今回は、ストラテジーからリストラクチャリング、オペレーション改革まで、M&Aに関わる広範囲のビジネス領域に専門性を発揮するPwCアドバイザリー合同会社 S&ROI(Strategy&Restructuring ,Operation ,Improvement)チームへのインタビュー。同チームに所属するパートナー 齋藤良司様、田口穂波様、藤田映見様より、同チームにおけるキャリアパスやワークライフバランスの仕組み・実例などについて、アクシスコンサルティングの井内がお聞きしました。
PwCアドバイザリー S&ROI 齋藤様、田口様、藤田様のご経歴
井内
まずは、皆様のご経歴と業務内容についてお聞かせください。
齋藤様
私は1999年に新卒でメガバンクへ入り法人営業等を経験した後、実行支援やハンズオンに特化したコンサルティングファームに転職しました。そこで5年程勤め、2007年にPwCアドバイザリー株式会社の事業再生部門に入社しました。
現在は引き続き事業再生に軸足を置いて、電力やエネルギー、エンジニアリング、建設といったインダストリーと掛け合わせた案件をリードしている他、新卒採用を含むアドバイザリーの人事全般も担当しています。
井内
続いて田口様、お願いいたします。
田口様
私は2016年に新卒で入社以来、齋藤さんと同じく事業再生に軸足を置くチームに所属しています。再生計画の策定の他、事業拡大や海外市場からの撤退検討支援、業績改善に係る仕組みの立案から実行支援まで、様々な業務に従事してきました。現在も現場のお客様と日々顔を合わせながら、業績改善に向けた仕組みづくりやその浸透に向けた取り組みを推進しています。
井内
続いて藤田様、お願いいたします。
藤田様
私は2017年の新卒入社から、M&Aに関わる戦略部門のチームに所属しています。ビジネスデューデリジェンスは勿論、ディール後の企業価値向上支援や、ディール前の事業ポートフォリオ変革支援、中期経営計画策定支援といったテーマなど、業界問わず様々な業務に携わってきました。
「DET制度×ソリューションタグ」が叶える柔軟なキャリアパス
井内
S&ROIチームの組織概要、体制、サービスについてお聞かせください。
齋藤様
PwCアドバイザリーにはソリューションベースでの大きなバーチャル組織が3つあります。S&ROI(Strategy&Restructuring ,Operation ,Improvement)チームはそのうちの1つで、主にM&Aに伴う戦略立案、DDや事業再生計画の策定、PMI支援等をしています。
PwCアドバイザリーには全体で約700名の人員がいますが、S&ROIはそのうちの約300人が所属する規模の大きな組織です。その分対応できる案件の可能性も広がりますし、M&A戦略を考える上流フェーズから、実行・PMIまで一貫して取り組むことができますから、M&Aや事業再生を初めて経験するクライアントにも手厚い支援を提供できるのが強みです。
当社のマネージャー以下の全スタッフが属するDET(Deals Execution Team)という組織のメンバーにも、このバーチャルの組織、ソリューションのタグが付けられています。
井内
DET制度(※1)だけでなく、ソリューションというタグをメンバーに付与している背景について教えていただけますか。
※1 DET制度:キャリアの成長を促進させるDeals Execution Teamとは | PwC Japanグループ
齋藤様
我々はプロフェッショナルですから、特定領域の専門性をどんどん高めていかなくてはなりません。一方で、複雑なクライアントニーズに対応するオファリングや、そのために必要なスタッフアサインは、我々が組織設計などにおいて規定している専門領域に留まらず複合化し、流動的になってきていますので、組織としてはある程度の柔軟性も持ちたいわけです。従来は完全なソリューションカットの組織によって専門性の深掘りが行われてきましたが、DET(Deals Execution Team)と両立させることで、組織や個人のキャリアの柔軟性を同時に追求することができるようになりました。
みな自分のメインの専門領域がありつつも周辺領域にもアサインされるので、一般的なプール制のような、「次はどこのプロジェクトに連れていかれるかわからない」「畑違いなプロジェクトにアサインされるのでは」といった不安もありません。また、当社には自らの意志で部門間を異動、転籍ができるOEP(Open Entry Program)制度があります。実際他の部門に移るのはなかなか勇気が必要ですし、異動した先の仕事は期待と異なるかもしれませんが、利用者は多いです。そういった意味では、現行の運用は他の領域のプロジェクトも柔軟に経験できる機会を得られやすく、より働きやすい環境になったと思います。
