世界44ヵ国をベースに、25,000名以上のスタッフを擁し、組織・人事、福利厚生、年金、資産運用分野におけるサービスを提供する「人・組織」を基盤とした世界最大級のコンサルティングファーム マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社。
中でも収益の柱として事業を展開する、組織・人事変革コンサルティング部門では、人事制度、役員報酬、タレントマネジメント、デジタル、組織設計等、人事領域において幅広いサービスを提供されています。
今回は、同組織のY.S様、S.T様より、入社された経緯、サービスの特徴、グローバルとの連携、やりがいやプロジェクトへのアサインの仕組みなどについてお聞きしました。
マーサージャパン Y.S様、S.T様のご経歴
髙村
まずは、お2人のご経歴についてお聞かせください。
Y.S様
私は新卒で日系の証券会社に就職し、支店で営業を2年経験した後、本社に異動し人事や企画系の業務に3年半ほど携わりました。人事の仕事にやりがいは感じていたものの、社外のお客様に向き合う仕事の方が自分に合っているのではないかと考え、転職を意識するようになりました。そこで、人事×お客様との接点を求めて、総合系コンサルティングファームへ転職し、人事コンサルタントとしてのキャリアをスタートさせました。
髙村
最終的に御社を選ばれた理由についてもお聞かせください。
Y.S様
マーサーが組織・人事におけるトップファームであり、業界におけるポジショニングも含めてとても魅力を感じたからです。具体的には、日本におけるリーディングカンパニーに対してサービス提供ができることや、グローバル案件が豊富であること、また人事領域に特化しているからこそ、その中でより深く幅広い経験を積んでいけることが転職の決め手となりました。
髙村
ありがとうございます。続いてS.T様、お願いいたします。
S.T様
私は総合商社に新卒入社し、インフラ輸出案件などに4年程携わった後、マーサーに転職しました。前職で直接的に人事業務に関わった経験はありませんでしたが、組織の仕組みやコミュニケーションの取り方で、人のモチベーションや組織のパフォーマンスが変わっていくことを実感する機会が多く、組織・人事の分野に長期的に踏み込むのも面白いのではないかと思い始めたのが、転職のきっかけです。
そして、一企業の中の人事ではなくコンサルタントを志した理由は、多様なテーマや組織の形に触れながら、組織・人事分野について網羅的に知見を深めるために一番良い環境だと考えたからです。また、その中でもマーサーを選んだ大きな要因の一つは、グローバルな環境を持ち合わせていることでした。最終的には、選考過程での社員の方とのディスカッションが面白く、今後も興味関心を高く持って勉強し続けられる分野だと感じたこと、お会いした社員の方々の人柄や仕事へ取組む姿勢等に惹かれ、一緒に働いてみたいと感じたことが決め手になりました。
髙村
実際にコンサルタントの仕事をしてみて、如何でしたか。
S.T様
コンサルティングの仕事は、毎週クライアントとの打ち合わせがあるため、1週間サイクルで成果物を生み出さなければなりません。これは予想していた以上に大変でした。しかし、作成した資料や自分の考え方・振る舞いに対して、できていること、頑張るべきことをタイムリー且つ的確にフィードバックもらえるため、入社直後からスムーズにキャッチアップしていくことができたと感じています。
また、考え抜くことが重視されるという点は、コンサルティングの大変な側面である反面、魅力の一つだと気が付きました。じっくり考えることに一定の時間を確保するよう意識し、自分なりの納得感を持つことを大切にするようになった点は、自分の中での大きな変化だと思います。
組織・人事領域を網羅する幅広いサービスを実現
髙村
所属されている組織・人事変革コンサルティング部門の組織体制や業務内容についてお教えください。
Y.S様
組織・人事変革コンサルティング部門は100名超の組織で、領域を特定することなく、クライアント軸で様々な相談をお受けするゼネラルチームと、人事戦略、役員報酬や組織人材開発、デジタル、M&Aなど特定の専門領域に特化したチーム(BDT:Business Development Team)に分かれています。私はゼネラルチームに所属しており、クライアントに対して幅広い領域でサービスをご提供していますが、特定領域の高い専門性が必要な案件では、BDTのメンバーと連携することも多々あります。
髙村
御社全体の中でのゼネラルチームの役割について詳しくお聞かせください
Y.S様
一言で言うと、アカウントマネジメントでしょうか。同じクライアントからのリピートが多いこともマーサーの特徴ですが、クライアント企業の事業フェーズや環境変化を理解したうえで、組織・人事領域における議論や提案を行い、クライアントと長期的な関係性を築いていくことが、ゼネラルチームの役割ですね。
髙村
競合ファームとの差別化の要因についてもお伺いできますでしょうか。
Y.S様
やはり組織・人事に関するサービス領域の幅広さが挙げられます。クライアントの経営戦略を踏まえた人事戦略策定、組織設計、要員計画等、より上流のところから、人事に関する各種制度設計といったハード面、仕組みの導入や組織の風土改革のようなソフトなところまで、網羅的にカバーできることがマーサーの特徴であり強みだと思います。また、世界中の報酬や福利厚生の水準調査を行って集約したサーベイのデータという非常に強力な武器がありますし、我々のチーム以外に、退職金や年金制度に特化した領域のコンサルティングを手掛けるチームもいますので、まさしく組織・人事に関して一気通貫でクライアントにサービスを提供できる体制になっています。
加えて、提供するサービスの質だと考えています。所属する各コンサルタントのレベルの高さと、組織として体系化されたナレッジの掛合わせによって、クオリティの高いサービスを再現性高く提供できる体制があることも大きな強みであると思います。
グローバルとのシームレスな連携がもたらす豊富な知見
髙村
お二人共に「グローバル」というキーワードを転職理由に挙げられていらっしゃいましたが、印象に残っているプロジェクトやグローバルとの連携等はありますか?
