今回は、中堅企業のM&A・事業承継・組織再編の支援を行う、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(以下、MURC) コーポレートアドバイザリー部へのインタビュー。
コーポレートアドバイザリー部 大阪拠点の藤澤徳久様(マネージャー)、名古屋拠点の柴田一将様(マネージャー)、岩田奈津実様(コンサルタント)より、同社に入社された経緯、コーポレートアドバイザリー部の強み、組織の特徴などについてお聞きしました。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 藤澤様、柴田様、岩田様のご経歴
佐々木
まず、これまでのキャリアについてお伺いできますでしょうか。
藤澤様
私は大学卒業後、事業会社の営業を約5年経験して退職し、2年間勉強して会計士資格を取得。そこから事業会社の経理職として約3年従事した後、現在のキャリアを選択しました。
佐々木
現職を選んだ理由はいかがでしょうか。
藤澤様
経理時代もM&Aに携わる機会がありましたが意思決定に関する場面はなく、経験してみたいと思うようになって前職のコンサルティングファームに転職しています。前職は独立系で、M&A案件を発掘するオリジネーションなどに時間を取られていた中、弊社の金融機関のブランド力を生かせる点に魅力を感じました。
佐々木
現職の仕事内容や苦労したところ、乗り越えた方法について詳しくお伺いできたら幸いです。
藤澤様
弊社でのスタートは、グループ証券会社から連携いただいた上場企業のグループ組織再編に対するコンサルティングでした。入口としては入りやすいテーマで良かったと思います。
その後、M&A案件にも携わりましたが、当初よりFAS(財務アドバイザリー)領域以外のテーマにも携わりたいと考えており、中期経営計画策定等の戦略コンサルティング案件に携わる機会をいただきました。ただ、自身の経験が戦略コンサルティング領域ですぐに活かせるわけではなく、自分の強みを活かせる領域はやはりFASだと再認識でき、良い気付きになりました。
佐々木
では次に柴田様お願いいたします。
柴田様
私は大学卒業後に地方銀行で主に法人営業を担当し、その後M&A仲介会社や中小企業大学校への派遣などを経て、本部でM&A業務を専門に行っていました。約9年間、地方銀行に勤務し、約5年前にMURCへ入社しています。
佐々木
現職を選んだ理由はいかがでしょうか。
柴田様
銀行に入行以来、常に取引先の経営課題を解決したいと思い業務を行っていました。しかし、当時の地方銀行ではお客様のニーズを把握した後、外部の専門家を紹介するケースが大半でした。次第に、紹介だけでなく課題解決の現場に深く関わりたいという思いが強くなっていきました。M&A業務に携わるようになってからは、この仕事をライフワークにしたいと思っていましたが、それも前職のジョブローテーションの関係上、叶えることが難しそうでした。
そのような中、M&A業務を1つの柱としつつ、資本周りの経営課題に幅広く主体的に関われそうな弊社に魅力を感じました。また、コーポレートアドバイザリー部は中堅企業までのお客様が中心であることから、大手企業を主な顧客とする他社と比べ、直に経営者のお役に立てると思いました。
佐々木
現職の仕事内容や苦労したところ、乗り越えた方法について詳しくお伺いできたら幸いです。
柴田様
M&A、事業承継、グループ組織再編の3本柱がコーポレートアドバイザリー部の主な仕事です。このうち、M&Aは経験があり入社当時からPLの役割を担っていますが、事業承継や組織再編については経験が少なく、最初はメンバーとして業務にあたってきました。現在はマネージャーに昇格し、広い分野において営業活動からプロジェクト全体の統括を担当しています。
苦労したことは、お客様の幅広い相談にいかに対応するか考えることですね。これまで経験したことのない分野への挑戦となるシーンも多くありましたので。定型的な仕事ではなく、案件に応じて自分で解決法を考えなければならないのが、最初はプレッシャーでした。
ただ、先輩や上司、同僚も日々研鑽しながら挑戦を続け、お客様に評価されています。その姿を見て、自らを奮い立たせることができました。今では、自らのスタイルで仕事を進めることができることに面白みを感じています。
また、MURCはサポート体制が充実していることも、大きな助けになっています。
佐々木
では次に岩田様お願いいたします。
岩田様
私は新卒で証券会社に入社し、まず個人向け営業を2年間学びました。3年目からは投資銀行業務の部署で株式の引受業務を専門として、上場会社の公募売出やIPO時の株式引受を行う主幹事業務に従事し、昨年MURCに転職しました。
