今回は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(以下、MURC) 経営コンサルティング第2部へのインタビュー。西日本における中堅企業の幅広い経営課題に応える組織の中で、100年に1度の大変革期にある自動車業界の中堅企業の成長を支援する同組織内のAutoチーム。
今回は、経営コンサルティング第2部をリードする林田充弘様、Autoチームの前野健二様、河村原野様より、ご経歴、組織の特長や、マーケットの環境変化とその中で果たすべき役割などについてお聞きしました。
MURC 経営コンサルティング第2部 林田様、前野様、河村様のご経歴
佐々木
まずは、林田様のご経歴からお伺いさせてください。
林田様
もともとは東京の調査会社でマーケティングリサーチをしていたのですが、リサーチではなくマーケティング自体をやっていきたいという思いから、1999年に東海総合研究所(現MURC)に入社しました。そこから20数年になりますが、弊社では主に消費財関連のクライアントに対して中期経営計画、事業計画、及びそれにまつわる実行支援などを行っています。
前職での経験から膨大なデータの活用には慣れていましたので、クライアントの顧客データを集計分析し、それに基づいたアプローチを行ってきたことが、私自身の強みであり特性だと思っています。
佐々木
続いて、前野様のご経歴についてお聞かせください。
前野様
私は新卒で自動車メーカーの関連会社に入社し、そこでの10年間で海外勤務や関係会社である自動車メーカーへの出向など、様々なことを経験しました。自分の知識だけでは太刀打ちできないことも多く、勉強のために大学院に通ううちに、もっと経営に近い仕事がしたいと考えるようになりました。その後、会計系コンサルティングファームへ転職し、M&Aなどのコンサルティングに携わってきたのですが、これまで培ってきた経験をもとに地域の企業の力になりたいとの思いから、2013年にMURCに入社しました。
佐々木
では河村様お願いします。
河村様
私は新卒で大手自動車部品メーカーに入り、10年ほど自動車部品領域の事業企画や原価企画等に取り組んでいました。経営管理や経理にも携わった後、企業の転換を外部からお手伝いしたいという思いと、出身地である三河に貢献したいという思いから、コンサルタントへの転職を決意しました。独立系コンサルティングファーム等を経て、MURCには2019年に入社しています。
日本経済をリードする自動車産業を中心に、中堅企業の発展をサポート
佐々木
皆様が所属する経営コンサルティング第2部のミッションと特徴についてお聞かせください。
林田様
中堅企業の発展に寄与することが、我々の組織の大きなミッションであり、「戦略策定から実行支援まで」一貫したソリューション提供を行っています。
特徴は、大企業向けコンサルティングに比べ顧客の経営全般に関与することになるため、その発展にダイレクトに貢献することができる点ですね。
特に注力しているのは、経営戦略・事業戦略の策定、戦略の実行支援、新規事業、オーナー企業アドバイザー、組織風土改革推進、経営幹部の育成などです。
佐々木
前野様と河村様はその中のAutoチームに所属されていますが、チームの役割とミッションについてもお聞かせください。
前野様
Autoチームは、東海地区の自動車関連産業を中心に、戦略の立案から実行まで、企業として目指す姿を実現するためのご支援をミッションとしています。
最近だと、自動車会社や部品メーカーの垣根がなくなりつつあり、我々も業界全体の流れを把握しながら、広い視野を持ってコンサルティングに取り組んでいます。
佐々木
Autoチームの特徴や得意領域は何だとお考えですか。
河村様
特徴は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、Tier階層の全体像を理解した上でのサービスが求められる自動車部品産業に対して、銀行のネットワークを活用し、OEMはもちろん、Tier1から3までをカバーしている点。他のファームではどれか1つに特化していることが多いので、これは我々の強みでもあります。
2つ目は、クライアントとともに構想を実装していく実行力。クライアントの組織を動かし変えていくために、実際に組織に入り込み、一緒になって変革に取り組んでいます。
3つ目は、難しくもやりがいのある課題に多く取り組んでいること。クライアントが一度チャレンジし、うまくいかなかったことを我々がお手伝いするという案件が最近とても増えています。入口で仮説は持ちつつも、走りながら柔軟に対応し、クライアントと共に伴走するのが我々のスタイルです。
「経営者に直接リーチできる」やりがいのあるコンサルティング
佐々木
