株式会社ミクシィは、ユーザーサプライズを最優先としながら、ユーザーが友人・知人を誘い、またそのユーザーが友人・知人を誘うというバイラルコミュニケーションを上手く創り出すサービスをユーザーに届けることで大きな成長を遂げてきました。 それを最も体現しているのがSNS「mixi」や、ソーシャルゲームアプリ「モンスターストライク」です。現在は事業ドメインを「コミュニケーションサービス」と位置付け、既成概念にとらわれないミクシィ社ならではの切り口で事業展開にチャレンジをしています。
今回は、同社の社長室 戦略グループマネージャーの金珍燮 様より、仕事の魅力をアクシスコンサルティングの庄村、福原がお聞きしました。この記事は2019年1月時点のものです。
「初めは右脳型と左脳型、クリエイティブ型とロジック型というギャップを感じた」
福原
初めに金様のご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。
金様
出身は韓国ですが、日本の事業会社に入社し4年近くカテゴリーマネージャーとして、PLの責任を持ちながら様々な事業にチャレンジ致しました。1社目の会社は業界のリーディングカンパニーでありビジネスモデルが非常に優れていましたので、一度会社から離れ、組織力に頼らない形で幅広い領域でチャレンジをしたいと思い外資系総合コンサルティングファームに転職致しました。コンサルファームでは業務コンサルとして企業再生プロジェクトを中心に経験後、戦略・M&A部門に異動し、ビジネスデューデリジェンスや戦略立案の案件も複数を重ねました。ある程度経験を積めたタイミングで、再び事業会社で成果にコミットしていきたいという思いでミクシィに転職致しました。
当社は、目覚ましい成長を遂げてきた一方で、私が入社する頃には成長の踊り場に入ったタイミングで、私のケイパビリティを生かして経営課題を解消しながら、更なる成長に貢献していきたいというのが志望動機でした。また今まで関わりが殆どなかった業界でもあり、チャレンジングな環境に身を置きたいという思いもありました。
福原
前職の事業会社、コンサルティングファームと比較し、ギャップを強く感じたことはないのでしょうか。
金様
前職の事業会社は分析からロジカルに次の一手を考え、着実に成長させるというような左脳的なアプローチが求められました。コンサルティングファームでも0を100にすることにトライするよりは、70を100にするというような左脳的/ロジカルなアプローチの比重が比較的に大きかったです。
ミクシィに入社して最初にギャップとして感じたことは、右脳的な思考に秀でたクリエイティブな視点を持ったメンバーが多いことです。顕在している市場の規模に関わらず勝機への仮説があればトライしてみるというカルチャーで、同じ事業会社でも1社目では想像もできないようなチャレンジをしています。右脳型と左脳型、クリエイティブ型とロジカル型というような、大きなカルチャーギャップを入社当初は感じましたね。
福原
逆にそのギャップを求めて入社されたところもあるのでしょうか。
金様
そうですね。ただ、両方のバランスが大事だと思っておりまして、右脳と左脳をバランスよく取り入れることでイノベーションを起こしながらも成功確率を高めること、それが成果を最も出せるモデルだと思っています。
株式会社ミクシィ 金珍燮 様
周囲を巻き込んでいくことが求められる
福原
従業員や役員の方々には右脳的な発想に優れている方が多いとのことですが、そういった方々と日頃コミュニケーションを取る際に気を付けていることはありますか。
金様
弊社は面白いアイデアが絶えず企画として上がってくる環境ですのでそのアイデアをどういう勝ち筋を以て実現させていくかというところに力点を置いてバランスを取っていますね。組織全体として結果的に右脳と左脳のバランスが取れればよいのではないかと思っています。
福原
なるほど。元コンサルタントである金様が、事業会社の社長室で仕事をする中で、どのようなことに気を付けてますか。
アクシスコンサルティング 福原
金様
まずは会社の事業、カルチャー、ビジョンを深く理解をするところが大切だと思っています。もう一つは泥臭い話ですがトライ&エラーを日々やりながら柔軟に対応していくことですね。理想論を言うだけでなく様々な事情や障壁を理解し、現実解にたどり着けるように働きかけていくことが、コンサル経験とのギャップを埋めるために必要なことだと思います。
福原
おっしゃるように理想論だけだと組織を動かす、意思決定に働きかけるのは難しいと思います。やはり周囲の理解を得ていくということが大事になるんですかね。
金様
