SAPとXaaS、クラウドを絡めた複合的なサービスでクライアントのDX実現を目指すPwCコンサルティング合同会社 ET-ES(Enterprise Transformation-Enterprise Solution)チーム。グローバルとの連携・協業や海外駐在の機会を頻繁に設けることで、欧州最先端のSAP事例・ソリューションを日本で提供できる点が特長です。今回は、同チームをリードされる執行役員パートナー 佐々木信寛様、ディレクター 大槻弘之様、ディレクター 鈴木直様より、ご経歴、ET-ESチームの特長や強み、PwCのカルチャーだからこそ実現できるソリューションや提供できるバリューなどについてお聞きしました。
井内
皆様のご経歴をお聞かせください。
佐々木様
私は新卒で総合電機メーカーに就職し、IT部門でERP導入に従事していました。入社4年目で海外支援に携わるチャンスを得て、アメリカへ赴任しました。
その後ソフトフェア会社へエンジニアとして転職し、シリコンバレーで経験を重ねました。帰国後は日系のコンサルティングファームに参画し、アメリカと日本にてクライアントのERP導入支援、海外展開の支援に携わりました。
PwCコンサルティングへは2020年に入社し、主にSAP導入と日系ハイテク企業の支援を担当しています。今期はET-ESのサブリーダーを務めています。
大槻様
私も佐々木と同様、新卒で総合電機メーカーに入社し、IT部門で国内全体をカバーする販売物流の基幹システムの開発や運用に携わりました。その後、海外駐在でシンガポールに赴任し、東南アジア全体にERPを導入する仕事に従事しました。その後ドイツへも赴任し、欧州全体のERPシステムを導入するプロジェクトを担当しました。
帰国後は、SI子会社でERPなどの大規模システム導入や、親会社の海外のM&Aや構造改革に尽力した他、海外出向も経験しました。
PwCコンサルティングには2021年に参画し、ET-ES部門で、ERPシステムの導入やDXを用いた企業変革の支援に従事しております。
鈴木様
私は新卒でIT企業にエンジニアとして入社後、アーキテクトやプロジェクトマネジャーとして長らくシステム構築に係るプロジェクトに従事してきました。
その後、クラウドサービス企業へ転職し、コンサルティングチームにて、クラウドを活用した企業変革の支援に携わってきました。その後、メディア企業にてオフィスIT全般の責任者を務め、PwCコンサルティングへ入社しました。
私はET-ES部門ではなく、ET-IS(Enterprise Transformation-Industry Solutions)部門に所属し、クラウドトランスフォーメーションチームをリードしております。
井内
PwCコンサルティングにご入社された背景を詳しくお聞かせいただけますか。
佐々木様
私は前職もコンサルタントだったのですが、さらに人脈を広げていきたいとの思いから転職を決意しました。複数のコンサルティングファームがある中で、PwCコンサルティングを選んだのは、グローバルファームでありながら各国独立した経営を行っているという点です。他国が組織変更した際も、追従するのではなく、日本はどういった組織体系がいいのかを考えながら、日本なりにアジャストし、自分たちで会社の方向性を決められることに魅力を感じました。
大槻様
私は、「日本企業に頑張ってほしい」という思いから、コンサルティングファームへの転職を決意しました。前職ももちろん、頑張っている企業の1つだったのですが、自身の知識やスキルを自分たちのグループだけでなく、他の企業のためにも役立てたいと考えました。また、前職でコンサルタントの方々と一緒に仕事をした際、内部から物事を変えていくことが難しい日本企業が、社外のコンサルタントの言葉で変わっていく姿を目の当たりにしたことも要因の1つです。
複数のコンサルティングファームを検討する中で、PwCコンサルティングは私の事業会社での経験にしっかりと耳を傾け、その経験を評価してくれました。事業会社からコンサルティングファームへの転職は大きなチャレンジですが、PwCコンサルティングはそのチャレンジができる会社だと感じました。
鈴木様
