「企業の成長にコミットするDX」をポリシーとし、伴走型でクライアントの事業戦略からグロースまでを支援する株式会社リブ・コンサルティング DXグループ。
今回は、同組織のディレクター 松尾大輔様、そして小林裕輔様に、リブ・コンサルティングに入社された経緯、同グループが手掛けるDXソリューションの戦略、実際の案件事例などについてお聞きしました。
リブ・コンサルティング DXグループ 松尾様、小林様のご経歴
田中
まずは、お二方のご経歴をお伺いしてもよろしいですか。
松尾様
私は2005年に新卒で博報堂に入社し、アカウント営業としてメディアのプランニングからコミュニケーション戦略策定の全般を担当していました。その後、2016年にアカウントディレクターに昇格したものの、このまま博報堂でキャリアを積んでいくべきか悩んでいたタイミングで、折しもいくつかの外部企業からヘッドハンティングをされていたんです。その1社がリブ・コンサルティングでした。
どこの企業からも、博報堂にいる能力を活かした仕事をしてほしいというオファーが多い中で、「経営という観点で見れば、マーケティングにはまだまだ可能性がある」とストレートに話をしてくれたのが、リブ・コンサルティングの関(現 代表取締役)と権田(現 常務取締役)だったんです。その言葉が決め手となり、まだ4期目だったリブ・コンサルティングに2017年に入社しました。
ただ、入社当時は広告代理店時代と比べて価値提供の仕方が異なるため、自分の得意なマーケティングをテーマとした提案にも関わらず結果を出すことができませんでしたね。当時はなぜ自分の提案がうまくいかないのか理由が分からなかったのですが、入社後3ヶ月でただ与えられた予算に対してプレゼンをしていても駄目だと気付きました。つまり、クライアントは何を目指しているのか、そこを想像していなかったんです。
我々の仕事は、単にクライアントの決まった予算の中でどうするか考えるものではありません。ある意味、我々も身銭を切るかのようにクライアントの事業にコミットして、クライアントの課題を共に考えながらビジネスを突き詰めていきます。そのため単に「いくらでDX開発ができますか?」といった依頼をされることはありませんね。
小林様
私は2016年に東京大学大学院からソフトウェアベンダーに入社しました。そこではITエンジニアリングやR&D、システム導入のほか、AIデータ分析のプログラミング開発や導入といった事業を3年半ほど経験しました。しかし、テクノロジードリブンでやれることには限りがあり、もっと上のレイヤーから課題解決やビジネスがしたいと考えBig4に転職したんです。そこでは、DX企画推進や新規事業開発、またブロックチェーンやVRといった新しいテクノロジーのPoCを経験しました。
しかし、1年半ほど事業に携わる中で、「スピード感を持って自分でビジネスをドライブしたい」と考えるようになったんです。そこで転職活動をする中、リブ・コンサルティングと出会い、経営陣と面談したところ「この会社であれば自分がやりたいことがやれそうだ」と感じて入社しました。
田中
「スピード感を持って自分でビジネスをドライブしたい」とのことでしたが、実際はどうでしたか?
小林様
ベンチャー企業での商品開発プロジェクトで、約1か月間、自分が必死になってトライアル顧客を探す経験をしました。しました。手触り感を持ちながらサービスをつくる経験は初めてでしたので、「マーケティングって面白いな」と実感することができました。
また、リブ・コンサルティングでは、クライアントの規模に関わらず自分で要件を作ります。前職では上司がプロジェクトのイニシアチブを取っていたため、案件が降りてくる頃にはほとんど動かすことができませんでした。今は刺激を感じながら仕事に取り組んでいます。
そして、クライアントの課題に対して「新しくこういうテーマでやってみたらどうか」と提案から入ることができるので、最後まで自分で責任を持ってデリバリーできていると感じています。
ベンチャーに限定せず、大手企業を含めた「新規事業支援」のコンサルティングファームへ転換
田中
続いて、DXグループを取り巻く市場環境を教えていただけますか。
松尾様
まずは組織の成り立ちからご説明します。2012年7月に創業したリブ・コンサルティングは、当初、マーケティング&セールスのコンサルティングファームとして事業をスタートしました。その後、本来コンサルのニーズがないと思われていたスタートアップやベンチャー企業に対し、我々はそのグロースを支援する唯一のパートナーという旗を出すことで、他ファームとは一線を画すことができたと思います。
