大手金融機関に対して、従来までの業務プロセスとテクノロジー変革のコンサルティングから、先端テクノロジー×金融サービスに関する戦略立案まで、幅広いサービスを提供しているPwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)のFS-Technology。
今回のインタビューでは、同組織を率いるディレクター山本様、根田様、マネージャー岩田様より、同組織へジョインした経緯、FS-Technologyの特徴や強み、マーケット状況に対する組織の変化・取り組みについてお聞きしました。
PwCコンサルティング FS-Technology 山本様、根田様、岩田様のご経歴
長谷部
まずは、皆様のこれまでのご経歴を教えてください。
山本様
私は大学卒業後、2000年に日系SIerに入社し、銀行のシステム開発部署に所属し、入社1年目からシステム統合のプロジェクトに携わりました。
その後、3年ほどさまざまな銀行システムの開発を手掛けましたが、SIerの立場でもっとお客様と直接お話したいと思うようになり、外資系大手のIT系コンサルティングファームに転職しました。
そこで銀行の基幹システムの更改に関わる企画・計画やベンダー選定、立ち上げ後のプロジェクトマネジメントに従事しました。しかし経営の舵をSIの方にも広げていくという方針が取られたことを機に2015年にPwCコンサルティングに転職しました。
長谷部
ありがとうございます。根田様よろしくお願いします。
根田様
私は1999年に大学を卒業後SIerに入社し、4年ほど生保・損保を中心にアプリケーション開発を経験しました。その後、フリーランスのSEになり、半導体システムの生産制御システムや物流システム等、幅広いアーキテクチャー、ITインフラ、アプリケーション開発など、さまざまな経験をしてきました。しかし4年経ち30歳を迎えたころ、このまま10年後もフリーランスでSEを続けているイメージが持てずキャリアチェンジをした方がいいのではという思いが湧きました。
そうした時に、ちょうどPwCコンサルティングの前身の会社の方からお話を聞く機会があり、自分の目指すキャリアがありそうだと感じ2008年に入社しました。
長谷部
ありがとうございます。岩田様よろしくお願いします。
岩田様
私は大学院修了後、2004年に日系SIerに入社し、主にインターネット証券の外販システム導入に約3年間従事しました。その後、外資系大手のIT系コンサルティングファームへ転職し、金融業界をクライアントとする部署に所属し、主に合併案件でシステム、業務、個別支援とさまざまなプロジェクトに参画しました。
在籍中に第1子を授かり1年半ほどの育児休暇を経て復帰をしましたが、仕事と子育てとのバランスを考えてバックオフィス部門に異動しました。しかし会社の方針が大規模案件中心のIT・デジタル企業に変革していく流れの中で、当時はまだ子どもがいても仕事にウェイトを置いた働き方の女性が社内に多く、私はその中で自分の価値を発揮することはできないなと思いました。
この活動でPwCコンサルティングの面接を受けた際に、社員の働き方を見て女性が長くキャリアを積むことが受け入れられている会社だなと確信しました。ここであれば自分の今までの経験を活かしバランスを持って働けるのではないかと思い2015年に転職し、現在に至ります。その後、第2子を授かり育児休暇を経て現在は基幹システムの刷新に関わる案件に参画しています。
大手金融機関向けに、IT・デジタルを通した全体構造の策定など、経営の意思決定へ関与できるのが魅力
長谷部
ありがとうございます。改めてFSーTechnologyチームの全体像や、前職と比較した際の魅力ついてお伺いしたいと思います。
根田様
私たちFSーTechnologyチームは、大手金融機関向けにテクノロジーを活用した戦略立案・企画から変革の実行に至るコンサルティングサービスを提供しています。
システム開発がメインのSIerの立場ではお客様の経営課題に直接的に関与することは難しかったですが、現在はコンサルタントとして、経営の大きな意思決定や企業の全体構想まで幅広く支援を行っています。当然、業務の難易度は高く、難しさも伴いますがお客様の意思決定に関与できるのが魅力です。
長谷部
どのようなメンバーが在籍されているのでしょうか。
山本様
私や岩田さんのようにコンサルティングファーム出身もいれば、SIer出身、ユーザー企業のIT部門出身など、それぞれIT系ですがバックグラウンドはさまざまです。
