PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング) FS(金融セクター)チームでは国内外の大手金融機関を中心に、戦略策定から実行支援までの一貫したサービスを提供しています。現在、金融機関は変革の時期を迎えており、クライアントごとの経営アジェンダは多様化・複雑化している状況です。これを受け、FSチームでは2022年7月から、Banking、Non-Bank、CM&AWM、Insuranceといったようにインダストリーセクターを細分化し、そこに各個人がプロフェッショナルとして有する専門性をコラボレーションさせることで、より複雑な課題を解決可能とすることを狙った組織改革を進めています。
今回はFSチームに所属し、各インダストリーにおいてFinance & Risk(以下F&R)関連のサービスを担当されている川上様、山本様、澤谷様、日下様に、ご経歴や組織の特徴、マーケット状況や働き方・キャリアに関する制度などについてお聞きしました。
PwCコンサルティング 川上様、山本様、澤谷様、日下様のご経歴
長谷部
まずは、自己紹介からお願いいたします。
山本様
私は新卒で入社したSIerで営業職を経験し、2社目に転職後は金融機関向けの経営管理・リスク管理パッケージの導入コンサルタントとして活動していました。その後、、決まったパッケージ以外にも経験の幅を広げていきたいと考え、PwCコンサルティングに入社しました。PwCコンサルティングでは一貫して経営管理・コンプライアンス/リスク管理領域を担当し、グローバル資本規制やIFRS導入、管理会計、AML/CFT対応などに従事してきました。
川上様
私は新卒で大手SIerに入社し、システムエンジニアとして金融機関向けのシステム開発を手掛けてきました。その後、より上流から業務の変革に携わりたいと考え、2008年にPwCコンサルティングの前身の会社に転職し、現在に至ります。当初から金融とシステムの強みを活かし、管理会計や経営管理ツールの導入プロジェクトを行ってきましたが、そこから現在も管理会計や経営管理周りをメインに担当しています。
澤谷様
2007年12月に公認会計士の資格を取得後、PwCあらた監査法人(現、PwCあらた有限責任監査法人、以下PwCあらた)に入社しました。そこで監査実務を2〜3年経験したのちに、監査法人に在籍しながら2年間コンサルティング側に出向していましたが、2014年7月に正式にPwCコンサルティングに転籍しました。その後、社内のグローバルモビリティ制度を活用して、2016年から3年間PwC香港への海外出向も経験しています。
バックグラウンドとしては、主に保険会社のファイナンス周りを担当しており、システム導入をはじめ、オペレーション周りの改善なども手掛けています。
日下様
私は新卒でPwCコンサルティングの前身の会社に入社し、その後、2回の産休・育休を経て、かれこれ15年以上PwCコンサルティングのFSに在籍しています。現在は主に金融機関の経理部門周りやシステム導入に伴うBPR関連の支援などを手掛けており、決算効率化やシステム導入、IFRS対応などのさまざまなプロジェクトを通じて、経理部門のお客様に寄り添いながら業務再構築の支援をさせていただいております。
ますます難易度が高まっていく課題を解決するため、横の組織から「縦の組織」へとチームを再編
長谷部
御社のFSチームやF&R関連サービスの特徴を教えていただけますか。
山本様
FSの特徴を一言で表すと、総合力ですね。新規事業創出や営業改革などのフロント、リスク管理などのミドル、オペレーションを支えるバック、またはそれらを一気通貫したDXやテクノロジー活用、ITインフラ整備、ガバナンス強化などの改革において、それぞれ専門性を持った人材で最適な体制を組んでサービス提供できるのが私たちの強みです。
その中でもF&R関連サービスとしては、ファイナンスとリスクの観点から財務会計や管理会計の高度化・効率化や、グローバル金融規制や金融犯罪対策の強化に対する構想策定、実行支援などを提供してきました。
長谷部
FSチーム内では、今年(2022年)7月に組織再編をされていますが、それに至った背景を教えていただけますか。
川上様
昨今の海外進出に伴うグループ経営管理範囲の拡大、国内外の既存市場の飽和による競争の激化、グローバル金融規制の強化など、ファイナンスの環境が変化する中で、それに対応するソリューションは比較的コモディティ化しやすいこともあり、インダストリーに特化した組織をつくる必要性がありました。
そこで今回の組織再編に伴い、横の組織ではなく、Banking、Nonbank、CM&AWM、Insuranceの縦の組織(セクター)を立ち上げたのです。もちろんそれによってファイナンスとリスクのつながりがなくなるわけではありません。セクター間で連携しながらサービスを提供しています。
長谷部
インダストリーごとにより尖ったソリューションを提供していくということですが、具体的にどういったイメージでしょうか。
川上様
直近のトレンドを例に挙げると、私が所属するNonbankでは今大きく2つの潮流があります。まず1つ目は事業の多角化です。これまでペイメントやリースを行ってきた会社が事業を多角化したり、商社化したりしていることから、「事業ポートフォリオを見えるようにしたい」「事業投資の管理をしっかりとやりたい」といった要望が増えております。
