1879年、日本で最初の保険会社である東京海上保険(現:東京海上日動火災保険 以下、東京海上日動)の創立以降、長い歴史を持つ東京海上グループにおいて、リスクコンサルティングを担ってきた東京海上日動リスクコンサルティング株式会社は、2021年7月、グループ内のデータ活用やソリューション開発を推進する新たな役割と共に新社名「東京海上ディーアール株式会社」として始動しました。
その中で社会課題解決のための新規事業開発を担っているのがソーシャルイノベーションユニット(以下SIU)です。
今回は、SIUの中でも、新規事業開発をリードしている目黒様と中山様より、SIUの業務や今後の方向性、求める人物像、やりがいについてお聞きしました。
※本インタビューの内容は2024年9月時点での情報です
「保険事業領域以外」で東京海上グループの新たな事業の柱を作る
祝
まずは目黒様、中山様、お2人のご経歴をお伺いできますでしょうか。
目黒様
私は学生時代に海外で過ごす機会が多かった為、海外にいた経験を活かしたいと考えたこと、及び当時日本企業が東南アジア等に積極的に事業進出している時期だったことから、日本企業の海外進出を支援するマーケットリサーチ会社に入社しました。
その後、外資系コンサルティングファームに転職をしました。その頃、日本企業はAIやIoTといったDXに力を入れる流れがあったので、AIやIoTなどのテクノロジーを駆使した新規事業開発に軸足を移して、クライアント企業の新規事業開発のコンサルティングをやっていきました。
そして、2020年に東京海上ホールディングスに入社します。2021年7月に旧東京海上日動リスクコンサルティングが東京海上ディーアールに社名変更したタイミングで東京海上ディーアール(以下、TdR)に出向して、現在はSIUで活動しています。
中山様
私は2021年に国際基督教大学を卒業後、大手メーカーに入社し社長秘書の仕事をしていました。その後、2023年にTdRへ転職してSIUに入りました。学生時代に1年間イギリス留学をしたのですが、そこで社会課題に興味を持つようになった繋がりで社会課題に関連する業務を多く取り扱っているTdRにいます。
祝
御社とSIUの設立背景について教えていただけますか。
中山様
まずTdRの説明からしますと、元々東京海上リスクコンサルティングという会社として1996年に設立されました。その名の通り、リスクコンサルティングをメイン事業とした会社として設立され、2021年7月に社名を「東京海上ディーアール」に変更したと共にグループ内でのデータ活用やソリューション開発を推進する役割を担い、新たに始動しました。
その中で、我々はもともとデータ戦略室という名前で社会課題解決×新規事業×データの領域で活動をしてきましたが、GXなどの社会課題解決に関わるビジネスをより本格的に推進するという意味合いを込め、「ソーシャルイノベーションユニット」という名前に変更し、活動を強化しています。
祝
SIUが担っているミッションや具体的な業務をお伺いできますか。
目黒様
SIUのミッションは先ほど申し上げた「東京海上グループの新たな事業の柱を作る」ために、既存領域である保険事業以外の領域において新規事業開発をすることです。新規事業開発を通じて社会課題解決に貢献することを目指しています。
ちなみにSIUは、室長や私のような外資系コンサル出身者や、中山のようなメーカー出身者、AIスタートアップ出身者、リスクコンサルタント出身者、東京海上グループのシステム会社出身者など多様なメンバーで構成されています。
グループが持つアセットを新規事業開発にフル活用
祝
先ほど保険事業以外の領域で事業を確立させていくという話があったかと思いますが、具体的にどういった領域に展開していくのでしょうか。また、それが必要になっている背景なども教えていただけますか。
目黒様
東京海上グループとして、グリーントランスフォーメーションやヘルスケア、サイバーセキュリティ、中小企業支援といった注力していきたい領域を決めています。これまで損害保険を中心にクライアントに提供してきましたが、保険だけでは解決できないクライアントの課題もあります。クライアントの課題解決により大きく貢献する、ひいては今後自分たちの事業を拡大するためには、保険事業以外にも踏み込む必要があります。
また、東京海上グループだけではなく、国内外の保険業界においても保険以外の新規事業を立ち上げる流れになってきていると感じています。
祝
新規事業は既存リソースをうまく活かせずに頓挫してしまう企業も多い印象です。御社や東京海上グループとしては、新規事業を進める上で、どのような強みやリソースがあるのでしょうか。
目黒様
当社で新規事業開発を進める上での強みは、大きく二つあります。一つは、保険やアセットマネジメント、リスクコンサルティングといった既存事業と組み合わせることで大きな事業の絵が描けることです。どのような事業でも、損害を未然に防ぐためのリスクコンサルティング、また万が一の際に補償を提供する保険は欠かせません。そのため、サービスに保険やリスクコンサルティング等を組み合わせることで、クライアントに対して高い価値を提供することができます。二つ目は、東京海上グループが持つチャネルです。東京海上グループは、日本の損保業界をリードする東京海上日動を中心に、あらゆる業界のトップ企業の多くと接点を持っています。そのため、新規事業のアライアンスパートナーを探す時や営業をする際などにそのチャネルが大いに役立ちます。
