今回の記事では、大手コンサルティングファームを経てソフトバンクのDX本部立ち上げやプロジェクトリーダーとして活躍後、リブ・コンサルティングのDXコンサルティンググループに転職された吉田政人様。日本航空株式会社にてRPAなどの業務改革プロジェクトを経験後、同グループに転職された田辺遼様より、事業会社のDXチームから同社へ転職された背景、現在のプロジェクト事例、事業会社とコンサルティングファームで得られる経験・スキルの違い等についてお聞きしました。
- 目次
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- Big4系ファームのシニアマネージャー、ソフトバンクDX部門長を経てリブ・コンサルティングへ
- 日本航空のDX推進で結果を残し、部長賞を獲得。その後、大手外資ファーム各社の内定を辞退し、リブ・コンサルティングへ入社
- DX領域のITコンサルではなく「経営コンサル」の立場でDXを推進する
- 大手コンサルファーム在籍時と比べ、「組織間の壁が低く 、成果のために迅速に連携できることが魅力」
- 「これからのDXはビジネスでの効果創出がテーマ」デジタルとビジネスを両輪で回せる人材を求めている
- 「ビジネスモデル構築~オペレーションまで一気通貫で経験できるため、将来的にはベンチャーCDOやCOOのポジションを目指せる」
- 株式会社リブ・コンサルティング 求人情報
Big4系ファームのシニアマネージャー、ソフトバンクDX部門長を経てリブ・コンサルティングへ
田中
まずは、吉田様のご経歴について伺ってもよろしいでしょうか。
吉田様
私は新卒でIT企業に入社しフロントSEとして大手企業の基幹系やネットワークの構築、運用の組み立てに携わってきました。その後いくつかのIT企業に在籍し、次は上流工程に関わろうと思い大手外資系コンサルティングファームに転職、シニアマネージャーとして事業や業務プロセスに従事してきました。
しかしビジネス寄りもIT寄りも両方経験してきた中で、「事業をやっていきたい」と思うようになり、直接オファーをいただいたソフトバンクに入社しました。
最初はデジタル技術を活用したバックグラウンド業務の改革に参画し、その後、新規事業開発本部にてIoTビジネスの立ち上げを担当し、のちにDX本部の立ち上げを0から行い、新技術を用いた事業開発といったプロジェクトのリードを経験してきました。
田中
その後、転職活動を考えたきっかけについて教えていただけますでしょうか。
吉田様
ソフトバンクには5年ほど在籍していましたが、徐々に投資サイドでベンチャーを育成する方向に舵を切っていく一方、私としてはデジタルを活用して事業で結果を出したいと思うようになったからです。
それに加えて、ソフトバンクでさまざまなイノベーション系の活動をしてきましたが、ツールだけでは成果に結びつかない事例が多く、これからは「デジタルとコンサルティングがセットでなければ成果に結びつかない」と課題を感じていました。
田中
吉田様がリブ・コンサルティングに入社された決め手について教えていただけますか。
吉田様
私の思いやイメージに対し、リブ・コンサルティング の戦略が合致したのが決め手となりました。つまりリブ・コンサルティングでは、「ビジネスコンサルティングを成長させるために、テクノロジーを活用して、クライアント企業を支援していく」といった方針がすでに決められていたのです。
転職にあたっては、ほかにも事業会社のCDOポジション等のオファーをいただきましたが、事業会社のように「ツール」に偏らずビジネスの成果にコミットできる会社はリブ・コンサルティングだと思い入社いたしました。
吉田政人様
日本航空のDX推進で結果を残し、部長賞を獲得。その後、大手外資ファーム各社の内定を辞退し、リブ・コンサルティングへ入社
田中
ありがとうございます。次に、田辺様のこれまでのキャリアについて、お話いただいてもよろしいでしょうか。
田辺様
主に2つあります。1つは成田空港で仕事をしているときに業務改善をしたことです。今までも、お客様の満足度を向上させる取り組みは複数ありましたが、あまり成果が出ておりませんでした。そこで、今までいろいろな人が手掛けてきたプロジェクトを見直したところ、お客様の声をきちんと聞けていないことが原因だと分かりました。そこで、どういう働きかけをすればお客様が納得してくれるかに着目して仕組み作りをしたところ、お客様の満足度が上がり、結果的に部長賞を受賞しました。
2つ目はマーケティング部に所属したときのことです。デジタル化がまったく進んでおらず、ひたすらExcelで作業している状況でした。RPAのソリューション自体はこれまでも会社で持っていましたが、なかなか利用できておらず、何か作ったとしても、データが1個変わったら、もう使えないという状況でした。