私はITベンダー側でトラディショナルなシステム開発からモダンな領域のシステム開発まで一通り経験し、事業会社で組織変革を実施してきましたが、その経験やナレッジを多くの企業にコンサルタントとして提供したいと考え、PwCコンサルティングに入社しました。前々職で一緒に働いていた方がPwCコンサルティングで働いており、さまざまな話を聞く中で雰囲気の良さを事前に知れたことも入社を決めた理由の1つです。ITの位置づけが年々変わっていく中で、PwCコンサルティングでは上流から下流まで携われるので、自身のこれまでのキャリアを生かせる場所だと感じています。
「PwC×SAP」で取り組むサステナビリティの最先端ソリューションで業界をリード
井内
ET-ESの組織体制やサービス、概要についてお伺いできますか。
佐々木様
ES(Enterprise Solution)は、ET(Enterprise Transformation)部門のチームの1つで、450名程の職員が所属しています。SAPを代表するERPシステムの導入プロジェクトをはじめ、ソリューション開発なども積極的に行っており、海外のPwCメンバーファームとのコラボレーションも非常に多いです。昨今増えてきているのは、欧州発のサステナビリティに関わるサービスです。サステナビリティに関わるデータをSAPから出すこともあり、私たちも力を入れています。
井内
PwCコンサルティングの特徴的なビジネスについてお伺いできますか。
佐々木様
サステナビリティの領域で言いますと、ツールが乱立している中で、クライアントも何を使っていいかわからない状態になっています。一方で、「SAP×サステナビリティ」に関して言えば、欧州ではPwCドイツとSAPドイツが一緒になって先進的に取り組んでいるので、一歩先んじたソリューションを持っていると自負しています。
井内
他の国のソリューションを共有できるというのは大きな強みですね。
佐々木様
日本でゼロから始めると時間がかかりますが、進んでいる欧州のPwCメンバーファームから学ぶことでジャンプスタートができるわけです。他の国の仲間もソリューションを惜しみなく説明してくれますし、次に私どもが作ったソリューションに関して、アジアから問い合わせがあるなど、PwCグローバルネットワークの垣根の低さや、クロスボーダーでのコラボレーションの優位性を実感しています。
井内
大槻様、鈴木様からも、ビジネスの特長についてお聞かせいただけますか。
大槻様
私どものクライアントである大企業の方々は、「開示要求の際に会社をどうよく見せるのか」「開示要求の項目を改善することで会社の競争力をいかに高めていくか」の2点に大きな興味を持たれています。コンサルタントとして、クライアントの改革していきたい部分をヒアリングし、ソリューションに反映していくことが求められます。
日本は欧州とは異なり、まだ開示の中身が決まっていません。ですから、欧州のメンバーと定期的に情報交換しながら、日本ではどうしていけばいいのかを議論し、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)でルールが決まるよりも先に手を打てるように動いています。
鈴木様
規制対応の分野に対するコンサルティングのニーズは近年かなり高まってきています。これから関連するプロジェクトも増加してくると予想し、準備をしています。
現在、私の部門ではクラウドサービスを使って企業のさまざまなデータを取り、データレイクの形で蓄積、加工し、ダッシュボードで可視化するソリューションを開発中です。PwCメンバーファームのさまざまな専門家たち、たとえばPwC Japan有限責任監査法人や、PwCサステナビリティ合同会社、PwCコンサルティングのファイナンストランスフォーメーション部門など、そういった多くの職員とディスカッションしながら取り組んでいます。
部門間連携を重視する文化だからこそ実現するSAPコンサルとクラウドコンサルの協業
井内
SAPビジネスの推進という観点で、PwCのネットワーク内だからこそできるチームの強みはありますか。
佐々木様
SAPはクリーンコアという戦略を出しています。これは SAPのコアを標準にして、その他の部分をBTPという環境で作る、Side by Sideという方法です。
