今回は、2018年7月、PwCコンサルティング合同会社に新設されたTransformation Strategy(TS)チームのパートナーである輪島総介様、井上貴之様、武藤隆是様にお話を伺いました。同チームの設立の背景やパートナー陣のご経歴や入社理由を交えながら、現在進行中の取り組みや今後の構想、求める人材などについて、アクシスコンサルティングの長谷部、久保、山尾がお聞きしました。この記事は2019年9月時点のものです。
TSの設立目的は「将来をつくる」トランスフォーメーションの実行
長谷部
TSチームが新設された背景について教えていただけますでしょうか。
輪島様
TSとはTransformation Strategyのことで、具体的なビジネス成果を見据えた戦略ニーズが高まってきていることを背景に、クライアントに戦略を描くだけでなく、戦略から実行まで一貫したサービスの価値の最大化を目指すチームです。
まだ40人ぐらいの組織ですが、戦略・構想フェーズからプロダクトにするまでの幅広いケイパビリティを持つメンバーの経験やスキルを組み合わせることで、クライアントのビジネスモデルやオペレーションモデルの変革、トランスフォーメーションのリーダーシップを取っていきたいと思っています。
長谷部
以前、輪島様から社会変革や新しいビジネスを生み出すには従来のファクトベースのコンサルとは違った取り組みが必要という課題感についてお話いただいたと思います。そのような現状を踏まえ、今回のチームが設立されたということでしょうか。
輪島様
そのとおりです。後述しますが、私は戦略コンサルタントを17年間やってきて、既存のコンサルティングスキルだけではちょっと古いのではないかと考えるようになりました。従来のコンサルティングというのはファクトを積み上げ、論理的思考でお客様にコンサルテーションするというものですよね。ただ「ファクト」とは過去、もしくは現在のことですが、私たちがつくりたいのは将来なので、まずそこにギャップがあります。
将来は誰も分からない中で、クリエイティビティや発想力といった、右脳的な柔らかさもアプローチとして必要だと思います。そういったものはアートの世界のものと理解されてしまうのですが、この柔らかさは実はビジネスの世界でもすごく大事なのです。ということで、従来の戦略コンサルティングのスキルだけでもなく、オペレーションコンサルティングのスキルだけでもない、クリエイティビティやインサイトなど全て集約した上でお客様とハンズオンで変革の道を歩んでいく、そういうコンサルティングスタイルをやりたいと思いました。このような新しいスタイルのコンサルティングを目指すため、TSチームが作られました。
今まで車だったものがロボットになったり、ロボットが車になったり、これがトランスフォーメーションだと思うんですよね。企業で言えば、まさにデジタルなどを活用して、これからの時代に合ったビジネスやビジネスモデルに変化させるというトランスフォーメーションが求められています。
あたかも自分自身が新しい事業者になったかのようにお客様の中に入り込みながら、ストラテジックな洞察力で自らもトライをしていくというハンズオン型での改革、そういった考えのもと、私たちチームにはいろいろなメンバーがそろっています。ファクトベースでロジックツリーを積み上げるのが得意なメンバー、武藤のようにクリエイティブ人材とも連携し新しい価値の創出にトライするのが得意なメンバー、そして構想をシステムや業務プロセスを通して、しっかりとした1つのビジネスとしての形に落とすのが得意なメンバーもいるのです。
TS パートナー陣のご経歴と入社背景
長谷部
あらためて、皆さまがPwCコンサルティングに入社し、TSに就いた理由をご経歴とともにお聞かせいただけますか。
輪島様
私は自動車メーカーで約7年間グローバル調達や調達企画の仕事をしてから、前職である大手総合コンサルティングファームに転職し約17年間勤めました。
もともと自動車メーカーで働いていたこともあって、製造業向けにサプライチェーンの改革を行うコンサルティングから始めました。その後、サプライチェーンも含めた経営コンサルティング本部が立ち上がったので、そこに転籍しました。