そこで、私は実際にExcelで作業している人たちに対し、どういう作業をしているのか、どこを自動化してほしいのかをヒアリングしました。それをフローチャートに起こし、エンジニアと話をし、導入をすすめ、1部署で、3か月で10個ほど業務自動化のソリューションを作りました。
田中
その後、転職活動を始められた理由についてお話いただいてよろしいでしょうか。
田辺様
デジタルを活用することでビジネスが変わることは実感できました。しかし、大きな会社ということもあり、上層部は「デジタルは業務改善でしかない」という考え方でした。「もっと根本的に変える必要がある」と考え、今いる会社から飛び出そうと決めました。
田中
転職活動の軸は何だったのでしょうか。
田辺様
デジタルは武器で、「経営」や「会社を変える」ところがビジネスの根本だと捉えていました。そのため「自分の工夫で、どれだけ会社や従業員の働き方を変えられるか」が、転職活動の軸でした。
田中
コンサルティングファームを選んだのは、どういう理由だったのでしょうか。
田辺様
大学時代は研究をしながら技術経営やMOTの授業にも出ており、コンサルティング業界は意識していました。「課題解決」「自分の創意工夫が世の中のバリューになるところで戦いたい」そして「経営」の3つが重なって、コンサルティングファームを選んだのです。
田中
その中でも、リブ・コンサルティングを選ばれた理由は何でしょうか。また、どういった企業と比較されたのでしょうか。
田辺様
内定をいただいて悩んだのはBig4系コンサルティングファームや、大手日系コンサルティングファームの戦略部門です。しかし、前職でコンサルタントと接したときに感じたのが、「熱量のないクライアントと一緒に仕事をするのはもったいない」ということです。 経営者との距離が近いか、支援される人たちの本気度がどれだけ高いか、そしてこちらも本気を出して、クライアントと正面切ってぶつかり合えるような場所はどこかと考え、一番「どれだけクライアントに近づけるかで勝負している会社」がリブ・コンサルティングだったのです。
田辺遼様
DX領域のITコンサルではなく「経営コンサル」の立場でDXを推進する
田中
DXコンサルティンググループの特徴や強み、得意領域についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
吉田様
弊社のDXコンサルティンググループの強みは、ビジネスを理解している人間がいることです。私自身が事業会社の経験があり、さらにリブ・コンサルティング自体がビジネスコンサル会社なので、経営の目的や経営戦略にテクノロジーを活用し、事業を加速させることができます。
つまり、お客様の事業の一部を担ってDX導入支援をするのではなく、私たちはお客様に伴走しながら「経営を変革するために」戦略を考え、その中でデジタルをフル活用しデザインしながら定着させていくのが特徴です。
また、チームとしてもコンパクトなので、ダイレクトにお客様の喜びとテクノロジーを紐づけて経営変革の推進を行っています。
田中
御社ではDXの導入支援ではなく、「経営変革の中でDXを活用されている」ところが、他の大手コンサルのDXと比べて異なっている部分でいらっしゃるのですね。
吉田様
そもそも、今はDXがバズワード化しているため危機感を煽るように「デジタル化の導入」が勧められている一方で、私はDXそのものには実態や価値はなく、数年後にはDXという言葉はなくなっていると思うんです。今後ビジネスでデジタルの導入が当たり前になると、あえて「デジタル」という言葉は使わなくなるのではないでしょうか。
また、「DXはITの導入ではない」ということを、まずはお客様にご理解いただくことが非常に重要だと考えています。
お客様のなかには新しいIT製品やサービス、テクノロジーの比較をされる方が多いのですが、今はサービスの種類が非常に多く、日々機能も変わっていきます。製品比較に力を入れるよりも、まずは「やりたいこと」もしくは「出すべき成果」をはっきりと決めて製品を導入し、いかに早く自社に馴染ませていくか。使いにくければ調整し、合わなければサービスを乗り換える。そのサイクルを早く回して戦略~結果までのPDCAを高速で回していくことがとても重要です。
田中
リブ・コンサルティングのDXコンサルティンググループに所属されてからの仕事内容を簡単に伺ってもよろしいでしょうか。
吉田様
「新しいソリューション開発」と「クライアントのご支援」をメインに、さらに今年から「チーム組成」と「マーケットの拡大」に力を入れております。
田中
「ソリューション開発」というのは具体的にどのようなものになるのでしょうか。
吉田様
お客様にデジタルニーズをきちんとご理解いただくもので、例えばデジタル化診断サービスでは、自社でデジタルがどのくらい活用されているか、デジタルで成果を生むために企業の構造や人材がどのくらい育っているかなど、実態を把握していただき、効果を生むためのご支援を提案しています。
田中
まだ立ち上げて間もないですが、現在のDXコンサルティンググループの案件事例について教えていただけますでしょうか。
