ブランディングとは自社と競合企業との違いを明確にすることです。
消費者が自社製品を他社製品と識別して、選択的に自社製品を購買することを目的としています。
ブランディングを行う際は、下図のようなブランド要素をコントロールし、自社ブランドに関するイメージを消費者の心のなかに形成していきます。
ブランドの育成・強化のためには既存ブランド、親ブランド、マスターブランドの力を活用することで他の製品ラインや他カテゴリーにブランドを拡張したり、新たなブランドを生み出したりすることが重要です。
フィリップ・コトラーはブランド戦略の方向性を以下の4つに整理しました。
既存ブランド名を使って既存製品カテゴリー内でブランドを拡大する戦略のことをいいます。
<メリット・特徴>
・既存ブランド製品の色彩やサイズ、素材、味などを変えた製品を投入し、製品ラインを拡げることができる。
・消費者のニーズの多様化、小売店などでの競合対策、棚スペースの拡大、余剰生産能力の活用などを行うことができる。
・低コスト、低リスクで、新製品が導入できる。
<デメリット>
・既存ブランドとの共食いとなるリスクがある。
・既存ブランドのイメージの矛盾により、失敗することがある。
・過度な拡張はブランドイメージを弱めたり、拡散させたりすることがある。
既存ブランド名を使って新しい製品カテゴリーに進出する戦略のことをいいます。
<メリット・特徴>
・ライン拡張とは異なり既存ブランドの外にカテゴリーを展開することができる。
・ライン拡張以上に小さなマーケティングコストで新たな製品カテゴリーで事業拡大が可能になる。
<デメリット>
・ライン拡張と比較して、新製品自体の成功確率が低い
・既存ブランドイメージとの矛盾や、ブランドイメージの弱体化、拡散が起こる。
既存ブランドと同一カテゴリー内に、新たなブランドを投入する戦略のことをいいます。
<メリット・特徴>
・市場カバー力の強化、情報発信量の増大による市場の活性化
・競合によるライン拡張や市場参入に対する防衛を行うことができる。
<デメリット>
コスト効率の低下、各ブランドの小粒化、自社内競争による共食いリスクの発生が起こる。
新たなカテゴリーに新たなブランドを開発していく戦略のことをいいます。
<メリット・特徴>
・既存のブランドイメージに制約されることなく、新市場を開拓できる。
・社内での有望なリソースの発見などが条件
<デメリット>
・多大なマーケティングコストがかかる。
・成功確率が低い。
ブランドをうまく作ることができても時間がたてば消費者の思考の変化、新たな競合や新技術の出現によってブランドが弱くなり、場合によっては消えてしまいます。
中長期的なブランドの維持には、ブランド連想を維持・強化するための継続的なコミュニケーション、適切なタイミングと方向での製品リニューアルなどが主要な方法としてあげられます。
ブランドの維持・再活性化にはブランドアイデンティティの修正・変更、ブランド要素の修正・変更が求められます。
様々な企業が売り出す新製品やサービス、あるいは既存のブランドの活性化など上記の視点で企業を分析するとその企業の意図や今後の動きが見えてきます。