総合コンサルとは
総合コンサルティングファームは、総合という名の通り、幅広いコンサルティングをおこなっています。特定の一領域だけでなく、戦略・業務・IT・組織人事・財務などのすべてのソリューション(サービス)と、製造業、金融、通信、官公庁などあらゆるインダストリー(業界)をカバーしているため、一貫したコンサルティングを提供できるのが特徴です。
基本的にソリューションやインダストリー別に特化した専門コンサルタントがチームをつくって対応するため、各領域の専門家が協力し、クライアントの変革をサポートすることができるのです。
かつて、総合系の中でも中心的存在だったファームが世界でビッグ4と呼ばれるアメリカの会計事務所(デロイトグループ/PwCグループ/KPMGグループ/EYグループ)を母体にしていたため、旧会計系とも総称されていましたが、現在は日本企業も含め、様々なコンサルティングファームが領域を拡大し、総合系ファームとみなされています。
どの企業も大企業といえる規模の人員を抱えており、国内拠点も東京だけでなく主要都市をカバーしているファームも多くあります。なお、ビッグ4に所属するコンサルティングファームは、いずれもグループ内に会計事務所、監査法人、法務、ファイナンシャルアドバイザリーなどの企業を抱えており、連携してグローバルサービスを提供しています。
大規模な案件が多い
クライアントは大企業が占めており、数百億円規模の予算と一千人を超えるコンサルタントが投入される大規模プロジェクトが多く、請け負う仕事も一部分、一段階だけではないケースもあります。たとえば、長期戦略の立案からスタートし、そのための組織改革、各部門の新システム考案、さらにはその導入や活用支援まで、戦略立案という上位工程から、アウトソーシングと言う下流工程までをトータルで提供するケースが多いです
また、グローバルに展開しているファームが多いため、語学力を問われる・活かせる環境もあります。
加えて、近年はアウトソーシング事業にも積極的に進出しており、システムの保守・運用などを中心に安定的な収益を獲得しています。
グローバル案件も豊富
グローバルに展開しているファームが多いため、語学力を問われる・活かせる環境も用意されています。海外拠点と連携してワールドワイドでナレッジやリソースの供給がおこなわれるため、自分のコンサルティングスキルを上げるのにふさわしい場と言えます。
また日本企業の海外進出を支援するなど、日本ブランドを強化する案件に携わる機会が多いことも魅力です。
統合・合併が多い
総合系ファームは社名変更や買収、統合などを活発に繰り返しています。そのあまりに複雑な移り変わりに、コンサルタントすら自分の所属するファームの前身を知らなかったというケースもあります。
たとえばアクセンチュアは会計事務所アーサー・アンダーセンから分社化したアンダーセンコンサルティングが名称変更して生まれたファームです。またデロイトトーマツコンサルティングは、「等松・トウシュロスコンサルティング」→「トーマツコンサルティング」→「デロイトトーマツコンサルティング」という変遷をたどっていますが、一方で等松・トウシュロスコンサルティングはアビームコンサルティングの母体でもあります。
日系の総合ファーム
日系の総合ファームは、大企業グループに所属しているところが多いです。たとえばNTTデータ経営研究所とクニエはNTTグループ。日立コンサルティングは日立グループ。アビームコンサルティングはNECグループです
グループ企業のシナジーを活かしながら大規模案件を獲得し、ワンストップでコンサルティングをおこなっていく点に特徴があります。また公共案件に強いファームも多く、官民共同や地方創生のプロジェクトなども豊富に手掛けています。
代表的なサービス
経営コンサルティング:経営戦略・事業戦略の立案支援、企業革新戦略の実行と導入支援、CRM戦略、組織戦略策定、研究・商品開発戦略の立案支援などです。
システム・インテグレーション&テクノロジー:IT戦略、ITガバナンス、システムの設計・開発・導入、運用定着支援、外部ベンダーも含めたプロジェクトの全体管理をおこないます。
アウトソーシングサービス:アウトソーシング実施にともなうプロセス分析、昨日変革の計画立案・実行、情報システムの運用管理、情報システムの効率化を推進するアーキテクチャや運用設計などをおこないます。
戦略系コンサルとの違い
戦略コンサルティングファームの場合、上記サービスでいうところの「経営コンサルティング」に絞ってサービスを提供しています。そのため、規模としては総合系コンサルよりだいぶ小さく、グローバルファームでも日本支社の人員は数百名程度。ブティック系の戦略ファームは数十名規模のところが多いです。
総合系ファームも戦略コンサルティング部門を用意していますが、ファームとして戦略立案以降の実行支援までおこなえることが強みとなっています。
ただし近年戦略コンサルティングファームも領域を広げる傾向があり、少しずつ総合系との差がなくなってきている状態です。
キャリア
総合系ファームのクライアントは大企業が中心です。したがってコンサルタントとして大きなスケールの仕事がしたいという方は総合系ファームが向いています。
一方で、経営者から膝詰で相談されるという場面は、かなりポジションがあがってからとなります。総合系ファーム自体が大企業ですので、出世競争は厳しいものになります。また外資系ファームやグローバル案件が多い部門では、かなり高い英語力が求められます。
戦略コンサルティングファームほどはUp or Outの雰囲気は少ないですが、同じポジションに居続けられるのは3年まで、などと制限をかけているケースもあります。ただし、総合系ファームのコンサルタントはどのファームも喉から手が出るほどほしがっている状況なので、競合ファームに移って活躍するケースも多いです。
給与・待遇・ワークライフバランス
総合系ファームの給与は、コンサルティングファーム全体の中でもかなり高い水準を保っています。コンサルティングファームはコンサルタント自身が商品ですので、各社高い給与を提供し、優秀な人材を集めることに非常に積極的です。企業にもよりますが、マネージャークラスで年収1000万円は超えてくるところが多いです。
また、コンサルティングファームは激務というイメージが強いですが、その傾向も少しずつ変わってきています。たとえばアクセンチュアでは近年全社をあげて働き方改革に取り組んでおり、残業などもきちんと規制がなされています。
クライアントワークが中心なので、どうしてもプロジェクトの山場などは多忙になってきますが、その分プロジェクトの合間には長期休暇を取るなどメリハリのきいた仕事をおこなっています。
転職市場
各社とも積極的に採用をしています。新卒、あるいは第二新卒の場合は、地頭のよさ、つまり学歴を強く求める傾向がありますが、中途採用の場合は、学歴以上にキャリアを重視する傾向があります。
特に近年の総合系ファームは、大規模システム導入で大きな売上を上げているため、SAPに代表されるようなERP、会計システム、あるいはWorkdayのような人事システム、SalesforceのようなCRMシステム導入経験者は非常に高く評価されます。
また最近では、AI、IoT、RPA(Robotic Process Automation)に積極的に参入しているため、このような領域に強い人材も募集しています。
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