佐々木
現職を選んだ理由はいかがでしょうか。
岩田様
私は前職で10年間勤め、今後のキャリアについて検討していた際に、もう少し広い世界を見てみたいと考え、転職活動を始めました。前職と同じ領域での転職も考えましたが、幅広く話を聞く中で、M&Aや事業承継に興味を持つようになりました。
M&Aの仲介会社も考えましたが、仲介会社では、営業の割合が高いと感じました。弊社は営業活動もしますが、専門的な業務を丁寧に勉強しながら成長できると感じ、弊社を選びました。
佐々木
現職の仕事内容や苦労したところ、乗り越えた方法について詳しくお伺いできたら幸いです。
岩田様
私は、未経験の状態で入社したためリーダーの指示のもとで業務を進めています。
苦労したことは、とにかく勉強が必要なことです。調査や勉強に時間がかかり、未経験とはいえ前職で10年間の社会人経験があったため、落ち込むこともありました。
ただ、時間がかかること自体について何か言われることはなく、効率化のためのアドバイスをいただいたり、分からないことについては丁寧に教えていただけたりするので、1つ1つクリアしながら仕事を進められています。
「FAS×経営コンサル」の両輪でM&Aやグループ組織再編、事業承継をサポートするコーポレートアドバイザリー部
佐々木
コーポレートアドバイザリー部の役割、ミッションをお教えください。
柴田様
当部の特徴は、「FAS業務×経営コンサルティング」です。FASとコンサルを同一部内で手掛ける独自性を生かし、経営者に寄り添い、川上から川下までワンストップでのサービスを提供しています。主要テーマである、M&Aアドバイザリー、持株会社化を始めとするグループ組織再編、事業承継の3つの領域を柱として、お客様価値の最大化を実現するために、組織規模の拡大と並行し、独自性あるコンサルティング能力を高めていくことがミッションです。
佐々木
ターゲットとなるお客様や提供しているサービスについて詳細をお願いいたします。
藤澤様
中堅企業を中心に、M&A、事業承継、グループ組織再編に対するニーズがあるお客様を対象としています。
事業承継では非上場のオーナー企業が主な対象であり、優良企業が多いと思います。グループ組織再編では、上場・非上場問わず広く対応しています。
事業承継に関するテーマであれば、物的承継から人的承継まで丸ごと対応できる点はMURCの強みだと思います。
佐々木
コーポレートアドバイザリー部の特徴や得意領域などを教えていただければと思います。
藤澤様
事業承継、グループ組織再編に関するテーマでは、弊社単独で案件を行うのではなく、外部の公認会計士や税理士といった専門家にも入っていただき、一緒に案件を遂行するようにしております。外部専門家に参画いただくことで、常に品質の向上に努めており、クライアントにとって情報の透明性の高いコンサルティングの進め方は、MURCの魅力だと思います。
柴田様
コンサルタントとしては、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のネットワークを活かして、幅広いクライアントに触れられる点も魅力的です。MUFGのグループ会社であるため、1つのプロジェクトが完了した後も、銀行を通して長期的な関係性が維持できます。
佐々木
このチームだから経験できることを教えていただけますか。
藤澤様
銀行連携による圧倒的な案件数を経験できることはMURCの魅力だと考えています。また、コーポレートアドバイザリー部以外の役務提供にも希望次第で経験でき、自分の知見を広げる機会があるのは弊社だからこそだと思います。
また、MUFGグループからの連携により、営業に割く時間が他ファームより少なく、お客様と向き合える時間を多く持つことができる点もやりがいです。
佐々木
直近のトレンド案件など、マーケット状況について教えていただけますか。
柴田様
後継者問題に関する市場が拡大傾向だと思います。持株会社化に関するご相談も増えていますね。M&A支援会社も急増する中で、MUFGグループの中でも弊社が果たすべき役割は大きくなっていくと感じます。
佐々木
今後チームとして、どのような価値提供をしたいのでしょうか。
柴田様
そうですね、特徴である「FAS×コンサル」にも関連するのですが、例えばM&A業務の場合、プレM&A(M&A戦略立案)からPMI(M&A後の経営統合)まで一貫対応できる点が、MURCのバリューだろうと思います。
また、株式譲渡が一般的なM&Aにおいて、グループ組織再編案件を同じ部で手がけているゆえに、お客様の要望に幅広く応えられるスキルやノウハウを有していることも弊社の強みだと思います。