井内
採用候補者様の中には、「そうは言っても希望しないプロジェクトへアサインされるのでは」と不安に感じる方もいらっしゃるかと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。
藤田様
PwCには中長期的なキャリア志向から短期的なアサインの希望まで気軽に上長に相談できるコーチ制度があり、私の場合はコーチとの面談の中で、提案される案件のすり合わせを行っています。
私はストラテジーに軸足を置きつつ、データアナリティクスのスキルを活用して考えていくキャリアを目指しているのですが、このデータアナリティクスというスキルに注目すると本当にいろんな案件があります。こういった私の志向を汲み取って、コーチが案件を提案してくれます。
もちろん、100%自分の希望通りにアサインされるわけではないですが、提案された案件をやるかやらないかは自分で決められますし、とても安心感がありますね。
井内
コーチとの話し合いは、定期的に行うように決められているのでしょうか。
藤田様
はい、定期的な1on1が設定されています。それ以外にも、普段から「困ったことはないですか?」とチャットを送ってもらうなど、気に掛けていただいています。私の場合は子どもがまだ幼いので、急な熱などでバタバタすることもありますし、普段からコーチとコミュニケーションが取れることはありがたいです。
海外出向で気付いた多様なワークライフバランスのかたち
井内
ここからは、PwCアドバイザリーでのキャリア構築についてお聞かせください。田口様は海外出向もご経験されたとのことですが、いかがでしたか。
田口様
私は会社のプログラムで半年ほど、オーストラリアのメルボルンにある事業再生のチームに赴任していました。外国語や海外文化については大学生の時から学び、興味を持ち続けてきたので、その興味と仕事を混ぜ合わせる経験ができたのは、非常にありがたい機会だったと感じています。将来のキャリアを考える中で、1人でもがいているだけではなかなか手に入れられないようなチャンスを会社が与えてくれたことに、本当に感謝しています。
井内
どのような経緯で海外出向者に選ばれたのですか。
田口様
3、4年前から、PwCアドバイザリーではアジア太平洋地域での交流を増やす取り組みが積極的に進められています。私はその1期生として出向しました。選ばれた要因は、やはり海外出向に興味があるとの声をあげ続けたことですね。強い思いを持って「参加したい」という意志を声にし続けたことで、チャンスが巡ってきたのだと思います。
井内
実際に現地で取り組んでみて、今の業務に生かされているご経験はありますか。
田口様
現地では、ワークライフバランスを取りやすい仕組みを整備し、活用することへの意識が高く、本当に多様な働き方のかたちがありました。出向当時はアソシエイトだった私も今はマネージャーとなり、チームとして最大の成果をどのように出していくのかを考える機会が増えました。チームにはいろんな人がいる中で、いかにそれぞれの状況にうまく合わせて、皆に良いパフォーマンスをしてもらうかを考えていく上で、オーストラリアで感じた柔軟性はマインドセットとして生かせていると思います。
井内
他に、海外と日本の違いを感じた部分などはありましたか。
田口様
私の中では、事業再生はお客様のために総力戦で臨むというイメージが以前は強く、誰かが業務から抜ける日は、他の人が150%のパフォーマンスを発揮することで、チームとして常に100%の力を維持するという感じでした。それがオーストラリアでは、たとえ人員が足りなくても、皆が持っている100%を使ってどのように進めていくのかを考えていました。最初はフラストレーションを感じたりもしましたが、根本にある考え方やその中でチームとしてアウトプットを出し続けていく働き方に触れた今は、こうした経験を今の立場で生かせるよう、頑張っているところです。
個々に合わせた対応で20年後も働きたいと思える職場を目指す
井内
御社は海外出向をはじめ、社員一人ひとりの自己実現に力を入れていらっしゃいますが、キャリアやライフイベントを支える制度について教えてください。
齋藤様
