パクテラグループは、グローバルで30,000人を超えるエキスパートの集団として、ビジネス/ITコンサルティング、ソリューション、アウトソーシングサービスを、数多くのクライアントに提供しています。その中でもパクテラ・コンサルティング・ジャパン株式会社では、日本においてビジネスイノベーションのさらなる進化、顧客の新たな成長、オペレーションの最適化およびユーザエクスペリエンスのトランスフォーメーションを通じて、クライアントにより高いビジネスバリューを提供しています。
今回は、同社のデリバリーセンター部長を務めるディレクターの渋谷尚様に、同社の魅力や今後の方針をアクシスコンサルティングの長谷部がお聞きしました。この記事は2019年1月時点のものです。
国内系ファームから監査法人系ファームを経て現職へ
長谷部
渋谷様のこれまでのご経歴についてお伺いさせていただければと思います。
渋谷様
新卒入社した国内系ファームで5年ほど働き、今の弊社代表に誘われ、監査法人系ファームに転職しました。その後マネージャーへと昇格後、「新しいことにチャレンジしたい」という思いがあり弊社に転職しています。最初はシステムエンジニアからスタートし、そこからプロジェクトマネージメントの経験を経て、最終的には戦略立案と、上流から下流まで幅広くプロジェクトに関わってきました。
長谷部
監査法人系ファームから現職に転職した理由をもう少し詳しくお聞かせいただけますか。
渋谷様
前職、前々職で自分を育てていただいた先輩がいたのですが、その人を超えるにはずっと同じ会社で、毎日同じような案件にアサインされるだけでは難しいと思いました。成長のためには経営に近いポジションで、裁量を任せられて仕事をすることが一番の近道ではないかと考え転職を決意しました。29歳でマネージャーに昇格したので、このままいけば、会社組織に対して裁量権の持てるランクまではいけると思いました。ただ、長い道のりの中で自分の実力を伸ばす機会は限られてくるだろうと思い、新しい環境を求めて弊社に入社しました。最初はシニアマネージャーのオファーをいただいたのですが、自分でそのタイトルを掴み取ろうと思いマネージャーでスタートしました。現在ではディレクターに昇進しています。
渋谷尚様(ディレクター)
長谷部
29歳でマネージャーへスピード昇進されたとのことですが、結果を残すためのコツについて教えていただけますでしょうか。
渋谷様
最後まで自分を信じつづけることが絶対に必要ですね。自分を信じるのを諦めた瞬間に絶対に成長しませんし、仲間も増えないです。また、自信を持って発言すると、自分が追い込まれる分、勝手に自分の中の目標や、みんなの期待値が上がってそれに応えようと努力し、成長できます。
特に、コンサルの仕事は、たとえロジックが正しくて良質なアウトプットが出せたとしても、クライアントに対して説得力のないプレゼンをしてしまっては、相手の信頼を勝ち取れずうまくいきません。自信があるように見せることも時には大切です。
長谷部
自信を身につけるために努力したエピソードなどありますか。
渋谷様
どれだけポジティブな人でも、自信をなくすタイミングは誰にでもあります。重要なのは、その時間をどう減らすかだと思います。具体的に私が実践したこととしては、ポジティブシンキング等が書かれた自己啓発本を読み、そこに書かれたことを一つでも良いので実践するといったことでしょうか。書籍を出すということは、筆者としては何かしら書いた意味があるはずなので、、たとえそれが自分には合っていなくても、まずは実際にトライすることが大切だと思います。評論家にはならず、実践することを心がけています。
「自由度の高さ、そして行動そのものが評価されるところが他ファームと大きく違う」
長谷部
ありがとうございます。御社の話に移らせていただきます。渋谷様は、今まで国内ファーム、Big4と呼ばれる監査法人系ファーム、そして現職と複数のコンサルティングファームを渡り歩いてきたとのことですが、御社と他ファームの違いとしてどのような点が挙げられますか。
渋谷様
自由度の高さ、そして行動そのものが評価されるところが大きく違うと思っています。前職も前々職もそうですけど、評価基準として数字へのプライオリティが高く、自分がいくらの稼ぎを生んでいるいるかが評価指標のポーションを多く占めていました。稼がないと給料が払えないのでどれだけ稼ぐかはもちろん重要ですが、一方で、弊社は立ち上げてまだ3年程ですので、数字だけを単に追うよりは、数字を生むためにどれだけ行動できるかの方を重要視しています。
長谷部
