今回は、国内外でドローンビジネスを手掛けるスタートアップ、テラドローン株式会社へのインタビュー。1,000人規模の大手人材会社ら同社へ営業メンバーとして入社後、3か月で主力商品の販売責任者、9カ月で東北拠点長、その後1年で東日本営業マネージャーまでスピード昇格された森田雄志様に、入社の背景、業界や規模が異なる中でも最短で結果を残せた理由、また同社の今後や今求める人物像などについてお聞きしました。
業界NO.1の大手企業に入社も「自分の手で”インパクトのある事業”をつくることで問題解決をしたい」という思いから転職を決意
庄村
まずは森田様のこれまでのキャリアについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
森田様
新卒でリクルートジョブズに入社し、主に非正規雇用の求人広告を手がけていました。最初の2年は福岡で新規開拓営業や既存営業を経験し、東京に戻ってからは約1年間大手企業の営業を担当していました。その後、2020年1月にテラドローン株式会社に営業職で入社し、現在は東日本営業マネージャーかつ主力商品の販売責任者、またインサイドセールス部門の立ち上げに尽力しています。
庄村
テラドローンへ転職を考えたきっかけについてお話していただけますか。
森田様
未来につながるようなダイナミックな事業を自分の手でつくりたいと思ったからです。前職では大手企業の求人広告を担当していましたが、「求人の集め方」にしてもかなり研究がされており現状のやり方を改善して問題解決することに限界を感じていました。
人手不足など、解決が難しい問題に対して、ある意味ゲームチェンジができるような事業を自分で作っていきたいと感じたのが転職のきっかけです。
庄村
転職活動の中で大事にしていた軸や、御社に入社した決め手を教えてください。
森田様
成長産業であること。そして、その中でインパクトの大きい事業をつくるチャンスがあるかといった点を軸に転職活動を行っていました。
テラドローンに決めた理由は、ドローン事業の将来性と、かつ参入者が少ない状態であったことです。現在、ドローン産業は徐々に構築されてきていますが、サービス業界という観点ではまだ大きなプレイヤーがいません。これからどういう風にドローンを活用していけるのかを今まさに考えている状態です。インターネットやAIはすでに飽和状態ですが、ドローン産業はまさに黎明期から成長期に移行しようとしている段階で、その中でもテラドローンは現在世界的にも非常にいいポジションです。
さらにオフィスを見て働いている人たちの本気度や、世の中を変えていこうとする空気感が決め手でした。私が入社してからオフィスの引っ越しを2度行いましたが、当初は窓もない部室のような場所でした、そんな所ですが皆「世界で勝つ」と当たり前のように話していました。外から見たら異様に思えるかもしれませんが、こんな熱いスタートアップは日本でもほとんど無いと思いました。
また、入社してあらためて思うことは、一緒に働くメンバーが皆とても優秀だということです。大手企業の出身者や、起業経験者、新卒入社など様々ですが、優秀な方が必死に働いています。それに、仕事の責任領域が大きく、皆修羅場をくぐっているので、同じ年代とは思えないくらい成長スピードが速いです。
転職3カ月で売上6000万円、9カ月で営業メンバーから拠点責任者へ。「いかに染まれるか」が重要だった
庄村
入社してからの業務内容をお聞かせください。
森田様
2020年1月にテラドローン社に入社し、1月から東北地方を拠点に営業を担当しながら、3月からは当社の主力商品である『Terra Lidar』(テラライダ―)のセールスプロモーションやセールスマーケティングの領域を担当していました。さらに翌4月からは新規事業の立ち上げも手がけています。
庄村
入社して3カ月足らずで業務範囲が次々に広がっていくのはあまり他の企業ではないと思うのですが、もともとテラドローン社にはそういった多くの事業をメンバーに任せていくというカルチャーがあるのでしょうか。
森田様
そうですね、会社としてはとにかくやりたいけれど、手が回らずできていない業務が多くあるので、仕事のできる人にはどんどん任せていきたいというカルチャーがありますね。具体的には私がテラドローンに入社して3カ月で6000万円を売り上げたのですが、テラドローンの中でも短期間で一番多く売ることができました。そのように結果さえ出していれば何でも仕事を任せてもらえるカルチャーはあります。
庄村
数字だけ聞くとスーパーマンのようですね(笑)結果を出せた理由についてはどのようにお考えでしょうか。
森田様