前職の経験を活かして、調達に関するコンサルティングサービスを自分で立ち上げるなど奮闘する中でパートナーにプロモーションし、その後はファーム内に新設された戦略本部に転籍しています。
ちょうどIoTやデジタルの流れがきたタイミングでしたので、戦略本部では、デジタルファクトリー事業やソリューションの立ち上げ、コネクテッドカーやEVも含めたシェアリングビジネス、そういった新規事業立ち上げを経験し、「このファームの中でコンサルタントとしてやりたいことは全てやった」と思えるキャリアを過ごしました。
そういった経験の中で、先ほど申したように、従来型のコンサルティングモデルだけではなく、「過去にないもの」をつくっていくことにトライする必要があると思い、PwCコンサルティングに入社しTSチームの立ち上げに関与しました。
輪島総介 様
長谷部
ありがとうございます。井上様はいかがでしょうか。
井上様
3年半ほど輸入車を扱う企業でマーケティングの仕事をし、その後ジェミニ・コンサルティング・ジャパン(現PwCコンサルティング)に転職しました。一貫して戦略系のチームに所属しています。
クライアントの多くは金融系で、統合プロセス(PMI)を含む全社変革や買収された生保を立ち上げるトランスフォーメーション案件を多く手掛けてきました。パートナーに昇格してからは、グローバルのトランスフォーメーション手法である「Fit for Growth」のリードとしても活動してきました。
今回TSチームに参加したのは、実際にプロジェクトを進める中で、戦略だけではなく、コスト削減が得意なチーム、人員組織系のチーム、システムに強いチームなど、さまざまなケイパビリティを全部組み合わせ、どうやって私たちの専門性を提供し、クライアントの最大価値を実現するかというプロジェクト組成が重要だと実感したからです。
そこで、自分がこの新しいチームの中でハブとなり、クライアントの戦略からエグゼキューションまでを実現するプラットフォームになりたいと思いました。
井上貴之 様
長谷部
ありがとうございます。武藤様はいかがでしょうか。
武藤様
私は大手ハイテク企業で5年ほど働き、その後、外資系コンサルティング会社等で10年以上のコンサルティング経験を経て、PwCコンサルティングにジョインしました。
私には大きく2つキャリアがあります。1つ目のキャリアはテレコムメディアハイテクです。いわゆるテクノロジー・メディア・テレコミュニケーション(TMT)領域のビジネスコンサルティングをやっていました。バックグラウンドがハイテク業界というのもあり、TMTではM&Aから事業戦略、IT構想、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)や新規事業まで、幅広くやっていました。
ちょうど2012、3年ぐらいですかね。当初デジタルシフトといえば、企業がウェブサイトやアプリケーションを作ってコミュニケーションをデジタルにしていくという文脈でしたが、世の中ではCIOだけではなくて、CMOや事業ラインのビジネスに関わる人たちがテクノロジーをどう活用してイノベーションしていくかという文脈でのデジタルシフトが起きていました。
そのような中、さまざまなファームがデジタル部隊を立ち上げていましたが、私のいたファームでは日本企業のデジタルチーム立ち上げプロジェクトを支援していました。
私のベースはハイテクメディアだったので、既にディスラプターたちが入ってきている中でどのように事業を生き残らせるかとか、ディスラプターたちとどう付き合っていくかという仕事が多かったですね。
あとはプラットフォーム戦略のような仕事です。その中で最初はウェブサイトとかデジタルマーケティングに閉じていた組織も段々と役割が大きくなってきて、企業そのものがデジタライゼーションにどう対応していくべきかという文脈がデジタルトランスフォーメーション(DX)のような単語の中で語られるようになりました。
2つ目は、その領域で仕事をしていこうと思い、前職場でデジタル専門の部署に正式に異動した後のキャリアですね。その部では、デジタライゼーションを背景としたメガトレンドにどうやってビジネスをアラインさせていくか、そのためにどういう組織を作り、どういう人たちを採用し育て、どういうカルチャーを作るかといった仕事をしていました。
