今回は、調達・SCMさらにバックオフィスなどを含めた全てのオペレーション改革を手掛けるPwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)Operations Transformationチームへのインタビュー。
同チームを率いるリードパートナーの田中大海様にチームの強み、直近増加傾向にある案件やマーケットの状況、今後の展望や今求める人物像などについてお聞きしました。
- 目次
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- PwCコンサルティング Operations Transformation リードパートナー 田中大海様のご経歴
- 「サプライチェ-ンだけでなくバックオフィスを含めたすべてのオペレーション改革を1つのチームでカバーしている」
- コロナ禍によりサプライチェーンの前提条件が変化したため、直近はサプライチェーン全体の最適化や戦略策定案件が増加している
- 全体をOne Teamでカバーしているため、調達から販売までサプライチェーンのあらゆる領域に専門性が持てる
- 200名規模の組織へ、サプライチェーン領域で国内最大規模のチームを目指す
- マネージャー、シニアアソシエイトクラスかつ「アウトプットの意識が高い方」を積極的採用中
- PwCコンサルティング合同会社 求人情報
PwCコンサルティング Operations Transformation リードパートナー 田中大海様のご経歴
長谷部
これまでのご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。
田中様
大学卒業後、大手家電メーカーで購買や生産業務を行い、国内工場の需給サプライチェーン全体のコントロールを経験したのち、情報システム部門で社内のコンサルティング業務に従事しました。
もともとコンサルタント志望であったため、2001年に転職し、大手コンサルティングファームやM&Aアドバイザリーファームを経て今に至ります。
コンサルティングに携わってからは主にSCM領域が6割強を占め、残り3割は新規事業や中期経営計画立案のサポート、拠点統廃合のプランニング、管理会計のシステム作りや業務フローのサポートなどを行ってきました。
長谷部
ありがとうございます。いろいろなご経験をされていらっしゃいますが、PwCコンサルティングに転職された理由についてお聞かせください。
田中様
理由は2つあり、1つはPwCの考え方です。PwCが掲げる「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というPurpose(存在意義)を目にした時、決して“きれいごと”だとは思いませんでした。信頼を得るためには難しいことにもトライをしていくのだ、というPwCの考え方が深く刺さりました。
また、PwCコンサルティングがサプライチェーン領域を強化していくという話を聞いたため、それであれば自分のこれまでの経験を生かせるのではないかと思い入社を決めました。
「サプライチェ-ンだけでなくバックオフィスを含めたすべてのオペレーション改革を1つのチームでカバーしている」
長谷部
続きまして、オペレーションズの特徴についてお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。
田中様
オペレーションズは、全体的な戦略領域から実際にビジネス効果創出までを支援するチームです。クライアントのビジネスモデル全体の最適化を担い、企業収益のパフォーマンスを最大化させるため、サプライチェ-ンだけでなくバックオフィスを含めた全てのオペレーション改革が対象となります。
当チームの特徴は3つ。1つ目は、サプライチェーン(製品開発・調達・生産・在庫管理・物流・販売・需給・DX・間接材購買のコストダウン)を部門の垣根を超えたチーム体制、つまりOne Teamで運営しているため、あらゆる領域の経験ができることです。通常のオペレーションコンサルでは領域ごとに組織が分かれていますが、私たちはサプライチェーン内でさまざまなキャリアが描けます。
2つ目は、特定の業界ではなく全業界が対象であることです。私たちはサプライチェーンの改革ではなく、サプライチェーン全体に関わるオペレーション改革を行っているため業界は限定しておりません。また国内の他法人とグループ連携することでリソースの最適な配置が可能です。
3つ目は、グローバル連携です。PwCは海外のメンバーファームと資本関係がないため対等な立場で連携ができます。
この3つがオペレーションズの特徴かと思います。
長谷部
ありがとうございます。サプライチェーン領域においてはOne Teamの組織体制で運営されているのが印象的ですね。
田中様
そうですね。例えばお客さまから「販売に問題があって在庫が増えて大変です」といった相談を受け調べてみた結果、実は販売ではなく生産や調達から課題が見つかった、といったことはサプライチェーンの中ではよく起こります。その場合、専門部署に相談が入るケースが多いものの、領域ごとに壁があるとスピーディーな対応ができません。
ところが、私たちのようにOne Teamの体制であれば、サプライチェーン内のどこかに構造的な問題がある場合、前後の行程を含めて改革に着手できるのでスピード感を持った対応が可能です。
また、私たちはサプライチェーン全体をカバーしているからこそ、本当にクライアントの課題に合ったものをカスタマイズしてサービス提供します。「自分たちが正しいベストプラクティスです」と押し切ることなく、クライアントに寄り添い対応をすることは、私たちのプラスの特徴だと思います。
コロナ禍によりサプライチェーンの前提条件が変化したため、直近はサプライチェーン全体の最適化や戦略策定案件が増加している
長谷部
最近はどのような依頼をクライアントから受けることが多いでしょうか。
田中様
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延しはじめた当初は、「コストダウンを図りたい」「効率を上げたい」「機会損失を防ぎたい」といったご相談が主流でしたが、最近では、COVID-19の影響により前提条件が大きく変わってしまったので、「もう1回全部アセスメントしてもらいたい」「全体を俯瞰して改めて見直したい」というニーズが一気に出ています。グローバルで「グレート・リセット」と呼ばれている流れです。
