる点に魅力を感じています。
シニアマネジャー/ノゾム カニー様
坂本
コンサルティングファーム各社、外国籍のコンサルタントが多くなってきたとはいえ、まだ少ない状況です。実際に外国籍の方から見た日本企業の特徴など教えていただけますでしょうか。
カニー様
一つ挙げるとすれば、トランスフォーメーションに保守的な企業が多いと思っています。このような状況下において、外国人の視点で変革を起こそうと考えるのではなく、充分に日本の文化を理解した上でやるべきであり、「海外で通用するから日本に必ずしも通用するということではない」ということを仕事上常に意識しています。
高橋
お二人ともコンサルティング業界に長くお勤めですが、コンサルタントとして苦労するのはどのような時でしょうか。
荒木様
クライアント社内でも、「一緒に改革していこう」と考える方もいる一方で、抵抗勢力が出てくることもあります。必ずしもコンサルティング会社の人間を好ましく思ってない人もいますし、自分たちのやり方を貫き通したいという人たちもいます。そのような方々を自分たちの味方につけるためには相当なコミュニケーション力と、目的を共有して信頼関係を得るということが大切になります。これはKPMGにいるからではなく、私が前職の時も、同様で一番苦労した部分です。
カニー様
同時に、そのような苦労があるからこそ自身の成長がクライアント側にいた時よりも実感できます。我々が相手にするのは社長など上役の方ばかりですので、苦労しながらも早い成長が求められているという感覚です。
高橋
コンサルタントとしての深みというか、実力がそこで積み重なっていくということですね。
荒木様
そうですね。おそらく他の業界にいたらなかなかそのような場面に何度も直面するということはできなかったと思いますし、若い頃から経営層の目線で物事を見られるというのは、この業界の一番の面白みなのだと捉えています。
「テクノロジー×グローバル」を実現する
多国籍チームGTT
坂本
次に、御社ならびにチームのご紹介をいただきたいと思います。チームのミッションなど教えていただけますでしょうか。
荒木様
Global Technology Transformation(GTT)はITアドバイザリーの中でも、業務・オペレーションカットではなく「テクノロジー×グローバル」という観点で業務・IT改革の事案を扱うチームです。メンバーにもテクノロジー要素のスキルに強みを持つ、バイリンガル以上のメンバーが数多く所属しています。依頼される案件としても、グローバル規模のシステム構造、ガバナンス構造の変革を始めとしたビジネストランスフォーメーションに関わるテーマが多いです。
さらにいうと、それぞれのサービスラインであったり、他のインダストリーカットのチームにも英語が話せるメンバーがいるのですが、我々の強みとしては高い英語力を持つ部隊としてエグゼクティブレベルの外国人クライアントと仕事をすることが多いです。
現在の市場は変化が激しく、現在案件が豊富なインダストリーも半年後には変化している可能性があり、会社としてもインダストリーを超えてマルチにグローバルの案件に対応できる人材が必要不可欠です。また、GTTには役割がもう一つあり、海外のKPMGメンバーファームと日本のKPMGのハブのような役割も担っています。グローバルで力を入れている新たな方法論やテクノロジーソリューションを日本に取り込んでビジネス展開したいとなった時にグローバルとの窓口になるケースも多くあります。これは日本側で何か興味のあるものを見つけた際に海外へコンタクトするだけではなく、海外のメンバーファームが日本に何かを展開したいとなった場合に紹介を受けることも多く、海外のトレンドや新な取り組みを一足早く触れることができるポジションにいることはこのチームの面白さの一つです。
坂本
メインのコンサルティングをやりながら、ソリューションの開発や導入をサポートするということですね。
荒木様
そうですね。ソリューション開発とはいうものの、そこはメインではありません。ただ、海外で生まれた新たなテクノロジーソリューションを受け皿として対応できる人たちが他のチームにはあまりいない。新しいソリューションといえども、他のソリューションを経験したり、ITのバックグラウンドがないと、なかなかそのソリューションの良さやどのようなビジネスに適用可能かがわからないと思いますし、さらにそのようなソリューションの場合日本市場に入り込んだ経験のない会社が対応しているケースが多いため、カウンターパートも基本的に外国人で英語しかできないことが大半ですし、参考文献も全て英語のため、我々の力が求められるケースが必然的に多くなります。
坂本
クライアントのみならず、社内のメンバーもグローバルとは、常にグローバルの最前線に立つチームなのですね。
荒木様
そうですね。このようなミッションがあるからこそ、高い英語力や、海外のクライアントやメンバーに対しても躊躇なくコミュニケーションを取り、物事を推進するスキルセットが我々には求められています。
坂本
御社の中でも特徴的な部署と理解しましたが、どのようなメンバー構成か教えてください。
カニー様
多国籍なチームとなっており、メンバーの 50%が海外出身のメンバーです。
韓国、中国、インド、ヨーロッパなど、日本のグローバルファームでも特殊なメンバー構成かと思います。
坂本
ここまで多国籍な組織はお伺いしたことがないです。
カニー様
とても多様なメンバー構成だと思います。
高橋
元々日本で働いていた外国籍の方が入っているのでしょうか。それとも外国で働かれていて、日本で働きたい方がKPMGに来られたのでしょうか?
