「”100年後の世界をよくする”会社を増やす」というミッションを掲げ、ベンチャーから大企業まで伴走型の支援を行う株式会社リブ・コンサルティング。
今回は、同社アドバイザーである佐藤勇樹様に、外資系戦略ファームのパートナーとしてご活躍後、リブ・コンサルティングへ入社された経緯、現在の役割や、佐藤様が考える同社の強み・特徴、同社の今後についてお聞きしました。
戦略ファームパートナーを経てリブ・コンサルティングを舞台に、社会を進化させるチームを作る
田中
佐藤様は、リクルートでキャリアをスタートし、その後A.Tカーニーで長年パートナーを務められていらっしゃいましたが、その後リブ・コンサルティングに参画されるまでの経緯を教えていただけますか。
佐藤様
まず背景からお伝えすると、A.Tカーニーは、2006年に全世界にいる300人のパートナーのうち170人でMBOをして当時の親会社から独立をしました。
その後、売上も順調に伸びましたが、他のメンバーから見るとMBOをしたパートナーはある意味「神」のような存在になってしまうんですね。つまりそこで忖度が生まれてしまう。また当時のHVAC(ハイバリューアッデッドコンサルティングファーム)は、エスタブリッシュメントカンパニーを相手に高級人材派遣化が進んでおり、それも自分たちエンジェルパートナーが君臨しているということが理由の1つでした。
そのため、持続的な成長をしてもらうためにも自分がいない方がいいと判断しました。やはりパートナーに媚びを売ったり、上を見て働いたりすることは組織として健全ではないですから。私が先陣を切ってA.Tカーニーを辞めることにしたのです。
田中
その後、いくつかの選択肢の中からリブ・コンサルティングに決められたポイントは何でしたか。
佐藤様
「最も、想定ができないところだった」というのがポイントでしょうか。それなりに成功がイメージできるファームであればA.Tカーニーを辞めた意味はありません。いろいろなお誘いをいただく中で、エージェントには「私が想像もできないような会社を紹介してほしい」とお願いしていたのです。
実際に、リブ・コンサルティングの代表の関や経営陣の話は、私にとってまったく見たことも聞いたこともない内容ばかりで驚きでした。私のコンサルティング人生において「できない」と思うことを、なぜリブ・コンサルティングでは上手くできているのか、それが謎で仕方がありませんでした。 それでも経営陣が実現したい姿は理解できましたし、その中で彼らに足りないところは私のケイパビリティが役立つのではないかということで参画を決意しました。
各チーム・メンバーに知見や付加価値を提供する「仕上げのごま油」としての役割
田中
現在、リブ・コンサルティングではどのような役割を担われているのでしょうか。
佐藤様
リブ・コンサルティング全体が相対しているお客様の現状価値を最大化させるために、「コーポレートアジェンダは何か」「CEOアジェンダは何か」を示唆する役割として動くことが多いです。言うならば「ごま油」のような存在と言ってもいいのかもしれません。
田中
エッセンスとしてのごま油ですね。
佐藤様
そうです。プロジェクトに対して、キーとなるソリューションの方向性を考える時に議論をしたり、付加価値を提供する役割です。何もしないよりも、仕上げに「ごま油をふりかける」と美味しさが増す、そういったイメージです。
私はコンサル業界に20年、その前にリクルートに20年ほど在籍していたので、実際に経験してきたことや、リブ・コンサルティング以外の人たちとのコミュニケーションを含めて、そういったケイパビリティを活用すると、普通のコンサルティングファームが3ヶ月かけてたどり着く提案が、3秒で出せるということがあります。特にプロジェクトの初期にあたるファーストリサーチの部分では、かなり有利な提案ができるかと思いますね。
実際に、各チームに付加価値を提供していくことで、「仕事が取れた」「お客様に成果が提供できた」という声が聞こえるようになり、入社して3年目ぐらいから上手くサイクルが回るようになっていきました。
田中
御社では、年間800近いプロジェクトを回しているというお話を伺っております。どのようなタイミングで佐藤様がプロジェクトに入られることが多いのでしょうか。
佐藤様
例えば「このフェーズで私が登場することで効き目がありそうだ」、あるいは「一緒に議論をすることで価値が上がりそうだ」と、各メンバーが判断をした時です。すべてに私が出ていたら隠し味になりませんから(笑)。
クライアントへの関わり方が「個人戦」から「組織戦」へと変化し、ベンチャー・大企業案件が増加
田中
ご入社されて5年ほど経たれていますが、リブ・コンサルティングの組織自体に変化は感じていますか。
佐藤様
大きな変化は、「個人」から「組織」として戦うようになったことだと思います。これまでリブ・コンサルティングでは「ピンで立って、ピンで食える」ことが重視されてきました。しかし、いくら優秀でも1人のコンサルタントが提供できる価値には限界があります。そこで、さまざまな経験値を組み合わせることでバリエーションを増やし、お客様へさらなる価値提供をする、そういった組織に変わってきたと思いますね。
田中
その他に、組織的に戦えることで変化が生じたことはありますか。
佐藤様
