急成長中のメガベンチャーから、中堅企業まで、「ビジネスで勝つこと」を軸にコンサルティングを行う株式会社リブ・コンサルティング。
今回は同社の代表取締役CEO 関厳様より、大手コンサルティングファームとの比較や、コンサルティングの具体的な内容、直近のマーケット状況の変化、求める人物像などについてお聞きしました。
リブ・コンサルティング 代表取締役 関厳様のご経歴と同社設立の背景
田中
これまでのご経歴、キャリアからお聞かせください。
関様
私は東京大学の教育学部卒業後、大手の経営コンサル会社に入社しました。その内7年間は、コンサルタントやマネージャー、部門長を務め、3年間はグループ内コンサル部門の会社役員として合計10年間勤めました。
リブ・コンサルティングを設立したのが2012年、東日本大震災の翌年で日本全体の景気が低迷していた頃です。
それまで前職でコンサルビジネスや事業会社を経営してきましたが、そういう時代だからこそコンサルのように第三者の立ち位置で、会社経営の次の一手を考え、違う視点でサポートしてくれる存在はとても大事だなと思っていました。
一方で、コンサルは95%が大企業向けのビジネスです。当時はベンチャーや中堅マーケットを適切にサポートするコンサル会社はありませんでした。
しかし私は、これからの日本を変えていくのは、ベンチャーのような新しいビジネスや、特定業界に強みを持つ中堅企業ではないかと考えていたのです。そのため世の中に必要とされている仕事であり、自分にできることだと思い事業を立ち上げました。
大企業向けコンサルティングファームとの1番の違いは「ビジネスで勝つ、成長させること」
田中
あらためて、御社の特徴や強み、得意領域についてお伺いできますか。
関様
我々は中堅企業やベンチャー向けのコンサルティングファームとして、大きく次の3つの特徴があります。
1つ目が、事業成果を出せること。マーケティングやセールスなどの新規事業の立ち上げ、生産性の向上、組織の強化、人材育成、DX化など目に見える形で成果を出します。
2つ目が、人材に強みがあること。弊社の新卒やキャリアともに、地頭の良さと事業の勘がバランスよくある人材を採用しています。
3つ目が、大企業向けのコンサルとは根本的なメソドロジー(方法論)が違うこと。大企業では、時間がかかっても9割の確率で上手くいくだろうというプランが求められます。一方、中堅・ベンチャー企業では、できるだけスピーディーに6、7割の確率で勝てるプランが求められます。根本的に大企業向けのコンサルとは、社内のベースとなるコンサルティングが違いますね。
田中
他社ファームとの違いについて教えていただけますか。
関様
大企業向けのコンサル案件は、資料作成や部分的な問題解決、組織的な合意形成という文脈が非常に大きいです。一方で、中堅・ベンチャー向けのコンサルでは、ビジネスで勝つ、成長させるということが前提になるためまったく違いますね。
さらにスタートアップやベンチャーにいるCxOクラスの方たちはすごく優秀です。そういった方を相手に、一緒に事業をつくることは試練であり難しいからこそ、コンサルタントとしては非常にワクワクします。
田中
中堅・ベンチャー向けのニーズが増えてきた中で、似たような中堅・ベンチャー向けのコンサル会社も出てきました。そういった企業との差別化についてはどうお考えですか。
関様
多くは大企業向けのコンサルをされていた方が、中堅・ベンチャー向けのコンサルタントとして入っていきます。しかし、大企業向けと中堅・ベンチャー向けでは、くり返しになりますが前提がまったく違います。
まだほとんどの会社では、大企業向けのコンサル方法のまま、中堅・ベンチャー向けにカスタマイズしていないため、我々とは比べられないなというのが率直な思いです。
ベンチャー・スタートアップのグロース、IPO前後に抱える悩みを解決できる
田中
ユーザーベース、freeeといった大手ファームではクライアントとしてなかなか挙げられないような優良なベンチャーをご支援されているのは非常に珍しいと思っております(参考:https://www.libcon.co.jp/venture/)。