金融機関のビジネスにはシステムが必要不可欠ですし、社会のインフラ面としても非常に高いクオリティが求められます。そのためコンサルタントは高度な専門知識を有し、かつ全体像を把握していなければ適切な判断ができません。 単にテクノロジーを得意としているメンバーが集まっているだけでなく、銀行・証券・保険それぞれの業態に関わるシステム、テクノロジー、かつ業務を含めすべてを理解した上で、成果に向けて全体像を語れるメンバーがいるのが強みだと思います。
長谷部
チームの雰囲気について教えてください。
山本様
大きな組織の中で周りと刺激し合いながらがむしゃらにやってきた人もいれば、和気あいあいとした雰囲気の中でやってきた人もいて、いろいろなバックグラウンドを持つ方がいる多様性のあるチームだと思いますね。岩田さんはPwCコンサルティングに入られて、最初にどう感じましたか。
岩田様
同じ業界でも会社が変わればこんなに環境が変わるものかと驚いたのが率直な感想です。前職は「必ずやり抜く」という強い姿勢を大切にする会社だったので、その方針でみなが1つの方向に向かって突き進んでいたと思います。
一方、PwCでは会社のトップが働き方の多様性に価値を置き、実際にそこを大切にしながら1つの方向に向かう印象を受けました。私が子ども2人を育てながら仕事と両立できているのはそういったカルチャーがあるからこそだと思います。
長谷部
「働き方」に価値を置かれているとのことですが、現在皆様マネジメントする立場としてご活躍されています。メンバーがキャリアを築く上で、どのような点に気を付けていらっしゃいますか。
根田様
制度上、1年以上同じプロジェクトへのアサインが続いている場合は、キャリアコーチと面談を設けて、この先どうしていきたいのか必ず会話をするようにしています。本人の意思を押さえつけるのではなく、本人が描くキャリアに近づけられるように丁寧にコミュニケーションを図っています。
異業種との協業が求められる状況に合わせ、航空や自動車など横断的に他チームと連携してサービスを提供している
長谷部
次にマーケットの状況についてお聞きします。低金利の長期化、COVID-19の影響によるデジタルシフトなどさまざまな外部環境の変化がある中で、今FSーTechnologyチームが直面されているマーケットのトレンドについてお聞かせください。
根田様
金融業界で言えば、規制緩和の波に乗って金融とテクノロジーを組み合わせた新しいサービスが生まれ、流通業などの異業種が金融サービスへ参入するケースも増えています。当初、既存の金融機関は異業種参入に対してライバル視していましたが、今では協業していかなければ他の金融機関とのサービスの差別化から取り残されてしまうため、業務提携や買収等が非常に激しく繰り広げられています。私たちもこうした新たなプレイヤーの登場、サービスの提供等、外部環境の変化を把握していくことが求められます。
また金融機関では、老朽化したレガシーシステムになかなか手を付けられずそのまま使い続けているケースが少なくありません。そういった古いシステムが足かせとなり、先ほど話したような新しいプレイヤーとのシステム連携に時間がかかり、スピード感ある対応ができないという課題を抱えているお客様は非常に多くいます。小手先の改善ではなく、レガシーシステムの刷新に向けて意思決定されるお客様が増えていますが、その際に重要になるのは、安定性を求める領域とスピード感を求める領域とのすみ分けであり、かつリスクを考慮しつつクラウドやコンテナといった新たな技術要素を適切に使いこなせるかどうかであると考えます。
山本様
根田さんがおっしゃったように、異業種参入によって金融機関の競争が激しくなり、ますますスピード感をもってよりよいサービス提供が求められています。そうした中、これまで足かせとなっていたレガシーシステムから、クラウドを活用したシステムにトランスフォーメーションする動きが始まっています。
このシステムの変革と同時に必要なのが職員の働き方に対する意識変革です。少し前に業務効率化に向けてRPAやAIの導入が話題となりましたが、RPAやAIを使いこなすのはなかなか難しいことではあります。しかし、テクノロジーを使って業務を改善するために、今まで積み重なってきた非効率的な業務に目を向けて、見直していこうとする気持ちがでてくることがまず第1歩として必要であると思います。
岩田様