カニー様
日本で働いていたメンバーが多いですね。基本的に私たちのチームは日本企業の日本人エグゼクティブとも問題なく対話できる人たちを中心に構成されている組織なので、日本でのビジネス経験を持っていることが多いです。
高橋
日本のカルチャーを理解した方が多いということですね。
荒木様
そうですね。日本でビジネスをする以上、まずは日本語がわからないと厳しいという実感があります。先ほど外資系のクライアントが多いと言いましたが、確かに経営層の上層部は外国人中心で構成されているものの、その方の部下や実際に働いている人たちの大半は日本人です。このような状況でクライアントが我々に期待していることの一つは、経営層と実際に働いている人たちとの意思疎通ですので、そこを切り盛りできる人材は、やはり日本語と日本のビジネスをある程度理解していて、かつ海外のことも理解できるスキルが求められます。そういう面で、柔軟に対応できるメンバーが多いので、ニーズにうまく合わせてアサインできていると思います。
高橋
案件の入り口は、GTTとして案件を取りに行くケースが多いのでしょうか。それとも、他のチームで案件を受注したけども、今おっしゃっていたように外国人エグゼクティブとのやり取りが発生するなどグローバルなやり取りが発生するものの仕事を受けたチームでは全て解決することが難しいためGTTがアサインされるケースと、どちらのケースが多いですか。
荒木様
案件の入り口に関してはいくつかのルートがあると思っています。一つは我々のインダストリー系のセクターが専門、得意としている業界でいろいろなビジネスを積極的に受注してくるケース。
サービスラインでも過去に仕事で携わったことのあるクライアントから直接仕事の依頼を頂くケース。
あずさ監査法人やKPMG FASなどKPMGジャパンの他のメンバーファームからのリファーラル。
最後に海外のメンバーファームからのリファーラルです。我々KPMGはグローバルワンファームではなく、各国でKPMGとして、ビジネスをしているものの、それぞれ個別のファームとして運営されています。そのため例えばアメリカで世界規模のプロジェクトを受注した場合、アメリカが率先して対象となっている国に入り、サービスを提供するのではなく、各国のメンバーファームで対応可能な業務であれば原則その国のメンバーファームが対応するという紳士協定があります。海外含め我々が接するクライアントの多くはグローバルにビジネスを展開している企業が多いため、必然的に海外からのリファーラルは多くなります。またその逆で日本側が受注したプロジェクトで海外も対象になる場合、海外のメンバーファームに対してリファーラルを行います。
坂本
他のファームと比較をしてみると、最後のグローバルからのリファーラルというのが少し特徴的かと思いました。そこで、例えばM&A後のPMIなど、それこそ国をまたがるケースもあると思いますが、そのような場合、オーナーシップはどのリージョンが持つのでしょうか。
荒木様
原則受注した国のメンバーファームがオーナーシップを取ることが多いです。ただ、受注した国がオーナーシップを取りつつも、それぞれのリージョンにもリードを置く場合もあれば、完全に受注した国がリーダーシップをとる場合もあるなど、ケースバイケースですね。プロジェクトのスポンサーがどの国にいるかや、各国のビジネス規模などによって左右されることが多いです。
カニー様
確かに基本的にクライアントがオーナーシップを持っている国のメンバーファームがオーナーシップを持つケースが多いですね。例えば、一つ日系金融機関を例とすると、Out-Inの案件でも、実はオーナーシップを持っているのはニューヨーク支店であったり、シンガポール支店であったり、対象業務によってオーナーシップが変わることも多く、必ず日本がオーナーシップを持つわけではないのが通常です。
高橋
実際に GTT のメンバーの方々が海外に行くことはありますか。
カニー様
過去に日系金融機関の案件でKPMG Japanとしてフランスに行ったことがあります。日本がオーナーシップを持っていたことによって、各拠点へのナレッジトランスファーなどのために、日本のメンバーを行かせるということはありました。ただ、現状は、基本的にインバウンドでの関わり方が中心になっています。