いわゆる「●●デジタル」とか「イノベーション組織」とか「IoT推進室」とか、各企業のDXに関わる新しい取り組みを数多く支援してきましたね。
今回PwCコンサルティングのTSチームに移ったのは、デジタル時代に企業が抱える多様なニーズに応えられるチームで働きたいという思いからです。デジタルは最初のころ立ち上がったような特別なトピックスではなく経営の根幹に関わるアジェンダであって、そこに会社がフィットしていくことが日本企業における一番大きなアジェンダであると捉えています。
ただ、実際にはDXと言っても、デジタルに特化したチームだけで完結するというよりも、戦略から組織の組成、それを実現するプロセスやシステム、最終的にはカルチャーまでトータルでトランスフォーメーションする必要があります。個別の部門や事業が新しいことを考えるだけでなく、全社的なビジネスの構造を変えていくという幅広いトランスフォーメーションをやっていかないと、マーケットの変化スピードに合わなくなっているとも感じています。
武藤隆是 様
輪島様
端的に言えば、私たちはこれまであったものではなく、新しいビジネスや新しいエンタープライズを見いだしたいんですね。その中でも一番キートレンドになっているのが「デジタル」。もちろんデジタル以外にもサステナビリティとかSDGsとかいろいろあると思うのですが、そういうメガトレンドといわれる社会変革テーマの中でも新しいビジネスを生み出すチームを作りたかった、もしくは作ろうとしているのです。
本当に幸運なのは、今ここにいる3人の経験はコンサルティングファームの集合体なんですよね。ある意味、全英知が集まった状態だと思っています。私は大手総合コンサルティングファームの戦略本部、武藤さんはコンサルティングファームのデジタル、井上さんは経営戦略コンサルティング。まさにトランスフォーメーションするための戦略、エグゼキューションにおけるプロフェッショナルがそろった状態なのです。
他ファームとの違いは「トランスフォーメーション」をテーマにさまざまなケイパビリティを持ったメンバーが組織されていること
長谷部
そもそも他ファームが、今お話に出たようなバックキャスト思考でのサービス提供よりも、いまだにベストプラクティスの提供にとどまることが主流である理由をどうお考えですか。
輪島様
いわゆるトランスフォーメーションというテーマで機能をまとめた組織自体が少ないので、私たちのように、40人ぐらいでも多様なケイパビリティを持ったメンバーが1つに集まっている組織は少ないのではないでしょうか。他ファームでも同様のチャレンジをしているようですが、バックキャストをする組織、戦略を考える組織、システムを作る組織、デジタルツールが得意な組織、それぞれが大所帯のため、なかなか1つに集合させるのは簡単なことではありません。
もちろん、クライアントに対して、5年間かけてそれぞれの組織の機能を使う大規模なコンサルティングのメリットもありますが、そうではなく「まず、いったん頭の中でトランスフォーメーションを一周してみて、どんなことができるか考えたい」というようなクライアントに対しては、私たちのように、さまざまなスペシャリティを1カ所に集めたチームの方が費用面も含めて効率的でクライアントファーストなサービスが提供できると考えています。
山尾
例えば、皆さまも前職のファームでトランスフォーメーションに特化した組織がある方が効率的であると感じるケースもあったということでしょうか。
輪島様
そうですね。どうしても規模が大きいことで戦略に特化した組織がBPOやアウトソーシングを含めた提案を書くこともありました。ただ、デジタル化の進む中で、本来的には戦略チームと実行チームをつなぐデジタルのスペシャリストがクライアントニーズを正確につかみ、両チームとクライアントニーズのギャップを埋めていくことが求められると思いました。
クライアントへの提案時には「自分たちも一緒に戦うワークスタイル」を提案書に埋め込む
久保
対クライアントに対しては、従来のコンサルとプロジェクトの性質などの違いをどういった点でアピールしようとしていますか。
輪島様
できるだけクライアントの立場になって考え、ハンズオンで進めていく、自分たちもクライアントと一緒になって戦っていくワークスタイルを、提案書の段階で埋め込んでいく工夫をものすごくしています。
