今回は、ヘルスケアに関する政策の戦略策定支援から、製薬企業や医療機器メーカー等のM&A・新規事業支援まで、「未来のヘルスケア」の創造に幅広く注力するPwCアドバイザリー ディールズストラテジー ヘルスケアチームへのインタビュー。
同チームを率いる、パートナー 河成鎭様、ディレクター 西田雄太様に、
これまでのご経歴、チームの特徴、実際の案件内容やそのやりがい、チームのカルチャーなどについてお聞きしました。
パートナー 河成鎭様、ディレクター 西田雄太様のご経歴
長谷部
ご経歴からお聞かせください。まずは河様、よろしくお願いいたします。
河様
私はもともと、アカデミアでバイオメディカル分野の研究者をしていました。米国政府の研究機関で抗体医薬の研究をしていたこともあります。
その後、PwCコンサルティングStrategy&の前身の米系経営コンサルティングファームに入り、コンサルティング業界での仕事を始めました。アカデミアでは創薬にかなり近い領域にいたので、創薬から商業化に至るプロセスにおいて、サイエンスのバックグラウンドから貢献できる部分があるのではと考えたことが、転職のきっかけでした。
会社名がPwCコンサルティングに変わり、主にヘルスケアの業務に従事したのですが、よりヘルスケアに特化したキャリアを求めて外資のコンサルティングファームを2社ほど経験。その後、PwCアドバイザリーに戻ってきました。
長谷部
ありがとうございます。では、続いて西田様、お願いいたします。
西田様
私は新卒で通信機器ベンダーに入社し、エンジニアとして勤務した後にコンサルティング業界に移りました。以後、製薬・医療機器メーカーを含むハイテク製造業領域に特化し、戦略策定からオペレーション改革などに従事してきました。
私も、河と同様にPwCコンサルティングの戦略部門であるStrategy&を経由してPwCアドバイザリーに在籍しており、今はM&Aに特化した戦略策定、買収後の企業のバリューアップ、異業種間での事業提携などのテーマに関わっております。
ヘルスケア領域の成長・投資戦略、異業種からの新規参入なども支援
長谷部
それでは、チームの特徴や強みについてお聞かせください。
河様
ディールズストラテジーは、M&Aおよびその上流の中長期成長戦略や投資戦略などの立案・実行を担う組織で、私たちはこの中でヘルスケア分野に特化した業務に従事しています。
業務内容は、主に以下の3つに分類されます。
① 企業買収、資本提携、事業提携などの各種M&Aにおける計画策定/ビジネスデューデリジェンス(DD)/案件成立後のバリューアップ戦略の策定および実行や、その他M&Aプロセスにおける戦略面のアドバイザリー支援
② ヘルスケア企業の成長戦略および中長期計画の策定支援、それらを踏まえたトランスフォーメーションの実行支援
③ 周辺業界からの新規参入戦略や投資ファンドのヘルスケア投資戦略の策定支援
大きな特徴としては、①や②で示したような、製薬会社や医療機器メーカーの成長戦略、新規事業、M&Aといった、従来主として行われてきた業務に加え、③に示したような、新たなクライアント獲得にもフォーカスしている点が挙げられます。
特に、データやデジタルをテコに異業種からの参入が進むなど、ヘルスケアのエコシステムにおいて大きな変化が起きている中、新規参入の上流に強みを発揮できる点は、競合と比べても一線を画すものだと自負しています。
長谷部
近年では、異業種参入といった新たな案件が増えているとのことですが、PwC Japanグループ全体ですと、グループ内の法人や部門の垣根を越えたコラボレーションカルチャーが根付いていらっしゃるところが、やはり強みになるのでしょうか。
河様
仰る通りです。PwC Japanグループには多くの部門が存在しますが、決してバラバラに動いているわけではありません。時には融合したチームで案件にあたることもありますし、互いのチームの得意分野を活かしながら、クライアントにベストな形を提供できるよう、いつも活動しています。
長谷部
西田様は、チームの特徴や強みについてはどのようにお考えでしょうか。
西田様
ご指摘いただいているように、私たちの特徴は、エンティティーを超えた他チームとのスムーズなコラボレーションにあると思います。これはPwCアドバイザリー内部での連携のみならず、PwCコンサルティングやPwCあらた有限監査法人、PwC税理士法人などのPwC Japanグループ、もしくは外部のアライアンスパートナーとの協業も含まれます。
ディールという特性上、1つのチームでサービスを完結することは困難であり、プレディールからポストディールまで、フェーズごとに異なる論点に対して的確に対処していく必要があります。この時に、各所とスムーズかつ効果的に連携できる環境があることは、PwC Japanグループの大きな強みだと感じます。また、ヘルスケアにおいては、他業界以上に専門性が求められるシーンが多くあると感じており、このような専門領域でのナレッジを共有することも、クライアントが求めるサービス品質を達成していくためには、非常に重要なポイントだと考えています。
一番の面白さは「業界再編」など、「未来のヘルスケア」に直接的にリーチできること
長谷部
ディールズストラテジーのヘルスケアチームで働く面白さについて教えていただけますか。
西田様
