クライアントの経営アジェンダの設定から解決まで一貫して支援することを目的に、PwCコンサルティング内の戦略チームが集まり新設された、X-Value & Strategy(XVS)チーム。
今回は、同チームのシニアマネージャー 小笠原充弥様、マネージャー 水野裕介様、シニアアソシエイト 金内莉帆様より、どのような想いを持って働かれているのか、そして組織のカルチャー、チームの特徴、求める人物像についてお聞きしました。
PwCコンサルティング XVSチーム 小笠原様、水野様、金内様のご経歴
井内
小笠原様から、ご経歴を教えていただけますか。
小笠原様
外資IT企業の戦略コンサルティング部門を経て、2022年にPwCコンサルティングに入社しました。現在は自動車業界やテクノロジー業界を中心に、新規事業開発や事業・経営企画などの案件に携わっています。
井内
現職で早期にシニアマネージャーへプロモーションをされていらっしゃる印象ですが、ご自身で意識されていることはございましたか。
小笠原様
前職を含めてマネージャー職の経験が3年以上あったので、「いろんなことにチャレンジさせてほしい」と伝えて入社しました。実際にさまざまなプロジェクトに携わる機会があり、年齢に関わらず、実績をしっかりと評価してもらいました。その結果としてのプロモーションだと考えています。
井内
入社前にお話しされたご意向がしっかり叶い、その上でプロモーションも実現されたのですね。
続いて水野様のご経歴を教えていただけますでしょうか。
水野様
新卒で通信系の会社に約1年半勤務した後、日系の総合コンサルティングファームで5年ほど経験を積み、2021年4月にPwCコンサルティングへ入社しました。
前職では、IoTなどのデジタルを活用した業務改善や新規事業の案件に携わっていました。新規事業の立ち上げ支援に係る案件の中で、当時はテクノロジーサイドのチームとして関わっていましたが、同じプロジェクト内の戦略サイドのチームのケイパビリティや提供価値領域に関心を持ち、戦略領域の経験を積みたいと考えるようになりました。その流れからPwCコンサルティングの戦略部門に入社しています。
井内
続いて、金内様のご経歴を教えていただけますか。
金内様
新卒で中小企業向けのコンサルティング企業に1年半務めた後、国内コンサルティング企業で約3年間勤務しました。PwCコンサルティングに入社したのは2023年1月です。前職ではITに関連する案件が多かったですが、当時は自分の専門領域を作っていきたいと考えていました。戦略系の案件やM&Aに関する仕事を両立できる会社はないかと探していたところ、現職を見つけて転職を決めました。
現在は、都市開発関連の案件に携わっており、企業のスマートシティ事業をスケールしていくための戦略策定を行っています。そのほか、アライアンスの検討なども幅広くご支援させていただいています。
複雑な経営課題に対し、能力の掛け合わせで価値を提供する組織
井内
XVSチームの組織概要について教えてください。
小笠原様
まずX-Value & Strategyのチーム名を解説すると、X-Valueの「X」は「Cross」を意味し、多様なケイパビリティを「掛け合わせる」ことで「価値創造」することを表しています。「Strategy」は価値の掛け合わせを前提として、実行可能な戦略領域を協働推進することを意味しています。
X-Value & Strategyは、「Growth & Ecosystem」「Digital Strategy」「Strategic Finance」「M&A Transformation」「Transformation Design」という5つのケイパビリティで構成されています。 昨今の高度な案件に対しては、多様かつ専門的なコンサルティングノウハウや知見が求められます。XVSには約200名のメンバーが所属していますが、それぞれが専門的なケイパビリティを身に付け、それを重ね合わせることで、チームとして私たちにしか出せない高い価値を出していくことを目指しています。
井内
最近では大手からベンチャーファームまで、戦略チームは数多く存在します。その中で、XVSのビジネス上の優位性はどのようなところにあるとお考えでしょうか。
小笠原様
先ほどの組織の説明にもあった通り、個別の知見の蓄積だけではなく、それらを有機的に繋げられるのが当社の特徴ではないかと思っています。多様なメンバーが積極的にコラボレーションする文化がPwCには既に醸成されていて、戦略案件においてその役割を担うために創られた組織がXVSだと思います。
コラボレーションを通してクライアントに伴走する
井内
「コラボレーション」というワードが出ましたが、実際にはどのようなチームと協働されているのでしょうか。
金内様
まちづくり関連の案件では、別のプロジェクトでまちづくりに関わっているPwCメンバーとディスカッションしたことがあります。他にも、スマートシティの知見がある方や所謂デザインコンサルティングチームであるFuture Design Labの方とのやりとりもあります。
