PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)のHIA(Health Industries Advisory)チームは、ヘルスケア業界を中心に、戦略策定からDX、SCM再編、サイバーセキュリティ、営業改革まであらゆる課題解決を目指す組織です。
今回は、HIAに所属されているディレクター 増井郷介様、シニアマネージャー 小濱奈美様より、ご経歴やHIAチームの特徴、今後の方針などについてお聞きしました。
ディレクター 増井郷介様、シニアマネージャー 小濱奈美様のご経歴
長谷部
まずは、お二方のご経歴からお伺いします。増井様お願いします。
増井様
私はもともと食品会社でSEとして3年間、次に営業を2年間経験してから、国内でMBAを取得して、病院の経営改善を専門とするコンサルティングファームに入社しました。しかしもっと大規模な案件や、病院以外のヘルスケア領域にもチャレンジしたいと考え転職活動をしていたんです。
そこでたまたま知り合いから「PwCコンサルティングが今、ヘルスケア領域に力を入れている」と教えてもらって。それをきっかけに興味を抱き、2015年にPwCコンサルティングに入社しました。
小濱様
私は新卒で外資系コンサルティングファームに入社し、病院や官公庁をクライアントとするチームで約3年間経験を積みました。その後、もっとグローバルな事業会社向けの仕事がしたいと考えていたところ、大学時代の先輩からPwCコンサルティングの話を聞いたのをきっかけに転職を決めました。 PwCコンサルティングに入社した当初は、テクノロジーコンサルティングに所属して、さまざまな業界のサイバーセキュリティやデータプライバシーなどに約5年間携わりました。しかし、もともと大学時代から興味のあったヘルスケア領域に携わりたいと考え、約3年前にHIAチームへ異動し今に至ります。
長谷部
増井様はPwCコンサルティングに入社後、どのような案件に携わってきましたか?
増井様
もともと希望していた大規模な病院の案件をはじめ、医療材料卸のBPRや新しいソリューションの開発、製薬会社のデータガバナンスの構築など、分野を問わず幅広くチャレンジさせていただいています。
長谷部
小濱様はHIAチームで、現在どのような案件に携わっていますか?
小濱様
テクノロジーコンサルティング部門での経験を生かしてHIAにおけるサイバーセキュリティ領域の営業・デリバリー活動をリードしつつ、製薬企業や医療機器メーカー向けのコマーシャル領域やメディカルアフェアーズ領域の仕事にも携わっています。
ヘルスケア領域(製薬・病院・医療メーカー)をOneチームでリードするHIA
長谷部
続いて、HIAチームの役割やミッションを教えてください。
増井様
HIAは製薬・医療機器メーカー・医療機関をメインターゲットとして、ヘルスケア業界の変革に貢献することをミッションとしています。
現在のクライアントは製薬企業が案件全体の多くを占めていますが、最近は他業種の企業からも「ヘルスケア分野に新規参入したい」という相談をいただくことが増えており、そういったクライアントの支援も私たちのミッションとなっています。
また、多彩なポートフォリオも特徴的です。戦略策定といった上流案件はもちろん、業務改革や組織改革、サイバーセキュリティやリスクマネジメントなど、ヘルスケア領域の戦略から業務・ITまで幅広く関わっています。
長谷部
「ヘルスケアのあり方を変えていきたい」という候補者が、最初に想起するのが戦略系コンサルティングファームであるケースが多い印象です。HIAの業務の面白さについて教えていただけますか?
増井様
ヘルスケア業界では、国の方針は戦略からではなく現場から上がってくることも多いです。例えば新たな保険点数が付く場合、先行して取り組んでいる医療現場を厚生労働省が視察をして、優れていると判断されたものが国の方針として全国に広がります。つまり私たちが現場のオペレーション改善の支援をすることで、それが国の方針となれば大きな絵を描くことができます。つまり、何かの原点につながる業務ができるところにHIAの仕事の面白さがあると思います。
また私たちはPwCのメンバーであるStrategy&と連携し、製薬企業の事業戦略やIT戦略策定の上流から関わったり、パブリック部門(公共・官公コンサルタント)と連携して厚労省の調査案件やガイドライン策定案件にも積極的に関わったりしています。
長谷部
他のインダストリーチームと協業してプロジェクトを進めたり、デリバリーをしたりするのはPwCならではの特徴ですね。
増井様
そうですね。私が担当するプロジェクトの半分は、他の部門や監査法人をはじめとするPwC Japanグループのメンバーファームとの連携で進めています。HIAチームでは、それぞれのバックグラウンドを活かし、他と協業しながら新たなバリューを作っていくケースが多いと思います。
ヘルスケアビジネスでは、従来に比べてプレイヤー間の垣根が取り払われつつあるため、さまざまな局面で業種を超えた広範囲にまたがる横断的なテーマに取り組むニーズがあります。そういった取り組みを支援する際には、自然とコラボレーションが産まれ、これがまさにPwCの強みだと感じます。
長谷部
小濱様は、前職のコンサルティングファームと比べて何か違いを感じますか?