成長性があるベンチャーのボトルネックを解決できる点は、「将来起業したい」「ベンチャーの経営者になりたい」という方に非常に魅力的に思えると思うのですが、そもそも成長性があるベンチャー企業に対して、どういった課題の解決を行っているのでしょうか。
関様
ベンチャー企業は、周りから見たらキラキラしていますが、実際に入ると日々、様々な問題に水面下で必死に足を動かす白鳥のような感じなんです。なぜかと言うと、時価総額が大きくなれば、それを上回る期待値が課せられるからです。そこに問題が発生するため課題が生じます。ではどういったニーズがあるのか言うと大きく3つあります。
1つ目は、マーケティングとセールスの強化。資金調達の次の日に営業マンが2倍になるということはありません。ベンチャー企業で売上を上げるには営業戦略を浸透させていくことが必要です。そのためマーケティングとセールスはほぼすべてのベンチャー企業からニーズがあります。
2つ目は、組織の強化。時価総額が大きくても社員が50人程度の会社は少なくありません。統制が取れていない中で、1年で2倍、5倍にしようとすると必ず社員の中で不満が広がります。組織人事や育成システムを急速に作るために我々が入るケースがあります。
3つ目は、新規事業の立ち上げ。上場直後などのタイミングで新規事業をつくらなければマーケットが頭打ちとなり伸び悩む原因となります。しかし新規事業を立ち上げるメンバーを社内で募っても、どの社員も忙しいためできるメンバーがいません。その場合、新規事業のアウトソーシングという形で実行まで請け負うこともあります。
田中
実際に、「急成長中のベンチャー企業への支援」に魅力を感じ、転職されてきた方も多いのでしょうか。
関様
その通りです。弊社に入社される理由は大きく2つあります。1つは、成長できる会社だと期待されていること。クライアントがベンチャーのCxOや中堅のオーナー社長など、大企業とはまた違った魅力がありますので、「社内以外にレベルの高い人に囲まれて20代、30代でストレッチをかけたい」と、そこに期待して入られる方が多いです。
もう1つは、経営視点で仕事ができること。例えば金融機関はお金を貸す仕事、広告代理店はプロモーションの仕事、人材会社だと人材を扱う仕事となるため、結果的に企業の課題解決までには至らないケースがほとんどです。
別のところに課題があっても違う商材を扱うことが禁止されているケースもあります。「もっと経営視点で、会社のためになることがしたい」と言って入社されることが多いですね。
中堅企業では「対顧客」に対してデジタル化せざるを得ない状況であり、よりDXがエッセンシャルな問題に
田中
ここ数年間での御社を取り巻くマーケット状況の変化はありますか。
関様
3~4年前と比較して、DX化のニーズが中堅・ベンチャーともに増加しています。背景を話すと、2018年ぐらいから中堅中小企業では日本の少子高齢化に伴う働き手の減少のため、デジタル化による生産性の向上や人手不足の解消などの取り組みを行ってきました。
しかし、新型コロナがもたらした劇的な変化は、対顧客接点におけるデジタル化です。つまりWebマーケティングであったり、契約書のやり取りといった「労働生産性」の向上ではなく、「対顧客」に対して企業は一気にデジタル化せざるを得ない状況となりました。
つまり中堅・中小企業のデジタル化はトレンドではなく、エッセンシャル、マストなのです。コロナによって経営の重要イシューに予想していたよりも早くDXが到来したため、 我々はDXの領域にしっかりとお応えし、DXを伸ばしていくべきだと判断しました。
なおかつ、我々としてもDX領域に攻め込んでいくためには、CEOがZoomを使わないようなデジタルに親和性や理解がない企業ではなく、デジタルに対して喫緊で課題感を持ち、取り組んでいる企業へのコンサルティングを増やしていきたいと考えています。
田中
御社を取り巻くマーケット状況は理解できました。その上で、現在、御社の課題はありますか。
関様