今後は、よりMUFGの信頼性や顧客基盤を活かし、お客様ならびにグループへ提供する役割を強化していきたいですね。
佐々木
地域の特性を感じることはありますか。
岩田様
特に名古屋はキャリアの長い方が多く、お客様との信頼関係・グリップ力が強いと感じます。
事業承継、グループ組織再編といった企業の存亡を賭けた支援を行っているので、お客様との信頼関係は大切だと感じています。「彼が言っているなら間違いないから、全部聞いてみて」と言われるのを目の当たりにしていると、グリップが強いなと。
佐々木
組織や地域の垣根を越えた連携は、仕組み化されているのでしょうか。
柴田様
コーポレートアドバイザリー部は、昨年4月の組織改編により東名阪で1つの部に統合されているため、地域間の連携は活発になっています。組織の垣根についても、現在では部室を超えたクロスセル(担当者の専門領域以外に対してお客様の経営課題・ニーズがあれば、部室を超えて社内専門家と協働し組織全体で価値提供を行い、ワンストップでサービスを提供する仕組み)が業績評価の指標の1つになっており、連携が仕組み化されています。
藤澤様
コーポレートアドバイザリー部は、東名阪の全メンバーで勉強会や分科会を昨年から行い、お客様の機会ロスを減らす取組みや、商品開発に繋げていく取り組みをしています。
メンバーの半分は金融機関の出身者、現在は税理士や会計士のニーズが高い
佐々木
現状の課題として、感じられているところも教えていただけますか。
柴田様
課題は人材不足だと思います。PLが持っている案件数が非常に多いと感じます。
案件数が多いのは一概に悪いことばかりではないのですが、PLがお客様のために創意工夫を図る時間が増えれば、新しい分野の研究開発により多くの時間を割けるので、弊社の独自性が強まると思います。
藤澤様
課題は私も同じです。直近では事業承継案件が大阪で増えており、対応できる方が来てくださったらありがたいです。
佐々木
PLの方の案件数が非常に多いとのことですが、どの程度の案件を掛け持っているのでしょうか。
柴田様
忙しい時期をずらしつつ、6〜7本同時に走っていますね。
佐々木
人材が不足しているとのことですが、具体的に今どのようなメンバーがいらっしゃるのでしょうか。
藤澤様
コーポレートアドバイザリー部の大阪拠点では、近年は20代を中心に積極採用しています。皆さん人柄が良くて、「コンサル=ブラック」のイメージは皆無です。
金融機関出身者が多いですが、他は私も含め事業会社出身です。金融機関出身者だと、本部で経験を積んだ方と法人営業をやってきた方が半々です。
佐々木
「人柄が良い」人が集まっているのは、なぜでしょうか。
藤澤様
案件が銀行からサプライされることから、東名阪共に「農耕民族」の気質が強いからかと考えています。
佐々木
名古屋拠点はいかがでしょうか。
柴田様
名古屋拠点も金融出身者が多く、特に、法人営業経験者が大半を占めます。また、マネージャークラスの方が多いです。
佐々木
次に、どのような方に入社して欲しいか、拠点ごとに回答いただけますと幸いです。
藤澤様
常識、分別のある、自律的に業務を進められる方に来てほしいのが大前提です。また、大阪ではある程度自分でFAS案件を回せる方、可能であれば税理士資格のある方に来ていただきたいです。
柴田様
名古屋では、やる気がある若手に入社していただきたいです。経験・知見があるに越したことはないのですが、お客様と真摯に向き合うマインドがある方がいいなと。入社後に十分キャッチアップできますので。また、名古屋でも税理士、会計士のニーズが高いですね。
裁量労働制とテレワークで柔軟に働ける環境
佐々木
コーポレートアドバイザリー部の働き方の実態について教えていただけますか。
柴田様
年次の浅い若手以外は、裁量労働制で融通が利きます。
午後からの業務でもいいですし、早めに仕事して切り上げてもOKです。私もある資格取得のため、一時は平日週2回、18時半から専門学校に通っていました。
岩田様
有給取得を奨励していて、取得の相談をしてダメだと言われることは基本的にありません。
テレワークも進んでいて、入社以来1年半で10回程しか出社していません。女性は特に準備に時間がかかると思いますがそれがなく、業務時間以外は余暇に使えています。
藤澤様
基本的には同じで、働きやすい環境です。テレワークは当然できますし、出社は自由です。テレワーク中に子供の送り迎えをすることも可能です。
佐々木
入社時から働きやすさは変わっていますか。
柴田様
変わってないですね。コロナ前からテレワークが推進されていましたし、コロナを経てより一層環境が整ったと思います。