しかし、日本のスタートアップやベンチャーが生まれにくい環境は、リブ・コンサルティングをグロースさせるという観点ではネックでした。そうした背景から、クライアント規模に関わらず「新規事業」の支援をするコンサルティングファームとして今年から舵を切ったのです。当然この領域は、単にスタートアップやベンチャー企業を支援していた頃よりもプレイヤーが多いと思います。
田中
競合が多いということですね。
松尾様
そうです。とはいえ、明確なNo.1が存在せず、かつマーケットが混沌としているので「事業を立ち上げてビジネス化したいのだが、どのコンサルティングファームに相談すればいいのかわからない」というクライアントは少なくありません。
その中で、我々はスタートアップやベンチャーと伴走してきた実績や経験値があるので、事業開発だけでなく「グロース」までをセットにしたDXコンサルティングを売りにできるため、他社と差別化がしやすいんです。
田中
新規事業開発のプロジェクトにおいて、凸版印刷とのプロジェクトの記事を拝見しました。 大手企業の新規事業のプロジェクトではこういったイメージになりますか。
参考:https://forbesjapan-career.com/story/425
松尾様
そうですね。当プロジェクトでは、まさに大企業の持つアセットと、我々のアジャイルな事業開発のノウハウを掛け合わすことで、今まで構想策定に何年も要していた時間を短縮し、事業の方向性を示すことができました
「事業戦略」から「最初のお客様を掴む」ところまで支援し、ビジネスを形にする
田中
直近ではどういった案件でお声がかかることが多いのですか。
松尾様
今までにないケースですとSIerからの依頼が急速に増えています。 オンプレミスの既得権益が崩壊しはじめた昨今において、SIerは新規事業に向き合わざるを得ない状況になっています。新規顧客開拓や新規ソリューションのグロースなど、DXソリューションをどうすれば売れる組織になるか。そういった支援を我々が行っています。
小林様
コンサルに依頼されるSIerの多くは、自ら営業して新規顧客を獲得する経験がほとんどないんですね。そのようなSIerからコンペに呼んでいただくことも多いのですが、我々は事業戦略からプロダクト開発、マーケティング、セールスまでサポートできるため、提案が刺さりやすいです。
それに加えて、そもそもIT企業のグロース支援ができる会社が殆どないです。というのもマーケティングの経験があっても、ITの話になると解像度が高く描けないからです。実際にクライアントからも、「リブはITもわかっているから安心して頼める」というお声をいただいています。
松尾様
もう1つ大きなトレンドとしては、大手企業から「社会課題解決型」のビジネス創出に関する依頼が増えています。今、世の中に残っている社会課題の多くは、ビジネスにならず長く放置されてきた課題です。そういった大企業が立ち向かう困難な課題に対し、どうやって手ごたえを感じながら事業をつくっていくか、会社として事業を持続できるか。そういった支援が増えています。
田中
大手ファームでも「社会課題解決型」の支援を行っていますが、違いはどこにあるのでしょうか。
松尾様
そうですね。課題を特定して中期経営計画の方針として立てることは大手ファームでもできると思います。一方で、それをどうやってサービスにして、‟最初のお客様”を掴めるか。それに関しては従来のコンサルティングと比べてギャップが大きいです。我々はスタートアップやベンチャー企業の支援において、「最初のお客様を掴むことこそが大事だと」と常に考え、1年後、2年後も継続してサービスが使われる状態を目指しビジネスをしてきました。そういった点においても、他ファームとの差別化になると思います。
「3日間で60点」のコンサルを高速で回し、最適解に最短でたどり着く
田中
今あげていただいた点以外に、DXグループの強みを教えていただけますか。
松尾様
クライアントサイドに「自分たちで考え意思決定をしてきた」という‟納得感”を与えることに関しても強みだと思います。
そもそも我々自体がベンチャー企業なので、2~3ヶ月間、時間をかけて100点のコンサルティングを目指すよりも、最初から3日間で60点のコンサルティングを狙っています。そこで「違うな」と判断して素早く最適解を見つけることを重視しています。最終的に報告書を提出してクライアントの判断を促すのではなく、我々はクライアントと共に考えながらその都度一緒に判断をしていきます。
田中
そのほかにはありますか。
松尾様
外部とのネットワークが強い点も挙げられると思います。事業を進める上で自分たちだけで価値を提供できない際は、外部から人を集めて支援をします。
小林様