クライアントに最適なIT の環境は何なのか考えた時、当然SAPをコアに置いてそれを利用しながらフレキシブルにできる、いわゆるマイクロサービス化が想定されます。そのために、クラウドを使ってさまざまな変化に対応しやすい環境を提供することが私どものミッションだと考え、取り組んでいます。
やはり、SAPの専門家とクラウドの専門家の協業というのは、他のファームでは見られない特長だと思います。部門間の垣根が低いことから、それがうまく作用しているのです。
大槻様
われわれPwC Japanグループでは、他の部署のプロジェクトや特定領域のプロジェクトへのアサインを希望することもできます。また、さまざまなグローバルのコミュニティーにて、新しい知識や知見を学べます。
佐々木様
具体的な事例を挙げると、半導体企業のクライアントに提案をする際、韓国のメンバーに参画してもらい、韓国のグローバルな半導体企業の事例を共有してもらったことがあります。日本の半導体のシェアは世界で4位なのですが、韓国は2位です。そうした上位の知見を盛り込み、日本のクライアントに提案できています。
自分たちだけでなく、グローバル全体で戦う。そういうマインドが根付いています。
鈴木様
サステナビリティ関連のシステムは、SAPとクラウドサービスの双方をミックスして実現していくことも多いと考えています。SAPとクラウドサービスの活用比率は、その時のその企業に合う比率を議論しながら決めていくことになります。先ほど佐々木が話したように、私どもには部門の垣根を越えて一緒に最適なソリューションを見つけていく土壌があり、クライアントにとっての価値最大化に向けて、建設的で合理的な意見交換ができる。これがわれわれの最大の特長です。
井内
専門性の高さについてもお聞かせください。
鈴木様
それぞれの専門家が担当するドメイン(問題解決領域)を熟知しており、その中のユースケースをしっかりと押さえているということを、議論する中でも強く感じています。法令対応や規則対応についても詳細な知識を持っており、非常に専門性が高いチームが横連携しながらプロジェクトに取り組めています。
また、チームを超えて気軽にチャットでコミュニケーションを取り合える関係性が構築されているため、それぞれの専門性を重ね合わせながら、プロジェクトを進めていくことが可能です。
佐々木様
過去に少し経験があるという程度ではなく、まさに専門家がPwCの中にいるので、非常に心強いです。
大槻様
専門家のチームが「これはこう解釈すべきだ」というPwC独自の見解を出してくれるので、PwCコンサルティングではそれに対応する仕組みを考えていけます。これも非常に大きいなと思っています。実際にクライアントや政府機関への出向などで専門性を磨くこともできます。PwC Japanグループには監査法人や税理士法人はもちろん、弁護士法人もあります。たとえば法務に関するDXはPwC弁護士法人の担当者に聞くことで、裏付けのある確かなものをクライアントに提示できます。
会社をまたいだキャリアチェンジや、欧州・アジアへの海外駐在など自己実現のチャンスも豊富
井内
キャリアパスについてもお聞かせいただけますか。
佐々木様
SAPの新しい領域やソリューションに携わるチャンスは非常に多いと思います。他の部門のプロジェクトにアサインさせてもらい、チャレンジすることも可能です。その中で今までとは違う新しい領域でキャリアを築きたいとなれば、所属部門や法人をまたいで異動できる制度もあります。また、コーチ制度を導入しており、上位職階の職員に相談しながら自身のキャリアパスを考え、進んでいける環境が整っています。
大槻様
私も驚いたのですが、当社の場合、部門を超えたキャリアチェンジが可能です。私も自身のキャリアを考えて、同じPwCコンサルティング内ではありますが、インダストリー軸のところから現在のET-ESに異動しました。こちらの方が私の専門性を生かせますし、ソリューション軸であらゆる業界にサービスを提供できる点に惹かれました。
鈴木様
異動することは部門にとって決してマイナスではなく、他のチームと連携できる可能性がより広がる機会と捉えています。個人のキャリアにとっても、組織のケイパビリティにとってもプラスと考えています。