2つ目は、異業種から金融事業に参入してくる企業へのソリューション提供です。最近では一般的な事業会社がペイメントなどの事業に参入するケースも増えています。
こういった各業界の文脈をとらえないまま「事業投資管理が必要です」「リスク管理のルール作りが必要です」だけではクライアントの課題を適切に捉えた価値提供ができないので、業界に特化したセクターを立ち上げました。
長谷部
先ほど川上様からNonbankのトレンドについてお話がありましたが、それ以外の領域における現在のトレンドを教えていただけますか。
山本様
Banking、だけではないですが、メガトレンドとしてはやはりESGやサステナビリティ経営が挙げられると思います。私が担当しているコンプライアンス/リスク管理領域においても、グローバル金融機関として企業価値向上やサステナビリティに対する多くのステークホルダーの要請を踏まえながら、国際的な金融規制や開示ガイダンスへの対応、エマージングリスクに対する管理、それらを踏まえたグローバルベースのガバナンス強化などがトレンドとなっています。一部については昔からあるテーマでもありますが、クライアントの課題は以前よりも複雑性が増しており、難易度も上がっていると思います。
長谷部
保険業界における直近のトレンドを教えていただけますか。
澤谷様
保険業界のファイナンス周りではさまざまな課題がありますが、例えば直近のトレンドとしては複数会計基準の対応が挙げられます。グローバルでは2023年1月から国際会計基準(IFRS)第17号が適用されるにあたり、国内でも数年前から外資系企業での取り組みが進んでいます。今年は現行のIFRS第4号と来年から適用されるIFRS第17号の両方の基準で報告する必要があり、外資系企業は複数会計帳簿の対応をしてきました。今後は日系企業でのIFRS第17号の適用が進むにあたり、日系企業での複数会計基準の対応が進んでいくと思われます。
また、新会計基準の対応をきっかけにファイナンス周りの変革の必要性も生まれていますね。バックオフィスの改善や業務効率化、データ活用という課題に対してはDXによるクラウド化で解決していくケースが多いです。例えばクラウドベースの新しい会計システムや最新のデータ分析ツールなどの活用に向けた検討が進んでいます。
グローバルネットワークやグループ法人とのコラボレーションで強みを発揮
長谷部
澤谷様からお話があった国際会計基準IFRS第17号の対応にあたっては、圧倒的なグローバルネットワークを持つ御社だからこそ競合優位性につながっていると思います。
澤谷様
おっしゃる通りです。2019年にマレーシアで開催されたIFRS第17号のグローバル研修に参加したとき、最新の動向をPwCのメンバーファームと連携することができました。欧州ではIFRS適用が先行しているため、そこで得た知見はPwCのアセットとして、欧州のメンバーファームからアジアの国に提供されました。日本でも将来的にIFRS第17号の適用が本格化する可能性が高いため、グローバルですでに導入した知見やアセットを活用できるということはPwCの強みだと感じます。
長谷部
以前、澤谷様は監査法人時代にコンサルティングと協業していたということですが、グループ内での連携についてはどのように感じていますか。
澤谷様
X-LoS(Cross Line of Services)という観点では、グループ内の監査や税務、Deals(M&A)などを専門とするメンバーファームとコラボレーションする案件は多いです。例えば、ある企業を支援する際、初めにPwCあらたが会計業務周りの要件整備を担当し、プロジェクト全体は私たちPwCコンサルティングがリード、かつクロスボーダーでは海外のPwCメンバーファームがSMEとして専門性を提供するというようなプロジェクトもありました。このような連携はFSに限った話ではありません。
長谷部
そういった総合力がPwCの特徴であり、かつお客様から選ばれる理由につながっているということですね。
日下様
そうですね。PwCはX-LoS、X-OU(Cross Operating Unit)がどのプロジェクトでも行われています。例えば経費システム導入をする際、業務・システムの変革においてはコンサルティングが担いつつ、電子帳簿保存法やインボイス制度対応について税理士法人からアドバイスをもらうといった形で協業するケースなどがあります。各専門家が入ることでお客様に安心感を持ってサービス提供できるのがPwCの強みだと思います。
多様なバックグラウンドを持つメンバーの成長にコミットしたキャリアコーチ制度・カルチャー
長谷部
FSに在籍しているメンバーのバックグラウンドについて教えていただけますか。
川上様
コンサルティングファーム出身の方はもちろん、銀行や保険会社など金融機関出身の方や、私と同じようにシステム会社出身でキャリアチェンジを求めて入られる方が多いです。多様なバックグラウンドを持つ方々が知見を活かして私たちのチームで活動されていますね。
長谷部
多様性に富んだチームでいらっしゃるのですね。現在はリモートワークが主体だと思いますが、チームの雰囲気も教えてください。
日下様
タイトルに関わらず自分の意見を言うことができ、プロジェクト内・外でもカジュアルなコミュニケーションができる風土があると思います。またリモート環境ではありますが、先輩職員が各メンバーのコーチとして付き、チームになじめるようメンバーをサポートする体制も整っています。
山本様