以前は個々でも対応できる地方の中小・中堅企業の案件が大部分を占めていたのですが、今は全体の半分ほどです。残りはベンチャー領域と、近頃は大企業の案件が増えています。
これは戦い方が変化したことで組織に知見や経験が溜まりやすくなり、強みが増えたことに加え、地方やモビリティ、住宅、エネルギービジネス、MaaSなどリブ・コンサルティングが強みとしているケイパビリティの価値がマーケットの変化でより高まり、そこを窓口に広げたいと考える大企業が増えているからでしょう。
特に、最近では日本全体におけるペインを解決することで、持続可能なビジネスを作ろうとする大企業に対して、新規事業領域のアプローチをご支援させていただくケースが増えています。また、将来の価値向上に向けた、中長期経営戦略や新規事業への参入、海外展開などのプロジェクトが増加しています。皆で考えて、皆でお客様にアプローチをしていく、そういったチームがクライアントからも評価を得ていますね。
リブ・コンサルティングの強みは「育てる力」、経営陣が挑む本気の人材育成
田中
佐藤様が考えるリブ・コンサルティングの強みは何だと考えていますか。
佐藤様
「育てる力」ではないでしょうか。一般的なコンサルティングファームでは、すでに出来上がっている人を採用するケースが多いのですが、リブ・コンサルティングの経営陣はその人が持つ面白さを見出し、「入社して経験を積んだらそれが強みになるのでは」と考えて採用しています。
田中
期待値を優先されているのですね。
佐藤様
そうです。もちろんその人が持つ経験も優先しますが、ウィルやアスピレーションなど高い志を持っている方を優先して採用しています。
経営陣は「人は変われる」「全員が可能性を持っている」と本気で考えて、惜しむことなく一生懸命に人材育成に取り組んでいます。リブ・コンサルティングには人が持っているポテンシャルや底力をグッと引きのばす力があるからこそ、驚くほどのスピードで成長していくのだと思います。
田中
人として圧倒的に成長しながらお客様に価値を提供していけるコンサルタントになれるということですね。
佐藤様
そうですね。「綺麗なレジュメを作りたい」と思うのであれば大手のコンサルティングファームがいいでしょう。リブ・コンサルティングの場合はそうではなく、「自分自身を高めたい」という方にとって最適な環境だと思います。あえて例えるなら、「本当に価値があるのかがわからない3万円のコース料理ではなく、800円でお腹いっぱいに満足できる炒飯をつくるシェフになれる」といったイメージだと思います。
「100年後を良くするためのプラットフォーム」としての挑戦
田中
今後、佐藤様ご自身ではリブ・コンサルティングの中でどのようなことに注力されていきたいとお考えですか。
佐藤様
先ほど社内では個人で動いているというお話をしましたが、同時に私は今、海外事業部チームにも関与しています。簡単に言えば、その国の100年後をよくするための事業です。 例えば、タイやインドネシアから日本やアメリカ、ヨーロッパへ留学している優秀な人材をリブ・コンサルティングで採用して共に働き、その後メンバーが自国へ戻り10年後、100年後に向けて「何をするべきか」を考え海外にオフィスを作っていく。そういったリブ・コンサルティングでの海外戦略の礎を作っています。
つまり、私が直接「ごま油」をふりかけるだけでなく、「ごま油」をふりかけられる人材を増やしていくことが今後のミッションだと思っています。私がレビューをするディレクターやマネージャークラスのメンバーが、今度は他のチームやメンバーにバリューを発揮していくことが大切です。
田中
ありがとうございます。リブ・コンサルティングとしては今後どのような価値を世の中に提供していきたいとお考えですか。
佐藤様
我々は「”100年後の世界をよくする”会社を増やす」をテーマに掲げています。そのために、リブ・コンサルティングという組織に留まることなく、最適な人・組織同士を組み合わせることで解を見つけていくことが重要だと考えています。つまり、雇用のあり方、プロジェクトのあり方、チームの作り方にこだわらず変化をしながら、想いを実現できるプラットフォームになるべきだと考えています。
すでにリブ・コンサルティングのメンバーだけでなく、大学教授や建築家、デザイナーにも参画してもらいながら行っているプロジェクトもありますし、リブ・コンサルティングを卒業した方がプロジェクトに入って一緒に行っているケースもあります。コラボレーションの垣根がどんどんなくなっています。
田中
新しいコンサルティングファームの形ですね。
佐藤様
もちろん我々も持続的に理念を実現していくためには、企業としてゴーイングコンサーンは重要です。しかし会社の成功だけを優先して考えてることはありません。それよりも世の中の課題を解決するために、真面目に議論を重ね、未来の社会を良くするために本気で事業に取り組んでいます。
田中
なぜ、リブ・コンサルティングではそこまで本気で未来の社会のために注力できるのでしょうか。
佐藤様
それは我々自身がベンチャーだからなのでしょう。まだ固まり切っていないからこそ挑戦できる。もしもここにビッグスポンサーがいれば、経営の優先順位はどうしてもそちらの方に向いてしまいます。しかし我々はどこかの業界や企業に委ねているわけではありません。だからこそこのようなチャレンジができるのかもしれませんね。