自力でPDCAを回し、新しいことを楽しめるマインドがあれば楽しめる
祝
改めて、現在人材を積極的に採用される背景と、入社後にどういったことを任せたいと考えているかお伺いできますでしょうか。
目黒様
まず背景としては、今携わっている新規事業開発の規模が拡大したというのが素直な答えですね。 SIUは新しい部署のため、メンバーの数はまだ限られています。ただ、それだと多岐にわたる領域の事業開発ができないので、外部に色々なアライアンスパートナーがいます。デザイナーさんやデータサイエンティスト、エンジニア、業界特化のエキスパートなどです。
今後規模が拡大していくとアライアンスパートナーとの連携やプロジェクトマネージャーのサポートが必要になっていくので、社内で人材を採用したいと考えています。
お任せしたいのは、実際に事業推進もしながら、事業計画をアップデートしたり、戦略を作ったり、ハンズオンで事業支援もしていただくといったイメージの業務です。数年後にはプロジェクトマネージャーになるキャリアパスを想定しています。
祝
そういった業務をする上で、どういったバックグラウンドを持つ方、または、何ができる方だとマッチしそうでしょうか。
目黒様
まず、社会課題解決型の新規事業に興味のある方であれば、どなたでも歓迎です。
その中でもコンサル関連での転職を考えている方を大きく2つのイメージ、現在コンサルティングファームにいて事業会社への転職を考えられている方、現在事業会社にいてコンサルティングを志望している方に分けてお話しします。
まず、前者ですが、例えば現在コンサルティングファームでクライアントの事業開発を支援しているが、第三者としての支援ではなく、自ら主体となって事業開発をやってみたいと思っている方にお勧めです。まさに私はここに魅力を感じて転職し、現在プロジェクトマネージャーとして新規事業開発に携わっています。
もちろん、現在コンサルをやっていて次もコンサルを目指しているような方でも、同じように魅力を感じていただけましたら大歓迎です。
次に後者のイメージですが、現在の仕事の業務幅や裁量権に物足りなさを感じていて、次のステップとして経営や事業開発をやってみたいと感じている方にお勧めです。
例えば、SIUでは文系出身者でメーカーのコーポレート部門から「サポートではなく自身が事業開発をやってみたい」という思いや、金融機関の営業出身で、日々多くの企業の創業経営者と接するうちに「0→1の事業開発」に魅力感じて転職し、やりがいをもって働いているメンバーがいます。
また理系の方の場合、例えばR&D部門で開発に携わっているが、技術そのものではなく、知見を活かしてコンサルティングや事業開発を行いたいという方もいると思います。
SIUの業務では、技術起点の仕事がたくさんあります。例えば、新規事業開発をする上でシステム開発をしなければいけない場面や、PoC、外部のエンジニア等と連携する場面等です。コンサルティングファームだと特に最初のうちは自分の希望する仕事を選ぶのは難しいことがありますが、新規事業開発をやりたいということが決まっているのであれば、当社では技術の知見も生かし最先端の技術に関わりながら新規事業に携われます。
次に、求める能力ですが、これだけは持っていてほしいと思う能力が一つあります。「自ら課題を発見し、PDCAを回して周りを巻き込みながら課題を解決する力」です。
新規事業開発では例え方向性を一度決めたとしても、その方向に進んでみたら何か違うと思って、方向チェンジをすることが往々にして起こります。そのため、何かおかしいなと気づいて、自分なりに「おそらくここがおかしいからこうした方がいいんじゃないか」と考えて行動できる方、PDCAを回しながら仕事を進められる方を求めています。
さらに、語学能力があるとなおよいです。リサーチ業務において海外の企業がどういうことをやっているのかが非常に参考になります。
その他には、新規事業開発を具体的に進めていくためにマーケティングや企画の知識も必要ですが、実際にやりながら教えていくので、過去に同じような領域に携わっていなければいけないわけではありません。新しいことをやるのは、先が見えないので人によっては怖いと感じると思いますが、それを「面白い」と思ってチャレンジできる方はすごく合っていると思います。
祝
ちなみに、中山様は1社目はメーカーにいて、TdRに入社、今はSIUにいらっしゃるとのことでした。実際、転職活動の際は具体的にどういったところを見て最終的にTdRに決めたのでしょうか。
中山様
私は社会課題解決に興味があったので、その軸で探していたときに見つけたのが最初のきっかけでした。第2新卒だったので、未経験でもOKでしたが、その分、コンピテンシー面接でPDCAを回した経験や学生時代のエピソードでポテンシャルをみていただきました。社会課題解決に携われることと、ポテンシャルで採用してくださることの2つが入社を決めた理由でしたね。
祝
最初に応募する段階でSIUに持っていたイメージの中で、入社後違っていたな、と感じた点はありますか。
中山様
新規事業ということで、「会社として今ある事業をベースに、新しいことに取り組む」のだと想像していましたが、実際には既存事業の延長線ではなく、全く新しい新規事業に挑戦しているところに驚きました。さらに言えば、世間でもまだ始まっていないような事業の開発に関われるということが良い意味で入社前のイメージと違っていて、まさにそこの部分で日々わくわくする思いで仕事をしています。