小濱様
グローバル案件や部門をまたいだプロジェクトが多いと思います。現在もPwC USとともに推進している案件が複数ありますが、チームを超えてコラボレーションする機会が多いため、より幅広いケーパビリティを携えてお客様の支援ができる点は強みだと感じています。
案件ごとに違いはありますが、海外のメンバーとOneチームとなって取り組むことも多いです。頻繁にタッチポイントを設けてディスカッションをしながら、リアルタイムで作業を共有しプロジェクトを推進していきます。コロナ禍でオンラインでの働き方が主となった今は、国内の案件と同じ感覚で仕事を進めています。
長谷部
そういった御社の制度やカルチャーが、グローバルとの連携や国内のX-LoS(Cross Line of Services)の体制につながっているということですね。
COVID-19やDXを背景に、新しい価値創造をテーマにした案件が増えている
長谷部
直近のトレンド案件を教えていただけますか?
増井様
大きく2つあります。1つはデータを活用した企業価値の向上です。製薬企業では創薬開発に向けて、今まで蓄積してきたデータをどのように活用したらいいか、またそのためにどのようなルールが必要か、といった相談が増えています。データの利活用以外にも、ESG関連の取り組みなど、将来に向けた企業価値向上の話は常にご相談があります。
もう1つは、COVID-19関連の案件です。例えば、COVID-19のワクチン配布により、新しいオペレーション対応が必要になった自治体から相談を受け、全体設計や計画策定の支援や、関係したビジネスモデル変革の検討、新しいワークスタイルの検討などの相談もきています。
小濱様
DXもキーワードですね。今はどの企業でも積極的にDXを推進しています。これまでは創薬、モノ(医療機器)作りに専念されていたお客様が、患者向けアプリの開発など、データやテクノロジーを活用した新たなビジネスモデルを展開する事例が増えています。ヘルスケアは元々情報管理などの規制が厳しい業界ではありますが、そういったビジネスモデルの変化を受け、改めてデータプライバシーやサイバーセキュリティによる守りを意識されるお客様も増えています。
長谷部
COVID-19やDXを背景に業界が大きく変わってきたということですね。
増井様
そうですね。以前よりも新しいことにトライしようという空気は強くなっています。他にも患者向けのペイシェント・サポート・プログラム(PSP)や病院向けのロボット開発などの相談も増えています。
長谷部
戦略からマーケティング、オペレーション、システム、ESGと幅広く手掛けられている中で、どの領域が案件として多いのですか?
増井様
私たちは製薬企業に入り込んで、困りごとすべてを解決していきますので、企業によってさまざまです。ですから、特に多い領域という点に関してあまり実感はありません。
長谷部
逆に、HIAチームで手掛けていない領域はありますか?
増井様
直接的なシステム開発やデータアナリティクス、などは、他のチームに協力をお願いすることが多いと思います。小濱さんはどうですか?
小濱様
私は今、コマーシャル領域のデータアナリティクスに関する案件を担当していますが、HIA外の専門性が必要な部分は関係部門からサポートを得ながら実施します。HIAとして手を出さない領域等を定めず、他部門とのコラボレーションをしながら進めていますね。
長谷部
X-LoSによって、お客様の多様化された課題を解決できるということが、結果としてPwCコンサルティングが選ばれる要因につながっているのですね。
増井様
まさにその通りだと思います。最近の課題は10年前と比べて複雑化しており、それを解決するためには1つの専門性だけでは戦えなくなっています。例えばデータ活用の案件でも、法律やセキュリティのアドバイザーにサポートしてもらいながら解決することが当たり前になっています。それができるのがPwCコンサルティングの強みですね。
業界課題を包括的に解決するため、先進的なテクノロジーを取り入れながらサービスラインを拡大
長谷部
マーケットが変化していく中で、チームとしてのビジョンや今後の方向性を教えていただけますか?
増井様
HIAチームでは、これまで全社改革やマーケティングの戦略領域がメインでしたが、現在は業界課題をより包括的に解決するためにOperation/Finance/ITといった領域までサービスラインを拡大しつつあります。
最近はヘルスケアに関するプラットフォームビジネスにも力を入れており、自社プラットフォームの提供も始めました。
このように今は、新しいサービスの仕組み作りやビジネス展開など、自社でビジネスを創造していくフェーズになっています。
長谷部
今、チーム全体のお話をしていただきましたが、個人的な視点でのビジョンを伺ってもよろしいでしょうか。
増井様
子どもたちに負債を残さないことですね。少子高齢化の中でも回る社会基盤を構築していかなければなりません。特に医療の世界では、医療者側に負担がかかり続けています。DXなどを取り入れながら、効率的かつ省エネで医療が回る世界を作っていきたい。それが私の目指す世界です。
長谷部
小濱様はどのようなビジョンをお持ちですか?
