消費者が特定の製品について存在を知り、購買しようという決定に至るまでには、ある程度の時間がかかります。それは、消費者の頭の中で、製品についての情報収集や感情の処理、他製品との比較や評価などの心理的プロセスが段階的に行われているためです。
消費者が商品を知ってから購入に至るまでのこの一連の心理的プロセスを、「購買意思決定プロセス」といいます。
購買意思決定プロセスは、そのパターンによっていくつかモデル分けされ、整理されています。
以下に、その代表的なものをご紹介します。
AIDMAは購買意思の決定プロセスを「注目」、「興味」、「欲求」、「記憶」、「行動」の5段階に切り分けて考えるモデルです。
5段階のプロセスを集約し、「注目」の段階を「認知」、「興味」「欲求」「記憶」の段階を「感情」、「行動」の段階を「行動」とする3段階で語られる場合もあります。
5段階のプロセス、それぞれを英語にした際の頭文字をとって、AIDMAといいます。
この後ご紹介するいくつかのモデルの、基本となるモデルです。
インターネットを利用する消費者は、購入前に「検索」を行うことで製品についての詳細な調査を行います。また、製品の購入後はその評価をインターネット上で「共有」します。
この2つのインターネットを活用した消費行動のプロセスを、AIDMAモデルの中に取り込んだモデルがAISASです。
購買意思決定プロセスのモデルには、他にも以下のようなモデルがあります。
・AISCEAS…AISASモデルの中に他の製品との「比較」、「検討」を取り込んだモデル。
・AIDA…AIDMAモデルから「記憶」の段階を抜いたモデル。
・AIDEES…AIDMAモデルに、製品の「購入・体験」、購入後に顧客の「心酔」が起き、「推奨」するというプロセスを取り込んだモデル。
また、数ある製品の中にはその製品独特の購入プロセスがあるものもあります。
購買意思決定プロセスは活用できれば非常に便利な考え方ですが、以下の点に注意して活用することが必要です。
・顧客の状況によっては、ステップの省略や順番の前後が起こることを把握する。
・適切な購買決定プロセスを用いる。
・製品やサービスの置かれた状況を鑑み、プロセスモデルをそのまま使えるか、
独自のプロセスを考えるべきか判断する。
購買意思決定プロセスを用いると、消費者の状態に応じたプロモーション戦略やマーケティング戦略をとることが可能になる、間違った戦略をとっていた場合でも適宜改善していくことが可能になる、などのメリットがあります。
皆さんも何か気になる製品プロモーションを目にした時は、その戦略はどの意思決定プロセスにある消費者をターゲットにしたものか、考えてみてください。