外部の評論家というよりは、クライアントの中で一緒に改革を進める仲間と見えるような工夫をする、そういうロールをクライアントとの間で分かち合って進めていくようなコンサルティングを提案しています。
武藤様
TSの働き方としてもっと推進したいと思っていることは、PwCの中にあるエッジの立ったサービスとの協業です。Business・eXperience・Technology(BXT)を融合したアプローチでデジタル時代の価値創造をサポートする“エクスペリエンスセンター”や事業におけるAI導入を検討している企業を支援する“AI Lab”を活用し、テクノロジーコンサルティング(TC)チームと言われるアドバンストテックをやっているチームも巻き込みながら業務を推進していきたいと思っています。またインダストリーでも非常に尖ったインサイトを持っているコンサルタントをトランスフォーメーションのフェーズによってアサインしていくなど考えています。
私たちがセンターにいながら、クライアントのトランスフォーメーションのステップやフェーズによってチーミングを変えていけるのは面白い働き方だと思っています。
いつも当社代表の足立が言っているのは、1つのクライアントに対して複数のパートナーでアプローチ、アタックしろということです。1人だけや、1つのチームだけで完結するコンサルは、結局そこでできることで終わってしまって真の変革にはつながらないので、協力をしなさいということですね。単にたこつぼで売り上げを上げているだけでは絶対に評価しない、基本コラボレーションしろと公言されているので、そういうコラボレーションカルチャーはすごく強いですね。
あと、アナリティクスとかリスクマネジメントなどコンサルティングと非常に親和性の高い機能が当社ではコンサルの中に内包されているので、例えば後になってデータサイエンストが必要となったときに比較的簡単にアサインできます。
山尾
候補者の方がPwCの面接が終わって帰ってくると、今仰っていただいた点が現職とは相当違うという感想を話されることがあります。
武藤様
確かに、PwCに転職した知人から「すごく仲が良い」という言葉をまず初めに聞いたことがありました。私も実際に入ってみて、パートナー同士の仲が良いと感じています。パートナーシップの中で、PwCのためになることをやろうとするモチベーションがあるのかなと思います。各法人、独立性を確立しつつ“One Team”、端的に言えば「全体感」を持っていますよね。PwCアセットがどんどん貯まる構造になっています。
井上様
構造的なこともありますが、会社自体の成長スピードが早いので、内部的にパイを取り合うよりも、伸びているところに対して、どうすれば任せてもらえるのかを一緒に考え・動くというようにと外向きに目が向いていると感じています。
また、自分たちだけでやれることは限られていますから、そうすると色々な人を連れて行ってあとでお返ししますといった実技的な面もあると思います。単純に仲が良いというのもありますが。
久保
今後、トランスフォーメーションというまだまだ未知の領域において、御社の中で多様な人とコラボレーションすることの強みについてもう少し詳しくお聞かせいただけますか。
輪島様
トランスフォーメーションというのは今日明日にできることではなく、3年とか5年かかる大きな作業だと思っています。そのアジェンダを組み立てて実行するに当たり、当然1つのチーム、もしくは1つのスキルに閉じた解決はあり得ないです。さまざまなスキルセットをクライアントに求められる順番で提供しなければいけないと考えた時に、タイムリーにそのスキルを内から引っ張ってこられるのは私たちのすごく大きな強みだと思います。
1つのチームの中にさまざまなスキルセットを持ったメンバーを500人ぐらい抱えた組織だと、そういうスキルをまとめて提供する必要性が生まれます。ただ、例えば、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を小規模で導入したいクライアントや、アナリティクスを小規模にやりたいクライアント、こういう要求に対してフレキシブルに戦っていく意味では、コラボレーションモデルでないと難しいと思います。