Y.S様
私がグローバルで働く醍醐味を感じたプロジェクトは、ある会社のアジアの複数拠点に対して、人事の制度改革や、人材育成の仕組みをつくるプロジェクトでした。印象に残っている理由は、実際に現地に行き、各国の現地マーサーと連携しワンチームとしてクライアントと議論を行っていたので、まさにグローバルで働くということを実感できたからです。その時は、本当にやってみたかった仕事ができた、と思いました。
S.T様
グローバル案件と一概に言っても多様な形があり、日本企業の海外拠点のクライアントに対し、マーサーの海外拠点と共にご支援させていただくこともあれば、海外拠点の課題について、日本側の人事部の方とお話することもあります。また、マーサーの海外拠点に共有してもらった知見をもとに、海外の先進事例を取り入れながら日本企業の課題解決に取り組むケースもありました。
クライアントをサポートすることで得られる喜び
髙村
印象的なプロジェクトについて教えてください。
Y.S様
入社以降、長く携わらせていただいている、ある日系大手の会社の案件ですね。それこそ組織のつくり方から人材の配置の仕方、人事設計や人事部の機能の見直しなど、マーサーの総合力で様々な角度からクライアントにサービスを提供し続けてきました。クライアントから「我々よりも我々の会社を理解してくれていて、本当に助かります」とお言葉を頂く機会があり、非常に嬉しかったですね。
これはマーサーの強みの1つであると思いますが、長期的にクライアントに関わり、クライアント企業の風土や価値観、ものの進め方等を深く理解しているので、高い信頼を得られ続けているのだと実感しています。
髙村
S.T様はいかがでしょうか。
S.T様
あるDEI推進のプロジェクトで、組織の仕組みを俯瞰して見る視点と個人の感情を想像する視点、どちらにも触れながら変革のご支援をしたことです。この案件は、組織としての課題特定・取組みのロードマップ策定を行うと共に、マネージャーの意識変革を意図したワークショップの設計をするというプロジェクトでした。
人材マネジメントシステム全体をあらゆる観点からレビューし、「組織の仕組み」に変革の意図を組み込んでいくこと、そして、組織を構成する社員一人ひとりの行動変容につながる「個人が腹落ちするストーリー」を考えること、の両面から組織変革にアプローチできたことは非常に貴重な経験として印象に残っています。
個人の意思を尊重したアサイン
髙村
総合ファームの場合、良い評価を得るためには高い稼働率(プロジェクトにアサインされている期間・工数)を維持しなければいけないと聞きますが、マーサーではどのような関係にあるのでしょうか。
Y.S様
コンサルタントの評価軸としては、稼働率、プロジェクトごとの評価、組織貢献的な定性評価の3つがありますが、稼働率というよりはプロジェクトごとの評価や、組織貢献の方が評価として重視されますね。
髙村
ありがとうございます。ある程度規模の大きい総合ファームの場合、パートナー自身がメンバーの稼働率で評価されるため、そこにひたすらコミットすると聞きます。それがなければある程度メンバーの希望を聞いてプロジェクトにアサインができるのかなと思うのですが。
Y.S様
そこはマーサーと他の総合ファームの大きな違いかなと思いますね。
マーサーでは、アサインのプロセスにおいて、個人の意志を重視しつつ、全体を見た中で最適なチームを公正な観点で選んでいます。人の抱え込みや、同じ人とずっとプロジェクトを組むようなことが生じないようにしよう、というのは意識していますね。こういった所も、組織内の垣根のなさや風通しのよさに影響していると感じます。
S.T様
個人の意志が尊重され、自律的なキャリア形成を応援してもらえる文化があると感じています。プロジェクト1つ1つのアサインについても、自ら手を挙げ希望のプロジェクトにチャレンジする公募制度があります。また、通常のプロジェクト以外の場でも、興味関心のある分野で自主的な社内外活動を行うイニシアティブ活動に対し、シニアリーダーに必要な知見提供や後押しをしてもらえる環境があることもマーサーの特徴の一つだと思います。
Y.S様
海外トレーニングプログラムとして、海外のマーサー拠点に数か月赴任し、現地のプロジェクトに入り込みながら、海外拠点との関係性を深めるという機会もあります。新卒からシニアの人たちまで幅広く手を挙げるプログラムになっています。
スムーズな情報共有がクライアントに向き合う時間をつくる
髙村
組織やチームを越えての情報連携についてはどのように感じていらっしゃいますか。
S.T様