吉田様
主にデジタル化診断と、大手自動車ディーラーのご支援をさせていただいております。なかでもオールドエコノミーが多いディーラー会社では、「IT」という言葉すら敬遠される経営層の方たちが多く、その意識をどのように変えていき、どう取り組むべきかを具体的なプロジェクトにして昨年より取り組んでおります。
さらに今年は、外部CIOとしてITをどのように導入し、活用していくのかの仕組みづくりに携わるだけでなく、ITを活用できる人材育成をどのようにサポートしていくかまで全体像を描きながらご支援をしております。
田中
ありがとうございます。続いて田辺様の現在の仕事内容を伺いたいと思います。
田辺様
今関わっているプロジェクトは、吉田と同じくカーディーラーのDX戦略で、私自身はロードマップの部分に関わっています。トップダウンでDX戦略を進める中で、現場でもITリテラシーは必要になるので、早い段階から現場にも携わらせていただいています。
たとえば管理部門の台帳づくりや、Slack、Zoomといったコミュニケーションツールの導入・設定、そもそもデジタルコミュニケーションとはどのようなものかなど、現場の方向けに資料を作成し、理解の浸透を行いました。
また、前職ではデータ分析も行っていましたが、現在もクライアント向けに業界の動きやトレンドを示す際に、様々な統計を使って世の中の動きを示すためにも、どういうデータを掛け合わせたらどうなるかなどを分析し、業務に役立てています。
大手コンサルファーム在籍時と比べ、「組織間の壁がなく、成果のために迅速に連携できることが魅力」
田中
前職と比較された際に、御社のDXコンサルティンググループで働く魅力についてはどのようにお考えでしょうか。
吉田様
前職の事業会社や大手コンサルティングファームと比較すると、組織間の壁のなさ、風通しのよさは非常に良いと思います。規模が大きいとどうしても組織間調整が必要になりますが、今はスピードの時代ですし、早く成果を取りにいきたいと思ったときに、スムーズに動ける点が魅力ですね。
田中
今まで培ったスキルや経験の中で特に役立っているものはありますか。
吉田様
デジタルを活用する上では、「いかに言語化したモノをかたちにしていくか」が重要になりますが、そこに関しては事業会社の経験が非常に役立っています。
というのもお客様のやりたいことが本質的にどういうことなのかをまず翻訳し、さらにデジタル活用をすればこのように実現できると2回翻訳できなければ、多くは失敗してしまうからです。
お客様の話を聞きながら「こういうことがやりたいんだな、確かに成果は出そうだ。であればこういうデジタル技術やデータがあればそれが実現できそうだ」とシームレスにイメージできることは非常に重要ですし、逆にいえばそれができなければ今のDXはなかなか難しいかもしれません。
田中
キャッチアップが必要だったことや、ギャップを感じられた部分はどういうところでしょうか。
吉田様
中堅企業の経営者の関心の持ち方とスピード感です。基本的に大手事業会社や大手コンサルティングファームでは手続きが煩雑で意思決定に時間を要します。またあらかじめリスクを想定して対処するため守りの体制が多いのも特徴です。
一方で中堅企業の経営者は、きちんとメリットが伝わると意思決定までのスピードが早く、これは大手企業ではなかなか経験できません。それを考慮し中堅企業向けには特定領域でも魅力訴求型で尖っていくことを意識するようになりました。
田中
田辺様は大企業での知識やご経験は、今の仕事でも活かせていますか。
田辺様
「このハードルが解除されれば、プロジェクトを前進させられる」という大企業ならではのボトルネックが見えるのが強みですし、クライアントとの関係構築にも役立っています。
田中
前職でのDXプロジェクトとの違いに関してはいかがでしょうか。
田辺様
前職の場合は、すでにソリューションが決まっているケースがありました。例えば「うちはA社と組んでいるから、A社のこのソリューションを導入したい。この部署で導入事例が作れるか」というようなイメージです。DX自体がバズワード化していて、デジタルを使いたいからこのプロジェクトをしたいという、まさに「デジタル化のためのデジタル化」だったのです。
今は、「デジタル化することで世の中を変える、消費者や労働者のためになる」ということを軸にして、自分たちでDXを突き詰め、バリューを出せることが前職との大きな違いです。
「これからのDXはビジネスでの効果創出がテーマ」デジタルとビジネスを両輪で回せる人材を求めている
田中
御社のDXコンサルティンググループには、どのようなバックグラウンドの方がいらっしゃいますか。
吉田様
私と田辺を含めて3人です。もう1人はDXコンサルをしてきたメンバーです。
田中
御社では、どういった経験や思考のある方が活躍できるのでしょうか。
吉田様