経営コンサルティング第2部だからこそ経験できるやりがいについても、お教えいただけますか。
林田様
我々のチームは中堅企業の案件に広く対応させていただいていますから、幅広い課題に対応するため、マルチアサインで部外を含めてかなり自由度の高いメンバー編成を組みます。自分の専門性や強みに合わせた仕事ができるのは、やりがいに繋がっていますし、この仕事の面白いところだと思います。
前野様
私は、経営者の懐に入っていけるところに魅力を感じています。中堅企業の経営者クラスに自分の意見をぶつけることができますし、やりがいのある仕事ができるチームだと思っています。
河村様
私は他のコンサルティングファームでの勤務経験があるから分かるのですが、我々のチームに来る案件は非常に質が良いと感じています。
我々にはMUFGのリレーションがありますから、他のファームに比べて早く経営者の方にリーチできます。そのため、経営者との議論を経て、会社を大きく進化させていくことにチャレンジできる案件が多いので、他のファームから入ってこられる方にとっては魅力に感じていただけるはずです。
100年に1度の変革期を迎えた自動車産業の未来づくりを行うため、より戦略的視点が求められる
佐々木
市場環境の変化とトレンドについてお聞かせください。
林田様
我々は西日本の企業を対象にしていますが、特にオフィスを構える名古屋、中部圏には日本の製造業を支える自動車産業があります。この自動車産業がCASEという100年に1度の大改革に突入しました。
今までの受け身の姿勢から、自ら戦略を立て事業を営んでいかなければならないという大きな転換点、次なるステージへと向かう狭間の時期にあると思います。
河村様
サプライヤの課題は、来たものを打ち返す構造から、自分たちで組み立てて仕掛けていく、新しいものを創出していく構造へと、如何に転換していくかに変わりました。それを実現していくために、どうしたらいいのかというご相談が多いですね。
例えば、1社依存体質からどうように脱却するのか?電動化はまだまだ立ち上げの数量が少ないですが、大きな損失覚悟で座布団を取るためにやるのか?といったテーマがあります。
佐々木
なるほど。その他にトレンドと感じる案件などはありますか。
河村様
経営管理ですね。自動車ビジネスは2年先、3年先の売上がわかっているので、その中で短期、中期、長期の活動をどんなバランスでやっていくのか。こうした経営管理のあり方に関するテーマも出てきています。
あとは、組織体制づくり。一昔前の限界まで頑張って働く、という考え方から新しい働き方へと転換していく中で、今までと違う統制、体制をどう作っていくのかといったテーマです。
特にここ5年ほどは自動車メーカーから声がかかるようになってきていますし、テーマとしては戦略・経営管理・組織体制、この3つのニーズがより高まっているという印象です。
クライアントを主役にしたコンサルティング実現のために
佐々木
市場環境の変化の中で、チームとしてどのような役割を果たし、価値を提供していきたいとお考えでしょうか。
前野様
主役であるクライアントを伴走役としてサポートし、一緒に汗をかきながら走り抜ける、そんな役割を果たしていきたいと思っています。
中には、我々に全部任せたいというようなクライアントもいらっしゃるのですが、そうしたクライアントが主体性を発揮できる方向に持っていくのも、我々の仕事です。
これからは自分で動いていかなければならない時代になりますから、喧々諤々と意見を交わしながら、クライアントがこれまで培ってきたことをうまく活用し、次の世代に展開していける戦略に落とし込んでいく。そんなご支援ができればと思います。
佐々木
そうした役割を果たす上で、現状のチームの課題などありましたらお聞かせください。
前野様
課題は3つあると思っています。
1つ目は更なる知見を蓄積していくこと。2つ目はお客様に価値を提供できる人材の育成。そして3つ目は情報発信です。
知見の蓄積については、業界の境界線が曖昧になっている昨今、常に新しい情報を求め、コンサルティングファーム、シンクタンクとしての機能を発揮できる未来志向の観点を持ち続ける必要があります。
人材育成については、そもそも自動車業界でのビジネス経験がない方も結構いますので、業界のことやこれから起こり得る論点を共有し、育成します。
情報発信については、我々のチームもできて日が浅いので、東海地区の経営者に対してもっと存在感を発揮し、発信を通して存在価値を高めていくつもりです。
河村様
私からは、特に人材育成についてお話しさせてください。
コンサルタントの基本スキルである、ファクトをしっかりおさえて物事を立体的に構造化し、示唆を出す。この一連をしっかり学ぶことができれば、どこにいっても重宝される存在になれるはずです。我々は、そういったところを目指して人材育成を行っていきたいと考えています。