今、ヘルスケア業界は、デジタルを活用した新しいヘルスケアソリューション、地域医療ネットワークの拡充、医療データプラットフォームの整備など、業界構造の変化に向けた過渡期にあると感じております。このような「未来のヘルスケア」の検討といった壮大なテーマに対して、直接的に立ち会う機会を頂いていることに面白さを感じますし、貴重な経験を積ませていただいていると思います。M&Aという文脈において、私たちのサービスが貢献できる範囲の広さも魅力の1つだと考えています。
例えば、取り扱っているテーマには、政府・製薬メーカー・医療機器メーカー・テック系ベンチャーなど、バックグラウンドの異なるプレーヤーが複雑に絡み合うケースが多くあります。単体企業では実現が難しいと想定される成長戦略についても、他社との提携・協業といったインオーガニックなディール・オプションを追求することで、実現できることも多くあるように思いますし、このような事業構造の変化にインパクトを与えられるような案件に関われることも、大きなやりがいだと感じています。
長谷部
「業界全体の枠組み、仕組みを変えていきたい」という想いを持っている方にとっては、ベストな環境ですね。
西田様
そう思っていただけると嬉しいです。個人的には、未来のヘルスケアを見据えた、非常にやりがいのある仕事、職場だと感じております。周りからも、同様に受け取ってもらえる環境作りに引き続き貢献していきたいと考えています。
河様
やはり働く上でやりがいは重要ですが、今コンサルティングの需要は大きく、領域の幅も広がってきている中で、業務委託に近いようなプロジェクトが増えているという実情もあります。ですが、私たちはFASの中の戦略コンサルタントという位置付けである以上、トップマネジメントの意思決定に関わるようなプロジェクトなど、いわゆるコンサルタントを目指される方が想像するような、典型的な戦略プロジェクトに携わる機会に恵まれています。
時には忙しいこともあるのは事実ですが、スタッフにはやりがいという面でもポジティブに取り組んでもらえていると思います。
長谷部
戦略といった川上に強みがあるということは分かりました。しかし、中にはヘルスケア企業の事業運営まで関わりたいとの思いを持たれる方もいらっしゃると思います。ディールズストラテジーのヘルスケアチームでは、PMI(Post Merger Integration)などのポストディールに関連した業務も担っているのでしょうか?
西田様
そうですね、ポストディールにおいてもディールズストラテジーが関与するシーンは多々あります。例えば、プレディール・フェーズにおいて、ビジネスDDやオペレーションDDなどの形でバリューアップ余地の検討支援を行うケースでは、案件が成就した後のポストディール・フェーズにおいても、当初検討していたバリューアップ余地を実行可能な施策レベルまで具体化して検討するケースや、プレディールでの検出事項を踏まえた統合戦略の策定支援、100日計画の推進支援までを行うケースなど、状況に応じて様々な形でPMIに関わることがあります。ただ、分科会運営を含めたPMO(Project Management Office)業務については、PwCアドバイザリー内に専門的に取り扱う別のチームも存在しておりますので、うまく連携しながらPwCがワンチームとなってサービスを提供させて頂いています。様々なタイプのポストM&Aを経験することで、実ビジネスを学ぶチャンスも多いと感じています。
河様
将来「経営者になりたい」「ファンドに行きたい」という方にとっては、直接的に役立つ経験が積める場所です。私たちは、PwCを卒業していろんな業界に旅立っていくことを必ずしもネガティブには捉えていないので、そういったご志向を持っている方も、気兼ねせずに挑戦してほしいです。
長谷部
カウンターパートとなるのはどのクラスが多いのでしょうか。
河様
CxOクラスが多いですね。
西田様
ディールの意志決定には、CxOレベルの方々の権限が求められるケースが多いのも要因の1つと考えています。
「未来が定まっていない業界を変えていく」という強い志がある方を求めている
長谷部
マーケットの変化に合わせたチームとしてのビジョンや方向性については、どのようにお考えでしょうか。
河様
未来への道筋が定まっていない、変革期であるヘルスケア業界に対してのコンサルティングをしなくてはなりませんから、戦略コンサルタントとしての高い能力が求められていると思います。私たちのチームはトップマネジメントのアジェンダについてのコンサルティングを行う機会が非常に多いので、まずはチームとして、戦略コンサルタントのスタンダードを持ったプロフェッショナル集団であるべきだと思っています。
また、「ヘルスケア×戦略コンサル」「ヘルスケア×M&A」といったことに志を持ち、「一緒に業界を変えて行くんだ」という高いモチベーションを持った仲間を集めて、業界にインパクトを与えられるチームでありたいです。 今の時点でそういったものをすべて兼ね備えている方はいらっしゃらないと思いますので、そういう志向を持った方を仲間として迎えて、私たちも一緒に成長していきたいです。
長谷部
ありがとうございます。西田様はいかがでしょうか。
西田様
河が申し上げたように、壮大なテーマに向けてチャレンジしていくチームにしたいと思っています。そこで求められるスキルセットはかなり幅が広いですから、多種多様な人材に興味を持っていただきたいです。