坂本
特徴的ですね。GTTは、先ほどおっしゃったテクノロジーかけるグローバルというところの案件をメインに、且つエグゼクティブへのコンサルティングも特徴的であると思っていて、経営層と対峙するような案件の課題解決を提供するチームだという認識でよろしいでしょうか。
荒木様
そうですね。ただ、テクノロジーに特化しているわけではなく、経営者目線で課題を捉え、それを「テクノロジー×グローバル」のビジネスマインドで解決することが求められます。
高橋
そうなると、専門性よりはマインド面がメンバーにも必要とされるのでしょうか。
荒木様
マネジャー以上の層には、自分の専門領域、専門業界が求められてきます。しかし、それでは特定の分野に関するソリューションしか提供できないため、柔軟さが求められます。私自身も過去の経験から金融業界全般に強みを持っていますが、現在は金融系の案件のみ手がけているわけではなく、ライフサイエンスや製造業の案件などにも入っています。
坂本
その場合、これから専門性を作っていく若手層はどういうキャリア形成をしていくのでしょうか。
荒木様
例えば、金融系のバックグラウンドがある方は当然ながら金融系の案件でのパフォーマンスが良くなり、金融系の案件へのアサインが増え専門性も高まります。しかし、実は金融の経歴があっても、金融業界以外のことを知りたいという思いでコンサルタントになる人もいます。そのようなケースでは、本人の意向を汲み取り、他業界のプロジェクトにアサインし、最終的に一番フィットした業界でスキルや実績を積み上げていただきます。
高橋
GTT単独というよりは、どこかのチームと組みながら進めていくプロジェクトが主流となっている中、GTTのマネジャークラスがマネジメントしているプロジェクトになるべく若手の方をアサインメントして、キャリア形成をサポートしてゆくということでしょうか。
荒木様
そうですね。おっしゃる通りです。
テクノロジーだけではなく経営者目線で
ビジネスを語れるマインドが必要
坂本
実際に働かれている中で、会社やチームとして現在トレンドだと感じる案件はありますか。
荒木様
我々の部署で言えばやはりグローバルが絡んでくるのでPMIの案件が多いです。M&Aも本当にプレの段階からポストまで全体的なところを手がけています。PMIの契約を締結してから、合併した後のサポートまでにはマンパワーがものすごく必要になります。特に我々に仕事を依頼するクライアントは一部上場であったり、海外で上場している会社が多いため、そうなると、外国人のステークホルダーが必ずいるので英語での対応が必要になり、我々に対応依頼が来るというイメージです。
またM&A・PMIの案件は様々な要因が絡んでいるケースが多いので、テクノロジーだけではなく経営者目線でビジネスを語れるマインドも我々には必要とされています。
坂本
テクノロジーだけではない案件も扱うことはあるのでしょうか。
カニー様
PMIの案件が代表的です。GTTで扱うPMIは、人事からオペレーション、会計、企業のケイパビリティ全般です。それに専門性で入るというよりは、それこそグローバルと、あとエグゼクティブと経営課題の観点でサポートに入るというのがよくあるパターンですね。
荒木様
PMIは本当に色々な領域が絡んでくるので、過去に私も経験がないリーガルコンプライアンスの担当をしました。その業界、その領域のことはあまり詳しくなかったとしても、BPRやプロジェクトマネジメントスキルなどの一般的なコンサルティングスキルに加えてグローバルのエグゼクティブとも正面から会話ができるコミュニケーションスキルを兼ね備えていればクライアントのニーズを満たすケースは多々あります。
「トレンドを見て柔軟に組織として動ける」という強み
高橋
お二人ともコンサルティング業界の最前線で長く働かれておりますが、昔のコンサルティングと今のコンサルティングの違いなど感じることはありますか。
カニー様