小濱様
病気や障害のある方でも、よりよく暮らせる社会であってほしいという願いは大学時代から変わりません。私たちができることはそれに向けての小さな1歩に過ぎませんが、その1歩を積み重ねながら社会に貢献したいと思っています。
何か1つでも専門性のある方であれば強みを発揮しやすい環境
長谷部
現在、HIAチームではどのようなバックグラウンドをお持ちの方が在籍していますか?
増井様
チーム全体で90人弱のうち、50%がコンサル経験者です。残りの50%がコンサル未経験者になります。バックグランドは製薬企業出身者、医療関係者、ドクター、食品メーカーとさまざまです。
男女比は、男性が6割、女性が4割となり、この業界では比較的女性が多いと思います。中国や台湾などから来られた外国籍の方もいます。
長谷部
タイトルやスキル面ではどういった人材を求めていますか?
増井様
マーケットを見てもCOVID-19によるインパクトはなく、むしろ組織は拡大・成長中です。そのためあらゆるタイトルの採用を積極的に行っていますが、特にマネージャークラスを求めています。
スキル面でいうと、例えば製薬企業においてはセールスやメディカル・アフェアーズ(MA)などいろいろな業務軸がありますので、その中で何か1つでも専門性のある方であれば強みを発揮しやすい環境です。
長谷部
お2人はどういった方に来てもらいたいと思いますか?
増井様
ヘルスケア業界全体をよくしたいという気持ちの方に来ていただきたいです。ヘルスケア業界においては、少子高齢化や社会保障費など課題が多く、また、さまざまなテクノロジーが出てくる中で、各企業にとってもこれからのあり方を考えていかなければならない局面に立っています。ヘルスケア全体を俯瞰して底上げしたいという方であれば、いろんなことに挑戦できる土壌があり、入社後もやりがいを感じて楽しんでいただけると思います。
小濱様
私は積極性のある方に来ていただきたいです。ヘルスケアに対して明確なビジョンがなくても、自分がやりたいことや、もっとこうしたらよくなるなど、意見を発信していただければ、お客様にとってもメリットですし、チームとしても楽しく一緒に働いていけると思います。
「やりたいこと」が実現でき、入社後のサポート体制も充実
長谷部
御社で働くメリットや御チームだからこそできるやりがいを教えてください。
小濱様
自由度が高く、かつ与えられる裁量も大きいためやりがいを感じています。また、私は自ら「こういう案件をやりたい」と今まで伝えてきたのですが、そういった声にもきちんと耳を傾け、なるべく希望に沿ったアサイメントになるよう配慮していただきました。もちろんやるからには責任が伴いますが、たとえ困難に直面しても、組織としてしっかりサポートをしてくれますので成長できる環境に感謝しています。
長谷部
自由と裁量がある一方で責任も伴い、かつ組織としてもそれを支援するカルチャーや仕組みがあるということですね。
増井様
そうですね。新しいことにチャレンジしやすい環境だと思います。そこで自分に足りないスキルがあれば、知見のある方につないでもらったり、上司に掛け合ってもらったりと、周りのサポートが充実しているのがHIAチームの良いところだと思います。
またコラボレーションをしながら課題を解決していきたい方にとってもすごくいい環境です。タイトルを問わずフラットに議論ができますし、わからないことはその領域に専門的な知見を持っている方が快く相談に乗ってくれます。
長谷部
チームの雰囲気を教えてください。
小濱様
HIAチームは、和気藹々とした雰囲気です。チームに長く在籍している人も多く、そこに新しいメンバーが加わって、個性豊かなメンバーが多いと思います。
長谷部
オンボーディングではどのような取り組みを行っていますか?
増井様
全社的には、入社後に1カ月ほど研修があります。HIAチームでは、金曜日の午後に自己研鑽の時間としてFriday Investmentという勉強会を開いています。この業界ではニッチな知識も求められるため、事例を共有し知見を身に付けるようにしています。
プロジェクトの進め方は、プロジェクトマネージャーごとに異なりますが、毎日1時間ずつタッチポイントを設けたり、あるいは在宅勤務でも一定時間オンライン状態にしていつでも話せる環境を作ったりするなど、コミュニケーションの時間を多く取っています。
小濱様
他にもHIAチームではオンボーディングキットが配布されます。キット内には、チームでよく使う資料の格納先リストに加え、メンバーの得意領域や趣味、大事にしていることなどをまとめた「人となりリスト」が入っており、事前にチームの雰囲気が感じられるようになっています。
またチーム内でランダムにメンバーを集め、不定期にグループセッションを開催し、今まで知らなかったメンバーと知り合う場も作っています。
増井様
あとはウェルカムランチもありますね。入社したメンバーを囲むランチを開いてお話をする機会を設けています。
小濱様
週1回の朝のカフェタイムもあります。時間内であれば自由に出入りできるようになっています。最初は抵抗があるかもしれませんが、みんなフレンドリーなので横のつながりができると思います。
長谷部
コミュニケーションを大切にしているのが伝わってきます。
増井様
HIAチームは所帯が大きくないので、コミュニケーションは他のグループと比べて活発に行っているかもしれませんね。