裁量権を持って、多種多様な領域の仕事に挑める
祝
中山様からみた御社の特徴と魅力をお伺いできますでしょうか。
中山様
私が感じる特徴は、大企業の良さとスタートアップの良さの2つを実感できる環境です。大企業の良さは、東京海上グループの保険事業やTdRのリスクコンサルティング事業などの既存事業のチャネルや強みを活かせることです。それと同時に、SIUは新しい部署なので少数精鋭でスピーディーに仕事ができることが、スタートアップのような良さだと思います。
もう1つの特徴は、コンサルティングスキルも身につくことですね。私が担当している事業はコンサルティングではないのですが、目黒も室長もそうですが、外資系コンサルティングファーム出身者がリードしている部署なので、コンサルタントの視点を学べることは魅力だと思っています。
また、「絶対できる」と見通しがついていないとチャレンジできない環境であれば、今やっている新規事業の実行は難しいです。多数のリレーションを持つ東京海上グループの安心感があるからこそ、大規模な新規事業にもチャレンジできるんだなと感じています。
祝
実際に働いている中でのやりがいを伺えますでしょうか。
中山様
大きく分けると4つあります。1つ目がビジネスで社会課題解決に貢献できるところです。イギリス留学中に社会課題関係のボランティアをしたのですが、ボランティアだと資金が足りなかったり人が足りなかったりして、長期的に広範囲で解決するのは難しいと感じていました。実際今は、エネルギー領域の社会課題解決のための新規事業をやっているのですが、大規模で多数の人を巻き込んで事業を進められています。
2つ目は、色々な領域の仕事に携われることです。色々な専門性を持った社員たちと協力しながら進めていくので、新規事業を軸に多様な分野の仕事に関われるんです。例えば、動画制作会社と連携しながら、新規事業のPR動画を作るプロジェクトもありました。
3つ目は、裁量権が大きく自分の成長を実感しやすいところです。先ほど言ったPR動画のプロジェクトだと、入社1ヶ月ほどでプロジェクトリーダーを担当しましたし、部署へのインターシップの企画から運営まで携わる機会もありました。年次にかかわらず、責任のある仕事を任せてもらえることで、プロジェクトをうまく回す管理スキルを早く身につけられると思います。
最後は、周囲のメンバーが、年次に関わらず「これはどう思う?」と聞いてくれるので、意見を言いやすいところですね。全然知識がないはずのメンバーにも意見を聞いてくれるのは若手としても嬉しく感じますし、期待に応えられるように頑張ろうと思えます。
目黒様
実は、中山が話した、複数領域で仕事ができることや裁量権の大きさは、私たちが育成するときに重視しているところなんです。中山がインターンでリーダーを経験した話に関しては、中山にリードしてもらうのですが、何でも1人でやる必要はありません。リーダーとして企画して、わからないときは「ここは〇〇さんに聞こう」と自分で考えて、どのタイミングで誰に相談したらいいのか、仕事を回す方法を身に着けてもらいたい想いから、敢えて裁量が大きい仕事をお願いしていると思います。
祝
ちなみに別の観点で、目黒様からみた御社の特徴と魅力、やりがいをお伺いできますでしょうか。
目黒様
新規事業を進める上で、必要な情報に簡単にアクセスできるのは魅力だと思います。東京海上日動だけではなくTdRにも、例えば不動産関係や自動車関係など色々な部署があるので、「あの人に聞けば、何か教えてくれる」「紹介してくれる」とすぐに解決策が思いつきます。
あとは自由に仕事ができるところも魅力です。というのは、役割分担として「ここまでは我々で意思決定できる」という規定があるので進めやすい環境なんです。当然、会社としての意思決定が下りないとできないこともありますが、その前の進めていい範囲内であればすごく自由で、チームで「これはこうしたらいいんじゃない?」とスピーディーに進められていると思っています。
そして個人的に感じているやりがいですが、元々コンサルティングファームでクライアントの新規事業開発を第三者として支援してきたわけですが、「これ自分で作ってみたいな」と思い始めたんです。なので、それが今実現できていることがすごく楽しいですね。キャリアアップという意味だけではなく、純粋に充実しています。
多様性を尊重したフラットな職場で、自由に仕事ができる
祝
では、中山様から御社に興味をお持ちの方にメッセージをいただけますか。
中山様
私は今、仕事を本当に楽しみながらやれています。そして私だけではなく、メンバー全員が今の仕事を楽しんでやっているところが魅力です。ここまで読んでいただいた話を受けて自分に合うと感じた方であれば絶対楽しい環境だと思います。お会いできるのを楽しみにしております。
祝
ありがとうございます、目黒様からも御社に興味をお持ちの方にメッセージをいただけますか。
目黒様
中山から意見が言いやすいという話がありましたが、それは私も感じています。私自身も社長も含めて上司に自分の意見が言えますし、多様性を尊重したフラットな職場だと思っています。「私はこう思います」「これやりたいです」と言ってやりたいことができる環境で仕事ができるので、経験問わず新しいことにチャレンジしてみたい方はぜひ応募していただきたいです。