PwC Japanグループ全体でダイバーシティの目標値があり、各組織の人事担当やリーダーは常にそれを意識して取り組んでいます。様々な制度導入も進めています。具体的には、時限的なリモートワークによって地方に住むことができたり、時短制度があったり。2021年度は男性社員の育児休暇取得率が100%だったこともお伝えしておきたいですね。
井内
今おっしゃっていたような柔軟な働き方や休暇の取得などは、その都度のニーズに合わせて対応していらっしゃるのでしょうか。
齋藤様
そうですね。ルールを作っても、そこに当てはまらないケースがたくさん出てきます。ですから、「試行錯誤しながらその都度対応している」というのが正直なイメージではあります。例えば、産休・育休の取得と復帰には期間的なルールも当然設定していますが、実際は「復帰したいが保育園がなかなか決まらない」などの想定外の事態はいくらでも発生します。そのため、産休後の復帰時期がずれ込むといった場合は、極めて柔軟に対応できるよう制度を運用しています。
藤田さんもワーキングマザーの一人ですが、そういった人達が一生この職場で働き続けられるよう、我々がもっと考えていかなければなりませんし、個々の悩みをしっかりカバーしたいという問題意識が強いです。
井内
マネージャー以上の方々で、ご家庭と両立されている方もいらっしゃるのでしょうか。
齋藤様
もちろんそういった方もいます。ただ、もっと支援を充実させ、何かを犠牲にすることなく働き続ける人を少しでも増やしたいと思っているところです。例えば、BDD(ビジネスデューデリジェンス)のように短期間で結果を出すハードなタスクに携わったり、プロジェクトマネジメントをリードしたりするとなると、業務への拘束時間は長くなってきます。例えばそこに小さいお子さんの受験対応が入ってくると、やはり大変だと思うのですよね。そんな時でも、なんとかワークとライフのバランスを取れるようにしてあげたい。
「今は一生懸命働きたい」「今はゆっくり働きたい」など、ライフイベントやタイミングによって誰しも志向は変わっていきます。個々の状況に合わせて個別対応でやっていくしかないと思いますし、10年後も20年後も、この職場で高いモチベーションを保って働いてもらえるように、組織として一人ひとりに寄り添うケアにチャレンジし続けていきたいです。
井内
自分の望むキャリアを実現できるカルチャーが、御社で醸成されている背景、要因をお聞かせください。
齋藤様
私見ですが、コンサルティングファームによっては社風・雰囲気はかなり異なるのではないでしょうか。いわゆる体育会系だったり、逆におとなしかったりするファームもあると思いますが、当社は適度に「肩の力が抜けている」と思っています。フランクな人が多いですし、派閥や社内政治もありません。「そういうことにエネルギーを使うなら、もっと仕事するか、早く帰ろう」という感じですね。
産休育休を経て:ライフイベントとキャリア、どちらも諦めない
井内
実際に藤田様は産休・育休を取得されてから復帰されたということですが、その辺りについて詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
藤田様
産休・育休に入る前は、仕事を頑張りたいと思っていたので、クロスボーダーのBDDなどに従事し、比較的ハードな働き方をしていました。刺激的な仕事内容で楽しく仕事をしていたのですが、妊娠7ヶ月の時につわりが重すぎてドクターストップがかかってしまいまして。そこからは、期間が長くメンバーにもゆとりのあるプロジェクトに入れてもらうなど、一定期間、時短や残業なしで働かせていただきました。
妊娠の報告をした時も、誰1人ネガティブな顔をせず、すごくサポーティブに対応してくれました。コーチも私が働きやすいようにかなりコミュニケーションを取ってくださり、相談しながらアサインを決められましたし、その辺りはすごく柔軟でした。普段からプロジェクト単位で働いているので引き継ぎなどもほぼありませんし、スムーズに産休育休に入れました。
2022年10月に復職してからは、携わる案件のテーマ、期間やメンバー編成を見ながら、ある程度ゆとりを持って働いています。
井内
もともとキャリア志向がお強い中で、ご不安などはありませんでしたか。
藤田様
不安はかなりありました。物理的にキャリアが止まるわけですから。でも、コーチと面談するうちに、「そこまで不安に思うこともないかな」と考えられるようになりました。いろんなパートナーの方にも相談をさせていただいたのですが、「これから先まだ何十年とキャリアが続くことを考えると、1年やそこらの影響をそこまで大きく感じなくてもいいんじゃない」とのアドバイスも頂き、長い目で見たキャリアを考えることで、不安は解消されていきました。