あと、当然世の中のトレンドもあってデジタル支援の需要はものすごく多いので、拾おうと思えばいくらでも案件は拾えるのですが、私たちは質の高い、「面白そうだ・社会的なインパクトが大きそうだ」と思える案件に絞っています。
設立から1年。CEO直下案件も複数走っている
長谷部
直近増えている案件や事例についてもお聞かせいただけますか。
輪島様
現在複数の案件が走っていています。従来のピュアなストラテジー案件、アナリティクスを使った業務変革に関わるデジタル化実行に関する案件、システムインテグレーション(SI)絡みの企業変革案件など。SI絡みの案件は、「企業のデジタル化」として捉え、「デジタルエンタープライズ化構想」という形で従来のシステムのリプレースや刷新というテーマに付加価値を与えた提案をしています。グローバル・国内案件の割合として見ると、6割はグローバル絡みの案件ですね。
さらに特筆したいのが、ストラテジー案件の中に巨大企業のCEO直下プロジェクトが複数含まれているということです。私は前職もストラテジー部隊でしたが、比較しても、今、非常に質の高いプロジェクトに出会えているなと感じています。それこそ週次で超大企業のCEOクラスの方と会社の将来についてディスカッションしています。
武藤様
案件としては、トランスフォーメーションの中でも、サービス化をしたいとか物売りからサービス志向に行きたい、またその前提としての顧客志向について調査したり、顧客をどう捉え直すかだったり、さらにそれを元にデータ基盤を作ってどのように社内でインナーループを回していくかというケースが挙げられます。既存ビジネスの効率化のみならず成長領域がターゲットになることが多く、その中でカスタマーエクスペリエンスを変えていきたいというお題が目立ちますね。
現在企業価値が高く評価されている企業にGAFA等が挙げられますが、広告やメディアのようにデジタルに閉じた分野におけるデジタライゼーションは既に過渡期です。一方で産業・社会インフラのデジタライゼーションという意味ではホワイトスペースがたくさんあり、その分野にも取り組んでいくことが今後は求められると思います。
井上様
私が戦略コンサル業界に入ったころ、インターネット革命で世の中の情報量が増え、よりファクトベースの思考が進んでいったように思います。クライアント側も豊富な情報から知見を高めていく中で自分たちの見える範囲でアジェンダを矮小(わいしょう)化させてどう意思決定していただくかといったコンサルが増えているところがありますが、あまり生産的ではないのではと思っています。本当にこれから変えないといけないアジェンダはいくらでもあるとクライアントも気付き始めているんですね。今の延長線上で論じるコンサルの手法が通用しないところに何を価値として提供しないといけないかに気付き実際に動き始めているのが私たちだと思っています。
「今までコンサルティングをやってきたけれど本当は自分でビジネスをやりたい」という方がフィットするチーム
長谷部
今までお話しいただいたマーケット状況や課題感の中で、どのようなご志向や経験をした方がTSチームでご活躍されるとお考えでしょうか。
輪島様
発想力と行動力を兼ね備え、今までコンサルティングをやってきたけれど「本当は自分でビジネスをやりたい」とか「ファンドに入ってビジネスをやりたい」とか、そういったエネルギーのある方が、私たちのチームでは活躍できると思います。
武藤様
先ほど「TSでは将来をつくる」とは言いましたが、実は新たに入ってくる方が高いクリエイティビティを持っている必要があるとは限らないです。
私のバックグラウンドとしてデジタル部門での経験があります。ここのデジタル部門にはクリエイティブチームとエンジニアチームが一緒になっていました。PwCには「BXT」といって、Business・eXperience・Technologyを兼ね備えたコンセプトがあります。私たちのトランスフォーメーションの中でもフレームワークが色々ありますが、BXTもそれを踏襲していて、グローバルのフレームワークや知見を活用しつつ、その中でクリエイティビティのある人やそういったバックグラウンドで仕事をしてきた人たちを巻き込んでプロジェクトをやろうとしています。