自由度が高いというお話も出ましたが、実際のエピソードはございますか。
渋谷様
例えば今エンゲージメント向上のためにTUNAGという社内SNSのようなサービスを導入しているのですが、こういった社内ツールは普通人事など管理部門の方たちが設計する一方で、弊社の場合は全社員から有志でメンバーを募り、現在は新卒から若手のシニアコンサルトなど手を挙げたメンバー8人で事務局を立ち上げ運営しています。若手メンバーでも「こういう制度をつくりたい」と言えば、基本的には採用し、運用を任せています。
会社を成長されるために必要な広報PR、採用、研修、さらにはその上の経営企画も任されるといった成長できるチャンスの多さが、他ファームと異なる点かと思います。
長谷部
手を挙げることで組織運営等々にも携われるのは魅力的ですね。実際に業務でも手を挙げればストレッチしたプロジェクトでもアサインできるといった自由度があるのでしょうか。
渋谷様
案件にもよりますが、他ファームよりも責任感のある、難しい案件にチャレンジできる環境はあります。肌感覚としても前職のファームであればシニアコンサルタントクラスに任せる仕事を、弊社の場合はコンサルタントクラスでもチャレンジさせます。会社自体がまだまだ成長期ですので、上のレイヤーが行う仕事を任せることで会社として発展してゆこうという狙いがあります。
長谷部
会社の将来を背負う人材を育てるためにも、中長期的な成長を鑑みてストレッチした経験を積ませると。
渋谷様
そうですね。実際に、直近の事例ですと、普段は私だけでデリバリーしていたクライアントのオペレーション戦略をシニアコンサルタントのメンバーと一緒に取り組みました。実際、クライアントの評価が高く、ほとんどそのままシニアコンサルタントが考えた案を採用していただいきました。
デリバリーセンターでは大手ファームにありがちな「囲い込み」を防ぎ、志向に沿ったキャリアを描ける
長谷部
次にデリバリーセンターについてお伺いしたいと思っております。デリバリーセンターの御社の中での立ち位置、またどのようなミッションを抱えているのか教えていただけますでしょうか。
アクシスコンサルティング 長谷部
渋谷様
立ち位置としてはリソースプールです。若手コンサルタントはまだ自分のキャリアの方向性がわからないことも多く、決まったインダストリーやサービスラインに入れるとやりたいことと現実の乖離が生まれてしまいます。また、他ファームの場合は、優秀な人材が一人のマネージャークラスに囲い込まれてしまう傾向があるので、弊社ではシニアコンサルタント以下のメンバーをいわゆるプール組織であるデリバリーセンターに配属させ、本人の意思や、特性に合わせてアサイン先をマッチングし、より成長できるような環境に配置します。
長谷部
「本人の意思や、特性に合わせてアサイン先をマッチング」とのことですが、希望通りのプロジェクトにアサインされる可能性はどれくらいあるのでしょうか。
渋谷様
10割と言いたいところですが、案件が発生するタイミング等もあるので5~7割ですね。
R&D専門チームと協力し三歩先のソリューションを生み出せる
長谷部
デリバリーセンターにかかわらず、全社的に見て直近のトレンド案件や、そこに向けて御社で力を入れて取り組んでいることについて教えてください。
渋谷様
今はデジタルを絡めた提案で、クライアント企業・業界にとって有益になるための二歩、三歩先の提案ができるよう取り組んでいます。パクテラジャパンの中にDXチームというR&D専門チームがあり、そこと密に連携し、このチームで開発している様々な技術を組み合わせ、ビジネスとして提案することを今年は大きな目標として設定しています。具体的には、AIやブロックチェーンなどフィンテック周りの技術や、画像解析、自然言語処理といったこれから重要となるデジタル領域です。 アメリカの大学との共同研究やシリコンバレーの企業との連携等も進めています。
クイックにモックアップを開発し、実際に動くものをベースにクライアントへ提案・ディスカッションできるので、クライアントと同じ方向を向いてプロジェクト立ち上げがやりやすくなっています。
長谷部
こういった取り組みができるのもR&Dの機能を持つ御社の強みですね。いわゆる絵に描いた餅ではなく、考えたことをプロダクトまで落とし込めると。
渋谷様
そうですね。他者のファームだと概念として研究することが多いのですが、パクテラグループでは実際にプロダクトを開発・検証できます。
長谷部
御社のコンサルタントがクライアントからニーズや課題を引き出し、それをもとにR&D部門とディスカッションしながらサービスを企画、開発していくというフローで合ってますでしょうか。