日本に限ったことではなく、十数年前までにコンサルティングというのは基本的に何か仕事を委託するというイメージがあり、それはクライアントの社内でケイパビリティがなかったから、あるいは、変革をかけるために社内のリソースだけでは力不足というのが原因だったと思っています。
一方で最近見られる傾向としては、委託するというよりは、「一緒に改革を進めましょう」というイメージで、よりパートナーシップ的な形でクライアントとコンサルティング会社が何かしら新事業ですとか、オペレーション改善ですとか、最新のテクノロジーの導入を手がけるケースが多い傾向だと思います。ジョイントベンチャーとまでいかないとしても、本当にこのようなパートナーシップを組んで、よりコンサルティング会社がクライアントに近い立場、クライアントはコンサルティング会社側に近い立場というのがよく見られるケースですかね。
当然ながら、コンサルティング会社側が成果に対する責任と言いますか、コミットメントや、インセンティブ系のプロジェクトの納品というのも増えてきたと思います。
荒木様
私が新人の頃に比べて、コンサルタントを使ったことのある会社が増えてきた、また元コンサルタントの方が中途入社されたという理由で、各社ある程度コンサルタントを使うノウハウや知識が貯まっているのは確かだと思います。
さらにいうと、今の世の中ではテクノロジー企業やプラットフォーマーが業界を超えて自動運転を手がけたりしていますが、コンサルティング業界も同様で、今までコンサルタントから委託されていたようなIT系ベンダーがコンサルティングの領域に入ってきたり、戦略系ファームもITに踏み込んできたり本当に数年の間に業界の垣根が崩れてきています。それぞれの会社の中で、得意、不得意というのはあれども、昔は手を出さなかったような領域に徐々に足を踏み入れているので、競争は明らかに激化していると思います。
高橋
その中で、御社としても、チームとしてもバリューを出す必要があると思います。今後の方向性や、現段階でバリューを発揮できる武器があれば教えてください。
荒木様
Big4という括りで考えた時に、良い意味でIT Advisoryでは特定のソリューションに力を入れて、開発・導入まで手がける体制を我々はとっていません。
業務要件のところから、導入、保守まで全て行うというスタイルのビジネスには参入しようとしていないです。あくまでもクライアントサイドの視点に立つ姿勢を大切にしています。
また、私見ですが、他のBig4に比べて監査法人の力が強いと思います。その結果、会計的な知識や制度対応についても最先端のナレッジを入手しやすい。さらに、監査法人のメンバーとビジネスコンサルティングで長年高い成績を残してきたコンサルタントたちがシナジーを出してサポートできる体制になっている点はKPMGの強みだと思います。
確かに、まだまだ我々は新参者で発展途上だと思っていますが、その分柔軟に各メンバーの強みをうまく活かし、今までにない新しいバリューが提供できると思っています。
カニー様
特にGTTに関してはその通りだと思います。例えば他のチームはクロスインダストリーでも、基本的にそのセクターの中で、サービス、オファーリングの開発をしなければいけないのですが、我々の場合は本当にトレンドを見て柔軟に組織として動いていますね。
「知的好奇心」がある人が、
この業界で生き残り、成功していく
高橋
今お話いただいた強みですとか、方向性を今後も継続し、進化させてゆくために、どのような経歴の方を採用したいですか。
荒木様
求めるランクによりますが、マネジャー以上のクラスはある程度、我々に近しい経験を持っている人が良いですね。ITまたは業務系のケイパビリティが高く、その上バイリンガルであったり、海外で仕事をされていた方ですね。
一方で、若手のコンサルタントクラスの方たちにはITなど特定のスキルや経験というよりかは、GTTとしてはバイリンガルであることは必須で、その上で海外のステークホルダーに対して躊躇せずにきちんとコミュニケーションが取れるような人を必要としています。あとはダイバースな環境の中で、喜びを持って楽しんで仕事ができる人にはぜひ入社していただきたいと思います。