最初の3カ月は特に頑張りました(笑)その中でも結果をすぐに出せた要因を1つ挙げるとすると、「いかに社内に染まれるか」だったと私は思います。要はスタートアップでは、前職では考えられないことや思いもよらないことが起きたりするので、その際に1つ1つ疑問を持っていては仕事を前に進めることができません。
まずは結果を出している人の行動様式を真似して、社内の人間と同じ動きを早く身につけること。その心がけが最短で結果を出すことにつながったのだと思います。
目に見える結果を出して信頼を得れば、いくらでも事業を任せてもらえるのが成長産業で働く良さ
庄村
営業職で入られて今に至るまで、一番難しかったことは何でしたか。
森田様
一番難しかったことは、営業の仕組づくりと、売上を追うカルチャーづくりですね。 スタートアップの立ち上げ期というのは売上をとにかく追うよりも、事業をつくることにシフトしているので、社内にノウハウのようなものが充分にあるわけでもなく、また前職と比較すると売上を継続して達成させるための体制や手法、組織風土が整っていなかったりします。
大企業のようにきちんと統率が取れていない中で、どうやって人を動かして何をすれば継続して売上を達成できるのか、そういった人を動かす仕組み作りにはとても苦労しました。
ただ、前職では、セールスの体系やノウハウがものすごく整っていたので、ベンチャーに入った時に、前職と比較して課題が見つけやすかったり、そのまま営業手法を横移動で使えることも多く、一度営業の完成形を知っておけたのは非常に役に立っています。
庄村
さらに、営業職から入って結果を出せれば信頼を集めやすく、そこからいろいろなことを任せてもらえたというわけですね。
森田様
はい。やりたいことがあってもいきなり違う領域にジャンプするのではなく、まずは前職で培ったフィールドでしっかりと結果を出して、信頼を得てからキャリアアップして行くのがいいと思いますね。最初に目に見える結果を出して信頼さえ得られれば、いくらでも事業を任せてもらえるのが成長産業の良さだと思います。
ドローン業界は本当に未開拓の領域なので、仕事は尽きないのですが、やりたいと思っても人が足りないがゆえにできないケースも結構あるので、チャンスは多いと思います。
庄村
一つ一つの投資を慎重に行わなければならないベンチャー企業だからこそ、自分が確実にできることから信頼を勝ち得ることが企業と自分両方の成長につながるわけですね。
その他にも先端技術の扱うベンチャーならではの難しさもあったのではないかと思いますがそのあたりはいかがですか。
森田様
業界的にドローンのエンジニアは本当に貴重で、私の部署でも限られたエンジニアの人数で開発を行っています。ビジネス側の人間もエンジニアの人たちが司る技術こそが我々の事業においては非常に重要だと共通認識を持っていますので、営業がエンジニアに無理に顧客の要求を上げるのではなく、エンジニアの業務を理解した上でのコミュニケーションが重要です。
また当然ながら営業としての考えもエンジニアには伝えるようにしており、例えば「ここまでリリースしたいです」というのを話した上で、できるかできないかは社内のリソース的な問題だとか、できるとしたらどういう風にやればいいのかだとかは、かなり頻繁に相談しています。
そう考えると、ある程度営業職としてスキルや経験がある方は、きちんとエンジニアとコミュニケーションをとるために技術的な知識やノウハウを覚えることがかなり重要だと感じますね。テックベンチャーにおいては、業界でもあまり知られていない技術やサービスを扱っているケースが多いので、なおさら勉強が大切ですし、そこは実際私もキャッチアップに苦労した点でした。
トップランナーだからこそ、日々の仕事が、業界のルール作りに直結するところにやりがいを感じる
庄村
入社した当初と比べて今、成長を実感している点があれば教えてください。
森田様
大手企業と違って社内整備が整っていない中で、スピード感をもって成果を出していかなければならないため、スキル面ではシャープに課題を設定し、少ないリソースを上手く使って問題解決をする能力が成長したと思います。またマインドセットの観点では、予想外なことに対処していく対応力や柔軟性が身につきました。
庄村
働いていて一番楽しいと感じる点や、入社してよかったと感じる点はどんな瞬間ですか。
森田様
お客様のお役に立てた時ですね。例えば山の中に発電所を作るプロジェクトがあった場合、これまで計測に3カ月以上かかっていたところ、ドローンでは1日で地図を作るのに充分なデータが取得でき、2週間で解析ができます。実際にお客様が解決できなかったこと対しソリューションを提案し喜んでいただけるととてもやりがいと感じますね。