そういった背景もあり、もちろん戦略的なコンサルティングに対するアンビションは持っていていただきたいのですが、クリエイティビティを持った人たちとコラボレーションするという役割もこのチームには求められています。コンセプトを少しクリエイティブジャンプしたり、実際にものを作って試してみたり、顧客に直接聞いてみたりといった作業ができるエクスペリエンスセンターという機能もあるので、そのセクターとコラボレーションするような働き方も求められるかと思います。
長谷部
なるほど、入社される方に求めている志向性やスキルについて皆さまの考えをそれぞれ教えていただけますか。
井上様
一言でいうと、「Make It Happen」だと思います。インパクトを実践に残すということにコミットした方にぜひ来てほしいですね。コンサル業界の方とか成長意欲があるとか、キャリアに対する向上心があることは前提だと思うので、やはり実際に「Make It Happen」するところに強い関心と実績を持っている人に入社していただきたいなと思いますね。
武藤様
自分を成長させたい意欲でコンサル業界に入ろうとする方はたくさんいますが、成長するテーマに出会う機会がないという壁が結構コンサルの方のキャリアの実情としてはあると思っています。
そのような現実の中で、私たちのチームはクライアントのトランスフォーメーションを起こしながら、私たち自身も成長しトランスフォームすることをテーマにしているのです。
社会にも産業にも顧客にも自分にも、より成長とインパクトを残していきたいという気持ちがあるのです。
このような背景の中、今はチームに40人しかいないこともあり、各々に課せられる役割は大きいです。自分がトライしたいテーマとコンサルティングを通じて、社会にも、最終的には自分の成長にもつながるキャリアを必ず提供する約束ができると思います。
輪島様
私たちはもちろんコンサルティング業界の中にポジショニングしていますが、新しいビジネス、社会を創るための仕組みやビジネスモデルを生み出すというテーマに特化したチームです。そういうテーマにハンズオンでチャレンジしたい方にぜひ来てほしいです。
長谷部
キャリアの観点で、PwCのTSだからこそ得られる経験・キャリアパスについて教えていただけますか。
輪島様
戦略から実行まで担えるリソースを集めたのは、コンサルタントのキャリアモデルについて思うところがあったことも大きな理由です。
コンサル業界に入る方は「社会に貢献したい」といった考えを持っている方が多いように感じます。ただ、実際には経営コンサルティングをやりたいと思って入社しても、システムの構築から導入までを請け負うようなSIerチームに配属になりSIerサイドのキャリアから中々抜け出せないといったケースもあります。一方TSでは元々高い信念を持っていた方々が、本当に自分のキャリアを見つめながら、1つのチームの中で戦略のスキルも身に付けられるし、実行サイドのスキルも身に付けられる。このように自由なキャリアを作る箱は業界を見渡しても意外と少ないんですよね。
山尾
確かに、1つのチームで戦略から実行までハンズオンで手掛けるチームは殆どないですね。
輪島様
私たちのチームはコンサルティングインダストリーの縮図みたいなところがあって、SIerコンサル出身だけど戦略にもチャレンジしてきた人や、逆に実はここにいる井上自身は、戦略の道を歩んできたけど実行側の業務を学びたいといったキャリア志向もあるわけです。いわゆるキャリアアップだとかスキルビルディングも含めて、自身のキャリアもトランスフォームしていくためには、そういう面白い箱が必要だと思うのです。
新しいビジネスを作り出す時には、設計図を書くフェーズから、設計図を現実にするための実際の業務を進めていくフェーズまでをこなせるビジネスプロデューサーになることが大切だと思うのです。それができれば、もしかしたらコンサルティングファームで働いている必要はなくて、自分でベンチャー企業を立ち上げれば良いという発想につながると思います。
そういうビジネスプロデュースのスキルや胆力が身に付く。その助走期間を過ごせるチームにしたいと思っています。