3つあります。1つ目は採用課題。現在、コンサルタントニーズが増えていますが、大企業向けのコンサルに人が流れています。しかし本当にコンサルでやりたいことを聞くと、必ずしも大企業向けのコンサル志望でない人が半分ぐらいいると思うんです。大企業向けのコンサルと中小企業向けのコンサルとの認識にギャップを感じています。
2つ目は、グローバル展開の見直しです。我々はこれまで苦戦しながらもグローバル展開を進めてきましたが、コロナの影響により1度見直さなければならなくなりました。
3つ目は、働き方の見直しです。コロナ禍で働き方や、つながり、ナレッジの共有などいろいろなもののベースが変わりました。すでに1年半以上適用していますが、まだ完成形が見つかっていないため課題として残っています。
「理屈と結果をバランスよく取れる方」が活躍できる
田中
直近ではどのような方が入社されていますか。
関様
広告代理店や商社、リクルート、キーエンス、トヨタ、直近では都市銀行など、いわゆるハイクラス層からの転職者が多いです。加えて、DX化による採用も求めていますので、Web系ベンチャーやSIer出身のメンバーなどもいます。また最近ではベンチャーから逆転職するケースもあります。
田中
パーソナル面ではどういった方に入社してほしいですか。
関様
1つは、知的好奇心がある人。仕事をしている以外にも「なんでこれがうまく行っているんだろう」、逆に「なんでうまく行っていないんだろう」と日常から考えるクセがある方はコンサルタントとして成功しやすいです。
もう1つは、想像力がある人。相手がどういう考え方で、どのように物事を捉えているか想像できない人には、お客様に寄り添った意思決定の判断ができません。気持ちを読むのではなく、相手の意思決定の流れを想像できるかどうかです。
知的好奇心と想像力、この2つが結果として微妙な差をわけているのだと思います。
田中
スキル面ではいかがですか。
関様
とくに重視しているコンサルスキルはありません。最近はDX系の仕事が多いため、デジタル系の知見のある方に入っていただけるとありがたいです。
田中
御社で活躍するために一番必要な要素は何だとお考えでしょうか。
関様
覚悟があるかどうかだと思います。コンサルビジネスがなぜ難しいのかと言うと、最終納品物は自分で考えて出すからです。他責にはできません。通常の仕事よりもかなり責任が重い仕事です。またプロが集まる業界なので、成果を出すためにはちゃんと努力をしなければなりません。そういう世界に入るんだ、という覚悟が重要ですね。その覚悟があれば、いろいろなものはクリアできると思います。
例えばきれいな書類が作れるだとか、デスクトップリサーチが上手いという方は、大企業向けのコンサルが向いていると思います。一方、弊社では事業で結果を出してほしいので、理屈ばかりの人よりは、理屈と結果をバランスよく取れる方を重宝しますね。
田中
御社を卒業された方のキャリアやご活躍をお伺いしてもよろしいですか。
関様
そんなに多くはないんですが、卒業された方は皆さん活躍されています。例えば、中堅会社でプロ経営者として4年間で売上3倍にされた方、スタートアップを立ち上げて資金調達をして頑張っている方などがいます。
田中
御社のワークライフバランスについてお聞かせください。
関様
今回の新型コロナウイルスをきっかけに、組織体制を改善しています。これまで年間休日はありましたが、プロジェクトが忙しいときは休日を返上して働かなければならないケースが見受けられました。今は、全社員が1か月、何にどれくらいの時間を使って働いているのかを可視化し、ルール内で動くように調整しています。
また、オンラインが普及したため、緊急事態宣言下において出社率が5%を切っていました。今後はリモートと出社を併用し、地方企業への出張も7割以上はリモートとなります。現在、ワークライフバランスや労働環境は急激に是正されている状況です。
田中
ありがとうございます。では最後に、候補者の方へメッセージをお願いします。
関様
我々は、100年後に必要とされる中堅・ベンチャー企業を本気でつくりにいく唯一のコンサル会社です。世の中は今、「中堅・ベンチャー企業をインパクトカンパニーにしたい」という想いがある人を求めています。ぜひ一緒に頑張りましょう。