我々は、外部のプロフェッショナル派遣会社とアライアンスを組んでいます。例えばSIerを支援する際に、私の得意なデータ分析やIoTの分野以外にも「ITエンジニアリングを強化してほしい」といったケースがあるんですね。そういった場合は、外部の派遣会社からプロフェッショナルの方に来てもらい、我々と一緒に稼働してもらいます。外部の人たちとコミュニケーションを取って知見を獲得することに抵抗はありません。
田中
DXグループをリードされる松尾様が、組織の強みを伸ばす上で大切にしていることはありますか。
松尾様
我々は、事業開発という新しい領域をテーマに手がけている事業部なので、上から「こうしてください」と正解を押し付けるようなマネジメントはしたくないと思っているんです。それは年次に関わらず、一人ひとりが自分の頭で考えて行動することが大切だと考え、そういったマインドが醸成できるようなマネジメントを心がけています。
田中
実際に、小林様はどのように感じていますか。
小林様
「このやり方でやってください」と指示されることはないですね。基本的に「小林がそこまで考えているなら、外れてはないだろう」と信用してもらえるため、責任感も芽生えてきます。また、メンバーによって思考のプロセスやコミュニケーションの論拠の立て方も違うため、松尾さんからは「相手とは意見が食い違うことを理解してコミュニケーションをした方がいいよ」と1つ上の視点からアドバイスをしてくれます。おかげで生産的な議論ができていると思いますね。
松尾様
これは、リブ・コンサルティング全体で言えることなんですが、皆それぞれバックグラウンドが違うので言葉の定義も違うんです。私としてはあえて揃える必要はないと思っています。お互いを尊重し、どうやって折り合いをつけていくか。そういったことが自然と考えられるカルチャーが組織内では醸成されていると思います。
「これからのDXはビジネスでの効果創出がテーマ」デジタルとビジネスを両輪で回せる人材を求めている
田中
DXグループとして、今後どのように成長していきたいとお考えですか。
松尾様
リブ・コンサルティングでは、「100年後の世界を良くする会社を増やす」という理念を掲げています。その上でDXグループでは、「すべての企業に事業開発のチャンスがある」ことをミッションとして掲げています。つまり、相手が大手企業であっても、スタートアップであっても、中堅・中小企業であっても、我々は企業を選ばずにクライアントの事業活動を伴走していきたいと考えています。そのためにはどの企業に対しても、新しい事業をつくり、持続的な成長を遂げられるようにしていくことが目標です。ゆくゆくは、我々の事業部がリブ・コンサルティングを代表するドメインへと成長していきたいと思っています。
田中
DXグループでは、現在どういった課題感をお持ちでしょうか
松尾様
大きく2つあります。1つは我々のアセットを広げていくことです。コンサルティングファームでは、本来ベストプラクティスを再現できる仕組みづくりを行うことが一般的ですが、我々が手がける事業開発やDX領域には答えがありません。そうした時に、我々が持っている事業づくりや開発プロセス、グロースの仕方、考え方といったノウハウは常にアップデートしていく必要があります。そのためには新しい領域や他業界で事業活動をしてきた経験のある仲間を増やし、アセットを拡大していくことが1つの課題ですね。
もう1つは人材の育成です。我々の強みであるプロジェクトマネジメント力を組織全体で育てていくために、リーダーとしてプロジェクトマネジメントする機会を一人一人に増やしていきたいと考えています。もちろん、全社的に人材の育成にはかなり力を入れていますが、その上で「我々の事業部では何が必要なのか」を皆で議論しながら取り組んでいます。
田中
「仲間を増やす」というお話がありましたが、どういったメンバーに参画して欲しいとお考えですか。
小林様
例えば大手ファームのコンサルティング業務で事業創りの手触り感が感じられず、スタートアップやベンチャー企業に行こうか迷っている方ですね。特定のスタートアップやベンチャー企業にいきなり飛び込むのではなく、自身のコンサルスキルを活かしながらベンチャー企業のようなスピード感で経験を積んでみたい方には向いている環境だと思います。
松尾様
コンサルティング業務にリアリティが感じられないから事業会社に行きたいと考える人は多いと思います。しかし私は、事業会社よりもコンサルティングの方がリアリティをより感じられると思うんです。実際に経営者と話をして、事業をどうするか、組織をどうするかを共に考えていく業務はコンサルタントの醍醐味だと思います。ビジネスの上流から経営に携わってみたいという方には、ぜひ来ていただきたいですね。