井内
具体的な日々の働き方について、差し支えない範囲で教えていただけますか。
藤田様
私の場合は、朝7時からリモートで仕事を開始します。赤ちゃんがいると朝が早いので、すっかり朝型になりました。8時頃に子どもが起き出すので、準備をして、9時には夫が保育園まで送っていきます。そこから18時まで仕事をして、子どものお迎えに行った後は22時まで完全に仕事から離れます。この間に対応できないことはメンバーの皆さんも承知してくれています。残業することはあまりありませんが、仕事が残っている場合には22時以降に行います。 メンバーの協力もありますが、いかに限られた時間でパフォーマンスするのかを常に念頭に置いて、ワークライフバランスを自分でコントロールできるように動いています。
井内
仕事とライフイベント、両立が難しいタイミングもあるかと思いますが、どのようにバランスを取っているのでしょうか。
藤田様
そうですね。赤ちゃんが熱を出したりすると、病院に行ったり面倒を見たりと、どうしても仕事ができない日があります。そういう場合は、やむを得ずメンバーに仕事を頼むこともあります。そうならないよう、普段から余裕を持って仕事をするように心掛けてはいるのですけどね。
当社には、私のように子育てしながらフルタイムで働いている方もいれば、時短で働いている方もいます。重要なのは自分でどうするかを選べることだと思いますし、その選択をサポートしてくれる環境は整っていると思います。
井内
御社には様々な福利厚生制度があると思いますが、特に助かったとお感じになられた制度などはございますか。
藤田様
入社時は福利厚生についてあまり意識していなかったのですが、実際に利用する立場になって、「こんなに制度がたくさんあったのか」と驚きました。
つわりがひどくなった時は1ヶ月以上まとまった有給が取れましたし、傷病休暇のような制度にも助けられました。出産後は、子どもが急に熱を出した時や病気の子どもをケアするための休暇も用意されていて、ありがたく感じています。
当事者意識を持って取り組める方とS&ROIの未来を作りたい
井内
続いて、どういった方にご入社いただきたいか、お考えをお聞かせください。
齋藤様
ディールの仕事についてきちんと理解していただいて、その面白さを感じていただける方に来て欲しいですね。例えば、「数十年後のビジョンを見立て、どのように構造改革をしていくか」というようなクライアントの経営課題の一番上にあるようなハイレベルな経営アジェンダに若いうちから常に携われることは、キャリアとしてみた場合に実はかなり貴重な経験となります。そのありがたみがわかると、「もっと自己研鑽して知見や専門性を高めないといけない」「勉強しなきゃいけない」と自然に思えますから。
田口様
まずは、チャレンジを楽しめる人ですね。事業再生もM&A戦略も、クライアントの現場メンバーは最初乗り気じゃなかったりします。そんな時に一緒に前向きに取り組んでもらえるように、自分自身が楽しんで仕事に取り組める人に来ていただきたいです。あとは、自己研鑽をやめない、諦めない人でしょうか。そういう方と私は一緒に働きたいと思っています。
藤田様
お客様の会社の重要な局面に日々携わっているからこそ、当事者意識がないといけないと思っています。ワークライフバランスに関してはいろいろと調整もできますし、助けてもらえる環境も確かに整っています。ですから、ライフイベントも仕事も、自分でコントロールするという気持ちを持っていてもらいたいです。
井内
では最後に候補者に向けてメッセージをお願い致します。
齋藤様
今日はライフイベントとキャリア形成の両立というところを中心にお話しさせていただきましたが、当社は常に課題認識を持ち、改善に取り組んでいます。大変な時があったら一緒に悩み、考えながら新しいルールを作るという土壌があるので、何よりも「PwCで仕事がしたい」と思ってもらえるのであれば、ぜひ飛び込んでいただきたいと思います。
田口様
“コンサルはハードだ”というイメージを持たれている方も多いと思います。もちろんそういう局面もありますが、その分、成長したいという思いを満たすチャンスがたくさんある仕事です。その中でワークライフバランスを上手く取りながら、一緒に成長しながら働けたら嬉しいです。
藤田様
重要な局面に携わるという魅力のある仕事です。制度も発展途上ながら整えようとしてくれる環境が整っています。その上で、受け身になるのではなく、自分でキャリアをどうしていきたいのかを考え、目的意識を持って成長しながら働ける方に、ぜひ来ていただきたいですね。