PwCではキャリアコーチは各メンバーの成長支援に完全にコミットしており、例えばメンバーがアサインされているプロジェクトのマネージャーと密に連携しながら育成方針を決めていきます。各メンバーに対し、短期的なサポートに留まらず、将来のキャリアに向けたサポートも行っていること、これらを制度として行うことはもちろん、カルチャーとしても根付いていること、が特徴です。
長谷部
コンサルティングファームにおいては、何年間も同じプロジェクトにアサインされてしまうことはよくあるとお聞きします。一方、御社でそういったことが起きない理由について教えていただけますか。
川上様
そもそもメンバーが同一プロジェクトに1年以上にわたって入っていると「長期アサインです」といったリストが出るようになっているんです。要するにスキルを固定化しないためにルールとしてそういった制度があります。もちろんメンバーは、期間を問わずコーチに対して「こういった案件をやりたいため、担当するプロジェクトを変えたい」という意見を伝えることができますし、さらにFSのチームリーダーまでエスカレーションして建設的な話し合いができる環境がすでにカルチャーとして根付いています。
PwCとしてもチーム全体で心理的安全性を保ったままコミュニケーションできる環境を目指していますので、それが社内で障壁なくコミュニケーションができる理由なんだと思います。
柔軟な働き方を可能にするPwCの制度・カルチャー
長谷部
これまで日下様は育休・産休を2回取得されて、今現在ワーキングマザーとして働かれていらっしゃいますが、御社の働き方や制度についてお聞かせください。
日下様
産休、育休期間においては、定期的にキャリアコーチがメンバーとコミュニケーションを取りサポートをしていく制度があります。またコンサル業界の場合、プロジェクト単位でメンバーが変わっていくため、2年のブランクがあったとしても周りも「最近会わなかったね」というぐらいの感覚なので復帰に際しての人間関係ハードルは低いと思います。ですから、私自身は1回目の育休復帰は不安もあったものの、2回目の復帰にあたって不安は感じませんでした。
また実際にプロジェクトに入る前に、子どもがいる・いないに関わらずあらかじめ「どういう働き方をしたいのか」「どういうコミュニケーションをしたいのか」などメンバー間で擦り合わせを行う仕組みがあり、お互いを理解して働けるような風土が構築されてきています。私自身はたとえ繁忙期でも18時にはいったん仕事をストップするように決めており、あとは自分の好きな時間に仕事を進めています。
長谷部
男性の育休についてはいかがですか。
川上様
私は4人子どもがいますが、すべて育休を取得しました。現在はシニアマネージャーなので、ある程度自分でマネジメントができる立場ですが、スタッフの頃からも特に問題なく育休を取得してきました。男性が育休を取得するにあたっては、人事評価にも影響がないのが会社として特筆すべきところだと思いますね。
「グローバルモビリティ制度」を活用して海外とのネットワークを構築できる
澤谷部
澤谷様は海外駐在の経験がありますが、グローバルモビリティ制度について教えていただけますか。
澤谷様
グローバルモビリティとは、グローバルのキャリアを構築できる制度です。もちろん受け入れ側のニーズが必要ですが、海外に興味のある方はまずは登録が可能です。私の場合は、PwC香港のパートナーと日本で一緒に仕事をする機会があり、そういったつながりもあってPwC香港に3年間出向させていただくことができました。
グローバルモビリティ制度では、当然海外でいろいろな経験が積めるというメリットがありますが、私はグローバルのネットワーキングが構築できることが一番のメリットだと思っています。私自身、香港から帰国した後も、何か困った時に相談したり、業務提携をして一緒にプロジェクトを進めたりといったこともありました。このようなつながりを作るきっかけとして、グローバルモビリティ制度を活用することは個人的におすすめです。
最後に
長谷部
ありがとうございます。では最後に、皆様からメッセージをお願いします。
山本様
PwCは、心理的安全性を保ちながら専門性を最大限に発揮できる仕組みとカルチャーがある場所です。今後の働き方や将来のキャリア形成を考えている方は、ぜひPwCを選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょう。あまり悩まずに気軽にチャレンジしていただければと思います。
川上様
「周りを蹴落としてでも上に登るぞ」というイメージが強いコンサルティングファームの中で、PwCコンサルティングでは一緒に成長しようと考え、コミュニケーションをしてくれる人たちが多くいます。本気でキャリアアップを考えている人には最適な環境だと思います。
澤谷様
コンサルティングの醍醐味は、お客様の複雑な課題に対して“個”の力で対応するのではなく、いろんな専門性をバックグラウンドに持った“チーム”で対応していくことだと思っています。PwCは、X-LoS、X-OU、クロスボーダーという形で、他部門と一丸となりチームで対応する体制が整っているのが魅力です。周りと力を合わせて課題を解決していくことに興味がある方は、ぜひ入っていただきたいです。
日下様
PwCは、自分のライフステージに合わせて働き方を柔軟に調整できる制度やカルチャーがあります。いろんなバックグラウンドを持った方が活躍されていますので、自分の経験を活かしてコンサルタントとして働いてみたいという方はぜひご応募ください。