また、どのランクでも同じですが「知的好奇心」がある人が、この業界でこれからも生き残り、成功していくと思っています。トレンドやテクノロジーも劇的に変わる中で、当然ながらビジネスの手法も変化してゆきます。我々としては、警笛を鳴らすではないですが、経営層に対してそういう「変化」を理解していただき、ビジネスが今後も継続できるようリードしてゆくところにバリューが生まれると考えています。このようなミッションの中で、変化を正確に捉えることが求められますが、そのためには、受身の姿勢で情報を取り入れているのでは身に入っていかない。やはり自ら興味を持てないと進歩しないと思っています。
「インターネットでこういうのを調べた、でも更に深い部分まで知りたいから有識者に聞いてみよう」、このような好奇心がある人でないと、コンサルタントとして成長できないと思っています。これに関しては、GTTといったチームレベルの視点ではなく、会社として私個人が求める人材ですね。
カニー様
今の話に加えるとすれば、バイリンガルといった言語スキル、業界やITの専門性に加え、ステークホルダーを経営層と現場に近いところの中間でハンドリングする必要があるので、プロジェクト管理スキルというのはすごく大事だと思います。
高橋
今のお話を伺っていて、エグゼクティブ層にしっかりと話に行ける方というのは、前職でそのような近しい経験をされていた方の方が多いのか、それともパーソナリティの問題なのでしょうか。
荒木様
間違いなくパーソナリティだと思います。
高橋
なるほど、逆に前職でそういった経験がなくてもパーソナリティがあればエグゼクティブ層とも躊躇なく対話できると言うことですか。
荒木様
日本人に多いと思うのですが、社長、部長など肩書きだけで萎縮するようであればこの業界は厳しいです。我々のチームですと、若手のメンバーであっても、必要であれば経営層に対してインタビューをさせたり、自分たちが調査した結果・成果を発表する機会を極的にセッティングします。それはある意味若手のメンバーについては「度胸」がないとできないと思います。ですので、前職での経験やタイトルは関係なく、パーソナリティの問題だと思います。
カニー様
特にGTTはそのようなパーソナリティを求めます。専門性に特化して動いている部隊ではないので、グローバルな環境を舞台にして、経営者相手に自分のパーソナリティでいかに心を動かせるか、満足させられるが求められると思います。
坂本
色々なバックグラウンドのメンバーが集まっているチームの雰囲気についてお伺いしたいと思います。多国籍チームですが、コミュニケーションは日本語ですか、それとも英語ですか。またチームの雰囲気についても教えてください。
アクシスコンサルティング/高橋、坂本
荒木様
比較的日本語が多いです。おっしゃるように多国籍のメンバーですので、英語だけでなく他の言語が強い方もいます。そのような環境下で、皆ある程度のレベルにあるのは日本語なのです。雰囲気ですけれども、GTTのチームはバイリンガル以上で、多種多様な文化に触れてきたメンバーが多いので、オープンマインドというか、和気あいあいとしたイメージです。今後縁あって参画いただく方も、一緒に仲間として働いていけるマインドを持っている人であれば 温かく迎えますし、ギスギスした感じというのは我々も好きではないです。それぞれ育ってきた環境や、働いてきた環境が違ったメンバーが、互いを尊重した上でコラボレーションした時に面白いことができると考えています。
GTTチームの今後:
多様性を生かした新しいソリューション開発・提供
坂本
最後になりますが、ビジネス的にも、カルチャー的にもコラボレーションの多いこのチームの今後についてお伺いできればと思います。
荒木様
まだまだ20人程度の組織です。各分野でエッジの効いた取り組みをしてきたメンバーをさらに集め、コラボレーションした結果、他のファームやチームにはない新しいソリューションが提供できる組織にしたいです。
カニー様
本当にその通りですね。先ほどから話に出てきている経営目線、グローバルで多様性のあるメンバー、テクノロジーを基盤に、クライアントにより付加価値の高いコンサルティングを提供できるチームにしたいと思います。