製品の導入から衰退までのプロセスを製品ライフサイクルといいます。
製品ライフサイクルのプロセスは一般に、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つに区分され、売上高や利益は図のように推移していきます。
新製品が初めて市場に登場する導入期は、製品の知名度や認知度が低いため製品はあまり多く売れず、
売上は緩やかにしか増加しません。
また、生産設備をはじめとした先行投資や宣伝広告費も必要なため、多くの場合赤字となります。
時間の経過とともに製品の認知度が高まり、製品を欲しがる人が増え、売上が加速度的に伸びてくるこの時期のことを成長期と呼びます。この時期には参入企業も増え、販売価格も手頃になってきます。
製品が顧客にかなりいきわたり、売上が伸びる勢いが弱まってくると成熟期に入ったといわれます。
成熟期には利益は安定し最大になるものの、市場の成長が鈍くなります。参入企業数も多いため過当競争が発生し、値崩れから利益率が悪化します。
時間の経過とともに製品自体が顧客のニーズに合わなくなる、あるいはもっと魅力ある新製品に世代交代することで売上が減少しはじめる時期のことを衰退期と呼びます。
この時期には、撤退企業も増え、売上も先細り感が強まります。
このように製品ライフサイクルという切り口からある製品をとらえると、企業がその製品からどのように利益をあげていこうとしているのか、あるいはなぜ新製品を出さずに、なぜそういった手を打つのかを読み解くことができます。
製品ライフサイクルという視点で市場を見ると、企業のマーケティング戦略には以下の図のような原則が生じます。
新製品を市場に投入するとき、競合よりも早く市場に参入できれば、その後の利益は極めて大きくなります。しかし新しい市場に参入するリスクは大きく、費用もかかります。
まだ多くの顧客がその製品のことを知らない状態なので、マーケティング方針は市場での新製品のステータスや、認知度を確立することです。
マーケティング方針は市場シェアの拡大にありますが、シェア拡大に惹かれて参入企業も増えていきます。そのため、シェア拡大のための戦略は、生産ラインの拡張、製品の改良、サービス拡充、広告メッセージの変更、価格の引き下げなどの施策をとることになります。
市場の成長率が低下する成熟期でのマーケティング方針は、シェアを維持しつつ、利益を最大化することにあります。企業の方針としては、ブランドと製品を多様化することでターゲットをひろげ、それにあわせて流通チャネルを拡大し、競合並みかそれ以下に価格を下げるという施策がとられます。
衰退の原因は、技術革新、競争の変化、ニーズの変化など様々であり、市場の見極めは難しいと考えられます。
市場に残っている企業は、維持コストのかかる製品を排除し、利益の出る製品やチャネルをしぼりこんで、プロモーション費用の削減や、価格を下げるという施策をとることになります。