私はコンサルティング業務だけでなく、それ以外の自分のキャリアについて考えることも楽しいことだと思っています。だから、例えばキャリアとして最後は起業したいとか、もしくは大企業から新しいビジネスモデルとしてスピンアウトした会社のCEOをやりたいとか。もちろん私たちが魅力的なベンチャー企業やビジネスにお金を投下するのも良いですが、自分自身でビジネスプロデューサーとして活躍したいという方のキャリアにとっても有益なチームになりたいです。むしろ私たちはビジネスプロデュースを率先して実践するチームですので、私たちのチームにいれば同様の経験が積めるようにチーム自体も成長させていきたいと思っています。
久保
これまで、多様なスキルセットがトランスフォーメーションにこそ必要だったりとか、従来のコンサルではない新しいコンサルをというお話しを伺いましたが、戦略コンサル、Big4、あとTier1企業の第一線で活躍されている方以外にも、例えばUI、UXデザイナーのようなケイパビリティの方だったり、起業を自分でしてバイアウトしているような方も採用のターゲットになるのでしょうか。
輪島様
実際にそういう経歴の方もチームにいます。AIにとても詳しい方や、起業でバイアウトしたことが3、4回ある方など、そういう方もチームにぜひ来て欲しいと思っています。ただ、スペシャリティが突出した方だけではチームが組めないので、そういうスペシャリティを持った方をまとめられるようなコンサルティングファーム出身の方も同時に求めています。
武藤様
そういう意味では、私たちのチームは、スペシャリティのある方たちともコラボレーションできて、アウトボックスの考え方ができ、そういうポテンシャルを持ってトライしたいという方が向いていると思います。前述のとおり、PwCにはAI Labやエクスペリエンスセンターという受け口もあるので、そこの人たちとコラボレーションするような動きも今後より求められてきますね。
長谷部
最後に、候補者の方にメッセージをお願いいたします。
輪島様
入り口としてコンサルティング業界に入ったけど、出口としては社会を変えたい、自分で事業を立ち上げたい、もしくはマーケットで成長している領域のベンチャー企業に入りたい、そういう成長意欲を持ったコンサルタントの方が一番のメインターゲットです。チームでは、自分自身が成長するとともに、チームもクライアントも一緒に成長へ導いてくれることを期待しています。
武藤様
トランスフォーメーションリーダーとしてマーケットに排出されていく人材をつくりたいと思っています。トランスフォーメーションというのは、新しい事業を作るでも良いですし、会社の成長を後押しするでも良い。色々なインパクトの出し方がありますが、ビジネスの変革においてリーダーシップを張れる人材を生み出したいと思っています。
井上様
コンサルティングファームで働く方は、本質的にクライアントにバリューを出すために合目的的であることが第一原則だと思っていますが、TSに入るメインターゲットの方たちは、色々な専門家がいるファームの中心にいて目利きになって欲しいと思っています。昔ながらの戦略ファームは自分自身がなんでもできるスーパージェネラリストが育つ世界ではありましたが、そうではなくて、むしろ、本当に意味のある価値を生み出せるように、目的のために必要な人材を選び出せるような目利きになってほしいと思います。
沢山の新卒の方と面接していると、「社会課題を解きたい」「将来的にこうしたい」など、そういうことを信念持って言う方が多いです。ところが、実際特に戦略チームに入ってみると「意外と違うな」と感じて、コンサルに見切りをつけて事業会社に行くキャリアパスがすごく多いと実感しました。
私たちのチームは、今まで身に付けたスキルを使って、もう一度違うやり方でチャレンジしてみて、本当にそのクライアントにインパクトを残そうとした上で見切りを付けようと思ってくれるような方に向いてると思います。
せっかく学生の時に一度は憧れを持ってコンサル業界に入ったのだから、チャレンジすることなく見切りを付けるのではなく、最後にもう一回トライして欲しいなと思います。そのチャレンジの場がTSチームにはあると思います。私も戦略チームからここに移る時にビジョンを聞いて「本当にこのチームはコンサルなのか?」と思いました、今までのコンサルティングビジネスを変えるチャレンジを一緒にしたい、このままではダメだという考え方ができる方に来ていただけると嬉しいですね。