異業種参入による金融機関の競争激化に対して、既存の金融機関のお客様は多くの投資をしながら変革をしようという覚悟も感じています。レガシーシステムの刷新だけでなく、新たな取り組みによる成長戦略や消費者の行動変化/ニーズへの対応も求められていく中で、業務改革/システムの刷新などを行い、よりビジネスへの貢献度の高い仕組みを構築していく必要があると思います。
長谷部
マーケットの状況の変化を受けた取り組みが社内でも行われているのでしょうか。
山本様
横断的に他チームと連携してサービスを提供しています。いわゆるX-LoS(Cross Line Services)ですね。例えば、金融領域における大規模システム更改では「クラウド」や「データ連携基盤」がキーワードになるため、テクノロジーコンサルティングチームと連携し提案の体制を組んでいます。具体的にはFS-Technologyチームが金融機関全体のシステム・ITを把握し、個別のテクノロジーの知見に対してはテクノロジーコンサルティングチームが担当するなど、部門や部署の垣根を越えた取り組みを行っています。
欧米金融機関の先端テクノロジー活用事例など、一歩先のナレッジが手に入りやすいのもPwCの強み
長谷部
御チームがクライアントから選ばれる理由についてお聞きしてもよろしいでしょうか。
根田様
グローバルネットワークを有しているところだと思います。例えば、先ほど山本さんがおっしゃった通り、お客様のレガシーシステムを刷新するにあたって私たちは、システムだけでなくお客様の将来ビジネスの変化など、全体を俯瞰して方針を定める必要があります。そのためには海外も含めた金融規制の変化、先進テクノロジーの活用動向など、お客様の適切な意思決定に貢献できるよう幅広いネットワークで情報を集めていかなければなりません。
長谷部
つまりグローバルネットワークのナレッジやノウハウの共有をお客様は期待されていらっしゃるのでしょうか。
根田様
そうですね。とくにメガバンクなどは規模で見た場合、国内で参考にできる銀行が限られるため、必ず海外ではどうなっているのか気にされます。それは私たちに対して期待されているところです。
実際に欧州、米国ではグローバル大手金融機関にもPwCは幅広く監査・コンサルとしてサービスを提供しています。特に先進テクノロジーの多くは欧米から活用が始まりますが、その先陣となるお客様をクライアントとして抑えています。その知見なども用いて、先んじてアドバイザリー・コンサルティングサービスを提供できるところが、私たちの強みであると考えます。
長谷部
グローバル拠点とは実際どのように連携を取られているのでしょうか。
根田様
まず、日本も含めて各拠点で領域ごとにSMEが設けられており、直接問い合わせることが可能なネットワークが設けられています。さらにPwCではグローバルモビリティという海外拠点に出向する制度やプロジェクト単位でのショートタームアサインメントなどもあり、2019年4月の時点ではチーム内で10数名の方が海外駐在しています。また現在在籍しているコンサルタントのうち、海外経験者は2~3割近くいて、入社2年目のアソシエイトクラスも駐在経験があるなど積極的に制度を活用しています。
こうして海外拠点と交流を深めるメンバーもチーム内に多く在籍しており、そういったメンバーの紹介で海外メンバーファームの有識者から最新情報を手に入れることも可能です。
長谷部
グローバルネットワークを持ち、自由度高く連携しているところが強みだと感じました。最後にPwCコンサルティングへの入社を検討中の方にメッセージをお願いします。
岩田様
PwCは世界156カ国に及ぶグローバルネットワークを持っています。先ほどの話にもでましたが、海外のPwCメンバーとのやり取りも活発で、現地の文化や状況を把握しやすい環境です。マーケットをリードするような先進事例をグローバルで情報共有していることは、まさに差別化となるPwCの強みの1つと思っています。
根田様
当チームは多くの大手金融機関のお客様に対し「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というPwC共通のPurpose(存在意義)のもとで、寄り添ったサポートを心掛けています。蓄積した知見は多く、それを最大限活かせるのも当社の強みでしょう。
山本様
FSーTechnologyチームは、現場のお客様の声を聞きながら、テクノロジーを活用してコンサルティングサービスを提供しているチームです。システムだけでなく人に向き合う業務にご興味のある方はぜひ当チームに来ていただきたいですね。