小笠原様
スマートシティは、私が所属しているケイパビリティグループ「Growth & Ecosystem」が所管しているテーマの1つです。
「Growth & Ecosystem」では、いち事業者だけでは作れないビジネスに対して、いろんな事業者を巻き込み、エコシステムとしての実現を目指しています。たとえば自動車業界では、サステナビリティという視点からライフサイクルアセスメントに着目して、部品メーカーなど従来のバリューチェーン上の事業者だけでなく新たなバリューチェーンのプレイヤーも関わるようになってきています。
こうした案件では、クライアントやそれを支援するPwCが、これまで経験のない業界と接点を持つ必要があります。従来の組織にはない役割を私たちが担うことによって、コラボレーションが可能になるケースもあります。
井内
実際のビジネスにおいて、御社のコラボレーションがクライアントから評価されていると感じることはございますか。
水野様
社内のコラボレーションを活かした総合力に価値を感じていただいている点は多いと感じています。前提として、PwCコンサルティングでは、プライオリティアカウント戦略をとっており、トップティアのクライアントと深い関係性を築きながらサービスを提供しています。
主要顧客のアカウントチームには、インダストリーチームや戦略チームといったコンサルティングのみならず、監査法人や税理士法人などPwC Japanグループの他メンバーファームも入り、一体となった体制で総合的な視点からクライアントの成長をご支援しています。
このように社内のコラボレーションが推進されているからこそ、様々なコネクションを活かして外部とのコラボレーション促進の観点でも価値提供できている点があるのかと思います。
小笠原様
クライアントのことを多面的に理解しているからこそ、「もっとこういう方向性があるのでは」といった提案ができます。クライアントから言われた通りに行動するのではなく、伴走しながらともに成長していく関係性が築けているのかなと思います。
水野様
様々な組織に対して、複数のプロジェクトを同時並行でご支援しているケースも多いため、クライアントの組織内で隔たりが強い部分があった場合でも、社内調整を含めて、私たちが伴走支援を提供しています。その結果、物事を前進させることが可能となり、その点で私たちと組む価値を感じて頂けている点もあると感じています。
井内
たとえば、「Growth & Ecosystem」という観点で、特定のクライアントからご相談いただいたとします。「それなら他のアカウントを巻き込んだらいいのでは」といった議論が起き、業界内外の他企業へPwCコンサルティングからアプローチをするということもあるのでしょうか。
小笠原様
もちろんあります。クライアントにとって「どのようなコラボレーションをすることがベストなのか」という視点から議論し、パートナーリンクについての提言も行います。
水野様
クライアントと一緒に営業活動を行う「Sell With」というご支援をさせていただくこともあります。クライアントが新しい事業を作っていく過程では、既存のお付き合いのない業種・業態に対してもアプローチをする必要出てくるケースもあります。そのような場合には、私たちのコネクションや営業リソースを使って、ともにアプローチするご支援も行っています。
ファイナンスチームをはじめ各チームとコラボレーションを行う
井内
関わっていらっしゃるケイパビリティの特徴や、印象に残っている案件について教えてください。
水野様
私がメインで関わっているTransformation Designは、他の4つのケイパビリティグループの専門性を活かすために司令塔的な役割を担っていると思っています。1つの能力を極めるというよりは、ジェネラリストとしていろんな専門家を繋ぎながら、変革を支援していくような要素が強く、戦略推進におけるオーケストレーターのような役割を担っています。
具体的な案件としては、全社的なDXプロジェクトを経験しました。戦略に基づいてソリューションビジネスの開発から、CRMやMAの導入による営業変革、それらを支えるためのデータ基盤導入まで、複数のサブプロジェクトがDXプロジェクトに紐づいていて、その全体管理を行いました。こうした案件では、各施策レベルで検討を進めていくうちに様々な課題に直面し、元々目指していた方向性や戦略とのズレが大きくなることがあります。常に戦略にアラインしていることを意識しながら、プロジェクトの実行を支援しました。
もう1つ印象に残っている案件は、とあるSIビジネスのクライアントに対するサブスクリプションモデルへの移行のご支援です。ビジネスモデルそのものの変革を検討するにあたってはさまざまなケイパビリティが必要であり、特に会計的な面での課題が大きかったため、PwC Japan有限責任監査法人から公認会計士の方にチームに入っていただきました。こうした専門性を持つ人たちを束ねながら案件をリードしていくことは、まさにTransformation Designの役割の1つだと思います。