プロジェクトにおいて自分にない知見が必要になった時は、「あの人が類似プロジェクトをしていたので、声を掛けてみよう」とプロジェクトチーム外の社員に連絡を取り、知見の詰まった資料を共有してもらったり、クイックミーティングで要点を教えてもらったりしています。また、社内Teamsへの投稿で「誰かこれについてご存じの方はいませんか」と、組織全体に発信し知見を集めることもできます。100名以上の社員が見るプラットフォームのため、当初、投稿には勇気が必要だと感じていたのですが、週に数回以上のペースで投稿があり、またそれに対してすぐに誰かからの返信がつく状況を見て、心理的なハードルが下がりました。それくらい皆が気軽に組織全体への質問・知見共有をしています。
この文化はグローバルでも同様で、海外拠点のチームにメールを出せば彼らの持つ資料を惜しみなく送ってもらえますし、ショートミーティングの打診にも快く対応してくれます。
マーサーの持つ豊富なプロジェクト実績や自社コンテンツにスムーズにアクセスし活用できることは、効率的なプロジェクト遂行、そして一人ひとりの知見レベルの向上に役立っていると思います。
Y.S様
組織としてのナレッジとメソドロジーが、グローバルを含めてある程度確立していることも、マーサーの強みと考えています。
組織・人事コンサルタントにとって必要な論理と情理のバランス
髙村
組織・人事におけるやりがいについて、お考えをお聞かせください。
Y.S様
組織・人事領域は他のコンサル領域と異なり、インダストリーへの特化がそこまで強くないことは一つの特徴であると感じます。人事という機能軸で金融もやれば製造業もやるので、様々な業界に関与できるというのが面白いポイントです。もちろんそれぞれの業界に対して勉強しなければいけないのですが、それが楽しさの1つでもありますね。これがこの仕事の醍醐味だと思います。
また、クライアントから感謝されることが本当に何よりのやりがいだと感じます。結構ハードワークではあるのですが、過去に何度もそれに救われてきました。
S.T様
私は、クライアントやプロジェクトチームと1つのことに向かってディスカッションを積み重ねていくプロセスが面白いと思っています。建設的に議論を戦わせることで、新しいことに気づかされますし、自分の意見によって相手が何かに気づいてくれることもある、そのような瞬間にこの仕事の醍醐味を感じます。
髙村
個人の目標などもお聞かせいただけますか。
Y.S様
少し抽象度が高くなりますが、日本は他の先進国に比べてもなかなか給料が上がってきませんし、ROAも低くて競争力がないと言われているので、やはりその辺を高めて行きたいですね。皆が元気に、かつ生産性高く働いて給与が上がり、結果的に経済成長につながる好循環を実現できる社会に、少しでも近づくような貢献ができたらなと思っています。
S.T様
私は、一人ひとりが活き活きと働ける環境をより多くの組織でつくり、それによって、様々なチームや企業のパフォーマンスが向上していく、そんな社会づくりに、少しでも貢献していきたいと思います。
また、組織・人事コンサルタントとして一人前になることは勿論、自分の所属する組織においても、周りの人にポジティブな影響を与えながら、組織づくりに貢献できるようになりたいです。
髙村
最後に、候補者様へのメッセージをお願いします。
Y.S様
重要なのはマインドセットだと思います。少しでもクライアントの役に立ちたい、力になってよりよい方向に進むことをお手伝いさせていただきたいという熱量が、この仕事をする上での大前提であると考えます。
また、我々が直接的に協働するのは人事や経営陣の皆さんですが、最終的には従業員に施策が落ちていくわけですから、経営的な観点・人事的な観点だけでなく、従業員の立場も含め、多角的な観点で考える・感じることも非常に重要です。特に、組織・人事に関する意思決定は必ずしもロジックだけでなく、情の部分も決して無視はできません。ロジカルな思考はもちろん重要ですが、それだけではこの仕事は務まらないと思います。
論理と情理の絶妙なバランスを取れることが、重要な資質であると考えています。
S.T様
マーサーには、多様な経歴・志向を持つ人が集まっており、立場や経験年数、勤続年数などに関わらず、互いを尊重し認め合う文化があると思います。私自身、未経験で異業種から入社したことに当初は不安もありましたが、経験の浅い自分の意見にも耳を傾けてくださるマネージャーや、私の経験について関心を持って話を聞いてくださる同僚、そして必要なサポートを届けてもらえる環境に支えられ、自分が想像していたよりも早く仕事に慣れ、組織にも馴染むことができました。
仕事内容の面でも、新しいことへのチャレンジや、新しい知見を学ぶことに貪欲な人は、未経験でもきっと楽しめる仕事です、ぜひ飛び込んでみていただきたく思います。