そうですね。成果を出すというところが最終ゴールなので、プロダクトアウトでこうした方がいいとを押し付けるのではなく、ゴールに向かってどうすればいいのかというところに情熱を込めて、周囲を巻き込み事業を成功に導いて行く必要があると思っています。
ミクシィの事業ドメインは<コミュニケーションサービス>
庄村
御社ですとSNS「mixi」やモンスターストライクのイメージが強く、また最近だと家族アルバムアプリ「みてね」なども展開していますが、今の事業状況についてお伺いしてもよろしいですか。
金様
弊社は「コミュニケーションサービス」を事業ドメインとして定めています。ユーザーが集まるところにコミュニケーションが生まれ、さらに熱量が高まることで新たな価値が生み出される。その事例として、SNS「mixi」や、「モンスターストライク」といった、世に大きなインパクトをもたらすサービスが生まれてきました。こういったノウハウを我々の強みとして、次の柱となる新たなサービスやプロダクトを創出し、会社をさらなる成長フェーズに導くことが社長室としての課題でもあり、ミッションでもあります。
庄村
次の柱の方向性についてもう少し教えていただけますでしょうか。
アクシスコンサルティング 庄村
金様
コミュニケーションサービスという切り口でデジタルエンタメ、ライブエクスペリエンス、スポーツ、ウェルネス、メディアといった領域で次なる事業の柱を創るべくチャレンジしています。具体的には、3~5年で1000億円規模を新規事業領域に投資していきます。
庄村
この10年、20年でコミュニケーションの定義が変わってきていると思います。デバイスの変化も影響していると思うんですが、そもそもコミュニケーションを御社の場合どう捉えていらっしゃるのでしょうか。
金様
ITが発達していない時代にはコミュニケーションの熱量がリアルな場を中心に高まるものでしたが、インターネットによってオンラインのコミュニケーションが生まれました。更にスマートフォンの普及によって、オフラインとオンラインの融合によるコミュニケーションが実現できるようになったと言えます。スマートフォンを持ち寄り、友人・知人同士でワイワイ楽しむことによって熱量が最大化できる、そこをついたのがモンスターストライクだったんですね。
このモデルはソーシャルゲームに限らないと思っていまして、いろんなサービスに横展開できると思っています。また、まだオフラインとオンラインの融合によるコミュニケーションが活性化されていない分野はいくらでもありますので、そこに我々の成功体験を応用させていきたいと考えています。
戦況を変える決定的な仕事を担うのが社長室のポジション
庄村
オフラインとオンラインの融合するコミュニケーション領域が次の事業の柱の一つになるということですが、その中で金様が所属する社長室の位置づけ、ミッションについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
金様
一言でいうと、「会社を成長させる」これがミッションです。主に経営戦略、事業戦略、新規事業開発、投資・アライアンス検討にも関わっています。
庄村
社長室で経営戦略を行う話はよく聞きますが、事業戦略、さらに事業開発も手掛けるところがユニークだと思います。社長室の特徴を教えてください。
金様
我々社長室は、戦略面を担うだけでなく事業を創出していく段階においては実行まで関わることが重要だと考えています。弊社は個々が最大限に活躍できるのであれば責任範囲にとらわれず自由に活躍できる環境があり、成長に向けてやれることは何でも挑戦するスタイルです。実際に、スポーツビジネスで社長室から事業の立ち上げまでを手がけた事例もあります。
庄村
スポーツエンターテイメント元年という形で、スポーツ領域にはかなり注力されている印象がありますが、今後の注力領域という認識で間違いないでしょうか。
金様
今はどちらかというとまだアイデアを検証していくフィジビリティスタディのフェーズですが、今後アクセルを踏んでいく有力な選択肢の一つという位置づけであると言えます。
庄村
より具体的に、社長室で喫緊に取り組まなければいけないテーマ、役割をお伺いしてもよろしいでしょうか。
金様
現在主に3つあり、まずは会社の経営戦略策定と浸透のロール。次に、スポーツを含めた会社の将来を担うようなプロジェクトの戦略面を考えるロール、最後に、社長直下ゆえに集まる様々なアイデアや提案をうまく繋ぎ合わせ事業化していくロールです。最後の2つはM&Aや、出資、アライアンスも選択肢としてありますので、その検討も行います。
庄村
M&Aやアライアンスなど、金様のお強みを生かしながら会社の経営方針や意思決定に深く携われていますね。
金様