井内
求められるレベルが高そうですね。こうした業務を進めるにあたって、特に難しいと思うポイントや、それをどのようにクリアされているのかをお聞かせいただけますか。
水野様
難しいと思うポイントは、同じ課題を目の前にしていても、それぞれのプロフェッショナルによって気になるポイントやプロトコルが違うので、それらを翻訳する必要があることです。そうした部分を自らがハブとなり、チームの力を引き出すことを意識しながら、コミュニケーションを円滑に回していくようにしていました。
井内
戦略の立案から実行まで伴走していく印象がありますが、実際はどのようなイメージでしょうか。具体的にどの段階から案件に入っているのかも教えてください。
水野様
案件によって異なりますが、構想段階から案件に入るケースが多いと思います。実行フェーズにおいても、構想フェーズで定めた方針や戦略の意図を理解している人が支援したほうが望ましいケースがあるため、その場合は先ほど述べたように、戦略を意識しながら実行支援を行う、ということもあります。
井内
続いて金内様が担当されている案件について、お話をお聞かせください。
金内様
現在担当しているスマートシティの案件には、大きな特徴があります。スマートシティは「まちをつくっていく」という話なので、アンテナを張るべき分野や事業領域が多岐にわたります。さまざまな調査をしながらクライアントディスカッションを行い、まちづくりに何が必要なのかを考えています。そこに面白さを感じています。
井内
そうなると、特定のクライアントというよりは、複数の業界や企業様を1つの案件に巻き込んでやり取りすることもあるのでしょうか。
金内様
はい。そうしたケースは数多くあります。クライアントの先には多様な業者が存在しており、業者を選定する際の「軸」についてもご相談いただくことがあります。その意味では、幅広い事業領域の知識が必要だと感じています。
マネージャー以下はプール制、5つのケイパビリティすべてを身に付けられる
井内
転職を検討中の方のなかには、幅広く業務を経験したいと考えている方も多いです。ここまでのお話をお聞きして、特定のテーマだけに関わるのではなく「横断的に経験を積むチャンスがある」という認識でよろしいでしょうか。
小笠原様
その通りです。ケイパビリティチームに所属するのは、基本的にはマネージャー以上です。その理由は、マネージャーからは専門性として1つのケイパビリティに特化して、専門性を高めた価値を提供することが求められるからです。
一方で、マネージャーより下のメンバーは、いろいろなケイパビリティのチームや案件に参加して、幅広く素養を培うことができます。経営者に対して多様な視点でディスカッションできるようになっていただきます。
水野様
シニアマネージャーからはどこかのケイパビリティへの所属が必須ですが、マネージャーは選択制です。希望すればいずれかのケイパビリティに所属することもできますが、私自身は所属していません。
Transformation Designの案件に限らず、いろんな案件に携わる可能性があります。XVSチームになってからは、アサインされる可能性のある案件の幅広さや、希望する案件に出合える可能性が格段に広がっていると思います。
井内
アサインの事前相談や決定するまでの仕組みは実際どのようになっていますか。
小笠原様
メンバー一人ひとりにコーチというキャリア設計のサポーターがついていて、それぞれのキャリアをプランニングも含めてサポートしています。コーチがメンバーの要望を聞きつつ、長期的な成長を見据え、どのような案件に入るべきかを上位レイヤで決めています。
水野様
仕組みとしては、アサインされていたプロジェクトからリリースされ、アベイラブルな状態になることがわかった段階でアサインを決める会議でその情報が連携されます。アサイン会議には各プロジェクトで必要な経験、専門性等を記載したリソースのリクエストが集まってくるので、そのマッチングを行い、プロジェクトの担当マネージャーと面談をしてアサインが決まるというのが、基本的なプロセスです。
井内
金内様もこうした流れで希望を伝えたのでしょうか。
金内様
そうです。興味のある案件や次の案件に移りたい時期について、コーチの方と密にコミュニケーションを取っています。長期休暇の取得を予定している場合は、休暇取得を考慮したアサイン期間の設定や案件種別を相談しています。プライベートの予定を上手に調整しながら、アサインの相談ができる環境だと思います。
井内
希望するキャリアを実現しやすい環境があると感じました。なお、候補者の多くは転職を考える際に「最終的にどんな経験/スキルが身に付くのか」を気にされる印象です。コンサルタントとしてそのまま進む方もいれば、事業の当事者として経営者や事業のリードを志向される方もいます。皆さまの目線から、XVSチームで得られるご経験/スキルについて教えていただけますか。
小笠原様