もともと組織の垣根が低いので、異動した後も普通にコミュニケーションが取れるようなカルチャーがあります。
井内
海外駐在や出張を希望する方もいらっしゃいますが、そういったチャンスもあるのでしょうか。
佐々木様
もちろんです。ドイツやオーストラリアへ赴任しているメンバーもいますし、今後もアジアにメンバーが赴任する予定があります。PwCコンサルティングでは、日本企業の海外展開を現地で支援したいという理由からメンバーを派遣しています。グローバルな案件に関わるチャンスは豊富だと思います。
井内
SAP導入プロジェクトにおいて、システムベンダーとの違いについて教えてください。
佐々木様
私どもは最上流から運用まで支援しますが、やはり案件として多いのは最上流のところです。 構想に関しては、企業の組織のあり方や組織マネジメントをどうするかといった提案もしています。たとえば、日本国内有数の企業が「自分たちはなぜ海外で成功できないのか」との悩みを抱えていました。そこで私どもはマネジメント・サイエンスを設計しつつ、管理の仕方や運用のデザインをし、SAPでどう実現するのかというところまで支援しました。
大槻様
私は事業会社にいた時、「コンサルティングファームはITのエリアで一体何をやるのだろう」と思っていました。実際に入社して、チェンジマネジメント領域の大きなプロジェクトを経験してみて、「なるほど、コンサルタントというのはITベンダーの世界と違うのだ」と気付きました。具体的に言うと、SAPを導入していく中でどのクライアントも一番困っているのは、今までスクラッチで作ったシステムをSAPのような標準化されたシステムに置き換える時なのです。私たちコンサルタントは、こういうところの支援がポイントになってくるのですね。
さまざまなアイデアが生まれるミックスチーム
井内
組織のカルチャーについてお伺いできますか。
鈴木様
私どものチームでは、各コンサルタントのナレッジと経験の共有を重視しています。毎週定期的にそのための時間を取っており、それが組織の雰囲気を良くしているとも感じます。また、ナレッジの共有会は、自分たちの組織だけでなく、PwCコンサルティング全体にもアナウンスをして、参加してもらうこともあります。
佐々木様
ESは領域によって組織を分けることなくマネジメントのチーム体制となっています。そうすることでさまざまなアイデアが生まれ、自身の専門以外にも目を向ける機会も増えると考えています。
井内
勉強会や研修体制など、ET-ES独自のものがあればお伺いしたいです。
佐々木様
SAPに関する研修は非常に豊富です。中途入社した方のための研修もありますし、専門性の高いメンバーが希望者に教えるという機会も頻繁にあります。勉強会のテーマは領域や業界ごとにさまざまで、多岐にわたります。
井内
ワークライフバランスについてもお伺いできますか。
佐々木様
クライアントの意向によります。ほとんどリモートワークで支援するプロジェクトもあれば、クライアント先にて常駐しているプロジェクトもあります。
大槻様
私は大阪オフィスの所属なのですが、東京や名古屋の職員とも一緒に仕事をします。コロナ禍を経て、今はどこにいても働ける時代になりましたし、リモートと対面、それぞれうまく使い分けられていると感じています。
井内
最後に、どのような方と一緒に働きたいとお考えか、お聞かせください。
大槻様
会社のカルチャーの話にもありましたが、皆で一緒に仕事をし、皆で一緒に高め合っていくというマインドセットを持った方に来てほしいと思います。あとは、転職は当然ながらチャレンジングなことですから、そこに挑む前向きさのある方ですね。
鈴木様
私たちが取り組んでいる領域は、事前に正解を定義することが難しい領域です。このように正解がないところにわくわく感を見出しながら、ベストな答えを一緒に作っていくことに楽しみを覚える方と一緒に働きたいと考えます。
佐々木様
私も、自己成長したい人ほど、入社後にどんどん成長できると感じています。失敗もあると思いますが、それを責めるような人はいません。皆とコラボレーションしながら成功していきたいというマインドの方と一緒に働きたいです。