渋谷様
実は違います。そのフローだと研究開発が遅れてしまうので、コンサル側で「このようなニーズが今後あるのではないか。こういう技術があれば先に進んだ提案ができるのはないか」と話題を切り出し、まずとりあえず開発してみます。動くものを先につくってみて、それをクライアントにぶつけるというフローです。「ビジネスモデルを変えるのに有効だと思いますが、どう思いますか」「モックアップをプロダクト化していくために、一緒に研究開発しませんか」とディスカッションします。
長谷部
そうでないと、今のマーケットでは二歩も、三歩も先にいけないと。
渋谷様
その通りです。同時に、クライアントからニーズを聞いてから開発すると、固有の条件が入りすぎてしまい、そのクライアントでしか応用できない、限定的なサービスになってしまいます。
「デジタル変革がどれだけ進むかが保険業界全体の課題」
長谷部
御社は特に保険業界のクライアントを多く抱えています。保険業界のマーケットの変化や、そこに対して御社としてどういったアクションを今後起こしていくのかについてお伺いできますでしょうか。
渋谷様
デジタル変革がどれだけ進むかが保険業界全体の課題だと考えています。 日本において保険のセールスが生まれた背景にも関係するのですが、人と人の関係性の中で成立するビジネスモデルがまだまだ主流です。保険商品が高額なものであることも要因ではありますが、今後は人が必要最低限のところだけ介在し、デジタルを活用して最適なコストで保険を売るモデルをつくれるかが求められます。
また、長く続く保険会社では社内システムも化石のように古くなっており、次の新しいチャレンジをするには凝り固まった状態なので、カルチャーの変革とクイックに業界の変化に対応できるシステム環境を整えつつ、システムに対応できる人的リソースも同時に揃える必要があります。
そのためにも、新しい技術や構想を持つスタートアップと繋がることも今のマーケットだと重要になりますね
長谷部
今の日本では人口の減少といった根深い問題もあり、デジタルの導入が喫緊で求められていると思います。こういった課題を解決にするにあたって、先ほど新しい技術の開発・提案という話を伺いましたが、今「スタートアップとの繋がり」というキーワードも出てきました。
御社ではスタートアップとの提携にも力を入れていますが、スタートアップの見つけ方や、提携の目的についてもさらに詳しく教えていただけますでしょうか。
渋谷様
まずは弊社代表の藤井、またはスタートアップを新規開拓するメンバーが優良なスタートアップを見つけてきます。SNSを使って繋がるところから始まるケースもありますよ。 その後は業務提携し、一緒にプロジェクトを進めことや、彼らのソリューションとクライアントのニーズマッチングの協力等もしていくこともあります。また、スタートアップとの協業したプロジェクトは先行投資も含め、一部無償で弊社のリソースを提供することで、お互いWin-Winになる形で業界を変えていくことを目指しています。
長谷部
大手の保険会社とスタートアップの間に入ることによって、新しい価値を生み出していくのでしょうか。
渋谷様
そうですね。最近では特に健康を軸に保険業界でイノベーションが起きはじめています。
長谷部
金融系のスタートアップから話を聞くと、どうしても金融のクライアント先に提案しても、制度や組織体系が古いので取り合ってもらえず、簡単に新しいものを取り入れたり、変えられないといった話も聞きますが、同じような理由で苦労することもあるのでしょうか。
渋谷様
保険業界にも同じことがいえますが、何であれ変革時には、抵抗や偏見と闘わないといけないものです。そういった旧来の障壁を乗り越えるにはクライアントをコミュニケーションで解きほぐし、一緒にリスクを負う関係性を築けるかが求められます。コンサルタントはコミュニケーション能力が高くないと絶対に成り立たない仕事ですが、まさにコンサルタントとして究極のスキルが発揮されるのです。
スキル面ではデジタル領域への興味・関心、パーソナル面では自責思考の方を求めている
長谷部
ありがとうございます。デリバリーセンターの話に戻らさせていただきますが、どのようなバックグラウンドの方がご在籍されているのか、また部門内の雰囲気について教えていただけますか。
渋谷様