一昔前のITは、どちらかというと会社の構造や機能の一部を担っているものでしたが、今はビジネスの中にデジタルが欠かせない状態になっていますので、経営目線まで視座を上げて考えていただく必要があります。
実際に活躍している者は、例えばデジタルとビジネスを両輪で回し、ビジネスを推進してきた人材です。特に、デジタルの対抗勢力が多い会社の中で、自分で企画を立て導入し社内で啓蒙活動をされてきた方は、まさに社内コンサルになりますので、弊社のDXコンサルティンググループでご活躍になれる方だと期待しております。
田中
反対にこういった経験を積みたい人には向かない、こういう志向性の人には合わないと感じられていることがあれば教えていただけますでしょうか。
吉田様
これからのDXはビジネスでの効果創出がテーマです。イメージとしてはビジネスを磨いてその中にデジタルを埋め込んでいく感覚になります。ですからエンジニア軸でコンサルスキルを身につけたい、技術者としてキャリアを積みたい方には向いていないかもしれませんね。
また、弊社は経営者に「寄り添う」ことを、非常に重要視している会社です。「頭を使ってスマートに仕事をしたい」という方は、一般的なコンサルタントには向いているかもしれませんが……しかし、それだけではもったいない気がします。
田中
田辺様がリブ・コンサルティングのDXコンサルティンググループに採用された理由についても教えていただけますか。
吉田様
DXを一機能、一チャネルでとらえるのではなく、経営を変革するためにDXを活用したいという意志を感じた。その目線が、我々の求めているDX事業人材にマッチしていたからです。デジタルの知識だけであれば豊富な人も多いでしょうが、DXを理解した上で、プラス志望動機がしっかりしているのかが重要です。
また、仕事に熱狂できるかどうかも見ています。冷静な判断力、頭脳を持ちつつ、熱意をもって経営者と対峙できる、そういった素養をリブ・コンサルティングは求めています。
田中
なるほど。前職で田辺様が取り組んでこられたことが、きちんと評価されたわけですね。
吉田様
そうです。分析ツールにしても、ただ使えること自体が売りになるのではなく、「何かを良くしたい」と考えたときに、どういうことができるか、最適なツールは何かということが大事です。
田中
今後は具体的にどのようなスキル・経験をお持ちの方に入社して欲しいとお考えでしょうか。
吉田様
システム導入プロジェクトの経験や業務フローの要件定義のスキルのある方に加え、CRMの基本的な理解がある方ですね。今はCXをベースに「モノ売りからコト(経験)売り」とした顧客体験が重視される時代になっています。
マーケティングオートメーションの一歩先には、単なるプロモーションだけでなく、お客様にとって繋がり続けるメリットや、常に価値を感じていただけるサービス、そういった切れ間のない顧客体験をつくりあげることが、さまざまな企業で重要になってくると考えています。
田中
それ以外で何か必要なスキルなどがあれば教えていただけますでしょうか。
吉田様
言語化や図式化の能力、つまりロジカルシンキング力のある方ですね。DXでは「物事を明らかにする力」が重要です。
お客様に対しDXの価値を理解していただくためには、大きな定義の中から「今回はこの言葉をこういう定義で使おう」と、フリーハンドで目の前のお客様に対し書き示し説明できなければならないのです。
「ビジネスモデル構築~オペレーションまで一気通貫で経験できるため、将来的にはベンチャーCDOやCOOのポジションを目指せる」
田中
御社のDXコンサルティンググループに例えば若手の方が入社されてキャリアを積まれた際、吉田様から見てどのようなネクストキャリアを歩むことができるとお考えでしょうか。
吉田様
ビジネスモデルからビジネス活用を考えていくことや、デザインからインプリメンテーション、オペレーションまで一通り経験していきますので、事業会社のCDO、ベンチャー企業のCOOなどのポジションは問題なくやっていけると思います。
田中
田辺様が今後リブ・コンサルティングで成し遂げたいことや、築いていきたいキャリアについても教えていただけますか。
田辺様
中堅企業やベンチャーの経営者にとって、DXの第一人者として認識してもらえる。つまり、デジタルによって変化する会社を目の当たりにした経営者が、「自分たちも変わりたい、変えられる」となったときに、真っ先に自分を選んでいただきたいですね。
また、将来的には自分の組織を持ち、テクノロジーを使って、世界の人たちが幸せに生きていける世の中を、自分で作りたいと考えています。
そのためにも、より経営者としての目線を持ち、「会社が変わるのはどういうことなのか」という経験を、もっと積んでいかなければいけません。並行して最新のテクノロジーをキャッチアップして、「トップダウンで会社が変わるところに、デジタルやテクノロジーを組み合わせたら、何が生まれるのか」というのを知り、自らビジネスを作り出していく能力を高めたいと考えています。