ただ、すぐに成果が出る話ではありませんし、2、3年ですとか、長い視野で挑んでいきたい課題です。
「現状に満足していない」そんな方こそ活躍できる
佐々木
現在どのようなバックグラウンドの方がいらっしゃるのでしょうか。
林田様
バックグラウンドは本当に幅広いんですよ。自動車関連をはじめ、製造業に属していた若い方が最近は多いですね。そういう意味では、仕事をする中で企業経営自体への関心度が高まり、社会に貢献しようとか、中小企業の方々のために自分の力を活かしたいとか、そういった志のある方が増えていますね。
佐々木
どのような方に入社してほしいとお考えでしょうか。
前野様
セルフスターターの方でしょうか。自分でこうしたいと思っていても、社内的な権威に屈してしまってなかなかアクションが取れない人もいらっしゃると思いますが、そうした方には弊社に来て、これまでのエネルギーを爆発させてほしいですね。
新卒の方でしたら、わからないなりに自分からアクションを起こしていけるような方。そういう方たちと一緒に仕事したいなと思います。
河村様
私は、斜め上から物事を見たり、発言したりすることができる方を望んでいます。
そのようなことができれば、プロジェクトが誤まった方向にいくことや、クライアントの反応に違和感があったことに気づき、軌道修正をすることができます。
そういった意識のある方に来ていただきたいです。
林田様
私も、謙虚でありながら自分の考えをはっきり持っている方が必要だと思います。ご入社されてから今に至るまでの苦労話ですとか、どんな工夫をされてきて、どんな人間関係の中で仕事をして来たのかを語れる方って、夢中になって仕事に取り組んできた方だと思うんです。自分がどんな力を身に付けていて、こんな力が足りないので身に付けたいから我が社で花開きたい、という野心を持って飛び込んでくださることを期待しています。
個の尊重と集団の化学反応、その両方を大切に
佐々木
チームの雰囲気についてもお聞かせいただけますか。
前野様
最近はリモートワークによってダイレクトなコミュニケーションの機会が少なくなってきているので、対面でのミーティングや懇親会など、直接的な関わりを持てるよう意識しています。チームの雰囲気をより良くしたいと、そういったことに積極的に取り組んできましたので、コミュニケーションを活発に取れるチームです。
河村様
私の見方では、今までMURCは比較的個でコンサルティングをやってきた部分があるため、個々をそれぞれ尊重するというスタイルがベースとしてあるように感じます。
その一方で、組織的に対応してくためには、個々がかかわり合って化学反応を起こしていく必要性が出てきました。そのため、自主性を重んじる部分と、個の連携、双方を目指す雰囲気がありますね。もちろん、うまくいかないこともありますし、壁にぶつかりながらですが。
林田様
クライアントは何らかの課題があって我々に相談しているので、チームでは若手、ベテランにかかわらず、そうしたクライアントの課題に逃げずに立ち向かう姿勢が必要不可欠です。そのため、チーム内では年次、役職に関係なく意見を出し合い、ディスカッションしています。
それぞれの良さを尊重し、結束力を高めていくというのが、我々のチームの雰囲気だと思います。
佐々木
御社でのワークライフバランスについて、それぞれのお考えをお聞かせください。
林田様
働き方改革があって以降、エンゲージメント調査やES調査の仕事も増えていますが、社会全体が一人ひとりのWell-beingに対して真剣に向き合うようになっています。こうした過渡期にあって、我が社も働き方に対して意識をもって取り組んでいます。
具体的には、どうメリハリをつけ、時間をコントロールしながら働くか。今はそうした捻出能力が必要とされていますし、私自身、プライベートをいきいきと楽しんでいくことを大切にして、そこで体感したことをコンサルティングにも活かそうと考えています。
前野様
私は、働き方改革で生まれた週末や夜のプライベートな時間を、何に使うかが重要だと感じています。自己啓発の支援や書籍購入の補助など、自分の知見を高める会社の制度がありますから、その点は非常に有り難いです。
私もコロナ前に会社の制度を利用してシンガポールへ行かせていただきましたが、自分の興味を仕事に結びつけることができる環境が整っています。
河村様
弊社は、例えば休日出勤した場合には基本的には代休を取るように調整しますし、そういったところは一般的なファームより徹底していると思います。
やはりアウトプットばかりしていると枯渇してアイデアが出てこなくなってくるので土日は他のものに触れるようにしていますし、一緒にやる方にも土日はなるべく働かないように推奨しています。これはファームとしても推奨していることです。