私たちのチームには戦略コンサルティングファーム出身者、元研究者のほか、デジタルやファイナンスに強いメンバーなど、様々なタイプの人材が在籍しており、その中で皆さんそれぞれの特徴をうまく活かしながら、チームとしてクライアントの価値創造に貢献しようと日々努力しています。
長谷部
「一緒に成長していきたい」というお話がありましたが、キャリアアップのための支援や仕組み、また組織風土についてもお聞かせください。
河様
ジュニアのポジションの方に対しては、1~2ランク上の上位者がコーチとしてつき、かつチームリーダーとしてパートナーまたはディレクターレベルの上位者が一緒になって日常的にコミュニケーションを取っています。業界未経験者や、ファイナンスのキャッチアップが必要な方でも、もともとポテンシャルがあり、目指す志向が同じであれば特に問題はありません。プロジェクトの中でも定期的にチェックポイントを設けていきます。 PwCはタレントを大切にする会社ですから、仕事だけでなくライフステージに合わせたサポートも充実しています。例えば、お子さんが生まれて、仕事とプライベートをどう両立させていくかといったことなどに対しても、かなり細かくケアしています。
プロフェッショナルとして「他者へのリスペクト」にあふれたチーム
長谷部
実際に、プライベートとの両立といった観点からはどのような仕事環境なのでしょうか。
西田様
ライフステージに応じた働き方という点では、制度が形骸化することなく、実態としても活用しやすい環境にあると考えています。私自身も、1カ月程度のパタニティリーブ(育児特別休暇)を取得した経験があるのですが、育休を取ることに対する心理的ハードルも低いと感じています。むしろ、周りのメンバーが積極的に取得を後押ししてくれるような環境であり、非常にありがたかったです。このような実体験をベースに、他のメンバーにも取得を促していく良い循環が生まれているように感じています。仕事だけでなく、人生を楽しく、有意義な形にしていく仕組みが整っていると思います。
河様
カルチャーというところで言うと、コンサルティングファームでは、今できないことをもって激しく叱責されてしまうようなイメージを持たれがちなのですが、PwCは全く違います。皆さん、プロフェッショナルとして他者へのリスペクトをしっかり持っているんです。
成熟したプロフェッショナルが集まっているファームだという前提がありますから、そうした信頼感に裏打ちされたマチュアな雰囲気、カルチャーがあると思っています。
長谷部
最近は業務もオンラインがメインになってくると思うのですが、チームの雰囲気はいかがですか。
河様
私は数カ月前に入社して、基本的にはオンラインで仕事していますが、実感として馴染みにくさなどの障害を感じることはないですね。プロジェクトの始まりと終わりにはface to faceで懇親するような場を設けていますし、組織として、積極的に顔が見える形でのコミュニケーションを心がけています。
オンボーディングという意味合いでは、人によって当然ながら得手不得手がありますから、その人の特性に合った形で役割分担を相談しながら決めています。その中からストレッチして、このプロジェクトの中で学んでいこうといったことを話し合って決める。そういう形で無理なくベストを尽くしていただければと思います。
長谷部
戦略やM&Aの組織はハードワークというイメージを持たれる方も多いのですが、残業時間や働き方の実情についても教えていただけますか。
河様
PwCでは労務管理が徹底されています。労務時間は人事の方でちゃんとトラックをして、働き過ぎている方がいると、プロジェクト側にアラートが来て対処する体制になっています。
私たちはDDばかりしていて非常に忙しいとのイメージを持たれがちですが、むしろDDは全体のプロジェクトの割合で言うと、4分の1ぐらいです。多様な戦略プロジェクトがありますから、サステイナブルなワークバランスで仕事ができる環境だと思います。
西田様
状況にもよりますが、サステイナブルな体制が組めるようにプロジェクトの開始タイミングを遅らせていただいたり、御依頼自体をお断りさせていただいたりすることもあります。サービスの品質も、メンバーがいかに効果的に働けるかにかかっている面があります。アサインメントの仕組みも整っており、無理をしてチームを組成することはなく、その後のケアもしっかりしていると思います。
仮に、プロジェクトで想定以上に稼働がハードになることがあれば、既存メンバーに踏ん張ってもらうのではなく、人を追加してケアするという考えにマネジメントサイドは動きます。
長谷部
9時から17時まで働くというより、例えばその間にお子さんの送り迎えをして、という形で働いている方もいらっしゃるのでしょうか。
河様
もちろんです。かなりシニアなポジションの方でも、ライフサイクルに合わせたフレキシブルな働き方を実践していますし、皆さんと協力して取り組んでいます。
西田様
メンバーによっては、幼稚園や保育園の送り迎えが必要な場合もありますが、チーム内で連携しながら、臨機応変に対応しています。リモートワークが普及したこともあり、このようなフレキシビリティを持った働き方は、当たり前の感覚になっているように思います。