まずバックグラウンドですが、コンサルティングファーム出身のメンバーと、事業会社出身、SIer出身のメンバーが同じくらいの比率ですね。特定の業種出身の方を注力して採用することは、今はあえてしていないです。理由としては、同じようなバックグラウンドを持った人間だけを入れてしまうと、その世界の枠、要は「バカの壁」がどうしてもできてしまうので、会社としてイノベーティブなチャレンジが難しくなるのではないかと考えているからです。
雰囲気は、若いメンバーから年配のメンバーまで和気藹々としています。気軽に相談しやすい雰囲気がありますね。
長谷部
今後はどのような方を求めているのでしょうか。スキル面、パーソナル面でペルソナはありますか。
渋谷様
スキル面では今後のことも見据え、デジタルを用いて新しいことにチャレンジした経験があったり、デジタルについて勉強するのが好きな人を求めています。ただ、スキルとして何かこれが絶対に必要というのは基本的にはないですね。コンサルのベースとして必要となるロジカルシンキングは後から身に付けることもできると私は考えています。
また、パーソナル面では素直で、ポジティブな人が良いと思います。あとは自分が「動かす側の人間になりたい」と思えるかどうかも大事です。何か問題が発生した時に他責思考ではなく、自分だったらどう解決できるかという自責思考の方のほうが成長が早いからです。
長谷部
成長環境という面で、御社で働くことのメリット、やりがいについてはどうのようにお考えでしょうか。
渋谷様
成長環境という観点から弊社を考えるときに真っ先に思い浮かぶのは、やはり規模が小さいのでチャンスが多いということでしょうか。他ファームよりも実力さえあれば早く昇進できます。僕自身3年前にマネージャーで入社し、次の年にシニアマネージャーに昇格、その次の年にはディレクターになりました。
あともう一つは、パクテラグループのグローバルネットワークでしょうか。弊社はまだ規模が小さいものの、グローバルを含めると社員が約32,000人おり、売上高も1,000億を超えています。伝統的なマネジメントスタイルの会社とベンチャーという二面性から色々学ぶこともできます。
長谷部
グローバル支社の方とコミュニケーションをとるケースも頻繁にあるのでしょうか。
渋谷様
あります。シンガポール、香港、マレーシア、オーストラリアと日本が同じビジネスグループなので、そこのリージョンとは密に連携をとっています。先週も日本でグループのキックオフがあり、各リージョンのリーダーたちが今年の戦略を話しつつ、日本の各部門のミッションを共有し、まさに今後の戦略について議論しています。
長谷部
例えば他の外資系総合ファームの場合、グローバルから強制的な命令に近い指示が多くて大変という話をよく耳にするのですが、御社の場合はいかがですか。
渋谷様
そういうことは全くないですね。むしろ「どうしていきたいかか」と聞かれることの方が多いです。
長谷部
組織成長という面からの質問です。会社やデリバリーセンターの規模に関しては当面どのような目標を持っているのでしょうか。
渋谷様
会社としては、社員数そして売上を2倍するという目標を掲げています。 そのために今年からKPIと同時にOKR(Objectives and Key Results)という指標を入れました。KPIは達成率100%になることを前提に設定する目標である一方、OKRは6、7割達成できるくらいのところ、ムーンショットとも言いますが<届かないけど見える位置>に目標を設定します。KPIは自分の力で達成できますが、OKRは一人の力では達成できないので、色々な人との協力や、自由な発想を促します。評価と連動させると人はチャレンジしないものなので、人事評価とは連動させないところがポイントです。
また、社員数数と売上を倍増するという目標と共に、「新しいサービスを今年中に立ち上げる」「グローバル展開を促進させる」という目標をOKRとして設定しています。デリバリーセンターに限った話だと、KPIとしては今の人数の倍。OKRとしては2.5倍に増やすことを目標にしています。
長谷部
今々ですと何名体制ですか。
渋谷様
デリバリーセンターは現在約40名ですので、今年中には80名体制にしたいと思っています。案件が増えているので、会社としてデリバリーの品質を高めるために多くの人を求めています。
長谷部
ありがとうございます。最後に、インタビュー記事の読者にメッセージを頂きたいと思います。
渋谷様
私自身、人にとても興味があるので、いろんな方に会ってみたいです。また、今年、来年と人数が増えると組織も変わってきます。まだ新しいことにオーナーシップを持ってチャレンジできる環境があるので、今から入社される方は他ファームでは得られない先行者利益が得られると思います。