またこの業界自体がまだ決められたルールを作っている最中です。ドローンは好きなように飛ばして良いのではないのですが、法制度といった決められたルールの中で、「このような使い方は良い」など現状のルールの中で最大限お客様の要望に応えられるように提案したり、ドローンの参入で他の業界のビジネスモデルがどんどん変革していくことに対し、自分たちがトップランナーとして価値を出せていることがとても楽しく思います。
庄村
業界をけん引する立ち位置でいらっしゃるかと思うのですが、これからチャレンジしていきたいことについて教えていただけますか。
森田様
一貫してインパクトのある事業をつくっていきたいという気持ちは、社内にいても、たとえその時のフィールドが現職でなくても変わらないと思います。まずは世の中にはまだまだドローンが役立てられる領域や、ドローンを活用する中で見えてくる改善できる点はたくさんありますので、新しいプロダクトや事業をつくってお客様に提供し続けていきたいと思います。
現営業メンバーは起業家から金融出身者まで様々、採用のポイントは「大志を抱けるか」
庄村
あらためて御社の概要について教えていただけますと幸いです。
森田様
2016年に設立されたドローンビジネスを手掛けるスタートアップです。本社を東京に置き、全国6支社と海外にグループ会社が7社あります。海外ではドローンのハード面を得意とする時価総額2兆円規模の企業があるのですが、まだ業界的にもソフトサービス、システムの分野ではまだ圧倒的な会社はなく、我々は幅広いソリューションを提供するドローン事業者としてグローバルトップを目指しています。
事業としては、土木測量や鉱山測量等に役立つドローンの提供を行うサービス事業、自社機体開発といったハードウェア事業、測量用の解析アプリの開発といったソフトウェア事業、ドローン運行管理システム開発を手掛けるUTMの4つの事業を展開しています。
庄村
今、森田様が注力している仕事について教えていただけますでしょうか。
森田様
大きく2つあります。まずは営業組織の拡大です。現在ニーズが非常に多いものの対応しきれていない状態なので、全国の営業人数を増やしお客様のニーズをキャッチできる体制を作るために採用に力を入れております。2021年に入り、シリーズAで15.1億円の資金調達をしましたが、さらなる組織の拡大をしていこうという状態です。
もう1つは営業組織の変革です。これまでは比較的に個人の力に頼ってきた部分があるため、インサイドセールスを導入するといった業務効率化の検討や、組織の体系化、教育や評価制度、KPI設定などに取り組んでいます。
またドローン市場の拡大に伴ってより認知度を高めるためにマーケティング施策にも注力しています。
庄村
現在、森田様のチームではどのような方を求めていますか。
森田様
スキル面では、法人営業の経験がある方がいいですね。まだまだ認知の低い業界で、未開拓のお客様がたくさんいる状況なので、まずはしっかりと行動量を担保できる方が必要です。
また、営業経験だけでなく、事業への向き合い方も重視しています。たくさんの仕事がある中で、先ほどもお話をしたようにできる人がどんどんやっていくというカルチャーにマッチできるかも重要です。事業の成長を最優先で考えられる方が弊社のカルチャーには合うと思います。
庄村
メンバーの方たちのバックグラウンドや、入社を決めたポイントなどをお伺いしてもよろしいでしょうか。
森田様
メンバーはさまざまです。今私は7名をマネジメントしているのですが、もともと起業家でもっと大きな規模やスピード感での事業を経験したいと入ってきた方や、ベトナムで企業経営をされていた方、また大手証券会社でIPOを担当していた方、大手証券会社のマネージャークラスだった方、不動産業界にいた方など。
入社の決め手は人それぞれだと思いますが、大志を持っている人が多い印象です。「日本を変えていく」という観点では、「自分たちが大きなインパクトを与えられる会社になろうと、ひいては日本全体をもう一度発展へとつなげていこう」という大きな志がある人が多くいます。
実際、そういったマインド面を採用時に判断するのは難しいのですが、例えば面接では行動パターンを伺って、「ポジティブに自分で解決してきた経験はあるか」「どんな状況においてもちゃんと結果を出そうという姿勢があるか」といったお話を聞かせていただくことが多いです。他にも理想的な働き方を伺い、事業へのコミットメント意識の高さなどを確認させていただいております。
庄村
これから入社される方たちに期待されることを教えていただけますか。
森田様
営業であればまずはちゃんと結果を出すことが一番だと思います。その上で、販促の観点ではマーケティングが必要ですし、事業開発や新規事業の立ち上げもお願いしたいと考えております。今のタイミングだからこそ、チャンスはたくさんあると思います。