当社に転職する人たちのなかには、コンサルティングファーム出身で「戦略的思考と実行力のどちらのスキルも磨きたい」という方もいますし、事業会社で抱えていた問題意識を「コンサルタントの立場で解決に導きたい」という方もいます。もしくは、創業を目指されており、その過程として入社されてくる方もいます。
共通しているのは、戦略コンサルタントのスキルは事業経営のコアスキルであると考えられている点です。そのコアを培うといった意味では、当社のXVSチームで、基礎的な部分から、専門的で深い部分まで知見を蓄えていくことができます。
井内
水野様と金内様のお考えをお聞かせいただけますか。
水野様
私たちのチームに入るメリットの1つに、チームに入った後でも「ジェネラリストを目指すのか」もしくは「専門的な部分を磨きたいのか」を考える余地が残っていることが挙げられます。マネージャーレベルであっても、特定の専門性を決めなくても良い場合もあります。ほかのチームの場合はチームに入る前に、どちらかを選択する必要があることが多いのではと思います。
金内様
繰り返しとなりますが、自分の専門領域を決めていきたいと考えている方にとっては、XVSチームは向いていると思います。多様なケイパビリティの案件があるので、経験を積みながら自分の専門領域を決めることができます。幅広いスキルを習得できるので、広い視野でキャリアパスを検討できるかと思います。
戦略領域に軸足を移したい人にも、専門領域をこれから見つけたい人にも最適な組織
井内
組織のカルチャーや求める人材についてもお聞きできればと思います。チームメンバーの雰囲気やバックグラウンド、組織のカルチャーについて、どのような特徴がありますか。
小笠原様
共通する姿勢として「諦めない」ことがあります。クライアントから言われたことに対して、自分だけでは答えられないようなことに関しても、いろんな人の協力を得て答えを出していこうとする姿勢を持っています。責任感の強い人たちが多いと感じています。
金内様
メリハリがはっきりしている方が多いという印象です。楽しむ時は全力で楽しみ、仕事の時は真摯に取り組むカルチャーができていると思います。メンバー間のコミュニケーションを大切にするカルチャーがあり、メリハリをつけるのがとても上手な組織だと思います。
井内
いまのお話に派生して、親睦を深めるような場やイベントもありますでしょうか。
水野様
私はチーム内の全体の会議や懇親会などを企画運営する「コミュニケーションチーム」の運営にも携わっています。取り組みの1つとして、毎週金曜日を「コラボレーションデー」と位置づけ、コーヒーやお菓子を用意してコミュニケーションを取る機会を設けています。ケイパビリティのグループによって異なるかもしれませんが、新しい方がジョインされたらオフィスに集まって歓迎会も開いています。
井内
新しく入った方に対して「わからないことあったらこの人に聞くといいよ」といった話ができる場なのでしょうか。
水野様
そうですね。XVSでは以前からの取り組みで、オンボーディング資料を独自に作り込んでいます。また、先ほどのコーチ制度とは別にバディ制度のようなものがあって、プロジェクト以外で困ったら何でも質問できるような体制を作っています。
井内
先ほどのキャリアコーチと別に、相談できる存在としてバディがいらっしゃるイメージですか。
金内様
はい。私のバディは、同じ職種や職位で、コーチとは別の女性です。同じ職位でもあるので、より相談しやすいです。
井内
最後に、「こういう方にぜひ入社いただきたい」というイメージがあれば教えてください。
水野様
私たちの組織は戦略として理想を描くだけではなく、実際に実行していく、まさに戦略と実行をつなぐ組織なので、位置づけとしてはかなり稀有だと思います。その過程では、戦略に基づき、行動指針や実際の行動を変えたり、組織文化を変えたりすることも多分に含まれると考えています。目の前の課題解決に留まらず、行動変容までを促す、本当の意味でのトランスフォーメーションをクライアントに対して提供したい方には向いていると思います。
個人のスキルとしても、そうしたプロジェクトの中でどんどん新しい役割に挑戦できるので、今まで実行することがメインだったけれども戦略領域に軸足を移しい人や、入ってから自分の専門領域を見つけたい人には適していると思います。
小笠原様
「チャレンジ」という意味で、日本の特定の業界を次のレベルに引き上げたい、新たなビジネスモデルを作り上げたいという気持ちに共感いただける方とぜひ一緒に働きたいです。PwCコンサルティングには、社会問題や環境問題の視点から課題解決を目指すサステナビリティに特化した専門チームもあります。こうした大きな視点でビジネスを動かしていくためにXVSは活動しているので、その一員として仲間になっていただける方にぜひ来ていただきたいです。
金内様
クライアントの会社としての価値を高めるために、伴走支援を一緒にしたり、チャレンジしたりすることが大事だと思います。クライアントの会社の価値を高めることに対してのビジョンを持っていて、様々な領域の案件にチャレンジしたいという方にはとても向いていると思います。そういった方に来ていただけたら、嬉しいです。