そうですね。企業買収を含めた事業戦略立案も現在行っています。
福原
金様が御社の社長室で働かれていて、この会社だからこそできること、またやりがいについて教えてください。
金様
一つ目は世の中に残る大きなチャレンジができることです。コンサルの悩みとして多いのは、ソリューションだけ提示して終わり、最後まで一緒にできないというところだと思います。当事者としてSNS「mixi」や「モンスターストライク」といった大きなインパクトを持つサービス創りに携われるところは大きな魅力です。二つ目は社長直下であり、経営に近いということです。また、仕事の選択肢も戦略から事業開発、M&A等々幅広く経験できます。上流で幅広い仕事の選択肢があるのは魅力ですね。
福原
2点目の、社長直下というお話ですが、実際社長との距離はどれくらい近いのですか。
金様
社長の個室は特になくて、私と同じフロア・同じ列に社長や社長補佐/執行役員が座っています。
福原
物理的にも近いんですね。
金様
そうですね。距離が近いので我々従業員からフラットに気軽に相談できる環境にあるところも魅力ですね。
「自分たちが楽しく仕事しないと、ユーザーに楽しんでもらえるサービスは生み出せない」
福原
今度は金様が所属されている社長室のカルチャーや雰囲気についてお伺いしたいと思いますが、メンバーの方々はどのようなバックグラウンドの方が多いのでしょうか。
金様
やはり戦略のロールが求められるということで、コンサル出身者が多いですね。ただ、中には事業会社の経験を持つメンバーもいるなど、多様な人材が活躍しています。
福原
社内全体でも社長室は割とロジカルな方々が多い印象ですが、実際チームの雰囲気はどのような感じでしょうか。
金様
私の直属の上司である社長補佐の執行役員も含め、「楽しく仕事をする」ことは重要視しています。そこはコンサルと違うところだと思っています。コンサルファームはプロジェクトの期限もタイトですしピリピリした感が比較的に多いのは否めないと思いますが、ミクシィの場合はコンサル出身者が社長室に多く集まっているのにも関わらず、そういった空気はないですね。自分たちが楽しく仕事しないと、ユーザーに楽しんでもらえるプロダクトは生み出せないという考え方が根底にあるからだと思います。ユーザーの楽しみが私たちのチャレンジの源泉なので、そこは大事にしています。
福原
実際にコンサルから入社された方から「雰囲気が良い」という声もあるのですか。
金様
そうですね。研修がてらみんなで遊びに行く時間も意識的に作ったりもしていて、コンサルや堅めの事業会社から入社したメンバーはいい意味で驚きがあるのだと思っています。
クリエイティブ思考力も掛け合わせたコンサルを求めている
福原
今後はさらに仲間を増やしていくフェーズだと思いますが、金様はどんな方と一緒に働きたいですか。
金様
まず面白い仕掛けへの着眼は大切ですので、ロジックに加えてクリエイティブな思考力も掛け合わせている方はマッチすると思います。
福原
スキル面で求めているものはありますか。
金様
もちろん基本動作としてコンサル経験はベースで活きると思います。また、色々な課題に対して現実解を見出していく柔軟性や当事者意識は重要だと思います。我々が携わる事案は比較的に広範囲にわたるので幅広い種類案件を数多く経験された方もマッチすると思います。
コンサル・事業会社両方の経験を持っていたらベストですね。
福原
具体的にはどのような領域のコンサルを求めているといったことはありますか。
金様
ソリューションは特に限定はしていませんが、戦略・M&A・新規事業・マーケ戦略の経験がある方はマッチしやすいと思っています。エンタメ業界での経験が豊富ならなおいいですね。常駐経験のある方は事業会社の動き方も理解されているので良いと思います。
福原
最後に御社をさらに成長させる組織として、金様含めチームとしてこう変化したいということがあればお伺いしたいです。また読者へのメッセージもお願いします。
金様
主体的に経営/事業課題を見出し、マネジメント層に提案し、事業開発、経営戦略、投資・提携など、色々な方法で提案していく姿勢はますます重要になると思っています。まだまだメンバーが少ないので今後は組織力を強めたいですね。
また、とにかく楽しく仕事をすることが最優先だと思っています。いくら自分がやりたいことでも日々の業務を楽しめずに結局好きな仕事を辞めてしまうというお話は世間ではよく聞きますが、当社は経営課題と一致していれば、大きなチャレンジができる環境ですし、自ら楽しむことも重要視していますので、コンサルから事業にチャレンジしたい、且つ、日々楽しんで取り組んでいきたいという方にはぜひ入社していただきたいと思います。