端的に言うと、COVID-19の影響により個別領域の改善ではなく、サプライチェーン全体の最適化や戦略策定といった上流案件が増加傾向にあります。
特に、IoTやAIを組み合わせた生産計画の最適化やデジタルを活用したSCMプラットフォームの構築などデジタルトランスフォーメーションの推進や、グローバル規模でのサプライチェーンの見直しの機運が高まっています。目新しいところで申し上げると、「Tax×SCM」や「Sustainability×SCM」の加速感が強いです。
全体をOne Teamでカバーしているため、調達から販売までサプライチェーンのあらゆる領域に専門性が持てる
長谷部
サプライチェーン全体を変えていくような大規模な案件に取り組んでいきたい方にとっても、今は多様なプロジェクトが経験できるタイミングということですね。
田中様
そうですね。
先日、オペレーションズチームに入社された方から、「PwCコンサルティングはキャリアプランが作りやすい」という話をいただきました。例えばチーム内で調達から販売まで順に2年ずつ携わっていく場合、10年で5つの専門性が身に付きます。もちろんプロジェクトアサインもそれに合わせて調整を行っていきますので、「キャリアプランを描きやすいからPwCコンサルティングを選びました」と言う方も少なくありません。
長谷部
素人目線からするとサプライチェーンの領域においてはOne Team体制の方がクライアントにとっても人材育成にとっても最適だと思うのですが、なぜ領域ごとにサイロ化しているファームが多いのでしょうか。
田中様
例えば調達なら調達に絞る方がソリューションは作りやすく、物流なら物流に振り切った方が売りやすい。コンサルタント個人にとっても学びやすいといった理由があります。さらに、ファームによってはお互いの領域を守る傾向が強い場合もあります。そのため、1つのチームで動くということはそう簡単なことではないと感じます。
長谷部
具体的にどのようにチーム運営をされているのでしょうか。
田中様
2段で考えていただくとすごくわかりやすいと思います。 1つはアサインですね。実際にどのプロジェクトにメンバーをアサインするのか、週1回アサイン会議を開きサプライチェーンを横断的に携われるように配慮しています。
そしてもう1つはケイパビリティの考え方。各メンバーの現時点のナレッジと将来のキャリアイメージを足すことが目的です。
もしも販売のスキルのある方が調達のところに来て勉強を始めた場合、調達にいるからといって調達のプロジェクトに入るのではなくて、調達のプロジェクトか販売のプロジェクトかを選んでもらいます。「調達のスキルがまだないので販売にします」「チャレンジするので調達にします」など、本人の意思を聞いた上で最終的にはアサイン会議で判断をします。
長谷部
2段で構えているからこそ、サプライチェーンの領域の中をスムーズに移動が可能になるのですね。
200名規模の組織へ、サプライチェーン領域で国内最大規模のチームを目指す
長谷部
今後組織のチームをどのような形にしていきたいとお考えでしょうか。
田中様
サプライチェーン領域で国内ナンバー1のチームを目指しています。チームとしては現在130名の組織ですが、早い段階で200名規模の組織にしていきたいと考えています。また寄稿などを行うことで、「サプライチェーンだったらPwCコンサルティング」というイメージを上げていきたいと思います。
長谷部
ありがとうございます。現在チームが抱える課題感を教えていただけますか。
田中様
課題としては3つあります。1つは組織内の人材をもっと混ぜ合わせること。オペレーションズではビジネスもITも上流からの構築もすべてカバーをしなければなりません。チーム内は主にコンサルティングファーム出身者、事業会社出身者、SI出身者のメンバーで構成されていますが、今はまだその3つの軸に偏りがあります。3つの軸を混ぜ合わせながら、さらなるレベルアップを目指していきます。
2つ目は、組織拡大に必要不可欠なコーチング力を伸ばしていくこと。メンバーのスキルを引き出し、人材を育てていくためにはこの力が必要不可欠です。全体でコーチング力の向上を図りたいと考えています。
3つ目は、先ほども申したように世間の中で「サプライチェーンであればPwCコンサルティング」という認知度を上げていくこと。PwCとしての歴史は100年を超えていますが、オペレーションズとしてはまだまだ成長途中です。どんな困難があっても打つ手を変えながらどんどん変化をしていきたいと思います。
マネージャー、シニアアソシエイトクラスかつ「アウトプットの意識が高い方」を積極的採用中
長谷部
求める人物像について教えてください。
田中様
優先度ではマネージャークラスの方です。コンサルやサプライチェーンに思いがあり、PwCコンサルティングで幅を広げて世の中に貢献をしていきたいという方を求めています。その次はシニアアソシエイト(SA)の方。いずれマネージャークラスになってコンサルビジネスをドライブするぞという視座の高い人に来ていただけるとうれしいですね。
具体的には、IT経験は問わず総合系ファームでSCM案件経験された方、戦略系ファームの方、SAP・Slerの経験をされた方、事業会社でSCM系の経験がある方をターゲットとしています。
長谷部
御社のカルチャーにフィットする方や田中様の思いに共感する方を求めていらっしゃるかと思いますが、その中でここは外せないというのがあれば教えていただけますか。
田中様
アウトプットの意識が高い人ですね。どうしても学ぼうという意識が強すぎるとインプットの方が増えてしまいます。私たちはお客様に対してドライブをしていかなければなりません。どんどんアウトプットしていく人はどんどん学ぶようになり、一方、インプット重視の人はだんだん学ばないようになっていくと感じることがあります。特に今はリモートが加速していますので、周りとの差別化を図るためにもアウトプット意識を高く持って、前に出て発言し、独自の光を放ってどこにいても見つけられるような存在になってほしいと思います。
長谷部
最後に、メッセージをお願いします。
田中様
PwCが持つブランド力は特別です。自分から広げていけばネットワークは無限大に広がっていきますので、ぜひ当社のすごさを体験して欲しいと思います。
またPwCコンサルティングのオペレーションズでは、サステナビリティやSDGsなどソーシャルインパクトな要素をどんどん取り入れています。先見性を持って業界を牽引する1人として活躍したい方、ぜひお待ちしています。